二つの水晶
金髪幼女のルア〖法王〗と銀髪美少女(神)〖アナスタシア〗との朝食を終えた俺は。新居のリビングにて、久しぶりにゆったりとした時間を過ごしていた。
そんな平和な間に今回の魔法世界で大冒険を思い出に馳せていた。
俺達があっちの世界に行く羽目になった理由は、確か聖豊中学で行われていた〖聖抜祭〗の途中だっただろうか?
魔法世界に転移する羽目になった原因は、聖豊中学の生徒会長の一翠院 咲耶先輩と副会長の三ノ宮 史郎先輩が生徒会室でニャンニャンプレイをしているのが教師陣に見つかったせいだったか‥‥‥‥‥まさかあんな所でおっ始めるとは誰も予想付かなかっただろう。
その後、あの二人は学校側からキツイ処罰を受けさせられたと清太郎と天馬から連絡が着たな。
そして、〖聖抜祭〗終了と同時に聖豊中学校理事会の判断で二週間程の臨時休校を迎えたのだった。
ニャンニャンプレイ凄かったな‥‥‥‥‥‥‥全て忘れてしまおう。
「‥‥‥‥しかし、凄いな!―女神―ヘファイストス様の力は俺達があっちの世界で1ヶ月位旅をしていた筈なのに、此方の時間は二日位しか経っていないなんてな。オマケに歳も体育倉庫で三人で転移した時まで戻ってるし」
「ヘファイストスやヘスティアではなかろうよ。その上‥‥‥‥アリーナ辺りがなんかやったんだろうな」
「アリーナより上?‥‥‥‥あぁ、そういえば穴もヘファイストス様と同等の神だったな。それよりも上とやらについても色々と知ってるんだよな?」
「アナスタシアだっちゅうにっ!それにヘスティアが抜けてるぞ!馬鹿にしてるのか私達を?」
「してるに決まってるだろう。普段の行動がアホなんだからな」
「するな。バカモン!全く、最近の〖神ノ使徒〗共はどいつもこいつも生意気だぞ。全く!」
「どいつもこいつも?‥‥‥アナは他大陸の〖神ノ使徒〗も知ってるのか?」
「む?‥‥‥‥‥何だ?気になるのか?‥‥‥‥‥ほーん。そうか、そうか、気になるのか?ならばもっと私を敬い美味しい物をたらふく喰わせろ。そうすれば神達の情報だろうが。〖神ノ使徒〗の事だろうが‥‥‥‥‥」
アナスタシアが口から涎を滴しながら俺にねだろうとした瞬間。
シュンッ!
「ご主人様。やはり、ご主人様の予想通り、元の〖写しの虚像〗で複写していたアヤネ嬢と神無月嬢の半身達は消えていました。そして、誰も居ない学校中を探し回り、体育倉庫と言う場所でやっと見つけました」
二つの水晶を抱えながら、疲れきった顔をしたタマキが突如として現れた。
「わざわざ見つけてくれたのか?ありがとう。やっぱりか‥‥‥‥天王洲家と神無月家のご令嬢行方不明になるも神成家の男児が救い出すか‥‥‥‥‥だいぶ盛ったな父さん達」
俺は昨日の号外新聞やスマホに流れるネットニュースなどを見て呟いた。
「ん?何だ?だいぶ特殊な魔道具だな‥‥‥‥触媒は〖異界〗の妖精か?ふむ‥‥‥‥まだ中に居るな。何か伝え残す事があるのか?」
銀髪美少女〖アナスタシア〗が俺の膝に乗って来た。
「神様が人の膝に無造作に乗るなよ。不用心だろ。そんなじゃ、また誰かに捕まるぞ。少しは人を疑えよ。もし俺が‥‥‥‥‥」
「カハハハ!私は人に優しい神だぞ。安心しろ。カハハハ!」
「いや、此方が安心できんわ。それと君、地球の外に居ても大丈夫なのか?〖大蛇〗なんて〖黄金の宝物庫〗から一歩も出ないで、ずっと酒造りに没頭してたりするが」
「あんな。元が龍と一緒にするな。私は人よりの
神なのだ。飯も普通に食うし、寝るし、働く。それに氷雪大陸の神々の〖七氷帝〗は地上の者達同様の生活を好むしな。私もこんな銀髪美少女の姿だがな、本来はもっと妖艶な‥‥‥‥」
「それでタマキ。『写しみの虚像』の中に居た二人は無事なのか?」
「はい‥‥‥‥機能を失ってからは睡眠状態でこの中にいるみたいです」
「貴様っ!私の話を遮るな!罰当たり者だろうが!!」
「少し静かにしてろ。アナスタシア」
「フガァ?ガババ!!」
「多分だか〖教皇〗との闘いの時、俺は危うく死にかけたからな。その時にでも此方とあっちの世界の魔力パスが切れたんだろうな」
「それでアヤネ嬢と神無月嬢の半身は消えて両家は大パニックになっていたと?」
「あぁ、此方の世界に着いた瞬間。鬼の様な連絡が俺のスマホにかかってきた‥‥‥‥それにしても戻って来る位置がまさか誰も居ない家の実家とは思いもよらなかったな‥‥‥‥‥」
「それは多分、前回。エスフィール嬢と共にあちらの家から魔法世界へ帰還したからでしょうね。見えない魔力残滓の道がまだ残ってたんでしょうね」
「‥‥‥‥その魔力残滓の影響で俺の実家に転移したのか‥‥‥‥‥聖抜祭があったから誰も居なくて助かったよ。皆、学校の寮に泊まりだったしな。そのお陰で誰にも見つからずに俺の城(新居)へ入ることができた」
「ウキウキ!これでご主人様はお一人になれましたね。ウキウキ」
「いや、居るだろう幼女が二名。金髪と銀髪の幼女が」
「モガァモガァ!(誰が幼女かぁ!)」
「お前だよ‥‥アナスタシア。まぁ、良いや〖写しみの虚像〗の中に居る二人を先ずは解放しよう‥‥‥〖願いは此処までとする‥‥‥‥貴殿達の願う。〖異界〗へと繋ぐ‥‥‥‥〖時転移〗」
俺が詠唱を唱えると〖写しみの虚像〗二つが輝き出し中から二つの光球が現れた。
(感謝しますが‥‥‥‥最後に)
(あのお二人に御礼をさせて下さい!)
「おぉ、目を覚ましたのか?半身たったアヤネと委員長!………お礼?」
(アヤネ様に楽しい一時を頂きありがとうございましたっと!伝えたいんです!)
(恵様にもです!)
「お礼?‥‥‥お礼かぁ‥‥‥‥いやぁ、今は難しいんじゃないか?あの二人は今頃、実家の方でキツイお仕置きをされてる頃だろうしな」
〖天王洲家 本家お仕置き部屋〗
「アヤネ!!また、神成家の子にちょっかいを描けたんですか?やるならもっと外堀を埋めてからやりなさいと何時も言っているでしょう!お尻を出しなさい!お尻をっ!」
パンパンパンパンパンパンパンパンパンパン!!!!!
「お、お母様!!違うんです!今回はセツ君がぁ!」
「言い訳は許しません!」
パンパンパンパンパンパンパンパン!!!!!
「ひぃーー!許して下さい!お母様!!!」
〖神無月家道場〗
「世間様を心配させて何をしていたの?ニュースにまでなってっ!後で神成家のお子さんに謝りに行きなさい!!馬鹿娘!!お尻を出しなさい!恵っ!」
「ママ!!話を聞いてえぇ!!これは全部神成君がぁ!神成が悪いのよ!!ママ!!」
バチーン!バチーン!バチーン!
「また、言い訳をする気?アヤからはアヤネちゃんと一緒に神成君を押し倒そうとしたって聞いてるわよ!なんでもっと上手くやらなかったの?この娘は!」
バチーン!バチーン!バチーン!
「クウゥ!!痛い!!ママ!!話を聞いてえぇ!!己。神成君!次あったらしばき倒すんだからあぁ!!」
再び〖神成低〗新居
「ブルル!」
「どうしました?ご主人様」
「いや、いきなり悪寒がな‥‥‥‥気のせいか。二人がお礼が言いのか‥‥‥‥じゃあ、次に会うまで魔法の袋(黄金の宝物庫)の二人が使ってる部屋で住んでていいぞ。二人共」
(ほ、本当ですか?)
(あ、ありがとうございます!)
「あぁ、多分。そのうちあっちからやって来そうだしな‥‥‥‥報復がてらな。(多分、そうとうキツイお仕置きを喰らってる筈だろうし。その怒りを俺へとぶつけでも解消しようしてくるのが何時ものパターンだからな。用心しとかなくては‥‥‥‥)」
(では失礼します!)シュンッ!
(お言葉に甘えて!)シュンッ!
アヤネと委員長の半身はそう言って〖黄金の宝物庫〗へと入って行った。
「おう‥‥‥‥タマキも色々ありがとうな‥‥‥‥今回の長旅で疲れてるのに悪かったな‥‥‥‥例の部屋の準備はできてるから行って少し休んでいてくれ」
「例の部屋ですか?‥‥‥‥‥もしかして〖祝福〗ですか?」
「あぁ、アイツは先にやり始めたけど‥‥‥‥確かタマキが眠りに落ちても魔法の袋(黄金の宝物庫)は普通に使えるんだよな?」
「はいっ!ご主人様はウチと直接〖眷属契約〗をしていますのでご主人様なら使えますね」
「‥‥‥‥‥なら大丈夫か。彼処で寝始めたら、起きるまでどの位の時間が掛かりそうだ?」
「時間ですか?‥‥‥‥‥ウチ、レベルですとざっと数ヶ月は起きないかと」
「数ヶ月‥‥‥‥‥その間にまたあっちに行く可能性もあるかもな‥‥‥‥まぁ、ヤバくなったら秘宝の一つである○○○○に頼むか‥‥‥‥」
「あの方にですか?‥‥‥‥大丈夫ですか?あの方は〖ロンギヌス〗さんみたいに温厚ではないですか?」
「‥‥‥まぁ、何とかなるさ!そんな事より、今はタマキの身体の方が重要だろう。ユグドラシル、アテナ、ヘファイストス、ヘスティアの四つの地方での長旅が効いたな‥‥‥‥〖黄金の宝物庫〗の〖修復〗と〖祝福〗を‥‥‥‥‥」
「アテナの眷属‥‥‥‥〖黄金の宝物庫〗‥‥‥‥受諾しました」シュンッ!
「ゆっくりと休んだくれ、タマキ。無理をさせてばかりで済まなかったな‥‥‥‥」
「‥‥‥‥‥‥成る程。こうなる事を予想して私を契約者に付かせたのか。アリーナ」
澄まし顔で何かを悟った様な顔で俺を見始まるアナスタシア。
「アナスタシアを?俺に?どういう事だ?」
「セツ殿のサポートをしてやれって事だろうよ‥‥‥‥他大陸こ〖神ノ使徒〗共は当てにならんということか?‥‥‥‥‥〖幻想〗や〖剣〗は例外としても〖氷雪〗〖天空〗〖暗黒〗〖列島〗の者達は何故、動かない?‥‥‥‥まさか?まだ出てきてもないのか?」
アナスタシアは何かを独り言ブツブツと唱え始め、俺の話を全然聞いていない。
「‥‥‥‥神の独り言とか初めて見たぞ」
ドタタタタッ!ガチャッ!
「ん?金髪幼女?」
通路を凄い勢いで走ってきたと思ったら、リビングの扉が開け現れたのはルア・カトリクだった。
「‥‥‥幼女‥‥‥じゃない!ルア‥‥‥‥ニセパパ。ママは何処?何処にも‥‥‥‥居ない!」
「いや、そりゃそうだろう。今頃、アヤネは実家でキツイお仕置きを受けてるんだからな」
「‥‥‥‥なら助けに行く!‥‥‥‥ママがルアにしてくれた様に!」キラリンッ!
何、カッコ良くポーズを決めているんだ?この金髪幼女は‥‥‥‥
‥‥‥‥‥これはあれだ次のトラブルの狼煙に違いない。
俺はまだあのとんでも〖教皇〗との闘いの疲れが完全に抜けきれて無いんだ。これ以上のトラブルはゴメンである。
「‥‥‥‥‥いや、助けに行くのは面倒だし。久しぶりに行ってみかアヤネの家へ‥‥‥‥三人でな。(その方が変なトラブルは起こらないだろうしな。何たる閃き。流石、俺)」
「‥‥‥‥‥ママの家?」
「ぬぁ?何だ?出かけるのか?セツよっ!」
‥‥‥‥‥いざ、元カノの実家へ。