天災の報復
〖アリババ宮殿〗ラジーン通路
「ジャス!ジャス!不味いぞ!現れた!いきなり現れたよっ!陸の厄災・ベヒーモスだっ!オマケに雲の上にはヤバイのが入るよぉ!!」
「ちっ!分かっておるわ。ミルゴ‥‥‥‥何故、あれがこのタイミングで現れる?‥‥‥‥〖フノス〗の火山で暴れ始めたと報告は来ていた。そのまま、東の剣の里か〖アダマス〗の地を蹂躙してくれればと願っていたが‥‥‥‥まさかよりにもよって私が住む。この魔法大陸一の商業の地とも言われる首都・〖アラビア〗に来ようとは‥‥‥‥」
「ジャス!ジャス!どうすんだよ。降伏か?降伏するのか?」
「誰にだ。ミルゴ!このバカ鳥があっ!‥‥‥‥今は時間を少しでも時間を稼ぎ。各地に隠してある金を何処かに移すしかあるまい」
「移すだど?うんな事より逃げようぜ!あんな化物共か暴れだしたら、こんな金しか取り柄がねぇくには一瞬で吹っ飛ぶぜ!!ジャス!」
「分かっておるわ。私がそうなる様に誘導したのだからな‥‥‥‥しかし、今はあの御人好しなアリババ王を説得し。モルジア姫との婚姻を承諾させねばならん。そうしなけばこの国の正当な新しき王になれんからな」
「おいおい!こんな切羽詰まって状況で良くもまぁ、自分の野心を優先できるなぁ!流石だぜ!ジャス!」
「列島大陸のことわざで褒めるな!ミルゴ‥‥‥‥モルジア姫は絶世の〖知識と富の美女〗とも言われる傑物。そして、あの女性だけの国の〖イシス〗へと行く為の鍵なのだ。あの娘こそが私の妻に最も相応しいと思わんか?ミルゴ」
「あぁ!あぁ!思うぜ!ジャス!!だから、オイラだけでも先にこの国から逃がしてくれよぉ!なぁ!」
「駄目に決まっておるわ!ほれ、貴様は雲の上に入る化物についてでも知らべに行け!私はそろそろ‥‥‥‥」
「ハァ、ハァ、ハァ、此方に下りましたか?ジャス大臣。アリババ王様が至急来てほしいとの事です」
「おぉ、副大臣のゴマ殿ではないか。そうか、そうか陛下が及びか‥‥‥‥だがしかし?ご容態は大丈夫なのかね?咳が止まらず苦しんでおられた筈だが?」
「筈だが?筈だがーー?」
「え、えぇ、そうなのですが‥‥‥〖豊穣と天災〗の巨獣様が突然現れましたのでその対処をしなければいけないと言われ、起きられて来ました」
「起きた!起きた!」
「ハハハ!五月蝿いぞ。ミルゴ‥‥‥‥そうか。そうか。ならば急いで向かわねば行けないな。病気の王の元へ」
「えぇ!お急ぎ下さい」
‥‥‥‥‥‥‥。
◇◇◇◇◇
〖ジンの王宮〗
パー、パッパッ!パー!パーパー!!!
「我が国が誇る宝!ジャス大臣様のご入場で!!!!」
「おおぉぉ!!ジャス殿」
「今日もご壮健ですなぁ!」
「あぁ、なんと立派な髭かっ!」
パチパチパチパチ!!!
軽快な楽団の演奏と王宮の文官達の拍手されながら現れる一人の男。背は高く、頭には赤いターバンを身に付け、整えられた髭が印象的な中年の男が自身気に王宮の中央へとやって来る。
「お‥‥‥おぉ‥‥‥ジャス大臣‥‥‥ゴホゴホ‥‥‥良く来てくれた‥‥‥‥こんな一大事に呼んでしまい申し訳ない」
「いえいえ、アリババ陛下。私は陛下の頼みとあらば何時なんどきでも馳せ参じる所存」
「そ、そうか‥‥‥ゴホゴホ‥‥‥それは頼もしい‥‥ゴホゴホ最近はワシや妃の具合も悪く国の祭り事もジャス大臣に任せっきりにしてしまい申し訳ない‥‥‥‥ゴホゴホ‥‥と思っておる」
「おぉ!陛下。なんという勿体なきお言葉。とても嬉しく思います」
「ゴホゴホ‥‥‥‥それに関して私も同じ気持ちです。本当に感謝しています。ジャス殿‥‥‥‥ゴホゴホ」
「シュヘラ王妃様‥‥‥‥その言葉ありがたく頂戴致します」
「えぇ‥‥‥‥ゴホゴホ‥‥‥私も日が経つ毎に‥‥‥ゴホゴホ‥‥体調が悪くなる一方ですし‥‥‥‥私と王が居なくなった後の後継者を‥‥‥‥モルジア王女の夫となる方を決めておかなければなりませんね」
「ほう?後継者ですか?そんな話まだまだ先の事です。ですから先ずはお二人のご病気が良くなる様に祈りを捧げましょう。私と共に‥‥‥‥ククク」
「‥‥‥‥ゴホゴホ‥‥‥いや、分かるのだ。ワシと妃はもう余り生きられないとな‥‥‥ゴホゴホ‥‥‥だから、ワシらが安心して逝ける様に、この国で最も活躍している者を‥‥‥‥我が愛娘であるモルジアの夫にしようと考えたのだ。そして、その最も活躍している者に‥‥‥」
「者に‥‥‥何でしょうか?アリババ王よ!‥‥‥ククク!!!」
ジャス大臣はそう言いながら、アリババ王に向かって歩き出した。するとその時である。
シュンッ!
「おっ!流石がフレイヤ地方。魔力濃度が高純だから転移したい場所に何時もより正確に行ける様になってるな‥‥‥‥てっ!ここは何処だ?」
「‥‥‥‥誰じゃ?‥‥‥ゴホゴホ」
「侵入者?‥‥ゴホゴホ」
「こ、子供が何故、こんな所に?き、貴様!!何処から現れた?何者だ?怪しい奴め!〖義賊兵〗よ。直ぐにこの怪しい者を捕らえよっ!」
神成 刹那は魔眼を―女神―アテナから授かっている。あらゆる〖魔眼〗を有している。その中の一つ〖妖精眼〗は悪しき存在の真実を見抜く力がある〖魔眼〗である。
「余り普段は〖魔眼〗なんて使わないんだけどな。―女神―の〖権能〗の力なのかヤバイのが入ると反応するんだ‥‥‥‥何でこんな人族が暮らす国に魔神の類いの連中が混じってんだ?‥‥‥‥天雷魔法〖晴雷〗」
「‥‥‥‥な、何をいっている?貴様‥‥‥‥そんなものこの黄金都市に入る筈‥‥‥ガアァアア?!!!な、何だ?この魔法は?!〖魔力〗が壊されるるるる?!!!ガアアァァァ?!!!!!!」
ジャス大臣は天雷魔法の攻撃を受ける。すると身体が肥大化し、赤い姿の異形へと姿を変えるのだった。
「やっぱり‥‥‥‥‥そうか。昔、一度会った時も変な奴だと思ってたんだよ。あんた」
「‥‥‥ゴホゴホ‥‥ジャス大臣が‥‥‥赤い化物に?‥‥‥」
「ゴホゴホ‥‥ゴホゴホ‥‥‥変わりましたわ‥‥‥‥アリババ王」
「グオオォォオオ!!!突然、現れた分際で私の皮を焼き焦がすとは‥‥‥貴様!!殺してやるぞっ!小僧!!!」
「悪いが直ぐに終わる‥‥‥〖オッタル〗に戻んないと行けないんでね」
魔神の討伐が始まる‥‥‥‥