〖異郷の者達(ハエレシス)〗
〖無闇の部屋〗
ガゴンッ!
「あら?来たみたいね。時間通りだわ」
「‥‥‥フフフフフフフフフフフ」
「まさか、奴が此処に来るとはな‥‥‥」
ガチャッ!
「フハハハハッ!!久し振りだな!!虫ケラ共っ、神の中の神っ!!〖アプス〗様が直々にこの暗き場所へと来たやったぞっ!フハハハハッ!!」
「相変わらず。五月蝿い奴だ‥‥‥」
「キャー、アプスちゃん!お久しぶりーーっ!元気にしていたかしら?」
「フフフフフフ、五月蝿い、五月蝿い」
「おぉ、フォルティナか。久し振りだな。それと『代理人』と『女王』も居るな‥‥‥‥スヴァローグ、フレイ、エクシスはどうした?何処に居る?せっかく俺様、直々に来てやったというのに」
「‥‥‥‥スヴァローグは居なくなった。そして、フレイは倒されてしまった」
「何?‥‥‥では、エクシスはどうした?」
「エクシスは〖剣技大陸〗へと航らした‥‥‥〖審判〗に‥‥‥‥ラストに任せていた探索の再開をさせにな」
「ほう。では〖太陽〗は何者かに殺され、〖吊るされ男〗は迷宮へか‥‥‥‥俺様がティアマト地方で引き込もっている間に事は進んでいたのだな」
「そうよっ!ヤられたのは、それに〖太陽〗だけじゃないわよっ!昔、カンナギの姫にヤられちゃったアルゴンちゃんから数えたら、〖ラグナログ(神々の黄昏)〗のメンバーは十人も居なくなったのよっ!」
「‥‥‥‥この短期間に何があった?詳しく教えてくれ。お前達」
「あぁ、良いだろう。アプスよ‥‥‥‥」
「フフフフフフフフフ、共有、共有、情報共有、フフフフフフ」
◇◇◇◇◇
「何?〖救国の担い手〗だと?ソイツが魔法大陸中に現れては俺様達の同士を消して回ってる?‥‥‥‥何とも信じがたい話だな。そんな強い奴がこの数世紀の間に現れらとはな」
「海底でずっと暮らしてるから情報に疎くなるのよ。アプスちゃん‥‥‥それより問題はその〖救国の担い手〗ちゃんの足取りが途絶えちゃったって事なのよ」
「途絶え?‥‥‥ソイツは最後、何処の地方にいたんだ?それさえ分かれば、居場所の特定など直ぐにできるだろう?」
「五日前のガリア帝国とフレイヤ連合軍との戦いがあった〖ブルーレヴィア〗南部だ‥‥‥それが最後。その後はイグニッション王家復活と共に本来の力を取り戻した―女神―フレイヤの力により、フレイヤ地方には此方からの干渉が一切できなくなった。それにフレイヤ地方に漂ったいた莫大な魔力残滓も白鯨が現れた途端に消えてしまったのだ。」
「ほう。―女神―フレイヤがなぁ‥‥‥‥‥俺様の妻と是非とも手合わせ願いたいものだな。どちらが格上かを分からせやる‥‥‥‥(白鯨?‥‥‥まさかな)」
「アプスちゃんは相変わらずの愛妻家ねぇ。それよりも問題はその行方が分からなくなった〖救国の担い手〗ちゃんが今度は何処に現れるかって事なのよっ!」
「次に現れる場所だと?‥‥‥‥ならばアテナ地方ではないのか?その担い手とか言う奴が最後に消えたのがアテナ地方とフレイヤ地方の境目となる〖ブルーレヴィア〗ならばその確率も高ろうよ。レヴィアタン渓谷の北側は最早、運河と成り果ててティアマト地方に侵入する事は不可能だ。それにフレイヤ地方からの入口でわざわざ〖青深海〗から侵入する奴なんか聴いた事が無いしな‥‥‥‥いや、いたな数年前、無傷で〖アトラス〗へ入国した者が一人」
「まぁ、普通はそんな考えになるわよね‥‥‥‥でも、今までの〖救国の担い手〗ちゃんが現れた場所が不自然過ぎるのよね‥‥最初がユグドラシル地方、次がアテナ地方でね。少し居なくなったと思ったら、ヘファイストス地方にヘスティア地方よ。その数日後にはフレイヤ地方なのよっ!もうっ!次元の狭間であった子とは姿形が全然違ってたし、どうなったるのかしらね?この〖救国の担い手〗って子はっ!」
「‥‥‥‥‥転移魔法を使えるとすれば、現れる場所が特定できなくなるな‥‥‥‥転移の〖権能〗は確か、―女神―アテナの物だったな」
「ほおぅ、転移魔法となぁ?‥‥‥ではその〖担い手〗と言う者は―女神―アテナの眷属ではないのか?‥‥‥‥そして、最後に消えたのがアテナ地方の近く‥‥‥‥答えは出たな」
「いや、そんな簡単に導き出すものではない。もし、お前が治める〖ティアマト地方〗だったらどうする?」
「それならば、それで迎え撃つまでよなぁ。我が妻と、この神の中の神っ!アプス様がな!フハハハハッ!!」
「フフフフフフフフフフフフ!!!」
「女王ちゃんも反応しないのっ!〖代理人〗ちゃん。こうなったアプスちゃんは誰の話も聞かないわよっ!しょうがないわね。私がアテナ地方に行って始末してくるわよ‥‥‥‥丁度次元の狭間にも用事があるしね」
「そうか‥‥‥‥ならば〖救国の担い手〗の捜査と抹殺はフォルティナに一任する。〖女王〗は引き続き〖異界〗で準備を続けろ‥‥‥‥そして、アプスよ。オルビステラは何処に居る?何故、一緒に来なかった?」
「ん?娘の事か?フハハハハッ!!あやつなら、少し前に用事があると言って俺様の配下二名を連れ、〖青深海〗からフレイヤ地方方面へと向かって行ったわ。何でも復讐するらしいぞ。全く、義理の娘だからか何を考えているか全然分からんわ!フハハハハッ!!」
「ちゃっと‥‥‥‥これって不味いんじゃない?〖代理人〗ちゃん。もし、行方が分からなくなった〖救国の担い手〗ちゃんがティアマト地方に入ってたりしたら‥‥‥」
「今度は〖世界〗までも失う事になると?」
「えぇ、そうよ」
「‥‥‥だが、ティアマト地方はアプスの世界‥‥‥今の私では干渉はできない。アプスが許可を下ろせばできるが‥‥‥‥」
「フハハハハッ!!許可など絶体に出すかっ!俺様があの海の全てのルールだっ!フハハハハッ!!フハハハハッ!!」
「フフフフフフフフフ!!!」
「そう言うと思ったわよ。独裁者さん‥‥‥‥じゃ、私は〖女王〗ちゃんとアテナ地方に行くわね」
「フフフフフフフフフ!!!楽しい会話だった」
「俺様はティアマト地方へと帰る。何も起きないだろうがな。フハハハハッ!!」
「そうか、だが慢心だけはするな。相手は神や神獣おも手懐ける術を持った〖神ノ使徒〗と思われる敵だ。皆、油断なきように‥‥‥‥最後に復唱し、あのお方に捧げろ」
「「「「我等は我等の主人の為に!我等は我等の世界の為に!そして彼らに終末を!全ては我等、『神々の黄昏ラグナログ』の為にっ!そして、我等の派閥〖異郷の者達〗の願いの為に!!!!」」」」
キイイィィ!!!
ガゴンッ!
◆◆◆◆◆
〖ティアマト地方〗アトラス深海地帯
「「ギギギ!!!〖世界〗様!!近い!!近い!!」」
「‥‥‥‥もう少し潜った先ですな」
「うん‥‥‥‥分かってるよ。ウリディンム、フルール‥‥‥気配は見つけた。フレイの仇、絶体に復讐してあげる。〖救国の担い手〗」
〖ラグナログ(神々の黄昏)〗No.21〖オルビステラ・ラハム〗顕る。
復讐は次の戦いを生む。
次回からティアマト地方編です。宜しくお願い致します!!