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色々と思い出す二人


 私は魔王事、ユナ・エスフィールは勇者との激闘の末、なぜか、勇者と共に、勇者の元いた世界(地球というらしい)に着いてきてしまった。


 私は混乱していた、あちらの世界で普通に使えていた魔法も使えず。


宿敵である勇者と一対一、これは私は殺されると思い。意識を失ってしまった。


 しばらくたっただろうか。意識を取り戻して周りを確認する。ベットに乗せられていた。服も乱れていない。鎧装備を着たままだったお陰なのか? 襲われる事は無かったようだ。


 周りを見渡すと1人の若い男の子が、私を見ていた。顔立ちはとても整っていて男の子か、女の子か、見間違う中性的な人物が立っていた。


 私の居た世界(アリーナ)でもたびたび噂は流れてきていた。


 召還魔法で勇者が召還され、その勇者がなかなかの顔立ちとか、女神の生まれ代わりで、女よりも男の貴族達からの求婚を迫られたりとか、勇者パーティーで聖女である、僧侶と間違えられて教会から間違えて神の祝福を受けたとか、色々な噂が流れていたのを思い出す。


 ヤバい。勇者ってこんな顔だったのか。


 とっ考えていると勇者(セツナ)から今の状況や家から出て行けとか。早くあちらの世界に帰ってくれとか言われた。腹が立ち騒ぎまくってやったのだ。


 魔法も使えないこんな可愛い女の子に出ていけとか。鬼畜勇者である。最低である。仮にも勇者の発言とは、とても思えん!偽物に違いない。うん。顔はドストライクなのでもったいない事この上ない。


 わがままを言って騒いだお陰か、勇者セツナの家に居候する事になったのだ。あちらの世界(アリーナ)帰れるまで居ていい事になった。

 

とりあえず、衣食住はしばらく大丈夫だろう。


「腹が減ったのじゃ!」


 セツナが、呆れた目で私を見てくる、なんじゃその目は!


「もう昼時か、とりあえず、何かないか、魔法の袋の中でも見てみるか!」


 ?!魔法の袋じゃと?


「そっそっそ!」


「そっそっそ?!?」


「それをわしに寄越すのじゃーーーー!」


「うわぁー!なんだいきなり!!!」


 魔法の袋という事は、召還魔法の魔道具のレジェンドアイテムの1つや2つ持っているはず!!それが、あれば私はあちらの世界に帰り。勇者のいない世界で贅沢三昧できるのだ。


 そう思いながら勇者に飛び付き魔法の袋を触った瞬間、体に激痛が走った。


「ぎゃあーーーー!痺れるーーーー!!」


 あまりの激痛に私は、勇者の前でぶっ倒れた。


「この魔法の袋は所有者以外が触ると防衛魔法で激痛が走るんだよ。なんだよいきなり!」


「早くそれを言うのじゃ!馬鹿勇者!」


「君が勝手に突っ込んで来たんだろう!大方、魔法の袋の中に転移か召還魔法のアイテムがあるかと思ったんだろう? おあいにく様。そういうアイテムは持って無いんだ!」


「なんじゃと? 使えん勇者が。良いのは顔だけか?」


「このやろう、勝手に自爆特効してきたくせになぜ、俺がキレられているんだ。まぁ、いいや、ほら回復ポーション飲んで」


 勇者がポーションを魔法の袋から取り出し私に差し出してきた。

「あっありがとうなのだ!」


 後で聞いた話だが、魔法の袋の中のアイテムは、こちらの世界でも使えると説明してくれた。

 

 何だかんだ言って私が気になった事を察して色々説明してくれる辺りは、好感が持てる。

 なるほど。この顔立ちで気配りができればあちらの貴族娘達よりも女顔の勇者に惚れる男貴族がいるのも頷ける。


「おい、貴様、今、ものすごい失礼な事を考えていないか?」


「そ、そんな事無いのだ!ただ、セツナは、アリーナでは男貴族に良くモテたと噂で良く耳にしたのを思い出しただけなのじゃ!」


「………………」


 セツナが遠くを見て何かを思いだしている。


「どうしたのじゃ?」


「本当に、こっちの世界に帰ってこれて良かったよ。そう思っただけだりそんなことよりもう少しで昼だしご飯にしよう!」


「お主、料理できるのか?勇者なのに?」


「舐めるなよ、勇者パーティーの時は、料理、在庫管理、経理、雑務何でもやっていたからな、勇者パーティーの奴ら皆、脳筋でやりたがらかったからな!勇者パーティーなのに勇者の俺が、過労死するレベルで働いてたぞ!」


「………お主も色々大変だったんじゃな!」


 私はそんな感想を述べたのだった。




 俺は勇者のカミナリ セツナ。

魔王エスフィールと今後の事を話し合っていると。昼過ぎにになっていた。


 俺も腹が減ってきたので我が家、自慢のリビングに2人で降りていった。魔王も現代の家にはビックリする事に間違いないだろう。


「なんじゃ、この狭い部屋は! 物置か何かか? セツナ?」


「我が家の自慢のリビングだ!何が物置だ!」


「なんじゃと! 私が住んでいた魔王城のリビングはもっと広かったがこっちの世界の家は小さいのじゃな」


「魔王城とスケールを一緒にしないでくれ。うちの家は普通の家よりも結構デカイ方なんだぞ」


「こっちの世界の家は案外小さいのじゃなぁ。なるほど、なるほど、興味深いのう!」


 この魔王は、俺を怒らせる天才なのだろうか。だが、よく考えると魔王も王族みたいなものだし庶民感覚などあるわけ無いのだ。こういったズレた会話にも納得がいくような気がした。


「とりあえず、魔王……エスフィールさんは、そこのソファーにでも座ってて」


「ユナと呼んでよいぞ」


 最初から親しいくもないのに。敵だった魔王にユナと呼び捨てにするのも恥ずかしいものだ。呼び方はエスフィールさんと呼ぼうと心の中で勝手に誓う。


冷蔵庫の中身を確認し、余っている野菜と冷蔵庫にあった豚バラ肉が、あったのでカレーを作る事にした。


 あちらの世界の時は魔法でまとめて作業ができた為。すぐに料理は完成したりしたが。


 やはり自分で素材を切ったり。焼いたり。煮たり等の行程をするのは。なんと言うか楽しい。


 そりゃあ、魔法が使えれば一瞬で料理はできるが。こういう手間をかけて作る料理も良いものである。


 厳しい修行と次元の間を超えた事による魔法総量が増えた恩恵により。

 あちらの世界では若いながら世界でも剣術、知識、魔法を高レベルまで身に付けられ。


 世界でもかなり強い分類に数えられていた。だが、こちらの世界に帰って来た事によりその力も失う事になった。


 それは俺にとっても嬉しい出来事だった。力がありすぎるのも考えものであることはあちらの世界で勇者として活躍をしていた時から考えていた。


「力が有りすぎるものはいずれ身を滅ぼすものだからね。その力に溺れるないでね」


 あちらの世界で剣術や魔法の師匠である魔術師マーリンに何度も注意を受けていたからだ。


 こちらの世界に帰ってきて魔法が、使えなくなっていた時は歓喜した。これで、やっと平穏に暮らして行ける。そう考えたのだ。


 手間がかかる工程が必要。それはとても良いことだ。あちらの世界では、魔法で何でも解決できるなんて余りにも都合が良すぎるのだ。


 そんな事を考えながら台所でカレーを作る。それをリビングからジーッとエスフィールが物珍しそうに観察していた。


「気になるなら手伝ってくれてもいいよ」


「べっ別に気になってないわぁ!バカもん!」


 バカもん! とか、どこの亀有の大○部長だよ。

そんなやり取りをしている間にカレーが完成した。

ご飯は炊くのが手間だったので冷凍ご飯を電子レンジでチンで済ませ。ご飯を皿に盛りカレーをかけてはい完成。


 テーブルに運び、腹の減らしたエスフィールの前にカレーを置いてあげた。迎え側に、座り迎い合うように座る。


「こっちの世界では、食事をする前に手を合わせて頂きますと言うんだよ!」


「そうか!では、頂きます。」

「頂きま……。」

 俺が頂きますと言い終わる前にエスフィールはカレーを貪り食い始めた。どんだけ腹が減ってたんだよ。


「なんじゃ、この食べ物は。辛いが美味いあっちの世界では無かった料理ではないか!」


「確かにあっちの世界のスパイスはかなり貴重な物だったから香辛料を使うカレーを食べるなんてなかなかできないもか」


「カレー! カレーと言うのかこの美味な料理は。私はとても気に入ったぞ。セツナ」


 満面の笑みで嬉しいそうに魔王様は笑った。


「そっそれはよかったなぁ! (こっこいつなんか可愛いぞ!さっきまでのダメ魔王はどこに消えたんだ!)」


 魔王の不意の仕草に少し動揺してしまう俺なのであった。


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