臨界決戦・〖神子の愛は世界を揺らす〗No.12 アヤマリ
オルビステラが放った大鞭が灰神楽の火炎により燃え上がり、朽ちていく。その次に起こった現象は燃え朽ちてていく鞭の中央から黒い蛇の様な物が蠢いていた。
そして、灰神楽の炎は俺とオルビステラの周囲を高い壁となり囲んでいく。
この炎の壁内に居るのは現在、俺とオルビステラと黒い蛇の様な物だけ‥‥‥‥‥後は簡単だ〖魔力〗も〖神秘〗も身に纏っていない少女を俺、自身の渾身の〖神気〗を〖火龍刀〗に込めて振り下ろすだけでこの長かった闘いに勝利する事ができる。
そうすればこの歪んだ〖世界〗から解放される。
俺に従いたくない〖八部衆〗達を、この先に待っている過酷になるであろう必要な戦力を確保できる。
何時も通りやれば良い。
そう敵を‥‥‥‥‥〖神々の黄昏〗を‥‥‥‥大アルカナ〖世界〗を倒していつも通り倒して次の旅に向かえば良いんだ。
「〖神気三式‥‥‥‥」
「な?‥‥‥‥‥いつのまに背後に?!」
無防備になった敵を、少女にその鋭い一撃を振り下ろせば全てが終わる。次に進める。
「火雷風‥‥‥‥」
「防御が間に合わな‥‥‥‥」
終わらせよう。この闘いを‥‥‥‥そう思いながら、ふと〖八部衆〗の一人〖天〗との会話が脳裏に甦る。
(今の貴方に我々が本当に力を貸すに相応しいか見せて下さい。さしては目の前で〖緋龍〗様と闘っている。少女をどんな形でも良いです。倒した下さい)
(どんな形だと?それはどういう事だ?八部衆の‥‥‥‥)
(それは貴方のやり方次第です。消すも、殺るも、燃やすも、貴方次第。我々はその全ての結末を見てから判断します‥‥‥‥今の貴方に我々が仕える価値が有るのかを‥‥‥)
(俺。次第の結末‥‥‥)
「‥‥‥‥三束の一刀・三千世界〗」
「‥‥‥‥いや‥‥‥まだ死にたくないっ!」
俺は‥‥‥‥オルビステラの隣に‥‥‥‥目の前居た黒い蛇の様な物に向かって渾身の〖神気〗の一撃を振り下ろした。
「グギッ?‥‥‥‥ギャ、ギャアアアアアイイイイアアアアアアアアアア!!!!!!!!!」
「‥‥‥‥‥え?」
化物の凄まじい断末魔が‥‥‥‥‥〖オルビステラの世界〗に響き渡った‥‥‥‥‥。
「そうか‥‥‥‥‥先ずは‥‥‥先に‥‥‥‥俺は君に‥‥‥」
「‥‥‥‥へ?‥‥え?何で私の髪と鞭を‥‥‥攻撃して?‥‥‥それに何で髪と蛇から叫び声が?」
突然の出来事で困惑するオルビステラ。
「俺は君に謝らなければいけなかったんだ‥‥‥‥‥そして、君とちゃんと向き合い、話し合うべきだった‥‥‥‥」
「‥‥‥は?敵の私に謝る?‥‥‥向き合って‥‥‥‥話し合う?‥‥‥‥〖担い手〗さん。貴方は何を言ってるの?」
オルビステラは疑いの目で俺を見ている。それはその筈だ。俺は彼女の掛け替えの無い親友の命を奪っているのだから。
「虫の良い話とは思うが、伝えるよ。君の親友を‥‥‥フレイ・セイズ・イグニッションの‥‥‥‥」
「‥‥‥何?貴方はいきなり‥‥‥‥何を言っているの?」
「‥‥‥命を奪ってしまって本当に申し訳ない」
「‥‥‥は?今更何を言って‥‥‥」
「俺は彼女と闘う前に‥‥‥ちゃんと彼女と会話をするべきだったんだ‥‥‥ちゃんと向き合い、彼女の事を知るべきだった。兄、スヴァローグの様に生かしてやれる道筋もあったかもしれなかった」
「‥‥‥‥‥貴方が今更そんな事を言っても私の親友は‥‥‥‥フレイは戻って来ないの。そして、私は貴方と敵対している〖神々の黄昏〗‥‥‥‥敵同士なのよ」
「‥‥‥‥だが君とは闘いの中でも対話ができていた。これまで何人もの〖神々の黄昏〗の中で対話が可能だった人達とは、敵対し、闘いの中でも対話をしていたんだ‥‥‥それが最近の俺は‥‥‥ただ敵である君達を倒す事ばかり考えていた」
「そんなもの敵同士なら当たり前の事でしょう?‥‥‥‥だから、スヴァローグもフレイも私も貴方と闘い殺しあっている。生死がかかった自然な事‥‥‥‥‥負ければ死ぬ当たり前の事でしょう?」
「だがスヴァローグは生き残った‥‥‥‥アイツは昔の仲間で‥‥‥アイツと共に生活をして、性格も理解したいた、そして、相棒だったんだ‥‥‥‥‥」
「だから、フレイとは違って生かしたの?‥‥‥‥貴方の親友のスヴァローグを殺したくないか‥‥‥」
「あぁ‥‥‥‥」
「そう‥‥‥‥貴方とスヴァローグは親友だったの‥‥‥‥そう‥‥‥‥」
「あぁ‥‥‥」
「それで‥‥‥偽りとはいえ‥‥‥‥妹だったフレイは‥‥‥‥‥私の親友の‥‥‥‥‥命は奪ったのね‥‥‥‥」
「あぁ‥‥‥‥そうしなかったら、今頃、フレイヤ地方の数百万もの人達が死んでいた事になったから‥‥‥‥だ‥‥‥‥」
「そう‥‥‥‥あの娘はそんな事を使用としていたの‥‥‥‥そう‥‥‥‥あの娘、私には一言もそんな事を言わなかったわ‥‥‥‥‥親友の私に一言もね‥‥‥‥」
「そうなのか‥‥‥‥」
「えぇ、今、思えばあの娘は私に何時も‥‥‥何か隠していたのよ‥‥‥‥えーと‥‥‥」
「刹那だ。オルビステラ‥‥‥‥」
「そう、貴方、刹那って名前なのね‥‥‥良いお名前だわ‥‥‥‥良いわ。貴方は私にちゃんと誠意を持って謝ってくれた‥‥‥私はそれに報いなければね。少し話しましょうか‥‥‥‥フレイや私の事について‥‥‥」
オルビステラはそう告げると自身の過去について少しだけ話し始めた。