翠玉の高原は輝き光 No.3 〖地人〗は高ぶる
〖クリソプレーズ城〗に待機していたガリア帝国兵士の総数は四万人にも及ぶ、それに対してアダマス王率いるアダマス軍はアダマス王直属の〖鋼玉〗軍8000人。臨時で雇い入れた傭兵5000人。そして、国境近くに待機していたアリババ国とフノス国の国境兵2000人の合計15000人からなる急遽作られた即席軍であった。
これを把握したアダマス王は今回のフレイヤ三列大戦では、クリソプレーズ城い滞在するガリア帝国が〖レッドガーデン〗へと援軍に向かったと同時にクリソプレーズ城を落とし。今回の高次元降臨の災厄を乗り気ってから、徐々にエメラルド高原へと進行し、土地を奪還していく計画であったのだ。
だが、そこに計画に無い援軍が二つも現れた。
一つ目は南方・禁則地〖赤霧の隠し谷〗から万を越える赤竜の大群が現れた事。
二つ目は〖陸の王・ベヒーモス〗と並び立つ力を持つ〖空の王・セクウィ〗の参戦であった。
この二つの計画に無い援軍により、クリソプレーズ城の城壁は破壊され、ガリア兵士達は彼方此方で引き裂かれ、ガリア帝国軍の情報網は最早、意味を成さないまで状態に追い込まれていた。
「‥‥‥‥‥しかし、あの小僧。やはり本物だな。これ程の力がありながら、何故、魔法大陸を支配したいと思わないんだ?」
「‥‥‥‥‥兄弟子は支配とか興味無い。興味あるのは、珍しい魔道具と宝石と可愛い女の子。名誉も土地も入らないって昔、言ってた」
「名誉も土地入らないだと?それは男としてどうなんだ?戦争の戦局をも変えられる力を持っているならば、それをその土地に住む者達の為に守る為にふるうべきではないか?」
「‥‥‥‥兄弟子はそういう他人の為には滅多に動かない。それで力も見せびらかさない。私達の旅の時も使っていたのは聖魔法と聖剣だけ。あんな雷魔法とか召喚魔法が使えるなんて知らなかった」
「何だと?味方にも自分の本来の力を見せなかっただと?‥‥‥‥何とも深慮深い小僧なのだな‥‥‥それにあの小僧は珍しい魔道具に興味があると言ったな?‥‥‥もしや、あの小僧‥‥‥人の居場所を探せる魔道具か魔法を使えたりするのか?」
「‥‥‥‥人の居場所を探せる魔道具?‥‥‥‥んーー‥‥‥‥そういえば、兄弟子。昔、師匠の部屋から〖目印の指針〗って魔道具をパクってたから‥‥‥‥それなら探せるかも」
「〖目印の指針〗だと?‥‥‥‥やはり、あの小僧。俺が思った通り人探しの魔道具を所有していたか!ハハハ!これは良い!それがあれば俺の大事な息子も探す事ができる。良い事を教えてくれて感謝するぞ!サーシャ殿」
「‥‥‥‥‥王様には昔、お世話になったから、お互い様」
「ハハハ!そうか!そうか!相変わらず。律儀だなりサーシャ殿」
「(何?この二人。昔、何かあったの?‥‥‥だからこんなに仲良さそうに会話をしているのね)‥‥‥‥それよりも‥‥‥アダマス王。さっき落ちて行ったガリア帝国の将はどうするんですか?あのままだと赤竜の群れに食い殺されますよ‥‥‥」
「ん?あぁ、そうだったな。アイツは俺が倒しに行こう!サーシャ殿とモルジア王女は城内に残っているガリアの将校を鎮圧したいてくれ‥‥‥‥積年の怨みを晴らせる気持ちと息子を探し出せる希望で今の俺はやる気に満ちているからな!!ハハハ!!!では、行ってくる!!」
アダマス王はそう告げるとセクウィの背中から飛び降りたのだった。
「あっ!豪快に飛び下りたけど大丈夫なの?あの人」
「‥‥‥‥大丈夫。アダマス王は‥‥‥‥現代魔法‥‥‥地魔法の最強の使い手だから‥‥‥‥」
「地魔法の‥‥‥‥最強の使い手?」
〖クリソプレーズ城・武器庫〗
「┃┳━┃┗┛!!!(お前達を追い出せば我々は元に戻る!!)」
「┃━┛┳/┃┳!!!(全てはガリアがこの地を押せんしたのが原因なのだ!)」
「━┛┗/┓┳┣┳┗┳┣┗┓┣┛┳┗┣┛!!!(だから、ガリア人は殺す!!この地から消さななければならない。イグニッション王家の仇の為に!!!)」
「な、何を叫んでいる?意味が分からん。知性無き野生の竜共がぁ!スパイング山脈の竜共の方がまだ品があるぞ?‥‥‥‥‥それに何だ?あの白く大きな鳥は?何故、あの鳥は我がガリア兵士を切り刻んでいる?‥‥‥‥最早、メチャクチャだ。これでは〖レッドガーデン〗に援軍に行き、武功を上げる事もできん」
アルケルが赤竜に囲まれ独り言を呟いているいると。一人の巨体の男が空から降りて来た。
「‥‥‥‥‥何だ。ガリアの知将と呼ばれる〖アルケル副軍団長〗がこんな所でぶつくさと何を語っているんだ?」
「あ?‥‥‥誰だお前、私は今、この状況を打開する為に〖思案〗しているんだ。俺が考え事をするのを邪魔するな!!貴様!!」
「‥‥‥‥誰にものを言っている?俺は王だぞ!貴様!!‥‥‥‥その無礼な態度。俺、自らが制裁を加えてやろう。〖地人〗の力、特と味わえよ。ガリアの将軍」