二対の蛇は深海の底へ No.2 獣と神仏の闘い
「良いっ!良いぞお前等の身体‥‥‥精神、技量、身体、全て上質と見た‥‥‥丁度良い、どちらかはバシュムの新たな身体とし、もう一つは親父殿の糧として上手く使ってやるぞ」
「へへへへ、そりゃあ、良いっ!ムシュフシュの兄貴!!お、俺、実は身体が崩壊しかけてんだ‥‥‥あ、新しい身体楽しみだぜえぇぇ」
「百足と‥‥‥蝮見たいなのが交ざった形の蛇に‥‥‥純白の肌の蛇か‥‥‥」
「どっちも異様な魔力を帯びているね。闘うにしても慎重にならないとね。刹那」
「いや、それをさっきの水門で言おうとしたら、ガラ先生が飛び出していたんだけど‥‥‥今はそんな事、気にしてる場合じゃないか‥‥‥」
俺がそう告げてフードに隠していたある武器を構え様とした瞬間。
「何を呑気に喋っている?!!貰うぞっ!その素晴らしい身体!!全ては親父殿と俺達の願いの為に」
「へへへへ!!!新しい身体!!!」
蝮と白蛇が俺目掛けて突っ込んで来る。なんと速い動きだろうか、もう少しで俺の目の前に来そうな勢いだ‥‥‥‥
(誰の許可を得てコイツの身体を奪うって?)
(では、向かって来る彼等に身の程を教えてあげましょうか)
俺が首にかけている〖八部衆の門〗から二人の声が聴こえて来た。
「何だ?とてつもない‥‥‥太古の魔力?」
「へへへへ!!気のせいだぜ。ムシュフシュの兄‥‥‥」
「そう思うなら。さっさと消えろ!!蝮風情が!!吹き飛べ!!〖剛魔の相〗・〖蛇剛蛾〗」
〖八部衆・摩睺羅伽〗
「へへへギベ?!!ギャアアア!!!か、身体が勝手によおおお!!」
「バシュムッ!何処に行く気だ?何をしてやがる?」
「おっと貴方の相手は私達ですよ。はぐれの方‥‥‥〖水魔の相〗・〖釈天水〗」
〖八部衆・《龍》沙羯羅〗
ズザンッ!
「‥‥‥水の刃だと?何者だお前‥‥‥‥」
「八部衆が一つ‥‥‥〖龍〗なり」
「凄い吹っ飛んだね。刹那‥‥‥何だい?あの身体から神聖が溢れ出ている人達は‥‥‥」
「おいっ!貴様、何を勝手にソイツに話しかけてやがる‥‥‥テメェ強いな?‥‥‥‥なら、俺が吹っ飛ばしてやった奴を仕留めて来い!!!飛ばしてやるかようっ!」
「は?何だい?いきなり?や、止めないか!!こ、この大男を止めるんだっ!せ、刹那!!!」ブンッ!
「‥‥‥‥ガラ先生が空中に吹っ飛んで行った‥‥‥生きてるのか?あれ?」
「ガガガガ!!!心配はいらんだろうよ。子供殿!!少し成長したようだな」
「当たり前ですよ。子供は皆、何れは大人に成長するのですからね。だから、彼も大人に成長していくのです」
「だから、我々が子供が成長しきるまで守ってやるのだな。夜叉!!!ガガガガ!!!!」
「はい‥‥‥その通りです。乾闥婆」
「乾闥婆に夜叉も外に出てきたのか?」
「ガガガガ!!!そうとも出で来たぞ。後ろの化物共を始末しにな。この国には沢山の子が居るんだろう?」
「彼等は異物です。いわば、此方側の世界から解き放ってしまった者達‥‥‥‥だから、返してあげなくてはなりません。元の場所‥‥‥元の世界へと」
「‥‥‥元の世界‥‥‥〖地球〗にか」
「小僧!!!力を温存しておけっ!!!神災の時は近いっ!俺達はそれをこの国に入った瞬間から感じ取ったぞ!!」
「えぇ、ですので、先んずはこの白蛇を屠る所から始めましょう。彼方と此方を繋げられ、上に居るあの様な神が〖地球〗に解き放たれればどちらの世界もただでは済みませんからね」
「彼方と此方を繋る?‥‥‥‥転移魔法も無しにそんな事できるわけ‥‥‥‥」
「門があるんだろうよ!!このティアマトとか言う海にはなっ!!良く考えろよ小僧!!奴等はどうして此方の世界に来て、好き放題暴れられているんだ?」
「‥‥‥俺と同じ様に転移門を潜ってやって来て‥‥‥そして、今度は魔法世界側の転移門から地球に戻り、暴れ様とでもしている?」
「暴れるだけなら良いがな‥‥‥こんな古代の禁忌の魔力に満ちている奴等が魔力が一切存在し無くなった〖地球〗で禁忌魔法何かを使われでもすればどうなると思う?」
「‥‥‥何でそんな事を今、俺に話すんだ?摩睺羅伽、今は闘いに集中して‥‥‥」
「話を反らすな小僧っ!!機転のきくお前なら直ぐ気づいたろう?‥‥‥禁忌魔法や奴等が連れている化物共に当てられた奴等は体内の微弱な魔力が暴走して‥‥‥」
おい‥‥‥止めろ。それ以上の事は聞きたくない。そんな結論、とっくに気づいていた。それを聞いたら俺は戻れなくなる。お前の発言で覚悟を決めなくてはならなくなるじゃないか‥‥‥ムシュフシュとか言うのの後ろからやって来る化物達‥‥‥人だった化物を始末し、〖神・アプス〗を初めとした上に住む者達を全て倒し。アプスが〖地球〗に戻る事を全力で阻止しなくてはならなくなる。
俺はただ、アプスとその手下達の脅威を倒し、〖造船都市・エヌマ〗で〖方舟〗を造り、エスフィールの捜索の旅を続けられば良いだけなんだ。その言葉を最後まで聞いた瞬間、変わる、アプスやその子供だけじゃなく、ティアマト地方に住む化物に変えられた民達も倒す対象に変わってしまう。だから、それ以上は何も言うな‥‥‥俺にこれ以上の大量殺戮をさせないでくれ。俺はただ、彼女と再開したいだけなんだ。
「‥‥‥‥後ろの化物共、見たいな叫ぶだけの畜生に変わるんだよ!!だから、奴等の文明は滅ぼされた!!余りにも危険な古代の禁忌だったからな。それがこんな違う世界で生き延びていようとは〖地球〗側の奴等は誰も思っていなかっただろうな」
「‥‥‥‥全ての答えを言ってくれたな。摩睺羅伽‥‥‥これで俺はこのティアマト地方と地球を救わなくてはならなくなったじゃないか。どう責任を取ってくれるんだ?お前が話した、その答えに行き着かなければ、俺はアプスを倒して簡単に次に進めた筈なのに‥‥‥」
「‥‥‥‥やはり、気づいてたな。小僧!!‥‥‥‥逃げる事は俺達が許さん‥‥‥‥だから、我々も貴殿に全ての力を貸す‥‥‥共に協力し、救って貰うぞ〖地球〗を‥‥‥‥このティアマト地方とか言う〖海〗と共にな」
「‥‥‥‥善処しよう。ならば、先ずは目の前の白蛇を打倒しろ。八部衆・摩睺羅伽」
「フンッ!生意気な小僧がぁ!!やってやろう!!!容易くな!!」