『セルビア』後編・開幕 ①『ペレアスの湖』の巨大湖~②閉門と二人
①『ペレアスの湖』の巨大湖
『セルビア』国・中央地域『ビヴリンディ』湖の都市『ペレアスの湖』
「‥‥‥デッカイ湖‥‥‥」
「凄いでしょう?『セルビア』の中央地域は、この湖都市『ペレアスの湖』と首都『オーディン』の二大都市で毎日賑わってるんだよ!サーシャちゃん」
「‥‥‥す、凄い‥‥」
アルディス王子とサーシャが湖を見ながら。そんな会話をしている。
最近はヒスイとセシリアが良い感じに進展しているので、アルディス王子はセシリアからサーシャに乗り換えるつもりなのだろうか?
「この、湖の下に『妖精国』へと繋がる水門があるんですか?メリュジーヌ卿?」
「うん!その通りだよ。エスフィール先輩!湖都市の中央にある。地下空洞を通って地下水脈の近くにある水門に降りるんだ」
「どうやって、地下まで降りてくのじゃ?」
「うん!魔道エレベーターってやつを使うんだ」
「魔道エレベーター?ん?エレベーター?ん?」
エスフィールが俺の顔を凝視してくる。
「ちなみにその、魔道エレベーターの製作者は誰なのじゃ?」
「んーー!確かに、魔道具鍛冶師・カンナ・イズルギって人とナルカミって人の共同開発だって、製作記念碑には書いてあるね」
「ほーん!セツナ!ほーん!エレベーター?聞いたことあるか?」
エスフィールが凝視してくる。
「‥‥‥‥いや、全く。知らん単語だ!無知で悪いな!ハハハ」
「後でゆっくり話合おうのう!セツナ!カンナ・イズルギについてものう!」
「‥‥‥‥勘違いしているぞ。エスフィール!カンナは男だ!」
「そうか!安心した。では行こう」
「なんだか、夫婦漫才も板についてきたのにゃあ~!」
「だな!!」
ヒスイとセシリアが冷たい目で俺達を見ていた。
ガゴン!ガゴン!
「おぉ、本当に自動で下まで行けてるよ。凄いね。魔道エレベーター」
「そうですねえ。アルディス王子」
俺は、無機質な声で返した。
「何か、テンション低いよ。セツナ君?何かあった?」
「いや、この乗り物に良い思いでなくてですね。毎回の様に右頬をビンタされてた思い出が思い出されましてね」
「?なんだか、分からないけど。苦労したんだね」
「‥‥‥えぇ、1週間は監禁されてましたね。それよりも、アルディス王子。1つ質問があるんですが」
「ん?何かな?セツナ君。」
「首都『オーディン』と北、西、南の守りは固めましたけど。要塞都市『ノーム』の守りは大丈夫何ですか?」
「うん!心配ないよ!彼処には、夜型の『ライハ』殿が駐屯してくれているし。君のせいで‥‥‥解放した15000人の囚人の人達がまだ居てくれてるからね。なんか、『ノーム』が気に入ったらしくてね。後、1ヶ月位は滞在して『ノーム』の守備を無償でしてくれるんだって」
アルディス王子の最後の方のセリフが少し、気になったが。スルーすることにした。
最近では、アルディス王子が俺を見る目がゴミを見るような目になってきている様な気がした。
「そ、そうですか、それは、良かったです」
ガゴン!ガゴン!ガゴン!
自動エレベーターはどんどん下に降下して行き、終点である。『妖精国』に繋がる。水門までやって来た。
「うおー!デッカイ水門だな!!おい!」
ヒスイがそんな感想を告げる。
確かにとても大きい水門である。すぐ隣には、地下湖が広がり。水色の色をした、全長30mはある大きな門が設置されていた。
「あの、大きな地下湖に水魔法で水域を調整して、門の開閉をコントロールしてるんだよ。凄いでしょう?ご主人様」
「水魔法でですか?メリュジーヌ卿。‥‥‥それは、興味深いですね。ここの資料とかあったりします?」
「資料?『妖精国』のお城に行けば。あると思うけど。ここには、置いて無いかな」
「そうなんですか‥‥‥ちょっと残念です」
水魔法で水域をコントロールしてるとは、なかなか興味深い運用方法をしているので、とても興味が引かれた。
「メリュジーヌ卿!お久しぶりです!いきなり、行方不明になったと聞いたときは驚きましたぞ」
中年のドワーフみたいな。妖精が水門近くにあった小屋から慌てて出てきた。
「あぁ、アース!久しぶり!ちょっと、この数日、地上の厄災の対処に追われていてね」
「地上の厄災?あぁ、数日前のオーディン様の帰還の話ですな。このアースももう一度お会いしたかったですな!オーディン様はお元気でしたかな?」
「うん!凄い元気だったよ。此方もまさか、会えるなんて思ってなかったから。びっくりしちゃって」
暫くの間、メリュジーヌ卿とアースさんの会話が続いた。
「では、今、水門を解錠しますので。少しばかりお待ち下さい。皆様」
アースさんは、そう言うと小屋の方へと戻って行く。
「あの?メリュジーヌ卿。あの、アース殿とは?」
「アースかい?アースは地下水門の管理を任されてる。上位妖精さ。あれでも、神代時代はおじいちゃん、『オーディン』様の秘書だったんだ」
「へーそうなんですか」
エスフィールとメリュジーヌ卿が、そんな会話をしていると。
ガゴン、ジャーーーア!!!
水門の溜池に地下湖の水が注がれていく。すると、その水圧で水門の門が開いていく。
「おお!凄い!本当に開き始めた」
俺が感動しながら、解錠を見ていると。
「じゃあ、皆、行こう!地上に残る皆も!各都市の守りを宜しくね!」
アルディス王子がイケメン主人公の様な台詞を言った。
いや、実際にイケメンなので絵になる事、絵になる事。
水門の門が解錠していく。
『妖精国』へ行く。俺、エスフィール、アルディス王子、メリュジーヌ卿、サーシャが前に出る。
「じゃあ、行ってくる!」「留守番宜しくね」
「頑張ってニャアーー!!」「気をつけて行ってこいよ!」
皆が口々に別れの挨拶を始めた。
ガゴン!!
水門が完全に開ききる。
「よし!行こう!皆!」
アルディス王子が先頭を切る。
「いや、いや、セルビアの美の象徴。アルディス殿!そんな、者達を我らの『妖精国』に入れられては困りますな~!いや~困りますとも!特に困るのは、その双璧の魔女殿は特にいけない!」
「だ、誰かな?」
「モ、モードレッド?!何で君がここに?」
驚愕するメリュジーヌ卿
きらびやかな鎧を着た。黒髪の男が立っていた。
「いやはや、現在、行方不明中の勇者殿と同じ強さを持つ双璧の魔女を連れてくるとは、反省も、反省ですな‥‥‥‥確か、定員は五名でしたかな?」
「だ、だから、僕の質問に‥‥‥」
「ふむ、その男の子は良いでしょう。ろくな武器も無し!合格。そのとなりのメイド殿は、ふむ、ふむ、合格!合格!問題無し。メリュジーヌ卿は我らでは、動かせませんので合格。アルディス殿も、うん!うん!よろしい!合格」
きらびやか鎧はなにやら採点を始めた。
「そこのネコ殿も‥‥‥うん!合格!黒鎧は?‥‥‥‥ふむ、魔王領の先代魔王カシアの懐刀とは、えらい方をお連れしましたな。勿論、不合格。そして、そこの夫婦は、こちらも何とも、あの箱をお持ちで‥‥‥不合格。そして、最後の最高戦力の双璧の魔女殿は勿論、不合格
」
「だから、モードレッド!!アルディスと此方の質問に‥‥‥‥」
「では、男の子、メイド様、ネコ殿、王子様、メリュジーヌ卿、今回の『妖精国』での旅を是非とも堪能下さいませ!ようこそ、我らが楽園!『妖精国』へ」
モードレッドと呼ばれた男がそう言い終えると。俺、エスフィール、セシリア、アルディス王子、メリュジーヌ卿のしたから魔法陣がいきなり表れた。
「な?転移魔法陣?」
「『妖精国』限定ですがね。そんな、ポンポンと神話魔法を使える訳ありませんからね。‥‥‥‥では、新規五名様。ご入国です」
「エ、エスフィール!!!」「セ、セツナ!!!」
「な、何でわっちがあぁ!!」「アインズさん!!!」
「くっ、アルディス!!此方の手を」「メ、メリュジーヌ卿!!!」
「では、私はこれで去らばです」シュン
モードレッドはその場で消え、俺達、五人は『妖精国』に強制的に転移させられた。
②閉門と二人
『セルビア』地下水門前
「おい!おい!5人共いなくなってしまった!どうする?サーシャ、イゾルテ!」
「え、ええ!そうね!トリス!‥‥‥どうしましょう?サーシャ」
「くっそ!!‥‥‥アインズさん!!!」
ヒスイは地面に手を強く叩きつけた。
「‥‥‥黒騎士ヒスイ‥‥‥とりあえず‥‥」
「あぁ、そうだな!すまねえ、サーシャさんよう!あれは勿論‥‥‥」
「‥‥‥できる‥‥‥」
「じゃあ、行くぜ!!闇よ!厄災キタレリ。」
「災厄が門を通り過ぎる」
「我、それ、許さず、この国もそれをユルサヌ」
「我の願いは難しく」
「険しき道なり。ゆえに」
「我を助けたも、闇魔法」
「神代・回帰‥‥‥」
「「解錠門・闇夜石膏結界」」
水門全体に黒色の結界が二重に折り重なった。
「‥‥‥サーシャさんよう!これでどのくらい。持つと思うよ?」
「‥‥黒騎士と私の魔法力なら‥‥‥最低でも1ヶ月は持つ‥‥‥」
「そうか、それだけあれば、カミナリのやろうが何とかするか?」
「‥‥‥五分五分‥‥‥私が抜けたから‥‥‥」
「そうか、くそ!まだ、アインズさんは発展途上だ!そこを突かれた!!」
「‥‥‥後は、これを水門に貼る‥‥」
「ん?カミナリ特製の魔道札か」
「‥‥兄弟子から渡されてた‥‥いざって時は、これで水門を」
「一時的に封印しろって事か?」
「‥‥‥うん!‥‥‥」
「なるほどなぁ!カミナリの野郎!最初から門を潜った後は、水門を閉めるつもりだったのか」
「‥‥‥敵を逃がさない為に‥‥‥」
「了解だ!とりあえず残った俺達で各都市を守るぞ!」
「了解だよ!ヒスイ君」「私もオーケーよ!」
「‥‥うん!‥‥」
「サーシャさんには、俺の天夜を仮の契約者にして預けとくぜ!何かあれば天夜に伝えてくれ!‥‥‥アインズさんが連れてかれちまったからな。サーシャさんはサラマンダーを守備してくれ!」
「‥‥‥了解‥‥‥」
「み、皆様!!どうしたんですか!!」
「ん?あいつは?」
「‥‥‥黒騎士!大丈夫!アースは味方‥‥」
「‥‥分かったぜ!」
ヒスイとサーシャは封印された水門を静かに見ている。
「勝てるか?あいつらで?」
「‥‥‥難しくなった‥‥‥本当に半々‥‥」
「そうだな!俺達のどっちかが行ってれば」
「‥‥‥それでもトントン位‥‥‥」
「マジか!」
「‥‥‥うん!‥‥」
「‥‥絶対勝てよ!それと気合い入れろよ!カミナリ!!」
「‥‥‥兄弟子‥‥‥頑張って‥‥‥」
転移魔法陣内
「く、くそ!!!うわあぁぁ!!!何処に飛ばされるんだ?エ、エスフィール!!!皆ーーー!」
『妖精国』月の谷
チュンチュン、チュンチュン
ピー、ピー、ピー
鳥のさえずりが聞こえる。
「くん!」
チュンチュン、チュンチュン
「セツナ君!!!」
綺麗な声が聞こえる。
「起きてよ!セツナ君!!ねえ!!」
アルディス王子の声が聞こえる。
「ん?あれ?ここは?」
「あっ!起きてくれた!良かったーー!」
安心するアルディス王子。
「ア、アルディス王子?何でここに?」
「な、何でって!君、覚えてないの?僕達は水門を潜ろうとしたら。モードレッドって人が現れて」
「それぞれ、別の場所に飛ばされたのか?」
「うん!うん!そうだよ!」
「エスフィール!エスフィールは無事ですか?アルディス王子?!」
「ユ、ユナちゃん?分かんない。けど、確か、セシリアがとっさにユナちゃんに尻尾を絡ませてたから。僕のみたいに一緒の場所に飛ばされたかもしれない」
「セシリアの尻尾?‥‥‥確かに、セシリアはアクシデントに見舞われると何かしらに自分の尻尾を巻き付けるクセがあったけど。まさか、エスフィールに巻き付くとは」
「‥‥‥確かに、でも、お馬鹿なセシリアなら」
「あり得なくもないか。それからメリュジーヌ卿は」
「あの人なら大丈夫だよ!多分。『妖精国』なんて、メリュジーヌ卿の庭みたいなモノでしょう?」
「‥‥‥確かにそうですね。よっと!」
俺は立ち上がり。身なりを整えた。
「これからどうしようか?セツナ君」
アルディス王子が不安そうな顔で俺に聞いてくる。
「まずは、近くにある。集落を探しましょう。欲しいのは『妖精国』の情報と」
「3人の居どころだね?」
「はい!いちを認識阻害と迷彩変化の魔法をかけましょう。ここは、もう敵地みたいなモノですから」
「うん!分かった!‥‥‥」
アルディス王子が俺の顔をまじまじと見てくる。
「何かありますか?アルディス王子?」
「いや、普段はあれだけふざけてるのに今は、何か別人みたいだなって‥‥‥そう、思っただけ」
「まぁ、今は緊急時ですからね。それよりも早く行きましょう。敵に位置を悟られないように」
「了解、急ごう!」
そうして、俺とアルディス王子は近くにある集落を探す為。移動することにした。
『妖精国』編。始まります。
最後まで読んで頂けるとありがたいです。




