正気の王と黄金鉄鉱
〖ダイヤスミス城上空〗(降下中)
「ウィー!終わったー!」
「ヒュルアアアアアアア!!‥‥‥ヒュル‥‥‥ホーホー‥‥‥(勝ったー!)」
ルアが勝利の舞を踊り、セクウィが大きな天鳥から梟のへと姿へと変化していく。
「‥‥‥‥死闘だったもんな」
「‥‥‥‥下がスゥースゥーします‥‥‥‥そして、何が死闘だったんですか?いい加減、私のパ‥‥‥‥」
可憐ちゃんが何か言いかけた瞬間、またもや強い風が吹き可憐ちゃんのスカートがマリリ◯・モンローみたいな状態になった。
バサバサバサバサ!バーンッ!
「キャアアアアア!!!!」
「オォ!!着けて無い‥‥‥‥ツルツル‥‥‥‥」
ルアが何かをマジマジと観察している。いや見すぎだろう。確かにツルツルだったが‥‥‥‥‥
「危ないぞ!まだ空の上なんだぞ!」
俺はそう言うと可憐ちゃんの右手を掴んで抱き寄せた。
「だったら!手に握ってるそれを返して下さい!!ていうか、さっきから何処見てるんですか!!神成 刹那っ!」
「‥‥‥‥‥可憐ちゃんの可愛い部分を見ていたんだよ‥‥‥」
「つぅぅっ!こ、この変態!!しゅ、趣味が合うからって許しません!」
「そうだな。夜のコスプレ祭りは楽しみだな‥‥‥‥メイド服と下着のマリアージュを堪能しような!可憐ちゃん」
「堪能?‥‥‥そうですね。それは楽しみです!‥‥‥じゃなくてっ!左手に握ってるそれを私に返しなさい!!!」
バチーンッ!
そんなやり取りをしながら、俺達は〖ダイヤスミス城〗へと降りて行ったのだった。
◇◇◇◇◇
〖水銀の通路〗
「何?俺の国がフノスの国に戦争を仕掛けるだと?」
「は、はい‥‥‥‥そうなる様にその手に引き摺ってる養子の王子が先導してたんです。アダマス王」
「‥‥‥‥おいっ!お前、俺が昏睡状態の間にそんな事を企んでいたのか」
「‥‥‥‥ぼ、僕の自慢の顔が‥‥‥‥ブサイクに‥‥‥‥全身が痛い‥‥‥」
「そんなどうでもいい事は聞いていない。俺の質問にちゃんと答えろ!ストール家のクソガキ!!鋼鐵魔法〖宝拳〗」
ドガァ!バキッ!ドガァ!バキッ!
「ホギャアアアアア!!!!!」
「‥‥‥‥‥アダマス王ってこんなに容赦が無い人だったのね。小さい頃に挨拶しただけだったから、知らなかった‥‥‥‥‥」
「や、止めろ‥‥‥これ以上は‥‥‥本当に死ぬ‥‥‥‥」
「軟弱者が‥‥‥こんな奴に遅れを取るとは、俺も歳を取ったものだ‥‥‥‥‥それよりも今は情報を集めなくてはな。集え!!我が忠実な〖黄金鉄鉱」
アダマス王の声がアダマス国中に響き渡る。すると何処からともなく八人の人影が現れた。
ストンッ!
「我等が王よ‥‥‥ご帰還を心待ちにしておりました。尖晶石がここに参りました」
「脆玉石がここに!」
「私、蛍石が舞い戻りました」
「電気石が戻れり‥‥‥‥」
「くさび石が戻ったよーっ!」
「玉随が会いにきやした」
「琥珀が来た‥‥‥‥」
「ハッハッハッ!!金緑石が帰って来ましたよっ!王よっ!」
「揃ったかっ!カルセドニー、アンバー、クリソベリルは国内の情報をかき集めろ。ユークレースは〖レッドローズ〗、スフィーンは〖フノス〗に行き情勢を調べさせろ。レッドスピネルとフローライトは俺の護衛に就け」
「「「「「「「「御意!!!!!!!!」」」」」」」」
「うわぁ‥‥‥何か人が多いな。なぁ、可憐ちゃん」
「そうですね‥‥‥‥じゃなくてですね。私のパッ‥‥‥‥あれを返して下さい」
「‥‥‥‥こんな大勢の人が入る前で返せないよ。夜返すよ。夜‥‥‥‥」
「よ、夜?‥‥‥わ、私に何をする気ですか?」
「いや、だからメイド服をさぁ‥‥‥‥」
「ウィ‥‥‥神成。眠くなってきた‥‥‥」
「マジか?ルア‥‥‥‥おんぶしてやるから少し寝てて良いぞ」
「ウィー‥‥‥あんがと‥‥‥ZzzZzz」
「神成 刹那。ルアさんは大丈夫ですか?あんなに激しい闘いをしていたので心配です‥‥‥‥」
「大丈夫だと思うが‥‥‥‥後でガブリエル辺りにルアの体調を診てもらうか。まだ小さい子だしな」
「そうですね‥‥‥まだ小さいですからね。ちゃんと見ていてあげないとですね。それと私のあれを見た事は一生許しませんからね。神成 刹那!」
「‥‥‥‥何の事だか‥‥‥‥」
そんな会話を二人でしていると、俺達が注目されている事に気がついた。
「あれ‥‥‥‥貴方様!!」
モルジア王女が俺達の方へと走って来た。どうやら偽物王子との闘いに無事に勝てた様だ。
「貴方様?‥‥‥‥‥モルジア王女の許嫁か?それにしては幼い様な‥‥‥‥いや、随分と昔に似た様な顔をこの城の国庫で数度見た様な‥‥‥‥」
アダマス王が俺の顔を見ている‥‥‥‥つうかあの巨人の様な体格は何処へやら。セクウィとルアの攻撃を受けて、随分と小さくなった様な気がするな。
いや、それでも身長は有に2メートルは軽く越え、血の様な紅色髪に筋骨隆々の男の様だ。そして、凄い昔、俺は目の前の人物に何回か会って入る気がする様な‥‥‥‥
「あっ!」
「あっ!」
俺と目が合った瞬間、声がハモる。
「お前は魔法大陸の盗人」
「あんたは何時も俺の逃走を邪魔していた。赤髪の魔獣‥‥‥‥」
「誰が魔獣だあぁ!!!貴様!!!ここであったが何とやらだ!!俺の国から奪った数々の宝物や宝玉を何処へやったっ?!」
「い、いや、人違いだっ!俺は何もやっていない。他人の空似なんだ。おっさん!」
「誰がおっさんだっ!俺はアダマス王だぞ!クソガキ!!!」
「は?あんた見たいなゴリラがアダマスだと?嘘つけぇ!」
「なんだと?貴様!!!そこに座れ!!言葉使いから教育してやる」
「座らねえよ。そんな事より、国を救ってやったんだ。その報酬として金銀財宝をさっさと寄越しな!赤髪のおっさん!起きてくれ!ウリエル!」
(へ?よ、呼びましたか?ご主人様)
「〖熾天使の神秘〗・〖天消〗」
「き、貴様!!鋼鐵魔法〖石榴〗」
ドガアァァァンンン!!!!!
話は数年前に遡る。あれはまだ、スヴァローグと共にギルド〖火炎と落雷〗の軍資金調達に奔走している時期、俺は国内の警備が甘々のアダマス国の王城や貴族達の屋敷から、金銀財宝を少量ずつ頂いていた時があるのだ。
その頂いた金銀財宝で、俺やスヴァローグが連れて来た孤児達のその日の食料に変えていたんだよな。
その後も時々〖ダイヤスミス城〗に忍び込んでは、危なそうな宝玉を頂き、目の前の赤髪のおっさんに追いかけられたものである。
そして、俺の事を思い出したおっさんはいきなり〖魔力〗の拳で殴りかかってきたがウリエルの〖神秘〗で無力化した。
その後も少々の戦闘はあったがセクウィとルアにやられたダメージにより赤髪のおっさん‥‥‥もと言いアダマス王が先に力尽きたのだった。
身動きが取れないと分かった俺は、これまでの経緯や偽物王子の暗躍などの事を詳細にアダマス王に報告したのだった。