二対の蛇は深海の底へ No.3 バシュムとウシュム
◆◆◆◆◆
バシュム
頭の上には角があり、蝮の様な容姿をしていたと伝承には記されている。
◆◆◆◆◆
『海闘の国・エリシュ・レジスタルビーチ』
ドゴオオオンン!!!
「へ、へへ、へへへへ‥‥‥変な攻撃をしてきやがって、お陰で身体が更にボロボロになっちまったぜ‥‥‥だが、この国にはアイツが居る筈。元に戻れば多少は回復する‥‥‥へへへへ!!また俺だけ生き残れる‥‥‥‥」
‥‥‥スタンッ!
「全く、いきなり投げ飛ばしてくるとはね‥‥‥‥〖地球〗の神霊というのは皆、あんなのなのかな?」
「へへへ、獲物がのこのこと‥‥そっちから来てくれるとはなぁ!!嬉いな!!俺の新しい身体‥‥‥頑丈そうな身体‥‥‥」
「喜んでいる所で悪いんだけど。私の身体は私だけのものなんだ。あげられる分けないだろう‥‥‥君の身体‥‥‥魔力回路がボロボロになっているね。聖魔法の後だね‥‥‥刹那は七聖教会がティアマト地方に来ていると言っていたし、セハル君辺りにでもやられたのかい?彼は優しそうに見えて、敵には容赦がないんだよ‥‥‥この私の様にね‥‥‥神現魔法(黄橙)・〖白亜の弾痕〗‥‥‥射出」
‥‥‥‥以前までの騎士・ギャラハットの神現魔法により造り出された弾痕を繰り出す技には〖装填〗術式から〖射出〗術式までが以前まで組み込まれていた。
だが今は違う。地球側の知識と魔法世界側の知識の両方を知る者によって、ギャラハットが使用する聖杯、聖槍、盾、弾痕に至るまで両世界の新たな技術が加えられ、詠唱の短縮化、繰り出される技の高威力化、武器機能が向上し使いやすく改良されている。
そして、ギャラハット自身も〖幻獣の楽園〗での地獄の日々の特訓により、〖セルビア内戦〗の時よりも魔力、身体能力、精神面、全てにおいて成長している。
そんな以前よりも強くなった彼が、彼の教え子の勝手な魔改造により凶悪に仕上げられた擬似聖槍弾痕がバシュムに向かって放たれた。
その放たれた弾痕のスピードは弾痕を放ったギャラハット以外、目では追えず。一瞬のうちにして、バシュムの下半身辺りに着弾し身体を暴発させ、更に暴発しながらバシュムの後方からやって来る化物達へと飛弾した。
「へへ?ギャアアアアアアアアア!!!!!!俺の身体が熱い?!!!な、何で?お、俺の尻尾から下が!!!破裂して、アアアアアアア!!!!痛い!!!!」
ドドドドドドドド!!!
「グヘビ?!!」「グニアア?!!」「アアア?!!」「グガアアア?!!」
「‥‥‥‥凄い威力だ。まさか着弾し後も更に魔王領国の魔弾の様に飛散して、別の敵にまで攻撃するなんてね。あの子は何処からこんな技術を身に付けてきたんだろうね?‥‥‥‥先生としては少し心配になるよ」
▽▽▽▽▽
〖深海エリア〗移動中魔水球内
(移動中はとても暇になるね‥‥‥あぁ、でも気は抜けないか‥‥‥ハハハ、初めてのティアマト地方で少し受かれてくれみたいだね。私は‥‥‥もしかして、君も受かれてたりするのかい?刹那)
(は?何んですか?今、時間があるから新しい武器の制作中で忙しいんですけどね)
(新しい武器を制作中?君、そんな事できたのかい?)
(‥‥‥あれ?ガラ先生の前では‥‥‥作った事無かったか?‥‥‥そうか、ガリア帝国や魔術院の連中に俺が武器制作ができることは内緒にしていたんだった。くそー、最近は忙しくてそんな些細な事なんて忘れてたな)
(君、そんな事ができるなら何で魔術院の魔道部門に報告しないんだい?確か、魔道具技師や武器関係を造れる人は〖アーツ・クラウン〗とか言う魔道部門組織に属す義務が生じる筈だよね?)
(あぁ、それで魔法大陸の人々がより、暮らしやすく、魔法が発展できる様に協力しないといけない責任があるとかないとか‥‥‥いや、俺はそんなたいした技術なんて持ってないし、ぶっちゃけちゃえば、魔法大陸で俺が造った物なんて殆んどが〖地球〗の技術の応用とパクリだしね‥‥‥だから、俺はそんな組織に入る必要なんて無いのだ)
(‥‥‥‥兄弟子は凄い、魔道エレベーターとか言うの造ったり、短い期間に魔武器とか言う新しい武器の派生も確立させて、魔道船の発展にも大きく貢献して、本にもなってる‥‥‥それがこの本。はい、先生。モグモグ‥‥‥‥)
(あっ!コラッ!サーシャ!!止めろ!!何処からそんな多量の本を持ってきた?)
ドサドサドサドサ!!!
(おぉ、ありがとう。サーシャ、でも、何か食べながら話さない様に、はしたないよ‥‥‥‥何々‥‥‥〖ナルカミ式・現代魔道具の扱い方〗、あぁ、有名な雷魔法の論文の人だね。私も雷魔法の授業の時は参考にしているよ‥‥‥‥〖現代武器の武器派生を解く・著者・ナルカミ〗‥‥‥有名な魔道具技師の本だね。ガリア帝国の人達が死に物狂いで探してるって噂だよ‥‥‥‥〖自動魔法理論‥著者・ナルカミ〗〖魔法造船の可能性・著者・ナルカミ〗〖正しい魔法の心得・著者・ナルカミ〗‥‥‥‥全ての本にナルカミと言う人の名前があるね。カミナリ‥‥‥ナルカミ?‥‥‥カミナリセツナ?‥‥‥)
(違う。俺じゃない‥‥‥その本はだいたい、地球側の知識を魔法理論と組み合わせた物を暇潰しに書いた奴が書いて、元仲間のアイツが‥‥‥魔法新聞社の編集長が本にして世の中に出しただけなんだ!!だから、俺は関係無いっ!俺は悪くない。その数冊が魔法大陸中に出回ったせいで、現代魔法が著しく向上したなんて俺には関係無い)
(‥‥‥これは全てが終わったら君を一度、魔術院に連れて行かないといけないね。アーツへの登録と‥‥‥後は君が造りまくってる武器のランク登録‥‥‥その他に君が暇潰しに研究している新魔法も論文として全て記録として残させてもらうよ‥‥‥‥全く、なんだい?その新技術が詰まったありとあらゆる武器は?‥‥‥こんな登録もされていないものが魔法世界に出回れば世界は混乱する事になるというの‥‥‥に?‥‥‥何で私の盾と聖杯が君が造っている武器の中に交ざっているんだい?)
(ん?あぁ、壊れかけてたから。ガラ先生が寝ている間に奪って直して、魔改造して、性能アップさせてといた。もう修理は済んでるから持ってて良いぞ‥‥‥)
(いや、神聖な武器を魔改造するなんて‥‥‥何をしている‥‥んだい?‥‥‥何だい?これは‥‥‥凄まじい‥‥‥魔力炉の様な物が)
(昔、セルビアで手に入れた〖妖精の想羽根〗とか言う魔石を埋め込んどいた‥‥‥それをプレゼントするからさっきの魔道具造りの事は黙といってくれよ。ガラ先生!!頼むよー!!)
(‥‥‥妖精の想羽根?‥‥‥母さんの魔石‥‥‥いや、まさかね)
▽▽▽▽▽
「とか、あの時は思っていたんだけどね‥‥‥‥やはりこの魔力は母さんの魔力波長‥‥‥刹那が何処で手に入れたからは分からないけど、良いものをくれたよ。私の大切な生徒は‥‥‥では他にどの機能が向上してるのか色々と試してみようかな」
「へ、へ、へへ‥‥‥‥‥ナメるなよおお、騎士見たいな野郎!!くそがあぁ、片割れが例ればこんな事にはならなかったのによう!!」
「片割れ?」
バシュムはそう叫ぶと周りを見渡し何かを探し始めた。
〖サマルトの崖〗
「エアー様!!彼処に例のターゲットが」
「ウシュム‥‥‥先に行くな。危険だぞっ!」
「おっとっ!申し訳ありません。エアー様」
「‥‥‥‥居たっ!アイツは!!!俺のっ!!!」
「何だか嫌な予感がするね。そっちの方には行かせないよ。マムシ君」