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居ないよ


神無月 恵 委員長のとのギクシャクとした関係は終わりを告げ。それと同時にフラれてしまったという結末で俺達の話し合いは終わったのだ。


そして、委員長と二人で夜の森を静かに帰り、静かな道を無言で歩いていた。


「あっ!ここで良いわよ。神成君‥‥‥‥私の家、彼処だし‥‥‥‥使用人の人に君と一緒に入るのを見られると色々と勘違いされるしね」


‥‥‥‥‥貴方ではなく君か‥‥‥‥‥まぁ、苦手な人と言われたんだ。呼び方が多少変わっても可笑しくはないか。無いが‥‥‥‥やはり心には少し突き刺さるものがあるんだ。


「あぁ、それじゃあ、ここでさよならだな。委員長!今までありがとう。また、休みの日に会おう。お休み」


俺は感情の揺れるのを彼女に悟られない様に必死に取り繕う。


「うん‥‥‥‥今までありがとう‥‥‥‥さようなら。神成君‥‥‥‥お休み」


委員長はそう言って小走りで自分の家へと向かって行った。


「さようなら‥‥‥‥か‥‥‥‥そんな別れの最後の言葉、聞いたのは別れたセフィーロ以来だな‥‥‥‥」


久しぶりに俺の鈍感な感情が大きく揺れている。


「落ち着け‥‥‥落ち着け‥‥‥感情を切り替えろ‥‥‥何時もの様に切り替えろ‥‥‥‥大丈夫だから落ち着け‥‥‥」


俺は俺、自身に言い聞かせる。感情を切り替えろ。心を保ても自己暗示をかける‥‥‥‥かけるがやはり今回の事は心には杭を打たれた様な、強い激痛と衝撃が俺の心を痛めつける


「〖オアシス〗でパーシヴァルが言っていた通りになるとはな‥‥‥‥」


(責任とかじゃないですよ!ナルカミさん。気持ち!大切なのは気持ちですよ!相手の方がどれだけ貴方を好きでも時が経てば薄らいで行くもの‥‥‥‥その薄らいだ気持ちを埋めてくれるのはその時、一番近くで支えてくれた誰かなんですよ!分かりましたか?ナルカミさん)


あの時のパーシヴァルの言葉が俺の脳内に響き渡る。


「後悔先に立たずか‥‥‥‥‥今回、白兎も絡んでたし、二頭追うものは一頭も得ずにもなるのか?‥‥‥‥つうか親友ってなんだよ委員長‥‥‥‥もう、心がぐちゃぐちゃだな‥‥‥‥ハハハ‥‥‥‥笑えねぇ‥‥‥‥‥はぁー、家に帰るか。幼女達もそろそろ起きそうだし、今日は簡単なパスタでも作ってやり過ごすか‥‥‥‥‥今日は本当に色々あって疲れたな」


長い独り言の後に俺はゆっくりと自分の家へと歩き始めた。


朝はアヤネの家に行って。ルアとアヤネを会わせ。アヤネの断末魔を聴きながら天王洲家を後にし、夕方には可憐ちゃんと共に幼女達の新しい服選びで楽しいみ、夜は〖怪異〗に追われ、〖大蛇〗の闘いに魅せられ、〖因幡の白兎〗か〖白蛇〗に変わるのを見届け。委員長に森の洋館に拉致され、そこでお互い謝り、和解、フラれて意気消沈して今に至っている。


これが一日で全部あった出来事。

とぼとぼと疲れた足で歩く‥‥‥‥‥無力に歩く。

現在の時刻を確認する為にスマホの画面を見る。


「20時50分か‥‥‥‥新居も近いが、一度実家に顔を出しとくか‥‥‥エスフィールと星奈が入るか確認しに行くか。魔法世界アリーナから帰ってきた時は実家に誰も居なかったからそのまま新居に帰って二人に会っていなかったんだったな‥‥‥‥‥」


とぼとぼとまた歩く‥‥‥‥‥。


そして、もう少し歩き実家に着けば、魔法世界アリーナに行ってから会っていなかった人達に会える。


数ヶ月振りに声が聞けるんだ。


勝手に魔法世界アリーナにアヤネと委員長を連れて行ってしまった事を怒られると思ってこの数日様子を伺う為に二人にはあえて連絡をいれなかった。


君に久しぶりに会いたいんだ‥‥‥‥エスフィール。勝手なのはわかっている‥‥‥‥だけど今の俺のこの沈んでいる心のうちを君に聞いて欲しいんだ!


‥‥‥‥‥少し歩く速度を早めて歩く。もう少しで実家に着く。


宿敵だった魔王様と大切な義妹に会い。ルアとアナスタシアを二人に紹介して、《今度は幼女を誑かしたのか?!》とか言われて。何時もの様に君に怒られるそんな情景が俺の頭の中に勝手に浮かぶ。


もう少しで‥‥‥‥もう少しで実家に着く。


後、数歩‥‥‥‥後、一歩で君に会える。


‥‥‥‥‥あぁ、やっと着いた。数日振りの実家へ。


夜も遅いし、いちをスマホで星奈に電話して玄関の扉を開けてもらう事にしよう。


‥‥‥‥‥プルプルプルプル‥‥‥‥ピッ!


(もしもし?兄さん?何?こんな夜遅くに?)


「悪い。今、実家の玄関口に居るんだ‥‥‥‥扉を開けて家の中に居れてくれないか?」


(もうっ!数日間。プラプラしてたと思えばいきなり帰って来て!妹使いが荒いのよ。兄さんはっ!)


電話越しに義妹の怒る声が聴こえ来る。あぁ、随分と懐かしいやり取りに感じてしまうな。


「あぁ、済まない。星奈」


(ハイハイ。今、待ってて鍵を開けに行くから‥‥‥‥)

パタパタパタパタ‥‥‥‥‥。


スリッパを履いて玄関口に移動する星奈の足音が玄関口に聞こえて来る。〖聖抜祭〗の不祥事の影響で寮から帰って来ていたのだろうか?実家に居てくれて助かった‥‥‥‥エスフィールはもう眠っているのだろうか?


ガチャッ!


玄関の扉の鍵が開く。


「もうっ!こんな夜遅くに何処に遊びに行ってたのよっ!最近、ここら辺で変な鈴の音色が夜な夜な鳴る、とか噂になってるんだから。夜は出歩かないでよね。お兄ちゃんっ!」


「あ、あぁ、ゴメンよ。星奈‥‥‥‥」


寝間着姿の星奈が扉を開けてくれた。そして、頬を膨らませながら俺に文句を言ってくれる。

あぁ、何か懐かしいな。このやり取り‥‥‥‥本当に懐かしく感じる。


「たくっ!‥‥‥‥さぁ、中に入りなよ。お兄ちゃん、最近は変な事が起こりやすいんだからさぁ‥‥‥」


「変な事が起こりやすい?‥‥‥‥なんだそれ?」


「‥‥‥‥‥ううん。何でもない‥‥‥それよりはお帰り。お兄ちゃん‥‥‥‥なんか?疲れきってない?」


「今日は色々、あったんだよ‥‥‥‥」


「ふーん。色々ね」


「あぁ‥‥‥‥色々な‥‥‥‥そんな事より。エスフィールはもう寝たのか?それともリビングの方で寛いでるのか?」


「へ?‥‥‥‥いやいや、お兄ちゃんと一緒に居たんじゃないの?」


「は?俺と?‥‥‥‥いや、暫くエスフィールとは会って無かったけど‥‥‥‥俺はてっきり星奈達と一緒に入るのかと思って‥‥‥‥」


俺の心はざわつき始めた。


「何それ?‥‥‥‥お兄ちゃんと一緒に居なかったユナさん。何処に行ったのよ?お兄ちゃんと一緒に居ないなら‥‥‥‥ユナさん」


「‥‥‥‥‥‥なんだよ。星奈。何が言いたいんだ?」


「私の所にも居ないなら‥‥‥何処にも居ないんだけど?何処に行ったの?‥‥‥‥ユナさんは?」



星奈のその発言を聞いた俺は頭が真っ白になった。



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