アヤネとルアの道 最終話 殊塗同帰
数十分前の〖天王洲邸宅〗地下迷路
古き祭壇跡の部屋
(何だ?この地下は‥‥‥‥まるで迷路だな。セツ)
(あぁ、遥か昔からこの地を納めている天王洲家が代々管理してるらしいぞ。俺とアヤネ‥‥‥‥永久と三人で良くかくれんぼの場所に使ってたからな。地下の地図もほれっ!)
俺はそう言うとアナスタシアに古びた手帳を渡した。天王洲家に行く‥‥‥‥気軽な気持ちで来たとはいえ、何をされるか分からない為。脱出の際はこの地下迷路から、外に出る為の幾つかの出口を利用し。天王洲家から脱出する為に昔、遊んでいる時に書いておいた地下迷路の全体図が書かれた手帳を持ってきておいたのだ。
(地図?‥‥‥‥おぉ、詳細に書かれた地下の地図を持っていたのか?‥‥‥ん?この場所は?)
(ん?どうした?アナ)
(いや、丁度。今、居る此処‥‥‥特にあの祠だがな)
アナスタシアはそう言うと古そうな祠みたいな場所を指指した。
(あぁ、あれは天王洲家が崇めているとか言う。『天照』の祠とかいうやつで。今でも月に一度は祝詞とか言うのを捧げてるんだ。何だ?何かあるのか?アナスタシア)
(『天照』は魔法世界の七原龍の一角だぞい)
(七原龍?『鳴神』様や『大蛇』の仲間ってことか?)
(そうだ。『◯◯◯◯◯』『鳴神』『●●●●』『八岐大蛇』『月詠』『天照』『◯』の七体の神龍が列島大陸を守護している‥‥‥‥そのうちの一体がその『天照』だ)
久しぶりに聞いたな。列島大陸の七つの原竜たる〖七原龍〗の名前。
シュンッ!
(ヒック‥‥‥何だ?久方ぶりに懐かしい気配を感じたが‥‥‥‥魔力残滓だったか?‥‥ヒック)
(〖大蛇〗?)
(〖八岐大蛇〗?貴様、何故、出てきた)
(これは、これは新しき主、久しぶりだ。ヒック‥‥‥‥同郷の気配が感じればひょっこり顔も出すぞ。アナスタシア‥‥‥‥)
(あぁ、そうか、酒飲みの蟒蛇がぁ)
(よせよせ、そんな褒め言葉嬉しくなるだけだぞ。ジャララ‥‥‥‥あっちとのパスはもう無いな‥‥‥‥)
(そうなのだ。どうする?開くか?〖八岐大蛇〗)
(いやいや、平和な此方の世界に厄災を繋げてどうする‥‥‥‥化物共が暴れるのは彼方の世界だけで十分よ‥‥‥‥資格の有する者だけの特権とするか。例えばあの新しき主の嫁気取りの感に障るおなごとかな‥‥‥‥)
(〖天照〗に近し者か?‥‥‥‥まぁ、本人に言わなければ問題無いし、此方から喚ばなければ来ることも無いか‥‥‥‥ケレス女学院‥‥‥‥【地聖七星】・デメテルときたか‥‥‥‥ラファエルよっ!)
(はいっ!此処にっ!)
(‥‥‥‥私達。二神の頼みを聞いてくれ。『天照』の関係者と見える天王洲家の娘に暫く加護を与えてやれ‥‥‥それと見守っておいてもな‥‥‥)
(は、はいっ!アナスタシア様)
(‥‥‥‥‥セツよ。これで良いか?‥‥‥色々と巻き込んで悪いがな)
アナスタシアはそう言って俺に頭を下げた。
多分だが、天王洲家は七原龍・〖天照〗の関係者か何かなのだろう。そして、それにより今後、発生するかもしれない荒事を危惧したアナスタシアはこの短時間で色々と考えたということか。
(あ、あぁ、宜しく頼む。アナスタシア)
(宜しく頼むか‥‥‥深入りして聞かぬは良き事だな‥‥‥‥さて、どうする八岐大蛇。この祠‥‥‥‥)
(彼方で何かあった時の脱出口にでもするか?‥‥‥‥ヒック‥‥‥‥此方からは入れないまでも、あっちの世界には魔力があるからな‥‥‥今後の戦に備えて新しき主、意外の帰る手段の一つとして良いかもな‥‥‥‥神鏡もこのまま放置していては危ないぞ。〖神秘ある悪意〗がこの地球にも現れるかもしれんしな‥‥‥‥ヒック)
(‥‥‥ならば、偽造し偽物の神鏡を作るか?‥‥‥‥そして、本物のこれはセツに保管してもらう)
(妥当だな‥‥‥‥ヒック‥‥‥‥第一〖天照〗の気配も弱まっている‥‥‥‥『ラグナログ(神々の黄昏)』共は大分、しつこい様だな)
(それであの娘に試練を与えたの?‥‥‥‥まぁ、良い。まだ時間はある。あの娘を修行させる時間がな。デメテルは厳しくも優しい神だ。アイツになら任せられる)
(ヒック‥‥‥‥決まったんなら。止まりの帳を敷くぞ‥‥‥‥ヒック‥‥‥‥『回路・絶』)
ズズズズ‥‥‥‥。
(あぁ、分かった‥‥‥『氷・列決』)
パキンッ‥‥‥‥。
(フム、終わったな。では、新しき主。またな、『神鏡』は我が持って行く‥‥‥‥『黄金の宝物庫』内に入れば後は勝手に例の場所へ向かうだろうよ。ではな)シュンッ!
(‥‥‥‥‥久しぶりに会ったと思ったら、鏡を持ってもう帰っちまった‥‥‥‥〖大蛇〗の奴)
(カハハハ!昔からあんなんだぞ。あやつはな‥‥‥‥偽造の鏡は此処に残そう。道標にもなるしな)
(道標?)
(セツ、意外にも帰る道を一つ造っただけの事よ。まぁ、何れ分かる‥‥‥天王洲‥‥‥〖天照〗‥‥‥‥ケレス女学院‥‥‥デメテル‥‥‥全てが枝分かれし一貫して関連が無いのかもと思うがな。何れは全てが繋がって来るだろうよ。その時にな)
(その時‥‥‥‥)
俺は少し理解が追い付かないでいた。まるで神々に俺やアヤネの人生が決められていく様に感じてしまったからだ。
(セツナ‥‥‥‥)
そんな俺をラファエルは心配そうに見つめている。
(カハハハ!雰囲気を出し過ぎてしまったか?まぁ、簡単に言えば、セツの大切な変態お嬢様に試練を与えるんだろう。そして、時が来れば変態お嬢様も強くなるということだ。これ以上は〖上〗がキレるから教えてられんがな。カハハハ!)
それ以上。踏み込めば『教皇』アトスの時の様に何かしらにペナルティが来るってか?‥‥‥‥成る程。
〖天上の理〗は俺の元恋人も何かに巻き込もうとしてるって事か。そして、何かを察した天王洲家の人達がアヤネをケレス女学院に避難兼修行に行かせる事を決めた?‥‥‥‥いや、其処までは考えすぎか?
(そうか‥‥‥良く分からんが‥‥‥色々と考えて、対策してくれたんだな。アナスタシアと〖大蛇〗は‥‥‥‥ありがとう)
(カハハハ!‥‥‥全てを教えてやれないのは難儀だな)
(ラファエルも‥‥‥アヤネの事頼む)
(えぇ、勿論よ。セツナ‥‥‥‥だから〖虚像の写しみ〗がこのタイミングで必要だったのね‥‥‥‥本当にイヤらしい性格してるは創造神は‥‥‥‥)
(カハハハ!そんなの遥か昔からだぞ。ラファエルよ‥‥‥さて、そろそろ〖天照の遣い〗殿を捜索しに行こう。セツにラファエルよ。カハハハ!)
(お、おうっ!)
アナスタシアはそう叫ぶと俺の右手を強く掴み歩き出したのだった。
(あっ!待って下さいっ!アナスタシア様!!!)
▽▽▽▽▽
再び・〖天王洲邸宅〗地下迷路・最新部
「あっ!そうだ!アヤネに最後、会いたいって人が入るんだ?」
「はい?婚姻ですか?セツ君と?」
「‥‥‥違うは変態。〖虚像の写しみ〗で、君の半身役になってくれた聖霊が帰る前にアヤネに挨拶がしたいんだと」
「〖虚像の写しみ〗の聖霊様ですか?」
「あぁ‥‥‥おーいっ!出てきて良いぞ!」
シュンッ!キラキラッ!
(アヤネ様!やっと再開できましたね)
白い球体がと魔法の袋元気よく飛び出して来た。
まるでゼ●ダ伝説丸い球体の相棒キャラクターの様だ。
「貴女が?聖霊様ですか?」
(はい。アヤネ様‥‥‥アヤネ様‥‥‥此方の世界での沢山の体験や素敵な思い出をありがとうございました‥‥‥この思い出を一生の宝物にルベは天上へと帰ります。さようなら)
「ルベ?それが貴女のお名前ですか?‥‥‥‥沢山の体験や思い出ですか‥‥‥‥そうですか。そう言って頂けるとは思っていませんでしたわ‥‥‥私も貴女に多大な感謝を。貴女が私の代わりに過ごしてくれた事で、セツナ君と共に過ごす事ができました‥‥‥‥本当にありがとうございます」
(はいっ!‥‥‥‥良かった‥‥‥最後にちゃんと伝えられて‥‥‥‥レルもあの子にちゃんと伝えられると良いね‥‥‥)シュンッ!
「消えちまった?!」
(此方には魔力が無いもの。契約者と契約を結んでる分けでも無い子が『黄金の宝物庫』から出たら数十秒と持たずにあっちの世界に飛ばされちゃうわ)
ラファエルはそう言っていつの間にか持っていた〖写しみの虚像〗へと手をおいた。
(暫く、力は弱まるから宜しくね。セツナ‥‥‥‥私、アヤネが心配だから付いて行くわね。魔力パスは繋がってるから、何かあったら半身の私に伝えるから。宜しくお願い)
「あぁ、アヤネの事を頼む。ラファエル」
「はい‥‥‥‥半身に成り手‥‥‥守護者となん」
水色の輝きを放ちながらラファエルが光を放ち出した。
すると水色の光は二つに別れ。一つは魔法の袋〖黄金の宝物庫〗へ、もう一つはアヤネの首元へと向かって行く。
シュインッ!
「へ?何でチョーカーに?ラファエル」
(あんたが変態行動をしないか監視の為の首輪よ良かったわね。こんな綺麗なチョーカー(私)を付けて新天地で頑張れる何て。光栄に思いなさい。アヤネ)
「な、な、な、なんですって?これでは私が変態の様ではないですかっ!」
「いや、君は変態だろう。アヤネ」
「セツ君っ?!」
「‥‥‥‥うぃ、ママ。似合ってる!新天地でもそれで頑張れ!‥‥‥‥ルアも神成と一緒に色々、頑張って行く!」ビシッ!
ルアはアヤネに向かって親指を立てて(*^ー゜)b グッジョブ!!のポーズを取った。
「へ?ルアさん?私と共にクレス女学院の初等部に行くのでは無いのですか?」
「誰が‥‥‥‥ルアをあんな百合の花園に放り込むかよ。そうだな‥‥‥‥ルアは暫く俺や星奈が此方の事を勉強させたら。聖豊小学校にでも編入させるか‥‥‥アナと一緒にな」
「カハハハ!マジか?セツよっ!」
「うぃーー!ルア!新天地でも頑張る!神成やママみたいに!うぃーーー!」
俺の話を聞いた金髪幼女と銀髪美少女は喜び始めた。
「そ、そんなぁ、私はてっきりルアさんと共に百合の花園へ収監されるのかと期待してましたのに」
「‥‥‥‥まぁ、これから色々と大変だろうけど頑張れアヤネ‥‥‥‥其処に行けば君は本当の意味で強くなれるよ‥‥‥〖デメテル〗神に宜しくな。アフロディーテ様は元気にやってると伝えといてくれ」ガゴンッ!
「へ?〖デメテル〗神?セツ君それはいったい?どういう事ですか?」
(それについてはあんたが家の人達に捕まってからゆっくりと話してあげるわよ。アヤネ)
「私が‥‥‥捕まってから?」
ガゴンッ!
「おっ!ビンゴ!此処から外に出られるな‥‥‥ルアとアナは俺が外に出るまで魔法の袋(黄金の宝物庫)の中で待機したいてくれ」
「カハハハ!了解だっ!ではな、〖天照〗の○○よ。次、会う時は見違えておれよ。カハハハ!」シュンッ!
「うぃーーー!ママ!ルアも立派に育つ!ママも立派に育て!お互い頑張りゅー!うぃーーー!‥‥‥バイバイー!うぃーーー!」シュンッ!
「そ、そんなぁ!ル、ルアさーん!私を!ママを置いて行かないで下さい。ビリビリ?!ツッ!何ですか?いきなり身体に痺れが‥‥‥‥うご、動けません!」
「アヤネがクレス女学院に行けば。護られるし、強くもなれる。その為に芽愛さん達側近も一緒に連れて行くんだな‥‥‥‥頑張れアヤネ。俺も聖豊中学に残って、可憐な可憐ちゃんや天馬達と楽しく頑張るからな‥‥‥生徒会」
ピッ!ピッ!ピッ!ピッ!
「い、いやです!セツ君!離れたくありません!それにそのピピピと光る物は何ですか?」
「此処の場所を発信器だ。アヤネ‥‥‥‥それにクレス女学院は一週間に一回は実家に帰って来れるんだろう?その時にでも会いに来てくれよ‥‥‥‥俺が居るかは分かんないけどな」ガゴンッ!
俺はそう言って、外へと脱出できる入り口へと入り。蓋を閉める作業に入り始めた。
「ま、待って下さい!!私!このままではお母様に見つかりお仕置きされてしまいますわ」
「‥‥‥‥いや、俺も君のお母様に見付かると拘束されてしまいますわ!だからな‥‥‥‥うん。まだ数週間後に会おう。アヤネ‥‥‥‥あっちでは頑張って生き残れよ‥‥‥‥主に色々と飢えた女子達にだがな‥‥‥‥グスッ!それと、もしケレス女学院で行き詰まったら〖角笛〗を探してみてくれ‥‥‥‥サラバだ元恋人よっ!」ガタンッ!
俺は涙を拭いながら脱出口の蓋を勢い良く閉めた。
「ま、待って下さい!セツ君!!!私も一緒に!!!」
(あー、タイムオーバーね。アヤネ。来るわよ。あの人達)
「タイムオーバー?来るです?」
「あぁ、彼処に居ました!アヤネ様!!!」
「‥‥‥‥お仕置き開始!」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!!!
大量の天王洲家の使用人達が隊列を成して地下迷路の最新部へとなだれ込んで来る。
「こら~!アヤネ!!」
「ひぃ!!お母様!!ビリリッ!身体がチビレリュ?」
(あー、首に付いてる〖契約の輪〗のせいね。セツナもあんたの為に心を鬼にしたのね。御愁傷様)
「いえっ!鬼ババは今、目の前に居ますわっ!」
「誰が!鬼ババですか!皆に心配をかけてっ!お仕置きです!おしりを出しなさい!アヤネ!!!」
「イヤアアアァァ!!!お母様!!!許し下さい!!!」
バシンッ!バシンッ!バシンッ!バシンッ!
地下迷路に響く母の怒声と娘の泣き声。
俺はそれを後ろから聴きながら恐る恐るその場を去り、変態と欲望渦巻く〖天王洲邸宅〗を無事に脱出する事に成功したのだった。
アヤネとルアの道編
終。
今回のお話で七原龍の一神が判明しました。
彼等は物語の後半で活躍する予定なので宜しくお願い致します。
それからもし、宜しければブックマークや評価など頂ければありがたいです。
何時もこのお話を読んで頂きありがとうございます。
この作品の物語ももう少しで約半分位まで差し掛かって来ています!
実は完結までの流れは最後まで出来上がっていますので、完結まで書けるまで頑張って書いていきたいと思います。
本日もありがとうございました!