貴石の城と偽りの王子 No.4 乱心のアダマス王
首都〖ダイヤスミス〗正門前
「くそっ!何なんだ?この氷と雷の壁は?さっさとフノス国に潜入して戦争の準備をしないといけないのによう!無理やりにでも脱出してやらぁ!」
「あっ!ちょっと待てって!」
バリバリ‥‥‥‥パキンッ!
「ガハ?」シュンッ!
「なっ?雷に撃たれたと思ったら、氷漬けになって消えた?」
ビリビリ‥‥‥‥パキッ!
「いや、俺もかよっ!チキショー!!」シュンッ!
〖ダイヤスミス〗上空
「カハハ‥‥‥‥しかし無差別に捕まえすぎではないか?雷転移針か?これを刺されたものは強制的に魔法の袋(黄金の宝物庫)の中の牢に入れるとは、なんとも無差別過ぎるような気がするぞ」
「ピュルルル」
「何?逃げて入る者の中で悪意ある者しか捕まえていない?それにしては捕まえている数がもう四桁いきそうなんだが‥‥‥‥やはり、富がある国を妬み、恨む者達は沢山入るようだな。ソイツらを利用しての戦争を引き起こすか‥‥‥地上の種族とは現代になって尚、浅ましい連中なんだな。カハハ‥‥‥‥」
「シュルリルル!!!」
場面変わり〖アダマス王の部屋〗前
私は天之宮 可憐という言います。地球から魔法世界に無理やり連れて来られた一般人です。
私がこの非常識な世界に来てしまったのも、全ては神成 刹那のせいです。この人は何時も何時もトラブルを巻き起こすんです。そして、それに何時も巻き込まれる私です。
学校が休みの日に服をプレゼントしてくれた事には凄く感謝していますが、こっちに来てから、ずっとからかわれているし。あ、愛ているぜぇ!とか心の込もって無い告白を受けたって、み、微塵も嬉しくないんですからね。神成 刹那。
‥‥‥‥ウゥゥ、何で私、魔法世界に来て、お城を水槽みたいにしちゃってるんですか?何でこんな無駄に強力何ですか?信じられません!誰が助けて下さい!!!
「うわぁ!城中水浸しだな。凄いな可憐ちゃんの水魔法は。水害レベルだな」
「ウゥゥ‥‥‥あんまり騒がないで下さい‥‥‥私はただ貴方に言われて水魔法を出しただけなんです。そしたらこんな事態になってしまうなんて‥‥‥思いもしなかったですよ‥‥‥‥」
「いやいや、凄い才能だよ。水魔法初級の〖水激〗でこの威力なら上級はもっと凄い威力の筈。可憐ちゃんの成長が楽しみだな」
神成 刹那は喜んでいます。こんな水害を出させておいて喜ぶだなんて、やはり、彼は最悪です。鬼畜です。人垂らしです。
「おっと!思い出した。城から誰も居なくなった今、ヒルディス達に探して来てもらう物が幾つかあったんだった」
「探して来てもらう事ですか?」
「あぁ!出てきてくれ!ヒルディス、ベイグル、トリエグル」
「フゴフゴ!!」「「ニャー!ニャー!」」
あっ!この子達は神成 刹那のペットの子達ですね‥‥‥‥良く見ると毛質も良くて手入れも細かい所まで良くされているんですよね。モフモフしたいなぁ‥‥‥‥。
「ヒルディスはこの城にある財宝と鉱石を片っ端から回収しろ!いや、むしろ、戦争を避ける為にも、この首都の鉱石や宝物は全て回収しても良いぞ!!」
「フゴフゴフゴフゴ!!!!」ドドドドドドドド!!!!!
「凄い勢いで行ってしまいましたよ。神成 刹那」
「ベイグルはこの首都から逃げ出そうとして氷漬けになった奴等が、スミス王子の手下かどうか黄金の宝物庫の中に入って調べて来てくれ。〖真実と虚偽の天秤〗を待たせとくから宜しくな。」
「ニャーニャー!!!」シュンッ!
「凄い勢いでその場から消えましたよ。神成 刹那」
「トリエグルは城の何処かにある〖白色火〗の一部を手に入れて来てくれ。くれぐれもバレない様にな」
「凄い跳躍をして何処かに行ってしまいましたよ。神成 刹那」
「アイツら。凄いんだ。俺の頼んだ事なら何でもやってくれるし、最後までやり遂げてくれる。凄い奴等なんだぜ。可憐ちゃん」
「いえ‥‥‥そんなドヤ顔されましても困るんですが‥‥‥‥」
ウゥゥ‥‥彼のこういう陽気な所が少し苦手なんですよね。悪い人ではないんですが‥‥‥‥気さくすぎるというか‥‥‥そういう所が苦手で強く当たってしまうんですね。
「ウィー!!神成!!可憐ママ!!王様見つけた!!こっち来てーっ!」
ルアちゃんが大きな声で呼んでますね。といか、あの娘何であんなに強いんですか?先程のお城の兵士さん相手にも怯む事なく、蹴りで気絶させてましたし。
この魔法世界の人達は小さなお子さんまで強いということなんでしょうか?
〖アダマス王の部屋〗大扉前
「確かに強い〖魔力〗の気配が感じるな‥‥‥多分、ここにアダマス王が入るのは間違いなさそうなんだけどな‥‥‥‥‥不味いな」
「不味いですか?何がですか?」
「ウィ‥‥‥‥キレキレ‥‥‥‥多分、モルジアが偽物王子倒したせい」
「呪いの魔道具でも仕込まれか?例えば、偽物王子に何かあれば偽物王子を救いに動き出すとか‥‥‥‥」
「多分それ‥‥‥‥それが今、起きてくる‥‥‥」
ルアさんがそう告げた瞬間でした。私達の前にあった大扉が、大きな音を立てて崩れさっていくのでした。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!
ドガアアァァンン!!!
「俺の最愛の息子に何をした?!貴様らあぁぁ!!!!」
「‥‥‥‥デカイな?巨兵族みたいな大きさだな」
「ウィ‥‥‥デカイ‥‥‥」
「ヒィィ!!食べないで下さい!!」
「俺はそんな事を聞いているのでは無い!息子を!俺大切な息子を傷付けたかと聞いているのだぁ!!!」
「あ、これ話通じないな。幻術魔法にかかってるな‥‥‥‥悪いがアダマス王。旅はまだまだ続く予定なんでね‥‥‥あんたの相手はアイツに頼む事にするよ」
「貴様!!!貴様が我が息子を?!」
「駄目だ‥‥‥‥話が通じないな。来てくれっ!セクウィ!!!」
(了解。ヌシ様‥‥‥‥‥)
「ヒュルアアアアアアアアアアアア!!!!!!」
天空から凄まじい雄叫びが聴こえてきました。
「‥‥‥‥‥‥〖天鳥の鉤爪〗」
ミシミシ‥‥‥‥ドゴオオォォンン!!!!
「ヒュルアアアアアアア!!!!!」
『天空の白怪鳥・セクウィ』
神成 刹那が何かを告げると〖ダイヤスミス城〗の天井が破壊され、一羽の白い怪鳥が現れたのでした。
「何だ?この鳥は?」
「あんたを正気に戻してくれる。天の遣いだ。アダマス王。空へと連れていってくれっ!セクウィ!!〖天鳳の開脚〗」
「リュララララララ!!!!」
「ぐあぁぁ!!!!貴様!!何をする?!!!!」
大きな鳥‥‥いえ、セクウィさんに蹴られたアダマス王は〖ダイヤスミス城〗の空の上へと吹っ飛ばされて見えなくなってしまいました。
「ウィ、お星様になったー!」
「あ、あの巨体をあんな簡単に打ち上げるなんて‥‥なんて力を持ちなんでしょうか‥‥‥‥」
「よし、可憐ちゃん、ルア!セクウィの背中に乗って追いかけるぞ!」
「ウィー!了解!」「へ?私もですか?」
神成 刹那はそう言うと私とルアさんを抱き抱えてセクウィさんの背中へと飛び乗り、アダマス王の入る空へと飛び立ったのでした。