聖座決戦・〖ロマ・テレシア教皇と龍族の巫女〗編 No.8 〖七氷帝・アナスタシア〗
「‥‥‥‥これ程の攻撃を喰らわしても息絶えないか。やはり、倒すには奴にかけられている〖女神の祝福〗を取り除かなければ駄目な様だな」
ラインバッハがそう言って俺の隣にやって来る。
「〖不老〗だそうだ。隣の大陸でさ彷徨う伝説。〖カンナギの姫〗みたいな〖不老不死〗ではないけどな」
「〖不老〗‥‥‥‥その〖不老〗。確か大アルカナ〖星〗のシリウス・クラウディウスも〖不老〗だったのだろう?確か、ナルカミ氏は『ヘル・デア』で一戦交え。苦戦の末、倒せたんだろう?」
「あ、あぁ‥‥‥‥‥ウリエルと一緒にな。最後は天界門を通って天界に昇って行ったがな」
「天界門?‥‥‥‥シリウス・クラウディウスは『ラグナログ(神々の黄昏)』に堕ちるまでは、神話~神代の時代の魔法を飛躍的に発展させた〖星の賢者〗。大アルカナを消失すれば、その功績で天界にも招かれるか‥‥‥‥‥‥シリウス・クラウディウスは確かに亡くなったんだよな?ナルカミ氏」
こんな状況でラインバッハはしつこく聞いてくる。今、【教皇】トルギアス・アトスはセシリア達の大技を喰らって身動きが取れていないが、身体の回復が終われば、奴は俺達を殺しにかかるに決まってる。呑気に会話なんてしている場合じゃない筈だが。
「そ、そうだ。そ、それよりもトルギアス・アトスの身体が治っていくぞ。俺もだいぶ回復できたし、四人で一斉に‥‥‥‥」
「いや、此処は俺達で奴を。【教皇】を引き留めておく。その間にナルカミ氏はテレシア『大聖堂』へと向かうのだ」
「テレシア『大聖堂』?いや、まぁ、それはそうなんだが。俺抜きでトルギアス・アトスと闘うなんて危険過ぎるぞ!アイツは神性持ちを殺す力。〖神殺しの力〗を持ってるんだ」
「成る程。拳王姫は良いとしても。俺や新国家・鵺が喰らえば毒となり、死ぬことになるのを危惧しているのだな‥‥‥‥‥‥」
混戦続く首都・テレシアから遠く離れた東の地。
〖アイムス〗
「氷、氷霊帝様。此処、一帯の抵抗する信徒軍はおおよそ降伏しました。」
「カハハハ!そうか、ならばあの妖精竜の娘にこの地は任せ、私はそろそろ、お暇するか‥‥‥‥復讐ももう飽きたしな‥‥‥‥まぁ、心残りは貴様らか‥‥‥‥数日間ではあったが遠き地エウロペ大陸で出会い、一緒に戦えた事。嬉しかったぞ!同士諸君‥‥‥‥今後は大変だろうが頑張ってみよ!カハハハハ!!」
「ひょ、氷霊帝様!何とお優しいお方だ!」
「えぇ、それにお美しいお姿!青の帰服が良くお似合いだわ」
「カハハハ!誉めるな!誉めるな!誉めても氷くらいしかやるものはないぞ‥‥‥‥ではな。皆の者‥‥‥‥今後はこの地で幸せに‥‥‥‥ん?」
「氷霊帝様?どうかされましたか?」
「お身体でも悪いので?でしたら我々が何か暖かいものでもお作りしますが?」
「ふむ‥‥‥‥いや大丈夫だ。心配をかけた。優しき民共。ふむ、うむ、帰るのは‥‥‥‥少し伸ばす事にした」
「ほ、本当ですか?では氷霊帝様がゆっくりとお休みできる場をお作りします。なぁ?」
「えぇ、直ぐに!」
「‥‥‥‥ふむ。心遣い感謝する。だが、少し急ぐでな。全てが終わったら、また来るとも。では少し舞って参る。では後程な。『雹移』」
ビュオオオオ!!!
一瞬。肌寒い冷気が東の地〖アイムス〗を舞った。
「氷霊帝様が?何処かに‥‥‥‥」
「‥‥‥‥消えちゃったわね?」
再び首都・テレシア
「ハハハハハハ!〖神気〗はクソガキのせいでまだ、使えないが‥‥‥‥貴様らは俺様の大アルカナ晦冥魔法の力で消してやる事に決めた‥‥‥‥覚悟しろよ。虫共」
「あの大爆発の連続攻撃を耐えきったのか?」
「‥‥‥‥そして、全ての傷が消えている。やはり奴の〖女神の祝福〗(呪い)を解かねば勝機はないのか?」
ビュオオオオ!!一瞬。冷たい風が吹いた。
「カハハハハ!苦戦しうるなら。この私が時間を稼いでやろう。短き間の契約を結びし解放者よ。カハハハハ!!」
身体を回復させ立ち上がったトルギアス・アトスを見つめる俺達の前に白髪で和服を美少女が現れた。
「何だ?この可憐な美少女は」
「こ、この方は?!‥‥‥‥まさか?!」
「カハハハ!誰が魔法世界一の美少女かっ!カハハハ!」
こいつ?!自分で世界一とか言い始めたぞ。また、頭の可笑しい枠か?
「カハハハ!私は氷霊帝・アナスタシア。まぁ、気軽にアナとでも呼べ。解放者」
「氷霊帝?‥‥‥‥七聖―女神―や〖大蛇〗と同格の?七氷帝の一角?のアナ?アナ‥‥‥‥‥」
「カハハハ!まぁ、そう卑屈になるな。なるな?‥‥‥‥お前、変な事考えておるか?」
「いやない!全く」
「‥‥‥‥‥そうかえ。まぁ、良いが‥‥‥‥‥解放してくれた礼だ。目の前のバカ(教皇)が消えるまでは面倒をみてやるぞ。やる事があるなら行くと良い。私は優し方の神だからな!カハハハハ!」
『氷雪大陸』の七帝〖氷霊帝・アナスタシア〗
又の名を『始祖・神集九煌』の一角〖七氷帝・アナスタシア〗露ル