行く前に………そして出発へ
(何処に行ったの?‥‥‥‥ユナさんは?)
聖奈にそう告げられてから二日目。同居人の魔王様。ユナ・エスフィールが此方の世界(地球)の何処にも居ないことが分かり。
俺は魔王・エスフィールの捜索の度に出ることが急遽決まった。
決まったのだが俺の契約者の一神、七原龍・〖八岐大蛇〗の蛇眼の力により、エウロペ大陸の東の大陸〖剣技大陸〗・アルトネに生存している事が判明した。
そして、エウロペ大陸からアルトネ大陸へと向かう為の〖方舟〗を造り。海洋を渡ることになったのだった。
なったのだが、先ずはその〖方舟〗を造る為の素材〖オリハルコン〗を手に入れ、それを持って〖ティアマト地方の製造都市〖エヌマ〗で〖方舟〗を製造してからでないとアルトネ大陸へ渡る船が手に入らないとの事。
………大陸を渡る前から長い旅になりそうだが、これもエスフィールを迎えに行く為なのだから仕方あるまい。
ちなみ、〖剣技大陸〗・アルトネ大陸は魔法世界の七大大陸の中でも一番魔力濃度が薄く。転移魔法では行けない場所で、貿易と観光様の船も出では入るらしいのだが。他大陸への渡航前の事前審査、渡航船への記録、一般人では各大陸の〖水〗を司る神々の承諾を得なければ渡航は出来ないとの事。
魔法大陸ならば〖―女神―ティアマト〗列島大陸ならば〖青龍〗剣技大陸ならば〖巫の神子〗氷雪大陸ならば〖氷帝〗暗黒大陸ならば〖極神〗、天空大陸ならば〖海女の天女〗幻想大陸ならば〖水幻神〗の許しを乞わなければ海にも進めないと
アナスタシアが俺に昨日の旅の準備中に説明してくれたのだった。
『始祖・神集九煌』・各大陸の神々の中でも〖水〗を司る神々の許し無しには他大陸への渡航は不可能らしい。特に神話から神代の時代は特に厳しく。転移魔法や次元移動の類いならば普通に〖水〗を司る神々の許可を貰わずとも無遠慮に飛ぶ事ができたが海洋を自力で渡る様な物理的な移動は固く禁止されていたらしい。それを阻む原因としては海洋に住む大型の海洋魔獣、魔法大陸独特の海洋気候、各大陸近海を荒らし回る海賊達が後をたたなかったからである。
つまり他大陸の海洋での移動は不可能とまで言われていたのである。上記の三つの事もそうなのだが、人を乗せて船を渡る際、必ずといって良い程に人が遭難したり亡くなってしまう現象が起こる。そのせいで、各大陸の海洋を治める〖水〗の司る神々が処理に困る為、命知らずの海洋航海を強く禁止したとの事。
だが、近年は『魔道船』の造船技術の飛躍的な発展と回航技術のめざましい向上により。〖―女神―ティアマト〗〖巫の神子〗〖青龍〗三神の信託により、魔法大陸、剣技大陸、列島大陸は一部の承諾を受けた特別な者と超大型魔道船か大型魔道船に乗れる様に、それ相応の金銭を三神に払った者達は海洋航海は承諾されているらしい。
これに加えて近年では〖氷帝〗が重い腰を上げ、氷雪大陸から行くだけの渡航便を遂に許したとか噂になっている。
‥‥‥‥因みに近年の魔法世界の造船技術や海洋航海が何故、凄まじい発展を遂げたかというと。魔法大陸の何処ぞのお馬鹿な勇者が見習い時代に金に困った為、地球の海洋技術や製造技術書かれたスマホとタブレットあった電子書籍をただの紙に翻訳してガリア帝国の貴族連中が破産するくらいの高値でエウロペ大陸の各国に匿名で売り捌いたからである‥‥‥‥つまり犯人は元勇者である。
‥‥‥‥‥仕方が無かったのだ。あの時は何処ぞの美少女踊り子姉妹に誘惑され、毎日の様に踊り子達の舞いに酔いしれていたのだから。
あの時は俺も年相応の変態で、彼女達姉妹を指名してはつり上がって行く指名料のせいで、破産しそうなるというのを繰り返していた痛い時期があったのだ。
あの美少女姉妹達は今頃、何をしているんだろうか?‥‥‥‥いや、今は昔の古傷を思い出すのは止めておこう。今は旅の準備を急いで終わらせなければならいのだから。
それに俺のアホな行動のおかげで魔法世界の大陸を一部ではあるが、行き来きできる様になったのならば。それはこの世界の発展に繋がったのだから良かったのではないだろう?
今、思えばあの莫大な金さえあれば渡航用の大型船位買えたのではないかと冷静に考えてしまうな。
‥‥‥‥‥旅の準備を再開しよう。明日の朝には俺、ルア、アナスタシアの三人でフレイヤ地方・鋼鉄の国〖アダマス〗へと向かうのだから。
▽▽▽▽▽
明日、早朝、出発の夜。
〖天王洲 アヤネの夢の中〗
「‥‥‥‥あれ?ここは何処ですか?私は確かにセレス女学院の寮で激しい歓迎会を開いて頂き‥‥‥‥ブルブル‥ブルブル‥そして危うく、私の純血が奪われるところでした‥‥ブルブル‥ブルブル」
ポンッ!
「ウィーー、ママ!キターッ!」
「へ?ルアさんが何故、こんな白い場所に?」
「夢は繋がってりゅ‥‥‥‥今日はシバラクノお別れに来た」
「暫くのお別れ?‥‥‥あの?それはどういう事でしょうか?」
「ウィッ!ルア達。シバラク楽しい魔法大陸の旅をする‥‥‥‥だからママとはシバシノお別れ‥‥‥ナム~」
「いえ、突然、両手を合わせて合掌されましても?‥‥‥へ?もしかして、また行くのですか?魔法世界に?」
「‥‥‥‥ウィ」
「そ、それでは私めお供しますわ。ルアさん。セツ君とまた、魔法と剣のファンタジーを‥‥‥‥」
「それは駄目。今回はママ、お留守番‥‥‥‥その間‥‥‥恥ずかしい事いっぱいあるけど強くなる‥‥‥」
「いえ‥‥‥何でそんな顔を赤らめてらっしゃるんですか?ルアさん」
「新しい扉開ける‥‥‥‥頑張って。ママ‥‥‥‥とても楽しそうな顔をしてるから。ルアは応援してリュ‥‥‥新しいママ。可憐ママと一緒にっ!」
「可憐ママ?‥‥‥それて可憐さんの事ですか?ルアさん」
「‥‥‥‥おっと旅の時間‥‥‥‥ウィーーッ!!ママ‥‥‥ユリユリ頑張れ‥‥‥ルア‥‥‥悲しいけど応援してリュから!!!キランッ‥‥‥」
「キランッ!じゃないですっ!ルアさん。それて私があっち側になるって事ですよね?ルアさん?!」
「ウィーーッ!サラバー!ルアは神成達と楽しんでくりゅー‥‥‥‥バイバイ―」
「バイバイ―ではありません。ルアさんっ!ルアさんっ?!私を変態のそのから助けて下さいーーっ!!!」
ブオンッ!
〖セレス女学院・百合の部屋〗
「ルアサーーーーンっ!はっ?‥‥‥‥‥夢ですか?‥‥‥あれ?お布団の中に何か温もりが?」
モゾモゾ‥‥‥‥。
「どうしたんですか?アヤネ新お姉様~!悪い夢でも見たんですか?‥‥‥そ・れ・な・ら‥‥‥この流転 凜々花が癒して差し上げます~。アヤネお姉様~」
「‥‥‥‥貴女は流転家の凜々花さん‥‥‥どうして私のお部屋に?」
「愛です‥‥‥全ては愛が解決します。アヤネ御姉様では癒しタイムスタート~!」
「癒しタイムじゃあ、ありませんは~!!!助けて下さい!!セツクー―ン!!」
▽▽▽▽▽
次の日、朝
チュンチュン、チュンチュン
「良し、いきなりだったがだいたい準備はできたな‥‥‥‥用意はできてるか?二人共」
「‥‥‥‥ウィ~‥‥‥コクリ‥‥‥コクリ‥‥できてりゅ‥‥‥‥」
「カ‥‥ハハ‥‥‥ハ‥‥‥ユーチュ○ブを見すぎて寝付けなかった‥‥‥カハ‥‥ZzzZzz」
大丈夫か?コイツら。
「まぁ、あっちに着けば。気は張り詰めるか‥‥タマキは休んでるから自分でと‥‥‥〖転移門・開場〗」
ズズズ‥‥‥‥ガゴンッ!ギイィィ!!!
「よし、入ろう。幼女ツインズ」
「‥‥‥‥ウィ~」
「カハハ‥‥‥」
〖神成邸宅・玄関〗
俺が転移門を出している間に玄関前に一人の女の子が訪ねて来ていたのを俺は把握していなかった。
「‥‥‥神成 刹那。今日はこの間のお礼をしに来ましたっ!‥‥‥いえ、もっと強気な態度で‥‥‥神成!!お礼にやって来ましたよっ!‥‥‥いえいえ、これでは何処か怒っている様に見えてしまいます‥‥‥ウゥゥ、いざ、神成 刹那の家に来ると緊張が‥‥‥‥」
ブオンッ!
「へ?ブオンッ?!‥‥‥ですか?何でしょう?この変な模様の絵は?‥‥‥‥」
‥‥‥ズズズ‥‥‥‥シュンッ!
その時の俺はまだ、知らなかった。今回も地球の知り合いの一人を異世界へと一緒に連れて行く事になってしまうなんて、全く予想だにしなかったのだった。
そして、エウロペ大陸・際南の地‥‥‥‥火炎の国〖フノス〗へと転移する事になるとこの時の俺達は予想だにしていなかった。
◇◇◇◆◆
「ギャオオオ!!!感じるぞ。俺の領域へと来る何者かの気配!!!領域に無断で入るというのならばこの火の化身が焼き焦がそう!!!‥‥‥来るなら来てみろ!!姿を隠し宿敵よっ!!」
『ラグナログ(神々の黄昏)』・大アルカナNo.19〖太陽〗(片割れ)‥‥‥〖スヴァローグ・イグニッション〗
火神の末裔が待ち受ける‥‥‥‥‥
明日からフレイヤ地方編になります。
よろしくお願いいたします。
最後になりますが良ければ、ブックマーク&評価など頂ければ嬉しいです。私の書く意欲になりますので良かったらお願いいたします。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました!