終炎決戦・〖沈みし時、太陽は落日する〗No.9 五色火と豊穣の火
『レッドローズ』
〖首都・ロゼ〗薔薇公園
「レッドローズに無事に着きましたが‥‥‥‥何ですか?あの火の巨人と燃える少女は‥‥‥」
「‥‥‥‥フノス国にある〖ヴァナディースの書庫〗にあった神話の文献に載ってたわね。火神の森の〖炎の化身・スルト〗に‥‥‥‥神代時代に神座に上がったと言われる〖豊穣神フレイ〗様かしら?」
「炎の化身に豊穣神ですか?何故、そんな存在がこんな首都に現れるんですか?」
「分からないわ。でもプロミスホースに乗って、わざわざレッドガーデンから急いで飛んで来て良かったかもしれないわね‥‥‥‥シエル様の捜索と〖赤の館〗の占領を急ぎましょうか。皆、宜しく頼むわね」
「「「「「ハッ!!!!!」」」」」
「ダリウス。私達はレッドローズ城に向かいましょう。城に居る人達を守らないとね」
「は、はい‥‥‥ですが私はナルカミさんを守らないと‥‥」
「彼なら大丈夫よ。さぁ、レッドローズ城に向かうわよ」
「‥‥‥‥彼?」
◇◇◇◇◇
〖首都・ロゼ〗・空中
「ギャハハハハハハハ!!!良いぞっ!良いぞっ!豊穣の神様よおぉ!!俺様をもっと楽しませろや!そうすれば俺様も全力で答えてやる!!神明魔法・〖青色火の焼刀〗」
「私はお前を楽しませる為に此処に顕現した訳ではないっ!神明魔法・〖妖精国の熱演」
スルトが青色の炎斬を振り下ろす。それと同時にフレイは炎の妖精を召喚しスルトが放った攻撃を防いだ。
「‥‥‥‥これが神話と神代を生きた神々の戦いか。現代の種族との闘いの規模がまるで違うな」
「ホーホー、ヌシ様もそれに片足突っ込んでるよ」
「もっと本気の技を見せやがれ!!進展なんて起きねえぞ!!〖黄色火の熱風〗ギャハハハハハハハ!!!」
「この‥‥‥何の目的も無く破壊のままに動く火の化身が‥‥‥‥〖金色の毛をした猪〗」
フレイは神話の魔法陣を造り出した。その中から巨兵族程の大きさをした黄金の聖猪が現れ、スルトへと向かって行く。スルトはそれに対抗して黄色の砂塵と炎熱の熱波を〖金色の毛をした猪〗へと放つ。
「火の妖精や黄金の猪とは、良い駒を沢山持ってやがるなぁ!!流石は豊様だ!恵まれてやがるなぁ!!神明魔法・〖白色火の砲火〗」
「貴様は全てを焼き付くし、周りから奪ってばかりだから。失っていくのだろう!!神明魔法・〖伸縮自在の魔法の船〗」
白炎の大火が首都・ロゼの夜空を赤く染める。それを鎮火するかの様にフレイは大小の神話の神舟を白炎の大火にぶつける。
「闘いの場所が空の上で良かった‥‥‥‥アイツらニ神共にフレイヤ地方に縁がある火の神だからか、首都・ロゼに被害が出ない様に闘ってるみたいだな」
「ホーホー、こうなる事が分かっていたから各国の〖五色火〗とスヴァローグを封印したの?」
「〖五色火〗はそうだが、スヴァローグはたまたまだ。本来なら〖赤霧の隠し谷〗にあった遺跡の奥に隠されてた〖黒色火〗を使うつもりだったんだ」
「それがスヴァローグの方から来てくれるなんて、ヌシ様はラッキー何だね」
「‥‥‥‥ラッキーねぇ?本当にラッキーだったのか?何処までがフレイヤ様の仕組んだ事なんだか教えてもらいたいもんだよ‥‥‥‥俺もただ見ている分けにはいかないしそろそろガリア帝国と連合軍との戦争を止める準備を始めるか‥‥‥‥」
「ホーホー、準備?」
俺はそう言うと魔法の袋(黄金の宝物庫)からある青い玉を取り出した。
「ギャハハハハハハハ!!!燃えろ!燃え上がれ!!フレイの遣い共!!神明魔法・〖赤色火の残炎〗」
「貴様!!!いい加減に消えろ!!私の計画の邪魔をするなぁ!!!神明魔法・〖血にまみれた馬蹄〗」
紅の炎の刃が再びフレイへ向けられる。その攻撃に対処する為にフレイは再び神話の魔法陣を展開し、血まみれの神馬を召喚した。
「ギャハハハハハハハ!!!何だ?その今にも死にそうな馬は?ふざけてんのか?」
「悪災が良くほざく。この〖血にまみれた馬蹄〗はスキールニルとの友情の馬だ。侮辱は許さない!!」
ドガアアアアンン!!!
神同士の拮抗した闘いのぶつかり合いにより、フレイヤ地方の大地は激しく揺れ始める。
「‥‥‥‥フレイヤ地方全体が揺れているのか?凄まじい熱波と高温だ。魔力障壁とウリエルの〖神秘〗で防いで無かったら意識を失いそうだな」
(ご主人様っ!これが神々同士の闘いの規模なんです。だから、アリーナ様は現代では、神々が暴走しない様にそれぞれの大陸に〖神ノ使徒〗を選定したんです!!あの方達は一度でも闘い始めたら、周りが見えなくなって見境が無くなるんです)
「だが、フレイヤの民には手を出して無い辺り、何かしらの制限をかけてんだろう?そうじゃなかったら、闘い初め直ぐに首都・ロゼは更地になってただろうし‥‥‥‥」
(はいっ!ですがそろそろ闘いの流れが変わります!!‥‥‥‥あのお方はまだ、本気を出していないみたいですので)
「あぁ、それは俺も思っていたよ‥‥‥‥」
「こんな悪災と私の力が互角だと?己、私の自慢の神明の神秘を尽く黒き灰に変えてくれたな。悪災!!!」
「ギャハハハハハハハ!!!やっと底が見えたか!お前はその女の身体を乗っ取り。力を奪った。俺様はその逆、憎き宿敵のあのクソガキから〖魔力供給〗の恩恵を受ける‥‥‥‥その意味が分かるか?豊穣神・フレイ」
「何だ?何をいきなり真面目に語り初めている?」
「クソガキ!!北西に飛ばせば良いんだな!!」
「あぁ、頼むっ!スルト」
「ギャハハハハハハハ!!!呼び捨てに呼んで良いなんて許可してねぇぞ!!‥‥‥今回の闘いは此処までにする。先ずは北西に行って来い。神明‥‥‥‥回帰‥‥‥‥〖黒色火の黒炎者〗」
「貴様と‥‥‥‥私の力は拮抗している筈だっ!何だ?その力は?」
「ギャハハハハハハハ!!!その顔、ゾクゾクするぜぇ!!豊穣神・フレイ‥‥‥‥吹っ飛びなっ!〖スルトの燃え木〗」
黒剣の炎が豊穣神・フレイに振り下ろされる。
「貴様!!!!神明魔法・〖『スキールニルの‥‥‥」
ザシュンッ!ドガアアアンンンン!!!!
黒炎の爆発が首都・ロゼの空を覆う。そして、豊穣神・フレイは北西の彼方へと吹き飛ばされて行くのだった。
「ギャハハハハハハハ!!!えらい遠くに飛びやがったなぁ!!クソガキ!!俺の背中に乗れ!!奴を追い、馬鹿げた計画とやらを終わらせに行くぞ!!」
「あ、あぁ、分かった。行こう‥‥‥‥(何だコイツ?何でこんなにやる気になってるんだ?以前、敵対的した時はあんなに殺気だってたのに‥‥‥‥‥まぁ、良いか。今は〖太陽〗を追いかけないとな)」
スルトはそう告げると俺を背中に乗せて、その巨体な身体から想像できない跳躍をし、〖レッドローズ〗の首都を後にした。




