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白き騎士と赤き嬢王No.6 キャロル・ライルーマの願い


『レッドガーデン』


ガリア帝国軍・司令部から少し離れた戦場。


「各隊長は部隊の体制を整えろ!!これ以上の軍の崩壊は敗北に直結する。そして、これ以上、敵を内部に入るな!」


「貴様等、何処の軍の者だ?何故、こんな場所で何をしている?」


司令部近くに待機していたガリア帝国軍の特殊部隊が〖赤の嬢王〗率いる強襲部隊へと迫ろうとしていた。


「ロゼ様。流石に司令部近くのガリア兵は精鋭ばかりですね。守りがなんとも固い」


「‥‥‥‥ですがここを突破すれば敵本陣は目の前‥‥‥‥勝てるのです。祖の地に帰れるのですよ」


「ですが嬢王様‥‥‥‥このまま近づき過ぎれば逆に我々が全滅します」


「‥‥‥‥そうですが‥‥‥‥私はっ!」


「そんなにお困りでしたら、私が力を貸しましょう」


「は?何者だ貴様っ!」


「白き仮面?‥‥‥謎の騎士様ですか?」


「それと白き鳥の援軍めいますよ。〖赤の嬢王〗様」


「貴方、私の正体に気づいて?‥‥‥いえ、それよりも白き鳥とは?」


〖赤の嬢王〗がそれを告げたと同時に〖空の王・セクウィ〗が南方から飛来し、〖エメラルド高原〗と〖アダマス国〗からフローライトを将とした約40000もの新たな援軍が現れる。


「ピュララララララ!!!!!!!!」


「レッドローズは神代から続く同盟国。助けるのです」


「「「「「「「ウオオオオォォ!!!!!」」」」」」」


その40000ものフレイヤ連合軍と白き鳥ががガリア帝国軍・司令部を守備する15000へと突撃する。


「な、何だ?また、敵の増援なのか?あっちの方向は確か、アルケル副軍団長が守備していた〖エメラルド高原〗の方向の筈」


「殆どのフレイヤ地方の兵士が裏切ったんだよ。随分と酷い扱いをしていたらしいな?ガリア軍は」


「は?何者‥‥‥だ?」スパンッ!バタ‥‥‥。


「ラルクラ隊長!!貴様、何処から現れたぁ?」


「俺ばかりに気を取られるなよ。上からも来るぞ」


「‥‥‥‥上だと?」


「ヒュララララララ!!!!!(白天の暴風)」


「「「「「ぎゃああああ!!!!!」」」」」


レッドガーデンの戦いが始まってから、もう少しで日が暮れようとしていた。度重なる以上事態にガリア兵達は疲弊仕切っていた。


この中での新たなる敵側の援軍約40000。


これにより、ガリア帝国軍・残存兵《約20000》に対し、レッドローズ連合軍は新たな援軍を加えた兵力200000を軽く越える大軍勢となら、残ったガリア帝国軍・先遣隊を各個に撃破し、その兵力をみるみる減らしていく。


「まさか不落の〖エメラルド高原〗が落ちるとはね‥‥そして、〖レッドガーデン〗もか。私の教え子達は凄まじいね‥‥‥全く」


「はい?教え子ですか?」


「いや、此方の話ですよ。敵側の本陣に行くのでしょう?私が護衛するので向かいましょう‥‥‥この乱戦ならば上手く近付ける」


「お、お前っ!いきなり現れて我々の嬢王様に何を命令しているっ!」


「‥‥‥‥良いのです。プリシエラ‥‥‥では護衛をお願いいたします。白き仮面の方」


「嬢王様?!」


「えぇ、行きましょう。赤の嬢王様」


遂に白き騎士と赤の嬢王は出会った。後々、この二人は添い遂げる事になるのだが、その事はまだ遥か先の話である‥‥‥‥。



〖ガリア帝国軍・司令部〗


「キャロル副軍団長。〖エスフの秘薬〗です。本陣からようやく届きました」


「‥‥‥は、早く‥‥‥飲ませてくれ!ソルマ将軍」


「は、はいっ!」


ゴクッ!


「‥‥‥‥き、傷は癒える‥‥‥だけど魔力回路がズタズタか‥‥‥‥」


「キャロル副軍団長!!な、治られて良かったですぞ。流石は魔法族が作った秘薬ですな」


「あぁ、助かったよ。ソルマ将軍‥‥‥‥だがもう遅いか」


「は?遅いとは?どういう事でしょう?」


「ほ、報告致します。南方のライオット軍は壊滅。中央に送り込んだキャロル軍の精鋭部隊を率いたダルエ補佐官が戦死し、精鋭部隊も行方が分からないとの事です‥‥‥そして敵軍の援軍と見られる10万を越える大軍がこの『レッドガーデン』へと乗り込み。我がガリア帝国の残りの兵力は10000を切る勢いです」


「な?‥‥‥100000も居た筈の我が軍が残り、10000だと?」


「レッドガーデンに居た兵士の殆どを失うか‥‥‥‥ならば僕がやれる事は一つか‥‥‥ソルマ将軍。貴方は生き残った若い兵士達を連れて本国に帰還して下さい。そして、皇帝陛下には力及ばず、申し訳ありませんでしたと。このキャロルが言っていたとお伝え下さい。そして、ここに残った主力部隊で〖赤の嬢王〗が入る敵本陣に一か八かの特攻をかけます」


「キャ、キャロル副軍団長‥‥‥いや、キャロルっ!何を言い出すんだ。撤退するならお前もっ!」


「ソルマおじさん‥‥‥僕は先遣隊の司令塔として責任があるんだ。だから最後まで残らないと‥‥‥‥それに戦死していったガリア兵の人達にちゃんと報いてあげないといけないんだ」


「キャ、キャロル‥‥‥‥お前‥‥‥‥」


「居たね‥‥‥‥彼処だ!!」


「‥‥‥‥えぇ、全軍。敵本陣へと突撃しなさい」


「「「「「ハッ!!!!!」」」」」


絶命状態から復活したキャロルと、その叔父であるソルマが話している間に〖赤の嬢王〗が率いる強襲部隊が到着した。


ドガンッ!

「うわあぁ!!」


「何だ?」


「‥‥‥此方が特攻する前にあっちから来たみたいだ。ソルマ将軍。裏手から逃げて下さい。そして、本国にこの事を伝えて下さい‥‥‥‥フレイヤ地方は落とされたと。だから早く行って!ソルマおじさん」


「‥‥‥‥分かった。生き延びろよ!キャロル!!」


「‥‥‥‥‥はい」


「お話は終わりかな?‥‥‥ガリア帝国の若き猛将。キャロル・ライルーマ副軍団長君。聖痕弾から良く生き残れたね」


「‥‥‥‥そうか。あの奇怪な攻撃は君の仕業だったのか。白き仮面の騎士」


「戦場に立った私に攻撃をしてきたんだ。それくらいの反撃はするさ。私は敵に対して、戦場では容赦しないと決めているんだ」


「そんなのどうでも良い‥‥‥〖ブルーレヴィア〗の本陣の為にもお前か〖赤の嬢王〗は倒しておこう。〖ガリア剣・ライルーマ〗」


「おぉ、それが噂に聴く。ライルーマ貴族の宝剣かい?」


「時間が無いんだ‥‥‥いくぞ!!白き仮面の騎士!!!ガリア剣術〖ゼロ・セクア〗」


「それもそうだね。まさか初日で勝負が傾くとは私も意外だったよ。神現(しんげん)魔法(黄橙)〖白亜の短剣〗」


ガキンッ!!!


初手の打ち合い。両者はこの初手で相手の力量を計る。


「剣が軽いね‥‥‥さては胸部辺りに〖疑似聖槍〗が当たったかい?あれは撃ち(どころ)が悪いと魔力回路を破壊してしまうんだ。さぞかし辛いだろうね。君」


「‥‥‥‥この状況になる様に最初から仕組んでいたな?〖ワン・セクア〗!!!」


「気づけなかった君の落ち度では?神現(しんげん)魔法(黄橙)〖白亜の聖痕〗」


ドドドドドドドド!!!!


キャロルを死の淵に追い込んだ聖痕弾が数十発もの数で白亜の盾から放たれた。


「クソッ!〖ツー・セクアム〗」


「ガリア剣術は九の型があり、一から順番に放つことで威力を上げていくんだよね?‥‥‥‥最大威力になる前に潰すよ‥‥‥神現‥‥回帰‥‥‥‥〖白亜の断剣〗」


「‥‥‥‥〖異界〗の未知の力をこんな場所で使うのか‥‥‥‥容赦無しとはな‥‥‥だが、僕も後が無い。この一撃で決めてやろう。ガリア剣術・〖スーサイド・アングレア〗」


ギャラハットとキャロル‥‥‥強者通しの技のぶつかり合いでガリア帝国軍・司令部の建物は崩壊する。

そして、その瞬間を待っていた人物が一人。


「今ですよ。嬢王」


「‥‥‥‥感謝します。白き仮面の騎士様‥‥‥‥〖赤の断罪・颯〗」


「うぐぅ?‥‥‥赤の嬢王?‥‥‥何故、此処に?」


「窮地に立つと考える事は一緒ですね。先遣隊総大将軍。キャロル・ライルーマ殿。返して貰います。私達の‥‥‥‥フレイヤの土地を」


「そうですか‥‥‥‥では残された兵士達にどうか慈悲を‥‥‥お願いします」


「善処致します。キャロル・ライルーマ殿」


「その言葉‥‥‥信じます‥‥‥ありがとう‥‥‥‥」ドサッ!


「ガリア帝国側にもこの様な方が入るのですね‥‥‥‥プリシエラ。敵本陣陥落を全戦場に伝えなさい‥‥‥‥此処からは『レッドガーデン』周辺を平定し、今いる軍で『ブルーレヴィア』に入る敵本陣、四十万をどう対処するか各国と協議します」


「は、はいっ!了解しました。嬢王様‥‥‥キャロル・ライルーマの身体はどうしますか?我々が討ち取ったと敵側に見せますか?」


「‥‥‥‥いえ、丁重に扱ってあげて下さい。それが私達が彼にできる唯一の償いですから」


「了解‥‥‥‥しました。嬢王様」


「貴女は優しく、強いのですね。〖赤の嬢王〗‥‥‥‥憎き敵だった者にも情をかけられる」


「‥‥‥‥いいえ、私は弱く、脆い統治者ですよ。〖白き仮面の騎士〗様‥‥‥‥」



こうして、キャロル・ライルーマ副軍団長は〖赤の嬢王〗に倒された。その一報は全戦場にに響き渡り、残存したガリア帝国軍・先遣隊は降伏した。


そして、神代から続いていたガリア帝国による『レッドガーデン』占領もこの先遣隊の降伏と同時に終わりの時を迎え、赤の嬢王率いるレッドローズ軍は祖先の地へを解放しようと残りのガリア軍を掃討しようと動き出すのであった。



白き騎士と赤き嬢王 編




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