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聖座決戦・〖ロマ・テレシア教皇と龍族の巫女〗No.20 星読の教皇は龍巫女と共に


地盤沈下した〖テレシア大聖堂広場〗においてどんな衝撃にもびくともしなかった場所が存在した。

ただ一点の傷もなく何かに守られる少女の〖像〗・龍巫女の天夜叉の像が其処の広場には立っていたのだ。


そんな場所に三つの変化が起きた。


最初の変化。テレシア大聖堂から小さい光が天夜叉像の右手へと射した。


二回目の変化。地下深くから聖なる光が巻き起こり天夜叉の身体を優しく包み込んだ。


そして、最後の変化。北の天から青き光の矢が飛来し、天夜叉の像が持つ【教皇】の〖神核〗を穿ち。確実に破壊したのだった。


ピシッ‥‥‥‥ピキッ‥‥‥‥‥パリンッ!


ガゴンッ!シュウウウウ!!!


そして、像は地下深くへと落下して行った。



▼▼▼▼▼



『ロマの地下神殿』


「がぁ?!あっ?‥‥‥‥‥ま‥‥‥さ‥‥‥か?」


「‥‥‥‥‥どうやら。終わったようだな。トルギアス・アトス‥‥‥」


「う‥‥‥嘘だ。あの部屋には俺様以外入る事はできない‥‥‥‥天夜叉の像には壊されぬように‥‥‥遥か悠久の石‥‥‥‥〖月詠の涙〗を使っているんだ‥‥‥ぞ」

ドサッ!‥‥‥‥‥。


トルギアス・アトスはそう言いながら、力無く地面へと倒れてしまった。


(時戻りの効果が消えた為、〖勇者〗の資格を再び失います。これにより、『神ノ使徒』の座から外れますが宜しいでしょうか?‥‥‥もし継続される場合は新たに得た資格。〖解放者〗を核に‥‥‥補助として三つの資格を伴えば再び会得が可能になりますが?)


心の中(精神世界)のウリエルが俺に説明してくれている。これも〖天上の理〗からの説明を代弁してくれているのだろうか?話し方が何時ものウリエルとは全然違うから違和感がある。


「〖勇者〗の資格を返還するよ。〖神ノ使徒〗からの座も外れると〖天上の理〗に伝えてくれ。ウリエル」


(了解しました‥‥‥‥承認受託。〖勇者〗の資格を返還。それに伴い。神成 刹那を〖神ノ使徒〗の座から外しました‥‥‥‥代わりに〖○○〗を与えるとの事ですが如何致しますか?)


ウリエルの報告を聴くと同時に俺の身体がまた若返っていく。


「いや、後で確かめるよ。ウリエル‥‥‥‥君には苦労をかけてしまったな。〖神ノ使徒〗に戻っている時、献身的に精神を支えてくれてありがとう。本当に助かったよ。相棒」


(了解しました。新たな資格?!‥‥‥あ、あ、相棒?!私がご主人様の相‥‥‥プツンッ)


「精神負荷がかかりすぎたのか?〖同化〗が切れてしまった」


「‥‥‥‥茶番は終わったか?‥‥‥偽物野郎‥‥‥俺様との闘いの続きを受けやがれ‥‥‥‥」


「‥‥‥‥トルギアス・アトス。いや、全ては終わったんだよ。ロマの【教皇】‥‥‥‥放浪者の星読よ」



▽▽▽▽▽


北都市『クタ』アルゲバルの丘


「‥‥‥やっと仇を取れた様だ。〖リゲル〗‥‥‥‥私は一足先に〖天界〗に戻っているよ。ペテルギウス、プロキオン‥‥‥‥〖解放者〗にはリゲルの矢を渡した。これでまた会えるだろうか‥‥‥‥‥去らば」

ショオン!


オリオンはそう告げると静かに消え、〖天界〗へと帰還した‥‥‥‥。



西の地・エンケラ地区


「‥‥‥‥終わりの時か。メリュジーヌ。私は〖アヴァロン〗へと帰還するがお前はどうするのだ?」


「うーん!パーシヴァルと合流したら、ゆっくり帰るよ。エスピナ。今回は来てくれありがとう!此方、嬉しかったよっ!」


「ふっ‥‥‥‥そうかではまた、『妖精国アルフヘイム』でな」ズズズズ!!!


「あんだけの人を殺しといて涼しい顔で帰りおった‥‥‥ほんに恐い竜さんやったなぁ‥‥‥‥」


「君もだろう‥‥‥遊女殿」


「まぁまぁ、怨みは晴らせましたし。うちらも消えますなぁ~、メリュジーヌはんもお元気で。〖解放者〗はんには代わりにオオキニまたお会いしましょうと伝えて下さいなぁ~」


「うん。絶対伝えるよ。〖玉藻〗。バイバ~イ」


「えぇ、サイナ~、メリュジーヌはん」シュンッ!


「俺も帰ろではな。友よ‥‥‥‥」シュンッ!


「うんっ!ありがとう。クーフーリン。バイバイ~」


「ハア、ハア、ハア。お~い!師匠!何処に入るんだよ?!メリュジーヌ!!」


「‥‥‥おっとラダ・テラ君の声だね。合流してあげないとね‥‥‥‥」



西の無法地帯『イテュス』


「プロキオン様。とりあえず、戦えそうな奴等は集めたけど‥‥‥‥あんた一人だけで西海の奴等を相手できるのか?相手は軍隊だど?」


「‥‥‥‥‥あぁ、全て任せてくれ。今日は‥‥‥‥何だかか調子が良いんだ」


「そ、そうかぁ、む、無理はしなさんなよ。俺達も戦うからよう。守られてばかりじゃ申し訳ねえからなぁ」


「‥‥‥‥あぁ、何かあったら頼むよ‥‥‥‥そうか終わったんだな。リゲル‥‥‥‥オリオン。俺はすべてもの罪滅ぼしにこのヘスティア地方を支えようと思うよ。二人共!」



東の更地〖アルカテル〗


「おぉ、無事に彼に勝てたんだね。我が弟子‥‥‥‥良かった。良かったよ‥‥‥‥でも、この更地。どうしよう‥‥‥数日は復元にかかるから、我が弟子にはその間に逃げられちゃうかな?ねえ?カーリー秘書官」


「‥‥‥‥何で都市を更地にしてるんですか!マーリン理事長!!!そして、何で私が復元の手伝いを!助けて下さい!!セシリアさん!!鵺さーん!!」


アルカテル地区から北方『ザリ』


「ゲラゲラゲラゲラ!勝ったか!!土産も貰った!去らばよ。魔法大陸。縁短き契約よ。ゲラゲラゲラゲラゲラゲラ」シュンッ!


南方『ガクテ』


「貴方がもし、あの扉を越えるのならばまた会えましょう。さようなら。新たな〖解放者〗さん」シュンッ!


とある西の地


「ガァガァ!!」


「そう。ロマ様は負けたの‥‥‥‥そう。このヘスティア地方の東は変わるのね‥‥‥トルギアス・アトス‥‥‥さようなら。最後の五芒星(ペタルファ)火星(ピュロエース)より‥‥‥‥」



〖ヘル・デア〗各所


「‥‥‥‥〖死の大地〗へと帰る‥‥‥契約の縁は渡した、去らばだ。まだ見ぬ契約‥‥‥‥」シュンッ!


「凱旋だ!勝利の凱旋!ありがとう。短き契約の人!さいなら!」シュンッ!


「この恩は必ず代えそう‥‥‥‥」シュンッ!


「フレイヤ地方に来た時には歓迎するよ!じゃあね」シュンッ!


「ユグドラシルにもな」シュンッ!


「あるべき‥‥‥場所へ‥‥‥やっと戻れるな」シュンッ!



〖首都・テレシア〗


〖貴族信徒特区〗ネイ・エリア


「ギギギ‥‥‥やっと解放される。皆‥‥‥バイバイ」


「おぉ、勝てたか!我が契約者殿。ハッハッハ!あらかたの毒は片付けた‥‥‥‥うむ。凱旋である!」


「聖騎士の軍も貴族も殺し尽くしたし満足よ。これで龍族も復権するし、後は残った子達で何とかするでしょう‥‥‥‥帰りましょう。〖イーグル〗」


「ピュルルルル!!」


「そうね‥‥‥お礼を言わないと。ギルフォード、アルラウネ。長い間お世話になったわ‥‥‥‥またいつか会いましょう。さようなら」シュンッ!


「うむ。必ずな!ハルピュイア、アルラウネもな!」シュンッ!


「‥‥‥‥バイバイ!皆。楽しかった‥‥‥‥また会おう‥‥‥」シュンッ!



首都から北〖アルザ地区〗


「グルオアア!!!」


「うむ。帰るのか?‥‥‥‥何?餌も大量だから?ハハハ、貴殿らしい」


「グシャアアア?!!」


「あぁ、此方ももう終わったとも。なぁ?マルセユ聖騎士長殿」


「くそっ!‥‥‥手も足も出ないとは。何足る屈辱‥‥‥‥」


「戦争も時期、終結する。貴殿とは関わってしまったな‥‥‥‥せめて貴殿の洗脳が解け、普通の生活が送れるまでは面倒をみてやらねば。〖アリス〗に叱られるな。フム。」


「〖アリス〗だと?それはガリアの?」


「グシャアアア!!」


「フム。餌も大量だから。帰るか‥‥‥‥あぁ、また会おう。我が親愛なる我が友。白銀の大猫(オージェンタム・キャス・パリューグ)殿」


「ギャシャアアア!!(ニコッ!)」シュンッ!


「フム。では、我々はもう少し闘いを続けよう。ミス・マルセユ」


「クッ!貴様!!!」


大国〖ロマ・テレシア〗が敗北する事を決定付けた〖ヘル・デアル大館〗の革命事件で、解放された各種族達は各々の積年の怨みをテレシア信徒達に晴らし、【教皇】が敗れた事が分かると自身達の故郷へと〖天上の理〗の力を借り戻されたと後の歴史書には記される事になるのだった。


▽▽▽▽▽


テレシア・〖イルミタル地区〗


「‥‥‥‥動けないニャア‥‥‥‥」


(同じくだぜ~)


「同じくな。トルギアス・アトスめ。馬鹿火力で俺達を巻き込むとは‥‥‥‥だが、どうやら終わった様だぞ。拳王姫」


「ニャア~、それは良かったニャア~」


(‥‥‥‥やったな。カミナリ様よう‥‥‥‥)


「カハハハ‥‥‥‥私、帰れないんだが。此れからどうするれば良いんだ?アリーナ様よう。カ‥ハハ‥‥ハ。何だと?!!馬鹿創造神めぇ!!!おのれえぇぇ!」


「銀髪美少女が壊れたニャア」


「おいたわしや。氷霊帝様‥‥‥‥‥」



▽▽▽▽▽


〖ルア・テレシア大聖堂〗


「夜叉よ無事だったか?」


「クックロ!!お、お願いがありまする。す、直ぐに地下の神殿に連れてって下さい!早く!」


「お、おぉ、やった再開できたのだ。少し落ち着け。夜叉よ‥‥‥‥」


「夜叉ちゃん?」

「ちょ、ちょっとどうしたの?夜叉巫女ちゃん?」


「は、早く!背中に乗せて下さい!でなければあの二人が最後に会えなくなりまする」


「あ、あぁ、良く分からないが。乗れ‥‥‥地下へと移動しよう」


「感謝します!クロ。お二人共。済みませぬがここを守っていて下さいませっ!」


「う、うん‥‥‥了解」

「気をつけて行って下さいね。夜叉ちゃん」


「はいっ!」


「‥‥‥‥では、行こう」ドシュンッ!!



〖ロマの地下神殿〗


「この地下はロマの神殿だったのか‥‥‥‥」


「うん。だから、いっぱい力が使えたよ。ドラゴ」


「そうだな‥‥‥‥その力のお陰で今回は勝てたのだろうな‥‥‥‥負けた者はもう時期消えるがな‥‥‥‥」


「‥‥‥‥もう何も聞かないよ。トルギアス・アトス。君からは何も奪わない‥‥‥‥だから、もう安らかに眠れ」


「ハハハ…‥ハハハ…‥安らかにだと?何を寝ぼけたこと言ってやがる。クソガ‥‥‥」


トルギアス・アトスがそう言いかけた瞬間。地下の天井から何かが落下し、【教皇】の前に無傷の状態で着地した。


ドゴオオオオンン!!


「ん?…………何だ?夜叉巫女に似た像?」


「な………何で天夜叉の像が此処にある?!‥‥‥‥俺様の最愛の天夜叉が何故、現れる?」


「それは彼女の意思だからですよ。ロマ【教皇】」


ドガア!!!


続いてテレシア大聖堂と通じる穴から黒竜と龍の巫女が飛んで来た。


「‥‥‥‥‥夜叉巫女とクロか?」


「あぁ、夜叉に頼まれて急ぎ飛んで来た」


「そうか」


俺は短くそう答えると静かにその場を見守ることにした。


「ハハハ‥‥ハハハ‥‥初めてまともに話しかけてきたな。夜叉よ‥‥‥俺の死に際を笑いに来たのか?貴様は‥‥‥」


「龍族の聴覚はあらゆる言霊を拾います‥‥‥‥恵殿の言葉も聴こえました‥‥‥‥トルギアス・アトス・ロマ〖教皇〗様‥‥‥‥長きに渡り。夜叉達。龍族〖ニーズヘッグ〗を御守り頂きありがとうございまする‥‥‥‥‥長い‥‥長く‥‥‥‥貴方を‥‥‥疲労させてしまった事‥‥‥‥に気付かずに‥‥‥本当にごめんなさい。アトス様」


「な?‥‥‥‥貴様は‥‥‥‥いや、お前は‥‥‥‥天夜叉‥‥‥‥あ、あぁ、こ、此処に居るのか?」


「今はこの方に身体を御借りしてるんです‥‥‥‥アトス様‥‥‥ずっと近くに居たのですよ」


「天夜叉が‥‥‥‥俺様の近くに?…………ずっとだと?」


「はい…‥‥‥沢山の悪い事をしてしまいましたね。悪い人です‥‥‥‥悪童ですね。アトス様は」


「‥‥‥‥あぁ、俺はお前を取り戻す為に全てに悪意を向けた‥‥‥‥天夜叉を蘇らすその事だけに思いを注いだ‥‥‥‥」


「はい‥‥‥‥全部見ていました。見ていましたよ‥‥‥‥見ていたのに‥‥‥‥私は貴方を嫌いにはなれなかったんです‥‥‥‥だって私は貴方を‥‥‥‥〖教皇〗様を‥‥‥トルギアス・アトスを心の其処から愛していたんですから‥‥‥‥そして、これからも貴方を愛します。悪童の‥‥‥私だけのアトス様‥‥‥‥〖教皇〗のアトス様」


「…………そうか………俺もお前を………天夜叉を愛している………この気持ちは永久(とわ)に………永久(えいきゅう)変わらない………本当に愛したのはお前だけだつたんだ………天夜叉………龍族の巫女の天夜叉姫よ‥‥」


「はい………分かっていますよ‥‥‥‥私の大切な人」


「あぁ、最後に君に会えて良か‥‥‥た。思いを伝えられて本当に‥‥‥‥良か‥‥‥た。ありがとう。夜叉よ‥‥‥」



龍族の巫女の膝の上で【教皇】トルギアス・アトスは息を引き取る。


全てを憎んだ悪童は最後に最愛の龍の巫女を想いその生涯を静かに終えたのだった‥‥‥‥‥‥。



〖ロマ・テレシア教皇と龍族の巫女〗編


終。

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