フノス王との謁見
肥沃の国〖フノス〗の首都・〖フノスエル〗には、遥か昔から〖五色火〗のうちの〖青色火〗という特殊な火の魔力が存在する。
五大列国のうち、青色火を〖フノス〗、黄色火を〖アリババ〗、白色火を〖アダマス〗、赤色火を〖レッドローズ〗の四つ王家が五つのうちの四つの〖五色火〗と呼ばれる特殊な火の魔力を保有し、管理しているらしい。
あれ?残り一つ足りなぞ?と思っただろうか?
普通だったら、フレイヤ地方の〖五大列国〗に数えられる〖ガリア帝国〗が保有していなけば可笑しな話だが。
かの魔法大陸一の大国はフレイヤ地方の南部の五分の一をどさくさに紛れて奪った略奪国家というのがフレイヤ地方に住むあらゆる種族の認識になっている。
その為、フレイヤ地方の火宝とも呼べる〖五色火〗を保有する権利をフレイヤ地方の有力者達から認められていないのだ。
ならば最後の火の魔法は何処の国が保有しているのかというとかつて神代時代に『赤霧の隠し谷』を統治していた〖イグニッション〗王家が保有していたと〖魔術院〗のフレイヤ地方の歴史書には書かれていた。
‥‥‥‥‥恐らくだが、スヴァローグが終盤の闘いの時に使っていた特殊な色の炎は、かつて〖イグニッション〗王家が所有していた黒色火の火の魔力だと思われる。
そして、憶測になってしまう話だが、神代時代、イグニッション王家が黒色火ガリア帝国に亡ぼされる前に、黒色火をスヴァローグの子孫の体内に代々、保有できる様に魔法契約で契約したのだと思われる。
〖七聖―女神―聖書〗の―女神―フレイヤ編の一文にこの様な記載がある。
『〖五色火〗の灯の欠片を揃えた者。何れ厄災放たれ、危うき時、この地に奇跡の炎乱と水廊を呼び起こさん』と‥‥‥‥‥。
◇◇◇◇◇
〖フノス〗国・首都・フノスエル王城
「しかし高い城ですね‥‥‥‥‥‥フノス王‥‥‥‥」
「ハハハ。高さだけが自慢のただの城ですよ‥‥‥‥これぐらい高くしとかないとフレイヤ地方全域を監視して観る(・・)事ができないですからね」
「監視ですか‥‥‥‥‥」
「はい。何かあれば盟友たる剣の里〖オッタル〗の精鋭達に直ぐに報せができる様にしておく為です」
爽やかな美男子が俺の隣に立っていた。
‥‥‥‥‥今、現在。俺はフノス・エル王に謁見している。セクウィを遣いに出して、一度フノス王に謁見させてほしいと図々しく手紙を出したいたのだ。
そして、仲間達とフノスエル城に着いた後、謁見の間でフノス王と対面。今回の闇ギルド襲撃の件について報告したのだった。
一通りの事情を話した後、何故か俺だけフノス王に連れられて、フノスエル城の展望室へと連れて来れられたのである。
「ナルカミさん。今回の闇ギルド〖火炎の片割れ〗による、剣の里〖オッタル〗襲撃鎮圧にご協力して頂きありがとうございました。貴方達の活躍のお陰で〖オッタル〗の被害も僅かだったと報告が上がっています」
「えぇ‥‥‥‥その隙に首都にいた闇ギルド〖火炎の片割れ〗のアジドを壊滅させたんですよね?構成員達の処遇はどうしたんですか?」
「処遇ですか?‥‥‥‥現在はルーエ刑務所に監禁してあります。未成年も多い為、処遇には時間がかかりますからね」
「ルーエ刑務所ですか?なら、その刑務所に入る全員にこの首輪を付けて貰っても良いですか?」
俺はそう言うと何時もの俺、名義の〖契約の輪〗をフノス王に見せる。
「ナルカミさん。これは?」
フノス王も興味心身だ。
「フノス王。これを〖火炎の片割れ〗連中の首元に付けるとあら不思議。付けた瞬間フノス国を守る戦士の出来上がりです。因みに先にこれを付けた〖オッタル〗を襲った連中は、現在、心を入れ換えて労働と剣の修行に入る所だと別れ際にガレオンさんが言っていました」
(今回は助かったぞ。ナルカミ!また、久しぶりに会ったと思ったら姿が違うんで最初、誰かと思った程だぞ。それからこの闇ギルドの奴等はこの〖オッタル〗で一から扱き倒すからな)
(は~い!宜しく~、ガレオンのおっさん。じゃあな~)
(((((イヤダアァァ!!!!助けてえぇぇ!!!!)))))
(たくっ!相変わらず。軽い男め‥‥‥‥)
‥‥‥‥‥‥。
「何と?剣帝・ガレオンがですか?」
「はい。いちから扱き倒すと言っていましたよ。ですから、彼等を上手く手懐けて今後のフノス国の戦力にするのが、今回の襲撃の良い落としどころだど思いますよ。それにこれを首元に付ければ一生逆らう事ができないですしね」
「‥‥‥‥いや、そこまでの処遇にはしないが‥‥‥‥フム、闇ギルドをこの国の戦力か‥‥‥‥考えておこう。次の話に進みましょう‥‥‥‥‥シエル殿から受け取った手紙。〖五国同盟〗と〖救国の担い手〗様への全面的な協力ですが」
「はい‥‥‥‥」
「同盟については賛同しますが我がフノスによる全面的な協力は控えさせて頂きます」
「協力は控えるですか?‥‥‥‥理由を聞かせ頂いても宜しいですか?」
「‥‥‥‥良いでしょう。五国同盟の方には何の問題もありません。先に〖オッタル〗が賛同していたのが大きかったですが、やはり決め手はアリババ・モルジア王女が貴方と共に同行したいたのが決定打になりました」
「富の国〖アリババ〗が先に〖五国同盟〗に参加していたのが理由ですか‥‥‥‥‥」
「その通り。あの国は魔法大陸の経済の一端を担っています。そんな国が〖五国同盟〗に参加すると言うのならば、この政に参加しない国等。現在、戦争状態に突入する北の〖ガリア帝国〗と〖レッドローズ〗の二国を除いていない筈です」
「成る程。では全面的な協力はできないというのは?」
「はい‥‥‥‥‥それはですね‥‥‥‥我が国も先程、言った〖ガリア帝国〗と〖レッドローズ〗の様に戦争状態に成りつつあるのです」
「成りつつあるですか?‥‥‥‥〖アリババ〗とは同盟を組むし‥‥‥‥戦争をするとしたら北の‥‥‥」
「〖アダマス〗です‥‥‥‥我が友‥‥‥アダマスの現王・〖オリハ・ダイヤ・アダマス〗の子。アルク王子が行方不明になり。〖スミス〗と言う男子を養子として迎えたのですが、その養子にした子供が来て以来、アダマス王は病気がちになり。何故か最近は権力を握った養子のスミス王子が政を行っているとがで‥‥‥‥‥そして、現在、フノス国に数ヶ月前、突如として宣戦布告をしてきたのです」
「フノス国に宣戦布告ですか?」
「はい。なので剣の里〖オッタル〗の剣士達やフノス国が雇った傭兵達に、北の国境の警備にあたらせたいる現在のフノス国には、貴方がお探し中の方を探す手伝いができる人員がいないのです」
「‥‥‥‥何かきな臭いですね‥‥‥アリババの時とは状況は違うけど‥‥‥‥ちょっと待って下さい。フノス王」
「ナルカミさん?‥‥‥‥」
俺は〖太陽〗について考える。
双子‥‥‥‥片割れは封印し。現在、封印中だ。
スヴァローグとの闘いの時、スヴァローグは大アルカナを一つしか使わなかった。いや、一つしか使えなかったのか?
‥‥‥‥‥スヴァローグは南を制圧しようと動いていた。
そして、もう片方は北だとも。
ガリア帝国とレッドローズが戦争の段階に入ろうとしている。
そして、次はフノス国とアダマス国を‥‥‥‥‥‥〖オッタル〗は今回の闇ギルドの襲撃で剣士達の魔力残滓が撒かれ、アリババも魔神や魔獣達の魔力残滓が流れた。
残りの片割れの〖太陽〗はフレイヤ地方を戦乱の地にする気なのか?
そして、ガリア帝国には禁則地である『赤霧の隠し谷』がある。彼処は統制が取れていない竜達の魔力が濃く霧になっている高濃度の魔力。
これは撒き餌と高位魔法を行う為の前段階だ‥‥‥‥高次元の何かを喚ぶ為の何百万という供物を捧げるイカれた召喚魔法。フレイヤ地方の全てを贄に次の世界に進む為の悪意の塊でしかない最悪な儀式。
「‥‥‥‥‥〖太陽〗のもう片方は‥‥‥何をこの地上に顕現させる気だ?急がないととんでもない事になるぞ!」
「ナルカミさん?慌ててどうしたのですか?」
「フノス王。失礼します!急いで玉座に戻りましょう。フノス国とアダマス国の戦争を回避しないととんでもない事が起こります!」シュンッ!
「え?とんでもない事?」シュンッ!
〖フノスエル王城・玉座〗
「モルジア王女、可憐様、ダリウス様、此方、フノス国が誇る一級茶葉。ノスの紅茶になります」
「ありがとう。ミルマさん」
「あ、ありがとうございます‥‥‥(な、なんてファンタジーな場所何でしょう?本当にここは異世界何ですね)」
「申し訳ない‥‥‥‥わざわざ、フノスエルの正門に迎えに来て頂けただけでなく、案内までして頂いてしまって‥‥‥‥」
「いえ、これもフノスとオッタルの為にございます」
「まだかな?‥‥‥‥‥‥神成」
「カハハハ!色々と話すことがあるのだろう」
「暇しゅぎる‥‥‥」
シュンッ!
「よし!着いた!」
シュンッ!
「なっ?一瞬で玉座に着いた?‥‥‥‥何故?」
「神成!来たあぁのぉぉ!!」「‥‥‥えらい慌てているな?」
「‥‥‥ルア、アナスタシア、モルジア王女で行くか‥‥‥可憐ちゃんは魔法の袋に入ってもらって‥‥‥ダリウスさん!」
「はいっ!待っていましたよ!ナルカミさん。告白ですね?」
何の告白だよ!今はそんな事してる場合じゃないんだよ。
「いいえ、違います!」
「違うですか‥‥‥‥そうですか」
何故、落ち込む。
「‥‥‥‥ダリウスさんにはここに残って、フノス王の護衛をお願いします。万が一って事もありますから」
「「へ?護衛?」」
ダリウスとフノス王がハモる。この二人相性良さそうだな‥‥‥‥ちなみにフノス王はまだ独身らしい。
「残りのメンバーは直ぐにアダマスに転移魔法で飛ぶぞ!時間が無い。戦争何かされる前にスミスとかいう奴を無力化する!」