天王洲邸宅
地球・都内某所〖天王洲邸宅〗
「おぉ、久しぶりに来たな。アヤネの実家‥‥‥‥」
「おぉ‥‥‥‥ここがママの家‥‥‥‥大きい‥‥‥偽物パパの家よりデカイ!」
「パパとか、外で言うなって‥‥‥‥変な勘違いをする奴が出るだろう」
「‥‥‥‥‥?何で?偽物パパ」
「いや、そんな可愛い顔で何でって言われてもな‥‥‥‥‥」
俺と右手に手を繋いでいるルア幼女が眼を輝かせて天王洲家邸宅を眺めている。
‥‥‥‥‥うん。確かにデカイな。つうか、だだっ広い敷地に20世紀初頭のイギリス貴族が住む様な城みたいな家がドーンっと建っている。
つうか、いつも変態的な言動と行動に隠れがちだが、天王洲 アヤネは本物のお嬢様だったことを再認識した。変態ではあるが‥‥‥‥‥いな、最近の変態行動も俺の影響を受けているせいだろうか?いや、俺は真人間なのだが‥‥‥‥‥
再び、友達として振る舞うようになってアイツも色々と複雑な感情が心の中でグルグルと感情が渦巻いているんだろうか?
乙女心は繊細だ。今度、二人っきりになる時間でも作って、色々と聞いてみるか。ヘスティア地方では戦いばかりだったから、最近は余り会話してなかったもんな。
「カハハハ!なんだ。私の城よりもかなり小さいな。金持ちだからと少し期待していたが。対したこと無いな。カハハハ!」
俺の左手の手を握っている銀髪美少女(神)が高らかに笑っている。ウ~ン‥‥‥‥この銀髪美少女も外ではメチャクチャ目立つな。時々、ロシア語でデレたら。さぞかし可愛いアナスタシアさんだろうなぁ。
キイィィ!!ガチャンッ!
そんなアホな事を考えていると目の前の天王洲邸宅の立派な玄関門がゆっくりと開き始めた。
ウ~ン!帰りたい。ノリでアヤネの家に来たけど。
此処に最後に来たのは、確か、天王洲家の現当主の天王洲 扇さんにアヤネと別れる様に頼まれて以来か。
アヤネと別れる原因になった三ノ宮 史郎はこの間の聖抜祭の時、一翠院先輩とのニャンニャンプレイで勝手に自爆していったんだよな。
お陰で、その後の一翠院家と三ノ宮家関係の会社の株は大暴落。日本経済に多少の影響があったとか天馬は言っていたな‥‥‥‥‥俺のせいじゃない‥‥‥‥多分。
そんな、天王洲邸宅の玄関門が完全に開け放たれた。
「「「「「「「「「「「ようこそ!いらっしゃいませっ!神成様!」」」」」」」」」」」
「‥‥‥‥いっぱいの冥土?」
メイドな!ルア幼女。
「なんだ?同じ服を着た‥‥‥‥‥私の新しき世話係か?」
違うわっ!銀髪ロリ神!
‥‥‥‥‥俺は心の中でツッコミを入れた。くそっ!つい日頃の習慣でツッコミを入れまくってしまう。何てサ嵯峨だ。
「‥‥‥‥‥凄いメイドさんの数だな。流石、天王洲家。家(神成家)とはスケールが違うな。まぁ、うちは分家だから当たり前だけど」
「‥‥‥‥いらっしゃい。神成‥‥‥様」
「セツナ様~!何だかお久し振りにお会いした気がします」
彩音の専属メイドの胸が余り無い寧々さんとバルンバルンの芽愛さんが俺達へと近づき、話しかけてきた。うーん、確かに会うのは久しぶりだな。魔法世界を旅していたのがだいたい二ヶ月位だったろうか?
「‥‥‥‥大きいバルンバルン!」
「カハハハ!こっちは対照的に全く無いぞ!ルアよっ!カハハハ!」
「‥‥‥‥‥はい?」
「バルンバルン?ですか?あら~、可愛い子達ですね~」
‥‥‥‥‥‥‥おいやめろ。見た目ダブル幼女共!場が一瞬にして氷付いただろうが。 (主にペッタンコの寧々さんだけだが)
「‥‥‥‥おいっ!お前ら!初対面の人に対して、ペッタンコだとか失礼な事を言うんだ‥‥‥‥」
「ペッタンコ?失礼な‥‥‥‥事?‥‥‥」
「‥‥‥‥偽物パ‥‥‥‥お兄が悪いこと言ってるの」
「カハハハ!本人の目の前で身体的な悪口は不味いぞ。セツよっ!カハハハ!」
「はっ!いや、これは口が滑っただけで‥‥‥‥‥つうか、そんな事言うなら。お前達も寧々さんに対して失礼な発言を‥‥‥‥」
「‥‥‥‥‥処します」シュンッ!
「てっ!危なっ!」スッ!
寧々さんは手刀で俺の首を攻撃してきた。まぁ、これだけ言われれば普通切れるよな‥‥‥‥‥。
「‥‥‥‥‥何故、避けるんですか?神成君」
「いや、普通避けるだろう。そんな痛そうな攻撃‥‥‥‥〖神気〗だろ?それ‥‥‥危うく気絶されられるところだったわ‥‥‥」
「なんだ?こっち世界にも〖神殺しの力〗があるのか?‥‥‥‥厄介だな」
アナスタシアがそう言って俺の近くへと擦りよって来た。まぁ、〖教皇〗アトスとの闘いを経験していればそんな反応にもなるか。
「ちょっと!寧々さん。お客様になんて事をしているのです!」
「‥‥‥‥メイド長〖瑛瑠〗さん」
寧々さんと俺の間に茶髪の女性が割って入ってきた。たしか名前は〖如月 瑛瑠〗とか言う天王洲家のメイド長だったか?眼鏡をかけた年齢は二十代前半位だっただろうか?
最後に会ったのはアヤネと別れる様に呼ばれた時、以来だ。
「お久しぶりです。神成‥‥さん」
「あっ!はい、お久しぶりです。如月さん‥‥‥えっと、何か騒ぎを起こしちゃってすみません」
「いえ、天王洲家のメイドが大変失礼致しました。神成君‥‥‥‥ですが」
「ですが?」
「私の部下である。雨宮 寧々(アマミヤ ネネ)に対する不適切な発言。幾ら神成家の方だろうと許せるものではありません」
「‥‥‥‥‥メイド長。ステキ」キラキラキラキラ
‥‥‥‥‥おや?寧々さんは眼を輝かせながら、如月さんをみている。雲行きが怪しくなってきたぞ。
「いや、俺は彼女に攻撃されてですね‥‥‥‥」
「メイド・寧々の小さい胸に対するコンプレックスへの指摘!許せませんっ!」
「‥‥‥‥‥はい?」
先程、まで輝かせていた表情から一転。怒りの形相へとシフトする寧々さん。
「いや、あんたもあのペッタンコを指摘してるんだが?」
「‥‥‥‥‥また、その様な指摘をするなんて!皆さん!遠慮は入りません!やってしまいなさい!」
「「「「「「「はっ!」」」」」」」「‥‥‥うぃ!」
「は?‥‥‥‥‥‥それに‥‥‥うぃ?」
「「「「「天誅!!!!!」」」」」「‥‥‥‥天誅!」
「うわぁぁぁ!!!逃げよ!セツ!!!逃げろおぉ!!」
ドガッ!バキッ!ドガッ!バキッ!
「ギャアアアアア!!!!」
‥‥‥‥一つ大事な事を伝えておく。俺は魔法世界から地球へと帰って来た。
地球には魔力という概念は無い。魔力が無いならば魔法で作った異空間か魔道具を通して魔法の効果を使用しなければ魔法は使えない。それが今の地球である。
それならばである‥‥‥あっちの世界じゃあ、無双できる俺も。こっち(地球)の世界でメイド総勢数百人+金髪幼女に囲まれてボコボコにされれば意識を飛ばされるなど造作もないことなのである。
‥‥‥‥集団の力+裏切り者の金髪幼女の力は偉大なり。ルアめっ!絶対後で尻を叩いてお仕置きしてやる。覚えていろよ。
「ガクッ‥‥‥‥‥」
そうして俺は意識を失ったのだった。