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神成と神無月は話し合う 最終話 苦手だったの

今回は少し、重めの話しになります。


すみません。


「神無月流‥‥‥剣技‥‥‥‥『手刀赤霰しゅとうせきせん』」シュンッ!


俺と目線を交差していた委員長がいきなり魔道札の結界に手刀を放った。だが、魔道札・『神気聖縛の牢』はびくともし無い。


「痛うぅ‥‥‥‥あれを練り込んだ攻撃なのにびくともしないなんて‥‥‥‥悔し‥‥‥」


「神気聖縛の牢』は〖魔力〗で作った結界だぞ。〖神気〗では〖神秘〗は破れても〖魔力〗は破れないんだ‥‥‥三竦みってやつだな」


「‥‥‥‥‥三竦み?何よそれ?」


「〖神秘〗は〖魔力〗に強く〖神気〗に弱い。〖神気〗は〖神秘〗に強く〖魔力〗に弱い。〖神秘〗は〖魔力〗に強く〖神気に〗弱い。まぁ、火、水、草タ○プの関係と言えば分かりやすいか?」


(いいえ、ご主人様。とても分かりづらいたとえだと思います)


「‥‥‥‥そうか、世代ではないんだな。ウリエルは‥‥‥‥」


(いいえ、私は神話時代から生きているのですが)


「そうか‥‥‥‥このネタも通じないんだな」


「何をさっきから一人でぶつぶつと喋ってるのよ。独り言を言ってないで私をここから出して、潔く男の娘に生まれ変わりなさい。神成君」


ウリエルは俺の精神世界に入る。委員長にはウリエルの声は聴こえてきない。それならば俺が独り言を言っているヤバい奴に見えても可笑しくないか。


「誰が生まれ変わるかよ‥‥‥‥委員長とアヤネがセレス女学院に編入する羽目になった事は俺にも原因があったのは分かるが‥‥‥何で俺まで女装して一緒に編入しないと行けなくなるんだよ。意味が分からないぞ」


「許可ならもう、取ってあるわよ。セレス女学院のOBである貴方のお母さんとアヤネのお母さんにね。二人共、面白そうだから良いんじゃないとか言ってたわよ。良かったわね。女装できて」


「‥‥‥‥なん‥‥‥だと?‥‥‥‥少し待っててくれ」


プルプルプルプル‥‥‥ピッ!


(もしもし、刹那か?久しぶりじゃな?こんな夜、遅くにどうしたのだ?)


「もしもしっ!お祖父様また、母さんが暴走しそうなんです!はい!俺に危害が‥‥‥かくかく然々で‥‥‥‥そうなんです。助けて下さい!俺の大好きなお祖父様!!」


(ズキューン!!‥‥‥‥分かった。ワシのバカ娘にはキツイお灸を据えておく。この八角 刹龍に任せておけっ!)


「ありがとうございます!では、さようなら。大好きなお祖父様!」


ピッ!ツゥーツゥーツゥーツゥー‥‥‥‥。


「は?貴方、今、誰と電話をしてたの?‥‥‥八角 刹龍って‥‥‥もしかして八角家の家長に連絡したの?」


「あぁ、俺の母さんのお父さん。つまり俺のお祖父様八角 刹龍に電話した。これで俺のセレス女学院編入の話しも無くなるだろうな。委員長」


「ひ、卑怯よ。〖花鳥十二家〗のNo.2に連絡するなんて。そんなのチートよ!チート!チー○ーよ!」


○ーターよって!何処のキバ○ウさんだよ。委員長。


「‥‥‥‥‥まぁ、ふざけたやり取りもここまでにしておこう‥‥‥‥‥先ずは謝るよ。魔法世界アリーナで君に過度なストレスを与えて、情緒不安定にさせてしまった事、君の心の変化に気がついていたのに放ってしまっていた事を謝る‥‥‥‥本当にごめん」


俺は委員長‥‥‥いや、神無月 恵の瞳を真剣に見ながら謝罪の言葉を述べた。


「何でいきなり真面目な顔で謝るのよ‥‥‥そういう所で女の子が勘違いするんだって少しは自覚しなさいよ」


委員長はそう言うと赤面しながら俺から目を反らす。


「自覚?‥‥‥‥君はセシルス王子を好きになったんじゃないのか?テレシア大聖堂に居た時なんて、夜中あんな事をしてたんだし」


「ちょっ!私達のあれを見てたの?!‥‥‥‥この変態っ!覗き魔!!」


「いや、あれが始まる前に俺はそっと扉を閉めて見なかった事にしたんだぞ‥‥‥‥つうか、セシルスは本当はあれで‥‥‥‥委員長も女の子だから‥‥‥‥‥うん。おめでとう」


「何がおめでとうよっ!お陰で両想いよ。そうっ!テレシア大聖堂の熱い夜のあれの両想いよ!でも残念だったわね。こんな美少女の私にフラれるなんてっ!可哀想な神成君」


委員長は半泣きになりながら、俺を見る


「‥‥‥‥‥‥あぁ、とても残念に思うよ‥‥‥‥でも、セシルスは本当は‥‥‥‥」


「止めてっ!それ以上は言わなくて良いから!聞きたくないから!真実を知りたくないの。私、自身がノーマルからアブノーマルに生まれ変わった事実を受け入れられないのよ!!!」


「‥‥‥‥‥いや、マジでセシルスの事が好きになったのかよ?‥‥‥‥まぁ、恋愛は自由。色々な形があるしな。しかも魔法世界アリーナじゃあ、異種族同士の結構なんて当たり前にあるから別に全然可笑しくないか‥‥‥‥うん。おめでとう。委員長!俺は二人を陰ながら応援してるからな。フラれた身として、君達がガリア帝国の教会で式をちゃんと挙げられるようにできる範囲で協力してやるからさ‥‥‥‥」


「長台詞を言いながら笑いを堪えるの止めてくれない?‥‥‥‥‥‥はぁ、もう受け入れるわ。色々とね‥‥‥正直、私、貴方が凄く恐くなちゃったのよ。神成君」


「‥‥‥‥‥‥恐くか」


「そうよ‥‥‥‥‥悪人だったとはいえ、人は○めるし‥‥‥‥こんな洋館よりも大きな魔獣にも怯まないで倒しちゃうし‥‥‥‥建物も平気で壊す‥‥‥‥地形も変えたり‥‥‥‥‥あんな強かった〖星〗〖教皇〗とか言われてた人達も倒しちゃうし‥‥‥‥‥私、もう貴方には付いてけなくなちゃったのよ。あの旅で分かったわ。貴方は異常よ‥‥‥‥心も‥‥‥力も‥‥‥‥能力も‥‥‥私には理解できない得体の知れない怖い人に変わってしまったのよ。神成君」


「‥‥‥‥そうか。だから君は俺を‥‥‥」


「えぇ、そう。私があの旅の最後らへんで貴方を避けていたのは貴方への恐怖心と‥‥‥‥嫉妬心の表れだったってことよ。どう?年相応の反応だと思わない?‥‥‥‥だって私、まだ十四歳の中学生なのよ。神成君みたいな本当は強くて怖い人とどう接すれば良いかなんて分からなくなるのは当たり前だと思わない?」


「‥‥‥‥‥あぁ、思うよ‥‥‥‥思う。俺が逆の立場だったら、委員長みたいな反応をしていたと思う」


「思うか‥‥‥‥‥それは嘘ね‥‥‥だって貴方が私と同じく立場だったのなら、全力で強くなろうとするんでしょう?‥‥‥‥どんな手を使っても強くなろうとね。貪欲に強い魔道具や霊獣を従えて強くなろうとする筈よ‥‥‥‥今の貴方の様に色々なモノを犠牲に強くなると思う」


「‥‥‥‥‥‥‥」


あぁ、それはアヤネや地球に住む家族に会う為に必死になっていたから手に入れた力(犠牲)だ。


「そんな、何でも犠牲にする人を盲信的にまで好意を抱いてられると思う?ずっと見ていられると思う?」


「‥‥‥‥‥‥‥」


‥‥‥‥‥少なくともアヤネやエスフィールは俺を見ていてくれると勝手に思っているよ。


「だから、私は貴方に恐怖と嫉妬を向ける事しかできなくなってしまったの‥‥‥‥‥こんなメイクセットを持って貴方を女装させようなんて可笑しな行動も心が変になっている証拠よね‥‥‥‥‥」


「‥‥‥‥‥‥」


俺はヘファイストス地方とヘスティア地方で神無月 恵を死なせない為に必死になっていただけだった。その必死に頑張った結果。彼女を無傷のまま無事に地球へと返す事ができた。できたが‥‥‥‥それ彼女の心を傷つける事になってしまったとは思いもしなかった。


「‥‥‥‥‥キツイ言葉ばかり言ってしまってごめんなさい‥‥‥‥もっと早く貴方に抱く恐怖心や嫉妬心に気がついて相談してたら、私が貴方を苦手にならなかったのかも知れないわ‥‥‥‥‥魔法世界アリーナでは、私達を‥‥‥‥ううん‥‥‥私を守ってくれてありがとう。大好きでした‥‥‥‥‥神成 刹那‥‥‥‥‥私の初恋の人‥‥‥‥‥」


「‥‥‥‥‥‥」


言葉が出ない‥‥‥‥‥俺はフラれたのか‥‥‥‥‥いや、フラれたというか‥‥‥‥怖い‥‥‥‥委員長にとって苦手な人になったと言うだけの事か?

今から振り替えれば前兆はあったじゃないか‥‥‥オアシスの祭りの時、ヘル・デアでの別行動、ロマ・テレシアでの微妙な反応‥‥‥‥彼女の心が疲弊していく‥‥‥‥気付いてやれる場面はいくらでもあったんだ。


俺はその全てを見逃した‥‥‥‥いや、ない様にしていただけなのだろう。その結果がフラれたということか‥‥‥‥納得した。納得させる様に心を切り替えよう。


「あぁ、此方こそこんな俺を好きになってくれてありがとう‥‥‥‥‥ちゃんと言葉で伝えてくれて嬉しかったよ‥‥‥‥恵‥‥‥‥君と過ごせた数ヶ月間。本当に楽しかった。感謝してる」


「そう‥‥‥私、貴方もそうなの‥‥‥‥良かったわ。色々と伝えたい事が伝えられて。良かった‥‥‥‥‥」


「そうか‥‥‥‥」


「私、貴方のそういう感情の切り替えの早さが凄くイヤだったのよ。機械じみてるし‥‥‥‥でも今なら分かる。そうしないと‥‥‥‥冷酷になって、私達の様な仲間を守る為にずっと戦って来たんだなって。やっと分かったの‥‥‥‥‥もっと早く分かっていれば、貴方を苦手にならないで済んだかもしれないわね」


「‥‥‥‥もしもの話しは止めよう。委員長‥‥‥‥〖ケレス女学院〗の編入の事は本当に済まなかった。アヤネの事‥‥‥‥見守ってやってくれ‥‥‥‥親友」


「‥‥‥‥親友か‥‥‥‥‥えぇ、分かったわ。約束する。アヤネは私がちゃんと見守ってやるやわよ‥‥‥‥‥親友」


「あぁ、ありがとう。神無月 恵」


「‥‥‥フン。私。貴方のそういう所が苦手なのよ‥‥‥‥‥だから、好きになったんだけどね‥‥‥‥言いたい事も言ったし仕返しももう良いわ。。こんな森の洋館に連れてきて本当にごめんなさい‥‥‥‥夜も遅いし‥‥‥‥一緒に帰りましょう。親友の神成 刹那君‥‥‥」


「そうだな‥‥‥‥帰ろう。委員長」


キイィィ‥‥‥ガチャッ!


委員長‥‥‥‥いや、神無月 恵と俺は静かに神無月の館を後にした。


森の中は静かで月明かりに森の道は照らされていた。


男女二人だけのなのに終始無言で森を歩く。


静かな間に最早、恐怖心や嫉妬心は垣間見える事は無いだろう。


‥‥‥‥‥俺と委員長とのギクシャクした関係は終わった。終わったが、それは新たな関係になっただけ。


清らかで甘ったるい関係ではない。この先の関係に‥‥‥‥男女の特別な感情入り乱れる関係ではない親友と言う関係になっただけ。


俺に後悔は無い。薄々は気付いていたからだ。勿論、委員長にも無いのだろう。


若い男女は何事も起こらず静かに帰る‥‥‥‥特別な関係が終わり。明日からの新たな関係に思いを馳せながら。静かに帰るのであった。



神成と神無月は話し合う編




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