白き騎士と赤き嬢王No.4 赤の国の主力部隊
〖レッドローズ軍〗待機部隊
「これより、マルデル部隊は『レッドガーデン』都市〖ガーデン〗陥落へ向け、北上する。迂回路の為、敵は少ないと思うが油断無き様に!」
「はっ!マルドル族長!」
「仰せのままにっ!」
「では、私達は〖オッタル〗の剣士は首都〖レッドローズ〗防衛の方へ向かいます。マルドルさん」
「えぇ、序盤戦は終わった事だしね」
「ダリウスミルス久しぶりに会い、一緒に戦ってくれた事に感謝する‥‥‥ではな。良し!ならば出撃する!我々の祖の土地へっ!」
「「「「オオオオォォ!!」」」」
ガリア帝国軍とレッドローズ軍の戦いが始まり、もう直ぐ半日の時が経とうといていた。
そして、開戦の序盤でガリア兵士の猛攻を密かに食い止めた〖オッタル〗の剣士達は密かに東の首都レッドローズへと向かって行った。
そして、キャロル副軍団長の本陣が音信不通になるという状態に陥っているなどの事は、最前線で戦う両軍には伝えられていない。
その様なあり得ない状態の中で軍を動かした人物が一人いた。〖赤の嬢王〗である。
只でさえ、ガリア帝国軍よりも少ない自軍の兵力。10000を別動隊として動かした。
そして、自身も混戦のどさくさに紛れながら密かに、ガリア帝国先遣隊の本陣に入るキャロル・ライルーマ副軍団長の元へと向かい始めた。
一見して無謀な特攻にしか見えない無策の策に思えたが、ベヒーモスの理不尽な猛攻、騎士・ギャラハットによる短時間でのガリア帝国先遣隊の将軍達の無効化、スゥール族軍とホーン族軍による、キャロル精鋭部隊への強襲により、現在の両軍の兵力差は‥‥‥‥
ガリア帝国軍の残存兵力・《65000》
レッドローズ軍の残存兵力・《64000》
と数の上では拮抗し始めたが‥‥‥‥レッドローズ軍の残存兵力は別動隊として都市〖ガーデン〗へと向かわせたマルデル部隊《10000》は含まれていない‥‥‥‥戦争初戦が始まった経ったの半日足らずでガリア帝国軍側は35000人にも及ぶ兵力を失いつつあるのだった。
最早、それだけの犠牲者が増えつつある中で、数刻後、南方から更なる赤竜の絶望が北上してくる事をガリア帝国の兵士達はまだ知らない。
〖スゥール族軍、ホーン族軍〗サイド
「ハハハ!まさか、あの厄介だった。絶矢のダルエ・マルサを一瞬で倒すとはな。あの白い仮面の男。相当強いな。ホルン」
「うん‥‥‥それよりも何であの人、私達に味方をしてくれると思う?今までウチら〖レッドローズ〗がこの土地を取り返せなかった厄介なガリアの将校達を無力化するなんて‥‥‥‥‥」
「―女神―フレイヤ様の眷属だったりしてな!そろそろ、故郷を取り替えてしなさいってなっ!!!〖スゥール・レイル〗」
「かがぁ?!‥‥‥‥炎の鞭?!」スパンッ!!
「‥‥‥‥‥眷属って、今のフレイヤの眷属は〖剣聖〗様の筈でしょう?確か、七聖―女神―の眷属様ってその時の時代に一人しかなれないんじゃなかった?〖ホルン・サマル〗!!」
「は?‥‥‥‥何で体内から水が溢れて‥‥‥ゴボボ?!!」ドサッ!
「何で今の時代だって考えてるんだ?エルフ族、魔法族、妖精族の連中は長命何だから。遥か昔の眷属って考えも過らないか?ラインバッハって人も昔は―女神―ヘファイストス様の眷属だったんだろう?今は有名な魔道具師か何かが眷属候補らしいけどな!!吹っ飛べてめぇ等!!!〖ガルス・ウィープ〗」
「「「「ギャアアアア!!!!!」」」」
「‥‥‥‥オアシスの有名な職人さんの事?名前は確か‥‥‥‥」
「お話し中申し訳無いね」
「キャアア?!は、はいっ!何ですか?白い仮面の助っ人さん」
「うわぁ?!どっから出てきやがった?」
「おっと。驚かせてしまって済まなかったね。君達、此処は後は任せていいかな?僕はこのまま敵本地に単独で乗り込むからさ」
「は?いきなり話しかけといて何を言ってんだ?こんな、戦争の初戦で敵本地に乗り込む奴が入るか?敵はまだ数万単位で残ってるんだぞ。ここからは長期戦に持ち込んで、ガリア帝国軍の先遣隊の兵力を減らして徐々にレッドガーデン内に侵略していってだな‥‥‥‥」
「!‥‥‥‥分かった!良いですよ。白い仮面の助っ人さん」
「お、おいッ!ホルン!!何、勝手に決めてんだ。ロゼ様の指示も無いまま勝手に決めてんじゃねぇよ。俺達、部族はあの人の忠実な護り手なんだぞ」
「‥‥‥そのロゼが動いているからだよ。あの子はまだ半日しか経っていないのに決める気なんだよ‥‥‥先遣隊の本陣陥落をね。その為の布石は目の前の白い仮面の助っ人さんがもうしてくれてるみたいだしね」
「布石だと?それはどういう事だ?‥‥‥意味わかんねえぞ」
「‥‥‥今に分かるよ。シル」
◇◇◇◇◇
ガリア帝国軍先遣隊・本陣
「ゴフッ‥‥‥‥‥か、身体中に痛みが‥‥‥‥魔力回路が暴走している」
「キャロル様!!意識を保つのです‥‥‥お気を確かに!!」
「あぁ!!何故、戦場から程遠いこんな場所に攻撃が届くのだ?誰の仕業だぁ!!」
「‥‥‥‥‥ガリアには無い技術‥‥‥〖異界〗の力だろう‥‥‥ダルエが即死したと聞いたがまさかこれを喰らったのか?‥‥‥‥ゴホ‥‥‥‥」
「キャロル様!」「副軍団長殿!」
ギャラハットがダルエ補佐官に放った二つの聖痕弾のうち、一発目はダルエに躱されたと思われた弾丸。それは躱されたのではなく、数キロ離れたガリア帝国側の司令部に入るキャロル・ライルーマ副軍団長へと向けられた死弾だったのである。
その死弾は見事にキャロル・ライルーマの胸部へと狙い撃ちされ、死の縁へと追いやる結果に至った。
これによりガリア帝国軍の司令部は混乱し、戦場との情報伝達が崩壊。ガリア帝国軍の先遣隊は万単位の有象無象と化していく。
そんな中に追い討ちをかけるように現れるのは〖赤霧の隠し谷〗から北上して来た、万を越える〖赤竜〗‥‥‥‥いや、〖女神の祝福〗から解放され様としている〖炎竜人〗達であった。
「レッドローズは遥か昔からの同盟国。助けぬ通りはない。行くぞ!お前達。ガリア血を全て焼き尽くす」
イグニッション王家・元王〖スヴァール・イグニッション〗 (スヴァローグの祖父)
「「「「「┓┃/┳┓/┃┓!!!!!(殺せ!!殺せ!!!)」」」」」
「「「「全ては祖の地の為に!!!!」」」」
数万にも及ぶ新たな援軍が『レッドガーデン』の地を赤く染め上げる事になっていくのである。