猪と二匹の猫
際南の参道・〖イグニ〗
「フゴフゴ」
「ニャー、ニャー」
「ニャオオン!!」
「きゃあ、何で私が猪に乗って移動を?しかも宿敵たる神成 刹那に支えられながらあぁ!!」
「悪いな。可憐ちゃん!急いでるんだっ!後、1日位でこの移動め終わるからな」
「だからって密着しすぎですっ!てっ!何処を触ってるんですかあぁ?神成 刹那!!!フンッ!」
「何、いきなり起こってんだよ。グゴォ!」
バチーンッ!
「‥‥‥‥神成がビンタされてるー!」
「カハハハ!!仲が悪いなぁ、セツと可憐はっ!」
「ギャルルル!!!」
「落ち着いてくれ〖フーレ〗!しかし、あの少年は何処からあんな猪と大きな猫を連れてきたんだ?しかし、あの猪と猫二匹‥‥‥何処かの絵で見たことがあるような‥‥‥」
ダリウスさんがそう言いながら俺の方をチラチラと見てくる。俺からしたらあの人が今、乗っている生き物の方が気になってしょうがないのだが。
魔法中央国には〖魔法種図鑑〗という本がある。
魔術院の講師で魔法生物学の権威。〖シュラーゲン・ホーエンハイム〗と言う人物が書いた本だ。
その本には魔法大陸のあらゆる魔法生物の事が事細かに書かれている。
その本は俺も読んだ事があるが‥‥‥‥あの目の前の魔法生物はどのページにも載っていなかったと思うんだが‥‥‥‥幻想大陸とかの未知の魔法生物なのだろうか?
それにしても際南の海岸の偵察にわざわざ〖七属剣〗の一人である〖火剣のダリウス・ラディウス〗が来るなんてどうなってるんだ?しかもだ、さっきまでいた海岸であんな事を言われるとは思わなかったな‥‥‥‥。
▽▽▽▽▽
(ハァ?〖剣聖〗と?!グレイ・オルタナティブと少し前まで一緒に旅をしていた?アイツは?グレイの馬鹿は今、何処にいるんですか?)
ダリウスさんはそう言うと俺の肩をガシッと掴んで揺らしてきた。これが物凄い力なんもんで驚いた。
(痛、ちょっと。腕痛いですよ。折れそうですっ!)
(ハッ!す、済まない。ついあの馬鹿が無事なのか気になってしまって力を入れすぎてしまいました。すみません)
(‥‥‥たく。気をつけて下さいよ。まだ、前の闘いの傷だって完全には癒えて無いんです。グレイなら今頃、ヘスティア地方の〖アクレール港〗か〖ヘル・デア〗辺りに居ると思いますよ。セシリアと‥‥‥拳王姫様に会う為に新首都の〖ルア・テレシア〗に向かってるかと)
(〖ルア・テレシア〗?‥‥‥‥あぁ、二週間前に起きた『黙示録の六日間戦争』の戦地になった場所か‥‥‥あの馬鹿、むやみに他地方の問題に首を突っ込むなんて師匠が知ったらぶちギレるぞ)
師匠とは恐らく〖剣帝・ガレオン・バレステロス〗の事だろう。たしか剣の里〖オッタル〗を統括する長で特殊な種族の血を引いてフレイヤ地方でも最強角の一人とか言われてたよな。
(しかし‥‥‥君は本当は女の子だったんですね。中性的なお顔だったんでてっきり少年かと勘違いしてしまいました。すみません‥‥‥‥なんと言う美しい顔だ)
(‥‥‥‥‥はぁ、ありがとうございます?‥‥‥‥俺が女の子だと?)
なに言ってんだコイツは?俺が女の子だと?コイツも頭、むやみにセシリアなのか?
(ブッ殺すニャゾ!!!シャーー!)
何か聴こえたような気がしたが今はどうでも良い‥‥‥‥‥‥‥‥何でこの人は少し顔を赤くしているんだ?
確かに俺は中性的な顔で良く女の子に間違われるが‥‥‥‥‥何だ?このダリウスと言う人。俺を見る目がやたらと変だぞ。
(あ、あのー、お話し中申し訳ありません。私は天ノ宮 可憐と言います。私達いきなりこの世界に飛ばされてしまったらしくて‥‥‥‥何処に行けば良いのかも分からないんです)
(おや?貴女は‥‥‥珍しい服を着ていますね。ここら辺の方では無いようですね)
そんな俺達とのやり取りに割って入って来たのが可憐な可憐ちゃんだった。この子案外度胸があるんだなと感心したが次の台詞を聞いて俺はその認識を改めた。
(その目の前に入る男は学校の一部の女子生徒から鬼畜の神成と言われて、変人なんです!騙されないで下さい!貴方は今、変な魔法にかかろうとしているんですよ!危険人物なんですよ!ダリウスさん!)
この黒淵ボッチ美少女は初対面の人になんて説明をしてくれやがんだ。
つうか、俺って学校の女子からそんな風に言われてたのかよ。少し‥‥‥いや、物凄いショックだよっ!
(ハハハ、何を変なご冗談を言っているんですか‥‥‥こんな可愛いらしい美少女が男の子な分けありませんよ。変な服を着ている貴女の方が私からは危険人物に見えてしまいますよ。可憐さん)
(はい?私が危険人物?そして、神成 刹那が可愛いらしい美少女?‥‥‥‥何なんですか?この世界は!全てが可笑しいですーー!!)
(それよりも、ナルカミさん‥‥‥達の様な美少女達が族に襲撃をされるのは不味い。そこで縛られいる火弾の〖フエゴ〗の事も色々と聞きたいので私と一緒に剣の里へと行きませんか?‥‥‥‥ナルカミさんには是非、私の両親にも顔合わせを‥‥‥‥それからついでにグレイとの事も教えて頂ければありがたい)
(ですから、貴方は騙されているですよ!ダリウスさん!!)
(おぉ、可憐の作った料理は旨いなぁ!ルアカハハハ!!)
(ウィー、ウマウマ!!)
(‥‥‥‥‥まぁ、良いや。とりあえず案内人のダリウスさんも来てくれたし‥‥‥‥出て来てくれヒルディス達)
ボワワンン!!!
(フゴフゴ!!)((ニャー、ニャー!!))
その後も色々あったが、俺達は可憐ちゃんが作ったシーナイルの魚介煮込みを食べ終えると、俺が魔法の袋(黄金の宝物庫)から出したヒルディス達に乗り。一路、剣の里〖オッタル〗へと向かう事にしたのだった。
◇◇◇◇◇
火沃国家〖フノス〗
首都・プロミネス〖水路・闇ギルド本部〗
「ハァー?行けなくなってどういう事よっ!スヴァロ兄。可愛い妹のお願いも聞けないの?このアホ兄!」
「‥‥‥‥五月蝿いぞ。フレイ‥‥‥‥密偵から報告が来たんだ。〖火剣のダリウス・ラディウス〗が剣の里を離れたとな。これは又と無い好機。今の剣の里には〖剣聖〗も〖火剣〗も不在。〖剣帝〗さえ始末すれば南の五大列国の一つが手に入るんだぞ」
「‥‥‥‥それと引き換えに妹の事は放置な分け?お兄様」
「そっちはまだまだ、時間がかかるんだろう?〖アダマス〗と〖アリババ〗は中立を決め込み。〖ガリア帝国〗と〖レッドローズ〗はフレイヤ地方の北と東で戦時と聴いているぞ」
「‥‥‥‥裏で色々と手を回してると時間がかかるのよ、〖アリババ〗はヘファイストス地方の新事業に夢中でそもそも、フレイヤ地方の今のいざこざに無関心だし、〖アダマス〗は他国に支援はすれど自分達では全く動こうとしないしね」
「だから、五大列国のうちの一つ南の〖フノス〗を落とす必要があるんだ。この地が我の者になれば次は〖アダマス〗を取り‥‥‥‥」
「疲弊している〖レッドローズ〗と〖ガリア帝国〗も手に入れて絶対的な軍事力で最後に残った〖アリババ〗を服従させるでしょう?そんな話。昔から何万回って聞かされてるから、覚えちゃってるわよ」
「だから、今なのだ。そして、フレイ。お前は〖赤の嬢王〗の暗殺を必ず成功させろ」
「ハイハイ、それから〖アダマス〗には嘘の情報を〖ガリア帝国〗には傭兵を使ったゲリラ戦をでしょう。抜かり無くやるから大丈夫よ。スヴァロ兄‥‥‥‥それから、もしアイツに‥‥‥セツナ兄と再開してもいきなり殺さないでよね。一度、直接あって殴ってやるんだからさぁ‥‥‥‥それじゃあね。お兄ちゃん」
‥‥‥‥ズズズ、ブオンッ
「‥‥‥‥一方的に念話を切るとは‥‥‥‥アホ妹が‥‥‥‥セクト、ライ」
「ウッスッ!スヴァローグの頭。準備ができました。各地で活動してた連中も明日には来るそうです」スタッ!
スゥ‥‥‥‥「仕掛けもバッチリです。兄貴」
「そうか、ならば向かおうか‥‥‥剣の里へ。新たな土地を手に入れて安寧を手に入れる為にな」
「「ハッ!!」」