臨界決戦・〖神子の愛は世界を揺らす〗No. 13 アナタ達との世界
今回、5000文字以上あります。
すみません‥‥‥‥
十数年前
〖レッドローズ国〗赤の館(無闇との境)
(‥‥‥‥此処は何処?お義父様‥‥‥)
(フハハハハハ!!『代理人』よっ!俺様の娘を預かれっ!)
(突然、現れたと思えばどうした?‥‥‥‥その子はなんだ?)
(彼方側の原初の‥‥‥‥始まりの残りの様なものだ。自我が強くなってきたのでな。精神が安定するまで俺様との距離を置く事に決めたのだ)
(‥‥‥‥アプス‥‥‥その子とお前は家族ではないのか?)
(家族だと?フハハハハハ!!これがか?ふざけるなよ。〖代理人〗っ!俺様の家族は遥か昔からティアマトだけだっ!‥‥‥‥そして、この魔法世界のあれとは違う‥‥‥‥俺様の愛の象徴。だから、それは家族ではない。預かれっ!)
(その決断が‥‥‥‥いつか後悔に繋がるぞ‥‥‥アプスよ‥‥‥)
(俺様は〖神〗だ。問題はないっ!フハハハハハッ!!)
(‥‥‥‥我はスヴァローグだ)
(◯◯◯です‥‥‥‥)
(アンタが新入り?私はフレイよっ!何?アンタ、棄てられるの?)
(‥‥‥‥分からないのこっちに着いたと思ったら、海の底みたいな所にずっと居て‥‥‥気づいたら此処にお義父様と一緒にいたの)
(ハァー?何それ意味分かんない‥‥‥分かんないけど。此処に集められた子なんて皆、意味分かんない事情の子ばかりだったわ。ねぇ、お兄ちゃん)
(むっ!我はお前の兄ではない。フレイ‥‥‥‥)
(そ、そうだよっ!)
(そうなの?)
(‥‥‥‥‥お兄ちゃんよ。今度からね‥‥‥まぁ、良いわ。貴女、便利そうだし私が友達になってあげるわ。喜びなさい)
(友達?‥‥‥‥友達って何?)
(何?友達の意味も知らないの‥‥‥仕方ないわね。私が色々教えてあげるわよ。おバカさん)
▽▽▽▽▽
数年後〖無闇の部屋〗
(では新たなNo.を与える。スヴァローグとフレイの兄弟?には〖太陽〗を片割れずつ。ラストには〖審判〗を、オルビステラには〖世界〗を、◯◯◯◯には〖●●〗を最後に与え、これをもってあの方による、現代の大アルカナは全て選出された)
(スヴァローグ兄貴は一割しか貰えないわけ?何で?)
(ん?いや、我がそう〖代理人〗に頼んだのだ。妹?が無事でいられる様に大アルカナの大半はフレイに渡してくれとな)
(へー、流石、お兄ちゃん?‥‥‥‥相変わらず妹?に甘いんだから‥‥‥‥それにしてもラストさんとあの子が〖審判〗と〖●●〗とはね。それで優秀なオルビステラが何で〖世界〗なわけ?)
(‥‥‥‥お義父様が〖代理人〗に頼んだみたい。今後、必要になるから、私に与えろって)
(お義父様ってっ!赤の館にアンタを預けに来てから一度も会いに来てないじゃないっ!そんな奴をお義父様なんて言うんじゃないわよっ!)
(‥‥‥‥‥‥何を怒ってるの?フレイ。お義父様はお義父様よ。私の‥‥‥‥大切な?家族‥‥‥‥?)
(あっそう‥‥‥‥私はあんな奴、家族には到底見えないわよ。ねぇ?スヴァローグ兄貴?‥‥‥)
(む?あぁ、そうだな‥‥‥‥我が妹?フレイよ‥‥‥‥)
(‥‥‥‥‥‥‥‥嘘つき)
▽▽▽▽▽
更に数年後〖レッドローズ国〗赤の館地下
(‥‥‥‥‥何をしているの?フレイ‥‥‥)
(あら?‥‥‥‥オルビステラ。来てたの?アンタもやる?孤児の教育‥‥‥‥楽しいわよ)
(‥‥‥‥‥今すぐ止めて、子供達を解放するのよ。フレイ‥‥‥半年会っていない間に、貴女に何があったの?スヴァローグはこの事を知っているの?確か、彼はギルドを経営して孤児や元奴隷だった子達を引き取って養っているのでしょう?それなら、彼に先ずは預けて‥‥‥‥)
(キャハハハハハハ!!スヴァローグ?‥‥‥‥何であんな偽の兄貴何かに私の玩具を預けなくちゃいけないのよ?こんな楽しい事、止められるわけないじゃないっ!オルビステラ!!)
(‥‥‥‥フレイ?貴女、さっきから変‥‥‥)
(じゃないわよね?フレイ‥‥‥)
(‥‥‥‥その声はヘカテさん?‥‥‥〖異界〗にいる筈のアナタが何で此処に居るの?〖代理人〗やフォルトゥナさん達は何処に居るの?)
(上の人達は会議よ。〖黄昏の園〗でね。それでフレイちゃんで遊んで‥‥‥‥一緒に遊んでたのよ)
(一緒に遊んでいた?‥‥‥‥そうには見えないわ。どう見ても今のフレイは可笑しいもの)
(キャハハハハハハ!!!!死になさいっ!苦しみなさいよっ!アハハハハ!!!)
(そう?普通じゃないかしら?最近、スヴァローグ君に新たらしいお友達ができて、フレイちゃんがイライラしてたみたいなの。洗脳とか言うのがこのままじゃ解けるとか言ってね。だから、リラックスさせてあげる為に‥‥‥‥‥少し頭をいじちゃった。フフフ)
(つっ!アナタ、今、何を言って‥‥‥‥)
(フーン、昔は〖無〗だったオルビステラちゃんも随分と心が豊かになったのね‥‥‥‥貴女もいじってあげたいけど。フレイちゃんと違って貴女は特別だもんね。残念‥‥‥それじゃあ、私は〖異界〗に帰るからバイバイーッ!)
(‥‥‥‥待ちなさいっ!)
(嫌よ‥‥‥あぁ、それとフレイちゃんだけど。今後は無意識に孤児を集めてお仕置きすると思うから、後の事は宜しくねぇ~!‥‥‥‥‥オルビステラちゃんはフレイちゃんの親友なんだから。ちゃんと最後まで見守ってあげないと駄目なんだからね。(クスクス))シュンッ!
(‥‥‥‥‥何なの?何であの人はフレイに酷い事をするの‥‥‥何で?分からない)
(キャハハハハハハ!!!私、今、最高の気分なのオルビステラ!!)
▽▽▽▽▽
一年前〖ガリア帝国〗
(〖女王〗に会いに行けかぁー、私、あの人苦手なのよ。オルビステラ)
(‥‥‥‥皆、言ってるわ。‥‥‥‥(他地方に居る時は普通にしている?‥‥‥‥じゃあ、何でフレイヤ地方に居る時はあんなに酷くなるの?フレイがこうなった原因のヘカテさんはあの後、〖無闇の部屋〗にも現れなくなったって〖代理人〗は言っていたし。フレイが可笑しくなるなんて他の人に言えるわけもない。誰かに言ったら、フレイは消されちゃう‥‥私はいったいこれからどうすれば良いの?))
▽▽▽▽▽
九ヶ月前
(キャハハハハハハ!!拷問の時間よっ!皆あぁ!!)
(‥‥‥フレイ‥‥もう止めて‥‥‥親友が壊れていく様なんてもう見たくないの、私に感情を教えてくれた時の貴女に戻って‥‥‥)
(アハハハハ!!!何を悲しそうな顔をしているの?オルビステラ!!私は普通よっ!皆が可笑しいのっ!スヴァローグもフレイヤ地方も私の中の何かも‥‥‥‥全部全部っ!可笑しいの‥‥‥‥だからお願いっ!オルビステラだけは可笑しくならずにずっと私の事を見守っていなさいっ!)
(‥‥‥‥そう‥‥そうね。私は可笑しくならない‥‥‥‥それで私は貴女の親友‥‥‥‥最後まで見守ってあげる。貴女の事を‥‥‥‥それが私に唯一できる貴女に対する恩返しなのだから)
▽▽▽▽▽
六ヶ月前
(クスクスクスクス、ねぇ、ねぇ、オルビステラもやらない?孤児狩り。楽しみいわよ?)
(もう止めてぇぇ!!!だ、誰か助けてぇえ!!‥‥‥‥ガク‥‥‥‥)
(‥‥‥私は今日は帰る。気分が悪くなったから。じゃあね、フレイ)
(ハァー?いきなり遊びに来ておいて何なのよ?もう?)
(もう、あの子が壊れるまで時間が無い‥‥‥‥その前に私はヘカテさんを探さないと‥‥フレイをこれからも見守る為に‥‥‥‥私の親友を救う為に‥‥‥)
▽▽▽▽▽
三か月前
(ハァ?‥‥‥‥‥魔法大陸が暫く平和になるから、〖世界〗を広げろ‥‥‥ですか?お義父様)
(そうだ。何でも勇者と魔王とか言うのがこの世界から突然、消えたと聴く。奴等〖神々の黄昏〗も本格的に活動を再開すると言ってきた‥‥‥‥だが、俺様の本当の願いは別にあるだから、今よりもいっそうの〖世界〗をこうちくしろ。我が娘。オルビステラよっ!フハハハハハッ!)
(‥‥‥‥はい。お義父様。(暫く、任務意外でフレイには会えない‥‥私がいない間の赤の館でこれ以上、可笑しくならないと良いんだけど‥‥‥‥フレイが可笑しくなった事はもう隠さない。エクシスさんやフォルトゥナさんに相談してヘカテさんを〖異界〗から連れて来てもらわないと))
▽▽▽▽▽
一ヶ月前。〖ルア・カトリク〗上空
(どう?‥‥‥‥‥国内には入れそう?オルビステラ)
(‥‥‥‥‥いや。三神‥‥‥もっとかな?‥‥四神の〖神の守護〗が張られているよ。フレイ)
(えーっ!何それ?‥‥‥‥せっかく遠いフレイヤ地方から遥々やって来たのに観光もできないわけ?ヤダーッ!)
(‥‥‥‥(久しぶりに会ったけど‥‥‥なんだか昔のフレイに戻ったみたい‥‥‥フォルトゥナさんが何かしたくれたの?後で〖赤の館〗に確かめに行かないと‥‥‥))
▽▽▽▽▽
(‥‥‥‥え?‥‥‥‥〖太陽〗が‥‥‥‥フレイが〖救国の担い手〗にヤられて死んだですか?)
(そうだ。フハハハハハッ!!馬鹿な女だ。時が来るまで待てば良いものを無価値の分際で先走り、返り討ちにされた哀れな負け犬だな。フハハハハハッ!!‥‥‥‥何処に行く?俺様の娘、オルビステラ)
(‥‥‥‥仇を取ります‥‥‥フレイは私のたった一人の親友で‥‥‥‥私に心をくれた人だからっ!)
(‥‥‥‥〖世界〗に心?‥‥‥フンッ!止めはしないが監視は付ける。ウリディンム、クルール)
((はい‥‥‥‥))
(共に行け‥‥‥‥あれが暴走したら容赦なく壊せ。これは俺様という〖神〗の命令だ)
((‥‥‥‥畏まりました))
▽▽▽▽▽
「これでフレイとのお話は終わりよ‥‥‥‥その数日後の今日、ウリディンム、クルール連れて貴方と出くわしたの‥‥‥‥これで良い?」
「‥‥‥‥‥〖太陽〗フレイが可笑しくなったのは、ヘカテと言う奴のせいなんだな?」
「‥‥‥えぇ、そう‥‥‥あの人がフレイに何かして変えてしまったの。だけどあの人は〖異界〗の」
「〖イシス〗に入るだな?」
「‥‥‥何で貴方がそれを知っているの?‥‥‥散々行き方や居場所は探したの、でも一度も会えなかったの。フレイが可笑しくなって死んだのも元の原因はヘカテだもの、復讐したいけど‥‥‥‥会えないのよ」
「‥‥‥‥この先、必ず行く事になるからだ。〖イシス〗にな」
「‥‥‥必ず行く?そう、貴方は全ての〖神々の黄昏〗を倒す気でいるのね‥‥‥‥」
「その予定だが‥‥‥例外も入るんだ。‥‥‥‥‥君の親友への罪滅ぼしになるかは分からないが‥‥‥‥フレイが可笑しくなった原因。ヘカテに会えるとしたらどうする?」
「ヘカテに会える?貴方、〖イシス〗がどんな所か分かっているの?あの世界は普通じゃあ入れない〖異界〗なのよ」
俺は右手に身に付けていた赤い指輪をオルビステラに見せた。
「扉の鍵はもうある。後は時を待つだけだ」
「鍵?それが?‥‥‥‥彼処の?それを何で貴方が持ってるの?」
「アリババと〖剣聖〗から貰った‥‥‥‥オルビステラ」
「‥‥‥‥‥何?刹那さん」
「俺の仲間にならないか?」
「は?‥‥‥‥貴方、今なんて言ったの?私は〖世界を〗の‥‥‥‥」
「分かってる。だが、君はヘカテと言う〖神々の黄昏〗の一員の一人に復讐するんだろう?‥‥‥‥俺はその方法を持っている。そして、俺は君に償いをしたいと君とフレイの話を聞いて考えたんだ‥‥‥‥オルビステラ!いつか、共に〖イシス〗に行き、君の復讐を絶対に叶えると約束する。だから、俺にフレイを殺めてしまった償いをさせてくれ」
「‥‥‥‥‥数々の奇跡を起こしたと言われる〖救国な担い手〗がこんなに馬鹿な人だったなんて思わなかった‥‥‥‥普通、敵同士である〖神々の黄昏〗を仲間にする?」
「普通はしないだろうな」
「‥‥‥‥数分前まで復讐して殺してしまおうと考える敵にお願いなんてする?」
「あり得ない事だな」
「‥‥‥‥そう。あり得ない事‥‥‥‥でも、貴方は私を殺さず、私の話をちゃんと最後まで聞いてくれたわ‥‥‥‥だから‥‥‥」
「あぁ‥‥‥‥」
「私の復讐が終わるまでの間だけ貴方の仲間になってあげるわ‥‥‥‥このオルビステラ・アプスがね‥‥‥‥おバカさん」
「あぁ‥‥‥‥ありがとう。オルビステラ」
全く熱さがない炎上の中、俺とオルビステラは握手を交わす。
敵同士だが、握手を交わす。
俺は彼女の親友の仇で敵対する宿敵だ。
だが、彼女は〖異界・イシス〗に居るヘカテへの復讐という目的がある。
その願いを俺は叶えさせてあげられる‥‥‥‥俺はそれを手伝おう。
それがせめてもの彼女とフレイへの償いになるのなら。
俺はオルビステラの為に力を貸そう。
◇◇◇◇◇
長く彼と‥‥‥刹那さんと闘ってやっと分かったわ。
彼は可笑しくて、私の話を聞いてくれる良い人だと。
でも、フレイを倒した事は許してあげない。
今回の貴方への復讐は諦める。
だから、違う復讐は始めるわ。
そのうち来るであろう。扉を越えての〖イシス〗への旅‥‥‥その時が来たら貴女に必ず復讐する‥‥‥‥〖月〗の大アルカナ‥‥‥‥ヘカテ、貴女にね。