大蛇と怪異 No.1 黒蛇の帳
前回の最後の主人公や〖八岐大蛇〗のセリフに登場した〖妖怪〗という単語を〖怪異〗に統一致しました。
ご迷おかけします。
また、昨日から登場させました、鈴彦姫は、鳥山石燕の『百器徒然袋』にある日本の妖怪鳥山石燕に絵がかれた妖怪です。
天岩戸のなかに隠れた天照大神を引き出すために活躍した女神・アメノウズメがモデルとされています。
夕闇の〖神無月神社〗‥‥‥‥
「〖大蛇〗?!‥‥‥‥何でこのタイミングで現れた?」
「へ?大蛇って‥‥‥‥何時も魔法の袋の中(黄金の宝物庫)の中で酔っぱらってる人?」
「あの金持ち娘の屋敷を出た時から警戒はしていたさ。新しき主よ‥‥‥‥此方の世界に戻れば、新しき主は魔力が使えぬ弱き人に戻るか。迷い混んできたのか、命じられてか知らぬが‥‥‥‥我を倒した主は殺させぬわ。鈴彦姫」
「和国の西、〖蛇烙魔殿〗の地を荒らしに荒らした大罪の黒龍が何をほざく?‥‥‥‥この世界にはたまたま迷い混んだまでの事‥‥‥だから邪魔はするなよ。列島の神」
シャランシャラン!
「‥‥‥‥また、嫌な鈴の音が‥‥‥‥何なのよ。あの不気味な姿は‥‥‥うぅ‥‥‥私、妖怪と幽霊って駄目なのに‥‥‥うぅぅ‥‥‥グスン‥‥‥」
何時も強気な委員長が泣き初めてしまった。無理もない、顔は様々な大きさの鈴がついており、その鈴一つ一つの穴から奇怪な目が此方を凝視している。
そして、手は大小合わせて計六本の存在し。その全ての手に奇怪な扇子を持っていた。
「鈴の〖怪異〗が何をほざくか‥‥‥‥〖樹海〗が言っていた。〖ラグナログ(神々の黄昏)〗の仕業か?‥‥‥‥〖鳴神〗や〖天照〗がまだ健在だからと放っておいたが。まさか此方へ渡って来るものが出てくるか‥‥‥‥」
「何だ?お前。威勢良く現れたと思ったが‥‥‥見せかけだけか?ハハハ!!ならばお前の力もこの彦のモノに!!!‥‥‥ハハハ!!!『鈴の掴み』」
鈴彦姫はそう叫ぶと自身の最も大きい右腕を〖大蛇〗目掛けて放った。
「‥‥‥‥出入口は此方から我が塞ぐか‥‥‥‥邪魔をするな三下‥‥‥‥今、我は色々と考えておるのだ。止まっていろ!!『草薙の小太刀』」
〖八岐大蛇〗が右手を少しだけ動かす。すると無数の真空刃が生まれ、その全てが鈴彦姫の大きい右腕を無惨に切り刻むのだった。
「ギャアアア!!!彦の自慢の腕がああぁぁ!!!」
「だから、邪魔をするなと言ったのだ‥‥‥‥悪いが貴様の記憶は我が使う。」
「ハハハ。何を勝手な言葉を言うんだ?‥‥‥‥よもや、列島に〖大蛇〗も〖月詠〗も〖○○○○○〗も居ない。〖天照〗はもうじき封印されるんだ。消えろや、消えろ。〖七原龍〗共‥‥‥‥‥だから、彦は此処から立ち去ろう。立ち去り新たな力を付けよう‥‥‥‥全ての魔力持ちを餌にして。ハハハ!」
「貴様のその言葉‥‥‥‥成る程‥‥‥〖月詠〗が欠けたのか。それは少し均衡が崩れただろう‥‥‥‥そして、貴様は何処に行く?三下〖怪異〗‥‥‥‥この〖八岐大蛇〗が目の前で逃がすと思ったか?神話魔法は情景に干渉する‥‥‥‥神話魔法‥‥‥‥『黒蛇の帳』」
シャラン!シャラン!
「ハハハ!逃げるのは得意なんだよ‥‥‥‥力を付けたら、また、襲いに来るぞ。上質な贄の‥‥‥‥?!何だ?この景色は?」
‥‥‥‥‥〖神無月神社〗内の空間全てに黒蛇が這い回る。〖黒蛇の帳〗が神無月神社の弱き結界を抜け、日本の情景、風景の全てに干渉する。干渉するが‥‥‥‥地球に住まう極少数の者達以外の人間は何も気づかない。
「此処‥‥‥地球よね?何であの人〖魔法〗を使えるのよ?」
「〖大蛇〗‥‥‥‥それに〖アナスタシア〗は神だ。神は全てを凌駕する。地球に居ようが関係ないんだ。神々は何処に居ようと自身の力を行使できるんだ」
シャラン!シャラン!!シャラン!!!
「何だ?何が起きている?‥‥‥‥何で彦は逃げられない?」
シャラン!シャラン!シャラン!
〖神無月神社〗の境内に鈴の音が激しく鳴り響く。
「クハハハ!!本当はこの力を魔力無き、新しき主に向けたいのだがな‥‥‥‥〖天上の理〗へと祝詞を告げられている身でな。逆らえないのだ」
「逆らえない?ハハハ!!何を馬鹿な。こんな出鱈目な力を持っていながら。何を馬鹿な言葉を述べる?黒龍!!!」
「昔の新しき主は強かった‥‥‥‥それに負けたまでだ。回廊は貴様の中か?‥‥‥‥刃を三つ用意しよう‥‥‥三つの太刀を振るってやろう‥‥‥一つは〖結封の太刀〗で彼方と此方を閉ざしてやろう‥‥‥‥二つ目の太刀〖呪詛返しの太刀〗‥‥‥貴様の導き手に深傷を渡そう‥‥‥‥そして、最後の〖封解の太刀〗‥‥‥〖月詠〗の封じ手を消してやろう」
シャラン!
「何を長々と口ずさむ?そちらが来ないなら、彦の音色を‥‥‥‥」
「原始‥‥‥‥‥‥回帰‥‥‥‥‥‥『三種の神切・八岐・草薙の大太刀』」
スンッ!スパアァァンン!!!
「ギャアアア!!!‥‥‥‥は?彦の身体が切れて無い?」
七原龍・黒龍‥‥‥‥‥神の‥‥‥‥‥非常な三太刀が彼方側の者へと放たれた。
「‥‥‥‥これで此方の世界には干渉できなくした‥‥‥‥〖八岐大蛇〗の新しき主に手を出したのだ。それ相応の報いは受けろよ‥‥‥‥和国の〖蹂躙者〗よ」
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魔法世界〖列島大陸〗・帝都
シュンッ!‥‥‥‥ズバアアアンンン!!!!
ドガアアアアンンン!!!
次元空間が突然、裂かれ。ある人物に〖八岐大蛇〗の大太刀の一振が切り刻まれた。
「何だいきなり?〖帝〗様!お怪我はありませんか?!!」
「‥‥‥‥あぁ、ありがとう。〖大嶽丸〗‥‥‥‥‥全く。大切な親友の〖教皇〗が殺られたから仕返しにと思って送り付けたんだけどね‥‥‥‥まさか逆に返らせるとは思はなんだ」
「何故、その様な事を?お陰で彼方と此方かこちらを繋ぐ〖道〗が閉ざされましたぞ。若」
「だから、親友の為だって。〖滑瓢〗‥‥‥‥〖教皇〗‥‥‥アトス、程の強い男を倒した者がどれ程か気になったんだよ‥‥‥フフフ、この傷じゃあ、暫く動けないや‥‥‥油断したー!」
「あらあら、ほんに‥‥‥‥エグい傷でありんす‥‥‥‥」
「そう思うな、早く治癒を始めろ。鈴鹿」
「はいはい‥‥‥総大将はせっかちで困りますなぁ~、〖帝〗はん‥‥‥‥」
「それが彼の良いところだよ。鈴鹿さん‥‥‥‥痛たた‥‥‥暫く西の地には進行できなくなったね。全く、封印した筈の〖月詠〗まで復活させるとはね‥‥‥‥流石は〖代理人〗が欲しがるだけの事はあるよ。〖八岐大蛇〗さん」
‥‥‥‥〖ラグナログ(神々の黄昏)〗・大アルカナNo.4 『皇帝』・『和国・帝・〖●●●●●●〗』
「フフフ、ゆっくりと着実にやろうか。〖列島大陸・和国〗の統一を‥‥楽しみながらね。そして、全ての龍は封印する」
「「「御意に‥‥‥‥‥‥全ては〖帝〗の仰せのままにっ!」」」
列島の覇者が現れる‥‥‥‥‥‥‥。