紫幻の剣と蠍の誘い ・No.2 紫幻の剣威
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〖ギルタブリル〗
顎鬚を生やした人の顔と人体を持つ、鳥、蛇の体、サソリの尾を併せ持つ。死神の様な姿をしているとも伝えられ、人の顔、鳥の胴体と脚、サソリの尾を併せ持つ人間ともシュメールの文献には現代へと伝わって入る。
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〖アトランス〗南の入り江〖アイラ〗
「魔法‥‥‥確りと使えているね。いや、当たり前なんだけどね。アナスタシア様の事を聞いていたから、少し不安になってしたんだ」
ガラ先生がそう言ってシエルさんとギルダブリルの方を見つめながら、俺に語りかける。
「オルビステラが〖世界〗の力を消してくれたお陰ですよ。ガラ先生。彼女のお陰で俺達はティアマト地方でも魔法が使える様になったんです」
「オルビステラ‥‥‥〖世界〗の大アルカナの〖神々の黄昏〗の一人だよね?敵には容赦がない君が、どうして仲間に引き込んだんだい?僕はてっきり倒してたと思ってたんだけどね」
「‥‥‥‥色々と考えて選んだ未來だよ。彼女と彼女の親友の為のね。それよりもガラ先生。今は‥‥‥‥」
「あぁ、泥状にされた人達を助け出そう。〖洗礼者〗が二人もいるんだ。なんとかできる規模だよ‥‥‥行くよっ!刹那!!〖聖魔法〗」
「いや、シエルさんに加勢しなくて良いのかって言うつもりだったんだけど‥‥‥‥確かにゲル状化した人達も助けないとな‥‥‥じゃあ‥‥‥やりますか。〖聖魔法〗」
「「〖救いの光聖模〗」」
俺とガラ先生が放った聖魔法が〖アトランス〗の天上へと伸び行き、それが白きオーロラの様になって〖アトランス〗国の深海の空を覆っていく。
「あ、あ、あ、わ、私のか、体だが‥‥‥治っていく?」
「ぼ、ぼ、た、た、達が何をしたんだ?‥‥‥意識が‥‥戻っていく‥‥‥‥」
「か、か、か、身体が‥‥‥く、く、崩れていく‥‥‥いや、戻れた?」
俺達の近くにいた〖アトランス〗に住む住民達の身体がゲル状から元の姿に変化していく。
〖救いの光聖模〗七聖教会が秘匿する聖魔法の一種だ。
この魔法はあらゆる呪法や身体にかかる変化を元に戻すとされる魔法。この規模で発動できたのは〖洗礼者〗の資格を与えられた俺とガラ先生が同時に聖魔法を放ったからなんだろうな‥‥‥‥。
いや、それよりも俺はガラ先生に聞くことがあったんだった。
「ガラ先生」
「んー?なんだい?刹那」
「先に〖アトランス〗の人達を助けるのも重要だけど、シエルさんの方はどうするんだよ?旅を共にする仲間だぞ。何で加勢しようとか言わなかったんだ?俺はてっきり‥‥‥‥」
俺は先程とうって変わり、口調を乱暴にしながら発言した。ガラ先生が先生モードの時はなるべく、敬うように接しようとしたが、仲間の事になるとつい、通常モードの話し方になってしまうな。
「加勢?‥‥‥いやいや無理を言わないでよ。刹那。あの〖紫の剣の魔女・〗シエル・オルタナティブに加勢しろだって?そんな自殺行為な事、できる分けないだろう」
「自殺行為?なに言ってんだよ。相手は異形の怪物だぞ。それに俺達が知らない様な禁忌魔法を使ってくるんだ。そんな得体の知れない相手と闘うのに、いくら、〖剣聖〗グレイの実の母親だからって、危険すぎる」
「そうだね。このままじゃあ、相手が危険だね‥‥‥‥命の‥‥‥良い機会だから、良く見ておくと良いよ。刹那‥‥‥〖神ノ使徒〗達とは別途の〖魔色〗を持つ、魔女の闘い方をね」
「‥‥‥‥闘いも何も最初の場所から、シエルもギルダブリルとか言う奴もじっとしていて、どっちも動いていなだろう‥‥‥」
「いや、闘いはとっくに始まっているよ‥‥‥‥とっくにね」
〖紫幻の夢の中〗
「身体が動かせない‥‥‥‥僕に何をしたんだい?娘!!!」
「自由を奪わせて頂きました‥‥‥‥〖アトランス〗の方々をあのままにしておけば、死に至ると即座に気づきましたので‥‥‥」
「何故、このお父様の世界で魔法が使える?‥‥‥僕達の魔法に対抗できる?‥‥‥僕達の魔法はお前達が失った〖禁忌魔法〗なんだぞ」
「‥‥‥失われてはいませんよ。神話以降からよりもその数は極端に減ったと聞き及んでおりますが、使える者なら存在します」
「あっ?誰だよっ?!そんな奴がいるなら、お父様の計画の邪魔に‥‥」
「私ですよ。蠍の方‥‥‥そろそろ、神成様達が〖アトランス〗の方々を元に戻している頃でしょうか?‥‥‥ではお目覚め下さい。蠍の方」
〖アトランス〗
「がぁぁああ!!!ぼ、僕の身体に何をしたぁあ!!娘!!」
「〖夢〗へと堕ちてもらっていました‥‥‥良かった。肉体が消滅寸前だった方までお救いして下さったのですね」
「くそっ!油断していたよっ!速攻で消してあげるってっ!!〖ギルダブリル・エンキ〗・〖蠍の毒追撃〗」
鋭い蠍の尻尾が勢い良く、シエルさん元へと襲いかかる。
「反撃は更なる痛みに変わりますよ‥‥‥〖剣魔の相〗・〖紫幻投影〗」
魔力が凝縮された紫色の刀剣が現れ‥‥‥ギルダブリルへと一斉に放たれる。
「がぁ?!が、が、がギャああああああア?!!!僕の身体中に気味の悪い剣がさ、刺さるるうぅぅ?!!」
「マーリンやロアとの約束で余り暴れない様に言われていましたが、此処は陸地から遠く離れた〖深海〗‥‥‥多少は羽目を外して誰にも怒られる事はありませんね‥‥‥‥楽しみです。蠍狩り‥‥‥‥フフフ」