高原都市『シルフィード』 No.5アルディス王子の思い出~No.7 君の為に
『セルビア』国首都『オーディン』セルビア城内
アルディス王子幼少期
「は~い!また正解よ!アル!」
「本当ですか?シルフィー先生?!僕、天才?」
「そうね!アルは天才ね!」
「本当に?僕って天才?」
「えぇ、だから、もっと努力して『セルビア』の未来を明るく照らす。そんな人に先生はなってほしいかな!」
「『セルビア』の未来を照らす?‥‥‥それはどう言うこと?シルフィー先生?」
「それはね!私がまだ、神代時代‥‥いいえ、一般妖精の時に御使いした貴方のご先祖様。初代『セルビア』国王。オーディン様が平和に照らしてくれた。私が愛する『セルビア』を貴方にも照らし続けて欲しいの。でもね。これは私のただのわがまま」
幼少の僕はシルフィー先生が言っていることが上手く理解出来ずに聞き返す。
「わがまま?って!どう言うこと?シルフィー先生!」
「それはね。アル!貴方には貴方の未来があるからよ。素敵な殿方との出会いがあるかもしれない。その才能豊かな魔力でこのエウロペ大陸に名を残す偉人になるかもしれない。別の大陸に行って、数多の冒険を経験するかもしれない。貴方に対しての私のエゴでただのわがまま」
「エゴ?難しくて!分からないよ!シルフィー先生!」
「フフフ。今は、まだ、いいのよ。アル!貴方が大人になった時、貴方の未来は自分で決めて良いのよ。それが『セルビア』の国を出ていくと行くという事になってもね」
「僕が『セルビア』を出てっても良いの?旅に出たりとかして良いの?」
「ええ、大丈夫よ!貴方のお母様、セルフィーユも必ず許してくれるわ」
「でも、『セルビア』の跡取りがとか言われない?」
「大丈夫よ!貴方のお姉さまがちゃんと『北東魔法学院』を卒業してこの『セルビア』に帰ってくるもの」
「でも、お姉さまはお馬鹿さんで‥‥‥‥」
「ええ!そうね。でも大丈夫よ!上位妖精である私達がこの国に入るもの!いざと言うときは、『オーディン』様の末裔の貴方達一族を絶対に導くもの!それが、『オーディン』様との約束だから」
「約束?シルフィー先生その約束!僕にも教えて教えて!」
「ええ!フフフ、喜んで!そうね。あれは私がまだ、妖精見習いの時に」‥‥‥‥。
『東北魔術学園』へ入学、前日のセルビア城内。
「シルフィー先生!じゃあ、僕、学園の方へ。行ってくるよ!」
「‥‥‥アル。‥‥‥そう。寂しくなるわね」
「シルフィー先生?」
「私は、いつも『セルビア』城か西の『シルフィード』に滞在しているから。いつでも訪ねて来てね。アル!」
シルフィー先生はそう言うと僕を抱き締めた。
「シ、シルフィー先生!大袈裟だよ!『北東魔術学園』なんて、『幻獣の楽園』の直ぐ隣の国じゃないか?」
「‥‥‥‥ええ!そうね!ごめんなさい。凄い昔。アルに凄く似た性格の女性がいてね。‥‥‥その人を思い出したら。心配になっちゃって!」
「僕に凄く似た性格?‥‥‥どう言うこと?シルフィー先生?」
「‥‥‥‥あら、ごめんなさい!私とした事が‥‥‥言わないも。アルに失礼になるわね。昔ね。本当に大昔、私がまだ、見習い妖精で『オーディン』様の親族の付き人だった時にね」
「‥‥‥ちょっと、待って!シルフィー先生って!僕のご先祖様!『オーディン』様の関係者だったの?」
「そこに今さら驚くのアル?四大都市や『妖精国』の将軍や文官は元々、オーディン様の契約者や部下の人達なのよ。恩義ある。オーディン様から『セルビア』を宜しく頼むと。オーディン様がなくなる前に契約者や部下の人達に遺言を残したの」
「ぼ、僕、そんな、話初めて聞いたよ?」
「えぇ、初めて言ったもの!ちなみに私は、『セルビア』王家の歴代の教育係りね。貴方、意外にも色んな方達に『セルビア』の仕来たりを伝えてきたわ」
「うん!お姉さまがあの人は妖精じゃない!鬼よって!よく言ってた!」
「‥‥‥‥次にあの子が帰って来たら、教育し直しね」
「えっと!それで?シルフィー先生!最初に言ってた。僕に凄く似た性格の女の人って?」
「‥‥‥‥‥えぇ、そうね!その事ね!‥‥‥‥その人はオーディン様の実の娘さんだったのよ。」
「実の娘さん?」
「うん!凄い方だったわ!『セルビア』の南『ウンディーネ』は神代時代は荒廃した場所だったのにあの方のお陰で今では、ユグドラシル地方を支える。水源地帯に作り変えたんですもの」
「『ウンディーネ』を水源地帯に?!‥‥‥それは、にわかには信じられない話だね」
「‥‥‥‥‥えぇ、そうよね。でも、それができてしまうのがオーディン・セルビアの血筋なのよ。その血が濃ければ濃い程に神代の力に近づくの‥‥‥でも、そのせいであの人はある魔神に目をつけられてしまったわ」
「ある魔神?」
「そう。ある魔神。‥‥‥‥それでね。色んな事があって!‥‥‥見習い時代の私もそこに居て。オーディン様も‥‥‥‥あの二人も居て。‥‥‥私は、‥‥‥私は、‥‥‥無力でね‥‥‥‥ただ、‥ただ‥うぅぅ」
シルフィー先生のその涙で馬鹿な僕はやっと悟った。この話し絶対に聞いてしまってはいけなかったんだと。
「シ、シルフィー先生!ご、ごめんなさい。先生に悲しい思い出を思い出させて‥‥‥」
シルフィー先生は無言で僕を抱き締める。
「‥‥‥‥アルディス殿下。私、ウィンザー・シルフィードの役目はここまでです。オーディン様の血を引きし優しい王家のお方。長年このような身を師と呼んでいただき感謝しております。‥‥‥少しの間。離れ離れですが。良き、学園生活わお送り下さい。」
「‥‥‥うん。‥うん。‥‥うん!僕、頑張るよ!シルフィー先生!学園で先生の教わった事を全ていかすよ。だから、だから、もう泣かないで!僕の最高の先生。ウィンザー・シルフィード師匠。僕は学園で一番になってみるから!」
「‥‥‥はい。アルディス殿下」
そして、僕は『北東魔術学園』を入学後から卒業にかけて。全ての科目において歴代最高点を取り続け。卒業間際には歴代学生の最高傑作と学校の教員や生徒達に言われるようになった。
そして、現在。『白亜の部屋』
「‥‥‥‥行きます。メリュジーヌ卿!!神代・回帰『氷雪地層・氷河』」
僕とメリュジーヌ卿の周りに氷核の壁が現れる。
「なんだい?なんだい?その氷は?また?神代・回帰の氷技かい?僕にそんなもの効かないよ!」
効かなくてもいいんだよ!『ジャバウォック』!!
メリュジーヌ卿の盾にさえなればいいんだ!今は!
「凄いよ!アルディス!君の神代・回帰!割れない!砕けない!此方達を傷つけないよ!!」
メリュジーヌ卿のテンションがかなり高くなっている!
「いいよ!凄く良い!アルディス!此方も負けられないね!!‥‥‥‥神代・回帰(赤白)『天の赤白龍・終点』」
その技は、美しかった!赤と白の丁寧な螺旋がうねり。黄金の比率で満たされる。
回転!
完璧な回転!
黄金の法則。
全てが噛み合う。
神代の美しい色。
それが、螺旋を描き。魔竜へと突き進む。
魔竜は知らない。その美しい螺旋を。
美しい氷層に隠れながら。美しい螺旋を描いていく。
魔竜は知らない。この美しい光景を
目の前に現れるまでは
「そんな、氷層で守りながら。僕に近づいても、僕の身体は貫けないよ!!君達!!」
「‥‥‥‥‥うん!そうだね!‥‥‥でもね。もう良いんだ。‥‥‥これだけ、君に近づけたら!!」
「神代・回帰『赤白螺旋』」
「ん?氷が砕けて?!中からデカイ槍?剣?な何だ?ギギギきゃアア!!」
メリュジーヌ卿の放った『赤白螺旋』は『ジャバウォック』の身体を縦横無尽に駆け回り蹂躙していった。
No.6 崩壊の魔竜
『白亜の部屋』
「か、身体が抉られる!削られる!くっ!くそ!!こ、こんな!こんな攻撃があぁあああ!!!」
「無駄よ!魔竜さん。『赤白螺旋』は止まらない!貴方を殺すまでわ」
(な、なんと言う。威力!最初に僕とイフリート将軍が神代・回帰の技で攻撃してもしなかった『ジャバウォック』の身体を削り続けている。)
「油断や慢心は数日前にもう止めたんだ。貴方は後、どのくらいの奥の手を残しているのかな?‥‥‥‥‥でも、これで終わらせてもらうからね。君は、此方達の国『セルビア』から多くの恨みを買ったから仕方ないよね?」
「‥‥‥五月蝿い‥‥‥‥五月蝿い‥‥‥まだ、‥‥まだ、なんだ!‥‥‥まだ、謝れていない‥‥‥‥出会えても、再開できてもいないんだ!」
「‥‥‥‥貴方、満身創痍で支離滅裂な事を言っているのかな?‥‥‥‥悪いけど。長引かせないよ!これ以上。変身されたら、流石の此方でもてに負えなくなるからね」
「まだ、‥‥まだ、‥ぼ、僕の妻『プレッシナ』に‥‥‥‥僕の娘『○○○○○○』に‥‥‥僕は、僕は、ただ、再開して謝りたいんだ!君を救えなくてごめんなさい!『プレッシナ』!君を残して消えてしまってごめん『○○○○○○』!僕は、君達にただ、会いたいんだ!」
「‥‥‥‥時間稼ぎは終わりだよ!魔竜『ジャバウォック』!ここで貴方を仕留めなければ。また、多くの仲間たちが、一般妖精達が犠牲になる」
「‥‥‥そうだ!‥‥‥多くの仲間達も‥‥‥‥戦友達も祖国に返してあげなければ‥‥‥‥それが、僕の指名で‥‥‥‥」
「‥‥‥‥‥会話にもならないね。哀れな『ジャバウォック』‥‥‥‥‥さようなら。神代魔法(白)『白石浄化』‥‥‥これで綺麗に消してあげる」
「ぼ、僕は、‥‥‥『プレッシナ』『メリュジーヌ』」
「滅びの時だよ!魔竜‥‥‥」
「メリュジーヌ卿‥‥‥‥今!」
僕がそう、言いかけた瞬間!
「神代・回帰『風景翔・切断』
何者かの外からの攻撃でメリュジーヌ卿の『白亜の部屋』が崩壊する。
「‥‥‥‥この技は?‥‥‥シルフィーの?‥‥‥‥」
崩壊した『白亜の部屋』から外へと場所が変わる。
高原都市『シルフィード』郊外
「‥‥‥‥‥シルフィー‥‥‥」
「‥‥‥‥メリュジーヌ‥‥‥」
シルフィー先生とメリュジーヌ卿はお互いの目を見ながら。静かに佇んでいる。
「‥‥‥何の真似だい?ウィンザー・シルフィード市長!‥‥‥事によっては君を処罰する権限を此方は『セルビア』家から許可を得ているのとを知っての狼藉か?シルフィード市長?」
「‥‥‥‥‥ええ!分かって下ります。赤白の騎士メリュジーヌ卿殿」
「では、何故、このような。『セルビア』を裏切るような行動をした?ましてや今日に至るまで多大な犠牲と損害を与えた。『ジャバウォック』を助ける行為等。見過ごすことはできぬぞ!」
「‥‥‥メリュジーヌ卿の仰る通りです。弁解の余地もありません‥‥‥‥ですが」
「そうか、ならば、縛り上げる。それ相応の処罰が下るものだと‥‥‥‥」
その時、シルフィー先生が凄い剣幕で告げる。
「ですが!メリュジーヌ卿が!‥‥‥私の親友が!‥‥実の‥‥‥実の父親を目の前で殺そうとしているのをただ。ただ‥‥‥‥見過ごせるウィンザー・シルフィードではありません!」
「‥‥‥‥?!‥‥‥き、君はいきなり何を言って?此方の父親?目の前のって‥‥‥‥『ジャバウォック』が?‥‥‥何を言って?」
シルフィー先生の突然の発言にメリュジーヌ卿はただ、面喰らっている。
「‥‥‥‥その方は、『ジャバウォック』なんて魔竜では無いのよ。メリュジーヌ‥‥‥‥その方は‥‥‥‥その方は‥‥‥‥あぁ、なんて酷い、残酷すぎるわ‥‥‥うぅぅ!」
シルフィー先生が大粒の涙を流しながら魔竜に近づいていく。
「ちょっと!シルフィード市長!勝手に動かな‥‥‥‥」
「‥‥‥‥‥お久しぶりです。オールバニー様!‥‥あぁ!なんてお姿に」
シルフィー先生は傷ついて動けなくなった。『ジャバウォック』に向けて両膝を着いた。
「そ、その声は?君は?誰だい?‥‥‥あぁ、でも、なんだか、とても懐かしい声だね」
『ジャバウォック』‥‥‥いや、『オールバニー』殿は消え入りそうな声でシルフィー先生に答えた。
「妖精見習いのシルフィードです。オールバニー様!‥‥‥もう随分昔の話ですがプレッシナ様の付き人をしていたシルフィードです」
「‥‥‥あぁ、あの時、僕の妻。プレッシナの付き人だったシルフィーかい?懐かしい!‥‥‥懐かしいね」
『オールバニー』殿は弱々しく微笑む。
「‥‥‥‥あの大戦後。オールバニー様とプレッシナ様は行方不明になったとオーディン様から聞かされて!私、私!」
シルフィー先生は声を詰まらせ涙を流すばかりだった。
「あぁ、色々、会ったんだ。あの人に『奈落の底』に連れてかれて、妻が息を引き取って!それでも僕は、妻と僕との子供‥‥‥‥メリュジーヌが心配で!心配で!‥‥‥‥それでももう命の時間が後、僅かで‥‥‥‥メリュジーヌに会うために、謝る為に、僕はあの人と契約して‥‥‥魔竜になったんだ。」
それを近くで聞いていたメリュジーヌ卿の目が大きく開き。狼狽し始めた。
「え?はっ?!此方のお父さん?!‥‥‥‥どういう事?え、え?」
「そうですか!そうですか!オールバニー様!‥‥‥長く寂しい辛い日々でしたね。うぅぅ!頑張りました。オールバニー様は頑張りました‥‥」
シルフィー先生はそう言って『オールバニー』殿の左手を掴む。
「あぁ、ありがとう。‥‥‥でも、僕の目的は達成出来なかったみたいだ‥‥‥‥もうじき僕の命は終わる」
「‥‥‥いいえ!達成出来ていますよ!オールバニー様!‥‥‥‥貴方の娘‥‥‥‥メリュジーヌは目の前にいますから」
「僕の目の前?あの、凄まじく強い妖精竜騎士の子かい?」
『オールバニー』殿はそう言うとメリュジーヌ卿の方を見る。
「お、お父さん‥‥‥なの?」
「あぁ、君、だったんだね。僕の娘は!そうか、その藍色の髪は、僕の妻。プレッシナにそっくりだね。見た目は僕の人化の時にそっくりだ!‥‥‥なんだ。もう、僕の願いは叶っていたのか‥‥‥‥そう、か」
「お、お父さん?!こ、此方!此方!」
「うん!うん!分かってるよ。大丈夫!」
「ど、どうしよう!このままだと、お父さん死んじゃうよ!シルフィード!アルディス!」
僕もメリュジーヌ卿もシルフィー先生もどうすれば良いか分からず混乱していた。
「馬鹿者達!メイエス殿から受け取った秘薬をオールバニー様に与えるのだ!早くしなさい!」
混乱して動けなかった僕達の前に、高原都市の住民の避難を終えたイフリート将軍が大声で告げる。
「そ、そうだ!秘薬!秘薬!」
「ぼ、僕のも使って下さい!」
「馬鹿者!アルディス王子!秘薬と言っても!何重にも服用すれば劇薬になる。『オールバニー』様に飲ませても二瓶までです。」
「は、はい!」
イフリート将軍に言われ。メリュジーヌ卿は持っていた秘薬の二瓶を弱り切っている『オールバニー』殿へと飲ませた。
「ぐっ!これは‥‥‥‥神代の‥‥‥‥魔法族の秘薬だね‥‥‥‥でも‥‥‥これで少しは時間が伸びたかな」
「お、お父さん!こ、此方、此方」
「うん!‥‥‥‥おいでメリュジーヌ!」
『オールバニー』殿は優しい声でメリュジーヌ卿の名前を呼ぶ。
「此方!お父さんになんて事を‥‥‥此方‥‥‥ご、ごめんなさい!お父さん」
「メリュジーヌ‥‥‥‥最後に別れたのはほんの物心着いた頃だったね!‥‥‥‥そうか、もうこんなに大きく成長してくれたんだね」
『オールバニー』殿は嬉しそうに微笑む。
「うん!うん!オーディン様‥‥‥おじいちゃんとモルガンお姉ちゃんが此方を大切に守ってくれたから」
「‥‥‥そうか、オーディン様やモルガンちゃんがね。‥‥‥うん、あの二人なら納得がいくよ。」
そう言い終えた瞬間。『オールバニー』殿身体が白く光出した。
「お、お父さん?」
「うん!大丈夫、大丈夫!多分、あの人の契約が切れる合図だからね」
「契約?」
「そう!契約。娘に会えたら。この魔竜化の状態を解くって契約を彼と交わしたんだ。それまでは彼の家臣として働くのを条件としてね」
「お父さん。彼って誰の事?」
「‥‥‥‥ごめん!それは、言わない約束なんだ。彼は、契約や約束を大事にするんだ。‥‥‥それさえ、守れば。彼はこんな僕にも力を貸してくれる。頼れる人だったよ」
『オールバニー』殿の白い光が終わると。そこには、純白の白き竜が立っていた。
「‥‥‥‥秘薬のおかけで少し長らえることが出来たけど今は、神代では無いんだったね。‥‥‥オーディン様も今はもういないんだね。メリュジーヌ」
「うん、おじいちゃんはずっと昔に天界に行っちゃって」
「そうか、そうか!オーディン様!こんな、弱き神竜ですみません。貴方の実の娘を守れず。あまつさえ、我が子を守って頂。感謝の言葉しか御座いません。」
『オールバニー』殿はそう言うと天な向かって跪く。
「メリュジーヌ!」
「なに?お父さん?」
「君に会うことが、僕の最後まで生きる道標だったんだ!君にもう一度会い!謝りたかった!君を一人にしてしまってごめん!君の成長を見届けてあげられなくてごめん!メリュジーヌ!僕は!僕は!」
『オールバニー』殿はメリュジーヌ卿を抱き抱えると号泣しながら涙を地に流し続けた。
「うん、うん、お父さん!お父さん!お父さん!こ、此方も会いたかった!もう一度会いたい!もう一度会ってお話したかったんだ!うぇええええ!!」
メリュジーヌ卿も『オールバニー』殿を抱き締め涙を流す。
それは、神代の始まりから現代の現在までに溜まりに溜まった涙の押し流すように。
2人の竜の涙は夜が終わる朝方まで続いた。
No.7 君の為に
高原都市『シルフィード』郊外
「うぅ、お父さん!」
「‥‥‥‥メリュジーヌ!」
二人はお互い抱き締め合い。悠久の時を超えて。再開する事ができた。
「シ、シルフィー先生!『オールバニー』殿の身体が!」
「‥‥‥うそ!魔法族の秘薬を飲んでも治らないなんて」
そう言って慌てる。シルフィー先生を『オールバニー』殿は静かに見ている。
「‥‥‥‥‥‥すまない!メリュジーヌ!もう、時間が無いみたいだ!」
「‥‥‥‥‥‥もう、お別れなのお父さん?」
「‥‥‥‥‥いや、まだ。手はあるにはあるんだよ。メリュジーヌ!僕が生きる残る手段がね」
『オールバニー』殿はそう言うとメリュジーヌ卿に優しく微笑んだ。
「生き残る手段ってなに?」
「それはね!メリュジーヌ!僕の心臓『神核』を使って君の為の『神煌具』に生まれ変わることだよ」
「『神煌具』?お父さんが?」
「あぁ、元々、神煌具というのは、神代の仲間達の想いを具現化した物で。『神核』を核にした。神具なんだ」
「イ、イフリート将軍!シルフィー先生!今の話は、オールバニー殿の話は本当なんですか?」
「‥‥‥いえ、せつは初めて聞きました。そんな、話」
「わ、私もよ!そんな、話。オーディン様やモルガン陛下からも聞いたこと無いわ」
僕達の話を聞いていたオールバニー殿が、話しかけてくれた。
「あぁ、今は、神代では無かったんだね。神煌具は神代よりも遥か昔の神話時代の話だからね。今じゃ、フェファイストス地方の一部でしか聞くことができない話さ」
「人族、魔神、別大陸の者達が聞いたら。目を輝かせて『セルビア』いや、ユグドラシル地方に戦争を仕掛けて来そうね。神煌具の心臓である『神核』が至る所に住んでいるもの」
「せつもそう思いますね。人族に至っては、数ヶ月前までは魔王領で暗躍をしていたと思えば。均衡が拮抗したら。直ぐに和平路線へと、かじきりを取れる人族ですもの」
「いや、その心配はないよ。神煌具の事を知っているのは、今では、亡きオーディン様や北西に住む。霊王様位な者だしね。それに、もしこの事を人族や魔神、魔竜の者が知ったら天界からの使者が必ず来ることになっているからね」
「天界からの使者ですか?」
「うん!確か、半神半人の確か‥‥‥‥」
「『神ノ使徒』じゃない?お父さん!」
「そうそう!『神ノ使徒』『神ノ使徒』彼らは、この世界。魔法世界アリーナが、窮地の時に天界の神達に変わって救いの手を差しのべてくれるんだ」
「‥‥‥‥では、メリュジーヌ卿。セツナ君は」
「‥‥‥やっぱり『神ノ使徒』なのかな?」
「どうやら、メリュジーヌの仲間に思い当たる子が入るのかな?」
「うん!此方のご主人様」
「ご主人様?‥‥現代は色々変わってるんだね。その人は優しいかい?メリュジーヌ」
「うん!此方を調教してくれる優しい人」
「そ、そうか!今度、会ったら。痛い目に合ってもらおう」
「で、でも!お父さん!このままだと命が‥‥‥‥」
「うん!そうだったね。‥‥‥では、残り時間も無くなってきたし。早く済ませよう。メリュジーヌ!僕との戦いの時に使った。神代魔法の『赤龍刀』を出してくれるかい?」
「『赤龍刀』を?いいよ!神代魔法(赤)『赤龍刀』!これで良いのお父さん?」
「あぁ、その刀は君のお母さん。『プレッシナ』が愛用してた武器の一つだね」
「『赤龍刀』をプレッシナお母さんが愛用?」
「うん!よく魔神の大群に向かって『赤龍刀』を振り回してたよ!ものすごい強い神代妖精だったからね!流石はオーディン様の娘さ!」
「子は親に似るとはよく言うものですね。ウィンザー!」
「ええ、全く。イフリートお姉ちゃん」
「‥‥‥‥五月蝿い(うるさい)よ!そこの2人!静がにしてて!」
「父上の前だから。猫を被ってますね。ウィンザー!」
「ええ、全く。イフリートお姉ちゃん」
「‥‥‥‥後で覚えておいてね。2人共」
「イフリートとシルフィードと随分と中が良いんだね。メリュジーヌ」
「うん!此方、これでも『セルビア』の特記戦力だからね。」
「オールバニー殿!メリュジーヌ卿は我が国‥‥‥いえ、エウロペ大陸では、赤白の騎士メリュジーヌ卿という名で知らないものはいない人物です」
「おや?君は?」
「僕は、アルディス・セルビア。『セルビア』国。初代王『オーディン・セルビア』の子孫です」
「‥‥‥‥これは、失礼しました。オーディン様の血縁者殿。この度は大変失礼な行為を働き申し訳ございませんでした」
「此方もオーディン様の血縁者だよ!此方には謝らないのお父さん?」
「‥‥‥‥では、メリュジーヌ、アルディス王子。もう、さ程、時間が残されておりませんので。神煌具の儀に写りたいと思います」
「だから、お父さん。此方に」
「ぎ、儀式が終われば。メリュジーヌとは、これからは何時でも意志疎通が出来るようなになるよ。だから、少し静かに見ていてかれないかい?」
「嘘?本当に?!わかったよ。早く終わらせよう。お父さん」
「ては、‥‥‥‥我、神話より生きし者なり。その役目、今、灯火小さく、終わりの時、近し。だが、我の役目。その血脈に受け継がせる。‥‥‥『神核』よ我が元より。我が娘の神具に宿れ。新・神煌具ここに顕現する」
オールバニー殿が詠唱を終えると。オールバニー殿の身体が赤く光。メリュジーヌ卿が待っていた。『赤龍刀』へと向かって行く。
「お、お父さんがこ、此方の『赤龍刀』の中に入っちゃた。それに見た目も赤と白の『赤龍刀』になってる」
メリュジーヌ卿は驚き。『赤龍刀』を凝視する。
「この刀は僕の『神核』を核に生まれ変わったんだ。その名も『赤白龍刀剣』プレッシナと僕の2人の力が合わさった。強力な『新・神煌具』さ!」
『赤白龍刀剣』からオールバニー殿の声が聞こえてくる。
「これから僕は、メリュジーヌの刀として、君を見守るよ。それが、僕の妻。プレッシナとの最後の約束だからね。でも、今は少し眠いから。寝させておくれ。僕の可愛い娘。メリュジーヌ」
「‥‥‥‥お父さん。‥‥‥‥うん、これから宜しくね。お父さん。おやすみなさい」
こうして、現代に新たな神煌具。『赤白龍刀剣』が顕現した。
後に、この神煌具が後の世界を救う武器になるとは、誰一人知らない未来のお話。
高原都市『シルフィード』
終
後、もう少しだけお話は続きます。
明日、辺りでこの章は書き上げられると思います。
更新遅くてすみません。