魔王様は考える
魔王様は考える
私のいた世界アリーナには無い食べ物だった為。空腹も相まってカレーを出されてからすぐに口に運んで虜になった。
アリーナにいた時は、魔王なのにあまり良いものは食べれなかった。
魔王といっても私の一族は魔法族といってアリーナでは長い歴史を持つ普通の人族よりも魔力が多い一族だ。
人族の一族なのだが、普通の人間よりも魔法総量が高く金色に近い髪を持つのが特徴で。昔からなぜか魔王の配下に属していたらしい。他の人族からは魔法族も魔王側に属する分類にされている。(同じ人族なのだが)
それなのに魔王側近である魔法族の私が魔王をやっている理由は。近年のアリーナでは魔族の頭の良さは他の人間やエルフ等の多種族よりも少し劣る傾向にあった。
魔族同士の争いや住む地域の管理等もおざなりになりがちであったし。先代魔王も高齢であり。先ほどの問題の事で頭を悩ませている状態であった。
そんな状況の中、異世界から勇者が召喚されパーティーを組んで魔王討伐の声明が発せられたとの一報が魔王城に届いた。先代魔王やその側近も慌てふためくばかりで魔王城は暗雲が広がっていた。
その時である。先代魔王が、突如、急死してしまい混乱は頂点に達し側近達も呆然していた。
だが、先代魔王も馬鹿ではなく後継者として魔法族で一番魔法総量も多く。可愛く。若く。美しい。私が新魔王に即位するようにとの遺言書が見つかり。あれよあれよと新魔王には私がなることになったのだった。
側近である魔族からの反発があると危惧したがなぜかそれもない。後でお母様に聞いたら古より私達、魔法族は人間であったが魔族や歴代の魔王領の発展の為に尽力していたため尊敬されているらしく反乱等考えるものはまずいないという事だった。
その後、私は魔王に就任し勇者パーティーの討伐の為。魔王城にあった珍しい魔道具や金品等を欲しがる先代魔王の側近達に与えてやっていた。
だが、異世界から召喚された勇者率いる勇者パーティーは破竹の勢いで魔族側の幹部を撃ち破り。ついには魔王城際奥の間に鎮座する私の前まで現れた。そして激闘の末。こちらの世界に勇者と共に飛ばされて今に至るのだった。
とりあえず、状況は変わった。宿敵である勇者と暮らすのは癪だけど背に腹は変えられない。
あの勇者を上手く誘導し私が以前いた世界アリーナに帰れる道を早く見つけよう。
半日近く勇者と共に過ごしてわかった事がある。
勇者セツナはとても面倒見が良いのだ。
口では罵ってきて。哀れむ目を向けてくるが。何だかんだ色々話してくれるし優しい。顔も良い。ずっと見ていられる。
おぉ~と! 頭、ぶっ飛んでたぞ私、あれは宿敵なのだ!
少し優しいくされたからといって心を開くにはまだ、早いのだ。
心を落ち着かせるために私はセツナにこの家を案内してもらう事に決め。座っていたソファーから体を起こし食事の片づけをしていたセツナに話しかけた。
「セツナよ!私は暇である」
「はっ?」
「私は今、凄く暇である」
「食器洗い手伝え! やり方は教えるから」
「嫌なのだ! 魔王だからやらぬ」
「今はもう。居候にジョブチェンジしただろう。 それにこれからはこっちの世界で暮らしていくんだからこっちの常識もちょっとずつ学んでいかないと困ることになるぞ」
「そ、それじゃ、それを私は言いたかったのだ」
「どういうこと?」
「私は、この家のいや。この世界の事を知りたいのじゃ」
「じゃあ、まずは食器洗い覚えろ。そして働け」
「それはメイドがやる仕事じゃろう」
「全国のメイドさんに謝ってこい。お前を冥土に送ってやるぞ」
「どういう意味じゃ?」
「はぁ、もういい疲れた。わかった。もうすぐに洗い終わるから。少しそこで待っててくれ」
「わかったのじゃ」
この勇者。だんだん口が悪くなってきていないか?
最初の紳士的な態度はどこに消えたのじゃ?
はっはーん。さては私との戦闘でだいぶ疲弊したらしいな。しょうがない後で肩でも揉んでやるかのう。
「おーい! 作業終わったよ! なにニヤニヤいるんだ?」
「うぉ。別にニヤニヤしとらんわ」
「あっそう」
「そんな事より、まずはこの家の中を案内してくれぬか?あちらの世界では見たことが無いものばかりで実は色々触りたいのじゃ」
「いや、色々触るなよ! 家族の物も色々あるだから。特に妹の物を勝手に触ったなんて後でバレたら何を要求されるからんしな!」
「む? なんじゃ! お主、妹がおるのか?」
「義理のな?」
「義理の?」
「うちにも色々あったんだよ。まぁ、巻き込んでこっちに連れてきちゃったし。時間がある時にでも詳しく話すよ。そんな事より。今はこの世界事を色々教える方が大事だろう?」
話をはぐらかしたぞ。この元勇者。しかし義理の妹とか超気になるワードが出てきたのにはビックリドッキリしたぞ。
「そうか。ならばよろしく頼む」
「というか、エスフィールの服とかは、今、着ている痛々しいコスプレ鎧衣裳しか無いんだったな?」
「痛々しい? コスプレ? コスプレとはなんじゃ?」
「‥‥‥気にしないでくれ!」
「何か分からぬが。ものすごく馬鹿にされたのは感じたぞ」
「とりあえず。この世界を勉強するって意味でも。一度、エスフィールの服や、君が使うものをを買いに行かないと」
「私は金なんぞないのだ」
「貧乏魔王だもんな」
「お主、本当は性格。相当悪いじゃろう?」
「勇者の俺が性格悪いわけ無いだろ。アリーナの世界では司祭から洗礼を受けた身だぞ」
「‥‥どれぐらい渡したのじゃ?」
「そうだな。俺を召喚した国。ガリア帝国の年間の国家予算の1割程を寄付した」
「ガリア帝国の国家予算の1割だと?お主どんだけ貯めこんどのだ。」
「不正は一切してないぞ。ギルドの特殊クエストの報酬や勇者の仕事の合間にパーティーメンバーに隠れて金や小麦の権利で莫大な利益を得たクリーンな金だからな。」
「勇者がなぜパーティーメンバーに隠れて商人の真似をしておるのじゃ?」
「こっちの世界のゲームでは魔王討伐後の勇者の末路はだいたいバットエンドなんだ。だから魔王討伐後のリスク回避に莫大な金が必要だったのさ」
「リスク回避?」
「エスフィールは知らないだろうが魔王討伐後。俺、意外の勇者パーティーメンバー達は恩賞や国での名誉や出世の椅子を用意されているんだ。異世界から召喚された俺は魔王無き平和な世の中ではリスクでしかないんだよ」
「なぜじゃ?」
「力がありすぎるからだよ!アリーナに飛ばされてから研さんを積めたお陰で。アリーナでも龍族や魔法族にも引けをとらない魔法総量を得ることができた。そんな奴が魔王討伐後いたら邪魔だと思う奴等なんて沢山出てくると教えてもらったんだ」
自慢話にも聞こえてイラっとしたが。最後の一言が気になってつい聞いてしまった。
「誰が教えてくれたのじゃ?」
「ガリア帝国の姫様だよ」
ふん! バチ~ン! 反射的に私はセツナの頬をビンタした。その勢いでセツナは体勢を崩して倒れた。案外、私は力が強いようだった。また、女の子の話が出たことに事に少し腹がたった。
数秒してセツナが起き上がった。
「何をするゴリラ魔王」
「ふん! 自分の心に聴いてみよ」
「?‥‥‥‥良く分からんが不愉快にさせたのならごめん。悪かった」
本当は殴った私が一報的に悪いのに直ぐに謝ってきてくれる。なぜアリーナの世界でセツナが慈愛の勇者や素直な担い手等とあだ名がつけられていたのか分かった気がした。噂で聞いていたがセツナの優しさに気づいた者達が広めた事なんだとか。
「いや、セツナは悪く無いのじゃ。感情的になって手を挙げた私が悪かったのじ!ゃ。すまぬ」
「では、これでこの話は終わりということでそろそろ出掛けよう」
「ちょっと待て。叩いてしまったのは申し訳なかったがガリア帝国の姫の事を詳しく話すのじゃ」
上手く話をはぐらかそうとしたセツナからその後。一時間程、姫との関係を聞き出した。
いわく、セツナは召喚魔法でアリーナに呼ばれた後。ガリア帝国の城で修行する事になり。そこでガリア帝国の姫様ことアリス姫と会い徐々にだが。仲良くなっていったという。
ガリア帝国の事や王族と貴族の力関係魔王討伐後の勇者の処遇等が話し合われていること等を教えてもらったらしく。
その後は、先ほど話してくれた勇者パーティーの特殊クエストの莫大な報酬金や金と小麦等の売買による多額な利益を教会等に寄付し。紛争地帯への救済。孤児院等への支援に使っていたらしい。
ちなみに勇者パーティーメンバーには何も話さなかったとの事。
なぜかというと、将来安泰のアイツらに話したら。絶対にガリア帝国の貴族にまで話が漏れるだろうとの事。
だが、寄付や支援をしていてもなお。莫大な金銀財宝等が、セツナが持っている魔法の袋の中にザクザクあるらしい。
「話も終ったし、そろそろ本当に出掛けよう」
「うむ!」
とっ頷き返すとセツナの目線が私の今の服装を見ていた。
「鎧にマントとか。これじゃあ、外には行けないな。ちょっと待っててくれ」
「?」
そう言うとセツナは自室の方へと向かって行った。
数分後、手に少し大きめの箱を持ってきて私に手渡した。
「妹にプレゼントしようとして昔、買っていたのをさっき思い出したんだ!これなら外にも出歩けるから着てみてくれ!」
なぜか目がとても輝いていた。
「う、うむ。分かったのじゃ」
……メイド服だった!アリーナでも魔王城にいた給人役のメイドが着ていたのを覚えている。しかも今、手渡したされたメイド服は下のスカートが結構短い。
もう一度頬にビンタしてやろうかと思ったが良く見るとこのメイド服には、フリルのような物が装飾されていてとても可愛いらしく着てみたいと思ってしまった。
「ゴズロリフッションっていうんだ!可愛い義妹に着てもらうために買っておいたんだ!」
目がとても真剣そのものだった濁りが一点も無いのだ。
その圧に押されていたせいなのか、このメイド服に興味を引かれてしまっていたのか分からなかったが、押しきられる形で着てみることを決めた。
「ちょっと待っていてくれ、着替えてくる!」
「絶対に似合うと思うよ!」
この男、張り倒したい。
私はセツナから空いてる部屋があったら好きに使って良いと言われていたので、セツナの隣の空き部屋を私の部屋にする事に決めた。
数分後、メイド服に着替え。セツナのいるリビングに向かうのだった。
セツナ視点
俺があちらの世界に飛ばされる前の出来事である。
義妹であり溺愛している神成星奈に新しい服が欲しいとせがまれ。星奈に似合うゴスロリの服をネット通販で数着買ったのだ。
俺の両親はどちらも海外を飛び回っていてなかなか会えない為。小さい頃から一緒に過ごしていた星奈をとても可愛がっていた。
なぜ。今、家にいないのかというと現在、星奈と俺(通っていた。)が通っている学校には寮があり。星奈の希望で寮生活をしてみたいと理由から学校には寮から通っている。
アリーナに飛ばされて数年会ってない感覚だ、次に会うときが、とても楽しみである。
それからもう一つ。なぜ、星奈が義妹なのかというと現在、地球での14才の俺の1つ年が離れているからであり。
父さんととても中が良かった親友夫婦が突然、行方不明になり。親戚中をたらい回しにされていた星奈を見かねたうちの両親が星奈を引き取るという形で家族になった。
とにかく次に星奈に会うときが楽しみで仕方がない。
そして、エスフィールが着る服が無いと話すので星奈のプレゼント用に用意していたゴスロリ服を一着エスフィールにプレゼントした。
イヤらしい気持ちなど全く持ってないがあの綺麗なブロンドの金髪に整った容姿をしているエスフィールだ。絶対に似合うと思った。
そして数分後、2階から降りて来たエスフィールがゴスロリ服を身に付けておずおずと俺の前に歩いて来た。
「どうじゃ?似合うかのう?」
顔を赤らめて体を恥ずかしそうにモジモジしている。これで年上のお姉さんなら俺は間違いなく惚れていただろう。お姉さんは最強である!
「とても似合っているよ!エスフィール」
「お、おお。ありがとう」
「よしよし、これで買い物に行けるな。後、これも渡しておくから身につけといてくれ」
俺は魔法の袋からブレスレットを取り出しエスフィールに手渡した。
「なんじゃこれ?何の魔道具じゃ?」
「認識阻害の魔法をかけてあるから身に付けておけばナンパ避けになるよ。君は目立つ容姿だから。そのまま買い物なんか行ったら人だかりできるぞ」
「おー!そうなのか?というかお主。魔道具も作れるたのか?」
「旅している時は、移動意外やること無かったからな。暇潰しで作っていたら趣味になっていた。パーティーメンバーからはガラクタ呼ばわりされていたが」
「まぁ、アリーナじゃ、認識阻害の魔法等、普段使わんからな。しかし綺麗に作るのう。魔族の貴族達なら高値で買いそうじゃな」
「そうそう、王都の貴族階級には、結構高値で売れていたよ。資金調達に一役買っていたな」
「お主、金を集める為なら何でもやるんじゃな」
「消されるリスクを少しでも軽減させるためだ」
そんな会話をしながら俺も身支度を整える帽子と黒ぶち眼鏡をかけ準備ができた。俺も先ほどのブレスレットを付けた。目立つのは案外苦手である。
「なんじゃお主!そのダサい眼鏡わぁ、ぶほぉぉお(笑)!!」
エスフィールは俺の眼鏡姿が面白いかったらしく。腹を抱えて笑い始めた。後でお仕置きしてやろう。
軽くエスフィールの頭をチョップして一緒に家の玄関を出た。
うちの家の回りはいわゆる富裕層が、お住みになる高級住宅街だ。俺の両親の資産や稼ぎは相当あるらしく。そのお陰で俺はなにも不自由なく暮らしていた。
「初めてこちらの世界の外に出たが魔王城下町の貴族階級が住むレベルの家ばかりじゃな」
「まぁ、周りのご近所の皆さんは金持ちばかりだな」
「お主の家もか?セツナ」
「そう、何を隠そう俺はそれなりの良いとこのお坊ちゃんなのだ。」
「ほーん」
「まぁ、とりあえず歩くのも面倒くさいからタクシー呼んどいたからもう少ししたらタクシーが来るよ!」
「タクシー?」
しばらくしてタクシーが家の前まで着いた。2人で乗ってショッピングモールまで行くことにした。
地球に戻ってこれたからには静かに暮らして行きたいものである。エスフィールとタクシーに乗り込み。車内でふとそう思ったのだ。
「セツナ!、なんか、デッカイ建物が見えてきたのだ!」
テンションが上がって行く魔王を見て俺はそう心に誓った。
一緒に暮らすことになったアリーナ世界の魔王様こと。エスフィールと一緒にショッピングモールへ行くことになった。
現在は女性用の服屋の前でエスフィールが目を輝かせて周りを観察している。
「いやー!あっちの世界アリーナとは何もかもが違うからビックリするのう!」
エスフィールが興奮気味にそう言ってきた。
「アリーナ世界は魔法があったから。機械技術や科学の発展が余り無かったんだろうな。その代わりだいたいの事は魔法で解決できるしな。」
「魔法が使えない代わりにこちらの世界の人達は別の方法で発展したのか。色々、勉強になるのう」
この魔王。行動や性格はアホな時があるが観察眼や思考能力は相当高い事がこの数時間。彼女を、監査して見て分かった。
アリーナでも魔法族の人間は魔力も高いが知能面でもかなり優れていると王都の禁書庫で読んだ事がある。
「時間は、まだあるから色々見て回ろうか」
「うむ!」
俺の肉体は14才のままだが。数年間あちらの世界に飛ばされていたのでこちらの生活を忘れている部分がある。
こちらでの暮らしを思い出すリハビリにもなるためエスフィールにショッピングモール内の店を丁寧に説明していく。
「セツナ!この店は何と言う店じゃ?」
エスフィールが女性専用の服屋を指差した。
「あーあれ?こちらの世界の服屋だよ」
「いくぞ」
そう言うと俺の片腕を掴んで店の中に入っていく。
エスフィールは数分店の中の服を数着手に取ると店員に試着室に案内されて店の奥へと消えていった。
数分後、上は、紺色の上着に下は、ロングスカートと少し落ち着いた服装に着替えていた。
「これにするが買っていいか?」
「好きな服を買っていいよ」
そう言うとエスフィールは数着の服を選び。会計を済ませた。
「なぁ、メイド服は着直さないのか?」
「遂にメイド服と認めたか。あんな、下がスウスウするミニスカート恥ずかくて着れぬわ」
さっきまで着ていたゴスロリ服改め。メイド服を着ている事に凄い抵抗があったらしい。
凄い剣幕で睨まれた。かなり似合っていたでもう見れないのはとても残念である。
せっかく認識阻害の魔法で周りに目立たずに俺だけがエスフィールのコスプレを楽していたのでとても残念で仕方がない。
「そうか。また別の機会の時に着てみてくれ」
「着るかアホ」
腰辺りを少し強く小突かれた。かなり恥ずかしかったらしい。
そんなやり取りの後は夕食に和食を食べたり。エスフィールが家で使う日用品を買い揃えた。
それから一つ発見があった。なんとこちらの世界で作られた道具も魔法の袋に収納出来ることが分かった。
無理だろうと思って。試しに脱ぎたてのメイド服を入れて見たところ俺のメイドフェチの執念が勝ったのか上手く収納された。
こちらの世界では魔法が使えなくなったが道具に付与させた魔道具は使える為。
魔法の袋に収納されているアリーナ世界・エウロペ大陸の魔道具は便利な為。色々と使っていこうと思う。さすが伝説級の魔道や攻撃性の高い武器は一緒取り出すことは無いだろう。
アリーナで散々、死にそうな思いをしたので地球での今後の人生はその経験と手に入れた道具の数々で静かに暮らしていきたいと思う。
魔王視点より
今日は色々な事がありすぎて驚く事ばかりだ。セツナと一緒に地球に飛ばされ。
今の状況をセツナに説明されカレーを食べ。メイド服を着させられ。ショッピングモールとやらでこちらの世界での初めての買い物をした。
アリーナ世界・エウロペ大陸で魔王をしていたら絶対に出来ないことを今、出来ていることに喜びを覚えた。
勇者と共に一緒に飛ばされた時は魔法も使えなくなり不安しかかなかったが。今はそんな気持ちも消え今後のこちらの生活が楽しみになった。
セツナのメイドフェチとやらは少し不安になるがセツナからは私に手を上げる事は全く無いので。やはり私の魔王の威厳というものに畏怖しているからだろう。
すっかり日が沈み辺りが暗くなっていた。
「セツナ。今日は色々案内してくれてありがとう。アリーナでは、こんな買い物など出来なかったからとても新鮮だったぞ」
「それは良かったよ!俺も今日は良いリハビリになって楽しかったよ」
「そうか!セツナも楽しかったのなら私も良かったぞ」
ショッピングモールに着た時と同じ様に、タクシー乗り場でタクシーに乗り私達は、帰路に着いた。
都内某所にある聖豊中学校。寮内
寮内の一室で1人の女の子が必死に勉強をしていた。
私は神成星奈という。私には、目標がある。1つ上で義理の兄に勝つことだ。
兄こと神成セツナは昔からとても非凡だった私が出来なかったり、わからない事も直ぐに理解し先に進んで行く。成績も余り詳しく話してくれないが全国模試でも上位の位置をいつもキープしていると母から聞いた。
しかも性格も良く私や私の同級生が困っていたら颯爽と現れては解決してくれた。
親が違って血が繋がっていないにも関わらず私のわがままを聞いてくれたり。
何かイベントがある度にプレゼントをくれる。
以前、何処からそんなお金を持ってくるのかと聞いたら私と年が変わらないくせに親に隠れて投資や株等でかなり儲けている。
そういえば、兄は昔からお祖父様の家に行っては。お祖父様の所へ頻繁に行き2人で難しい話に花を咲かせていたのを覚えている。
両親は何も気にしていなかったが子供の面倒を見てくれて助かっていたらしい。お祖父様からもらっていた小遣いで投資を始め今では相当溜め込んでいると少し聞いた。
そんなことを思い出しながら私は勉強に励むこの兄と一緒に通っている全国でも有数の進学校である聖豊中学校での勉強は難易度が高く。
家から通うより設備の整った寮で暮らした方が勉強に集中できると思って寮生活を選んだ。
何より私よりも優秀な兄に勝つ為にも今、必死に勉強に勤しんでいる。
数時間経過して今日の分の勉強を終えた私はスマホでラインやインスタ等に連絡が来ていないか確認した。
クラスメイトから画像が送られてた。
その画像を開くとメイド服を来た金髪の可愛らしい女の子が兄と仲良さそうに写っている写真だった。