王子と騎士の推測
『セルビア』西方地帯『ウィンザー』地区
此方達は新ご主人様‥‥‥‥‥タ、タマキ様がいないから、雷撃君って言っても大丈夫だよね?‥‥‥お仕置きはされない筈‥‥‥‥‥うん、大丈夫。
おっと!ごめん。ごめん。もう一度と最初から。
此方達、アルディス王子、此方、後で合流する筈のイフリートは雷撃君の転移魔法で西側最大の都市『シルフィード』へ向け。
移動用の獣『ブラックキャット』に乗って西側地区の観光名所シルフィード高原を颯爽と走っていたんだ。
「メリュジーヌ卿!後、数刻で西の大都市『シルフィード』へ着きます」
「うん!そのようだね。シルフィーの魔力もまだ、健在だし。何とか間に合いそうかも」
「ですがメリュジーヌ卿。数刻程、クロ達に乗って走って来ましたが、敵になったはずの一般妖精達が全然現れませんね?」
「‥‥‥たぶんだけどね。此方達よりも早くに『シルフィード』に出発したイフリートが、道中の一般精霊を倒してくれたからじゃないかな?」
「そ、そんな?!先遣隊の報告では魔竜に操られている一般妖精は軽く何千という大軍で移動していると聞きました。こんな、短時間でそれ程の数をイフリート様。お一人でですか?」
「だろうね。それに今のイフリートは誰と契約してると思う?アルディス」
「‥‥‥セツナ君と契約してるから契約者の魔力が供給され、イフリート様は本来よりも強くなっているってことですか?」
「うん‥‥‥多分そうだと思う。現に此方を縛ってる筈のこの首輪だって束縛の魔法はかかってる状態だけど。この首輪を媒介にしてご主人様‥‥‥雷撃君の魔力が送られて来てるもん」
「それでは、メリュジーヌ卿も『入国門』で闘った時よりも」
「間違いなく強くなっているね。それにしても雷撃君の魔力総量は底なし沼かなにかだね。今まであった魔力総量が高い子達の中で一番の魔力の保有者だよ」
「そ、そんなにも凄い魔力総量なのですか?」
「凄いってものじゃないよ!アルディス!普通、獣族、魔族、上位妖精、神代の竜、神獣に分け与えてるだけで魔力の枯渇になって、直ぐに衰弱死してしまうからね。でも、雷撃君は、何の顔色も変えずにそれをやってのけてる。」
「なぜ、彼はそれ程の魔力総量を持って入るのでしょうか?メリュジーヌ卿」
「‥‥‥‥此方も憶測でしか、言えないけど今の人類、アルディスみたいなエルフや雷撃君の様な人族の事だね。つまり神代末期後に生まれた人達かな。たまにね。入るんだ君達の中に‥‥‥人類の中で『臨界突破』する子達が現れるんだ」
「『臨界突破』?僕、初めて聞きました、そんな話。その『臨界突破』をすとどうなるのですか?」
「簡単に言えば、神と人との境界線を越えるんだよ。彼らは」
「神と人との境界線を越えるですか?にわかには、信じられない。話ですね」
「でも、神代後、歴史に名を残してる偉人達は多分。『臨界突破』を経験している人達だと此方は考えてるよ。そういう人たちを何て呼んでいるか知ってる?アルディス」
「‥‥‥いいえ」
「半神半人類=『神ノ使徒』と呼ばれてるんだ。天界のからの神の代理人だね」
「ま、待ってください!現在のエウロペ大陸にも神と呼ばれる方達が‥‥‥‥」
「うん!確かに入るね。神代後。天界に帰れず、そのまま、その土地の主や土地神になった子達は。でもね、天界の神々はそもそも地上に残った神達とは、そもそも次元が違うんだ。地上の神達は神代時代に産まれた神。天界の神達は神話時代に産まれた神なんだ。此方のおじいちゃん。‥‥‥‥『オーディン』様がそれに該当するかな。『オーディン』様も神話時代の後期に産まれた神様だったからね。」
アルディスは此方が話す情報量の多さに頭が追い着いて無いみたい。
「ごめんね。アルディス。少し話が長くなっちゃったね。休憩する?」
「い、いえ、こんな神代の貴重な話をかのメリュジーヌ卿からお聞かせ頂ける機会もそうそうありませんので、続きをお願いします」
「‥‥‥‥うん。疲れたら、いつでも言ってね」
「お気遣い感謝します」
「話を雷撃君の『臨界突破』の話に戻そうか。だから、彼は『臨界突破』経験者じゃないかと此方は考えているんだ。それも何回も『臨界突破』を経験した。『神ノ使徒』域まで通達した超越者だと、此方は推測するよ」
「その『臨界突破』を経験するにはどうすればよいのでしょうか?」
「多分だけど、生死の境をさ迷うとか、‥‥‥‥次元を越えるとか、かな?」
「次元を越える?」
「アルディス!此方達が雷撃君に飛ばされる前にエスフィール先輩が言ってた単語覚えてる?」
「‥‥‥‥‥『地球』?」
「そう、此方が思うに。雷撃君、はその『地球』からアリーナの世界を何回も次元を越えて来てるから‥‥」
「その都度、『臨界突破』してるって事ですか?」
「今の所、憶測でしか無いけどね。それよりも此方は、その『地球』って言う場所に凄く興味が湧いているよ。雷撃君の持っている魔法の袋から、たまに出てくる極上の冷凍スイーツ!君も食べただろう?」
「はい!はい!あれは凄く、凄く!美味しかったです!」
アルディスは目を輝かせて此方を見てきた。なるほど、アルディスは甘いものに目がないと。
「あんな、美味しい物がいつでも食べられるなんて、素晴らしいと思わないかい?アルディス」
「お、思いますね」
アルディスの顔が溶けそうな位にやけている。
「多分、だけど。雷撃君はエスフィール先輩を魔王領まで送り届けたら。『地球』へ帰ると思うんだ。‥‥‥‥後は、分かるかい?」
「‥‥‥‥それまでの間にセツナ君に同行して、『地球』に帰る時に一緒に連れて行って貰うわけですか?」
「そう!それに雷撃君とエスフィール先輩の会話をたまに聞いてると分かるんだけど。雷撃君は『地球』だと結構なお金持ちだと此方は推測するよ」
「『地球』では、高貴な身分と言うことですか?」
「うん!数日前にね、猫なで声で雷撃君に『地球』で住んでいる。家の大きさを聞いたけど。王都の貴族達が住むくらいに広そうなんだ」
「では、住む場所も問題無いと言うことですね。夢が膨らみます」
「フフフ、そうだね。今の『セルビア』の内乱が収まって。事後処理も済んだら。2人で雷撃君をこっそり追いかけようよ。有難い事に!雷撃君の居場所はこの首輪で直ぐに分かるからね」
「はい!必ず追いかけましょう!!!メリュジーヌ卿!必ず『地球』へ行きましょう!ですが、今は!」
「うん!目の前の!」
「シルフィード先生を助けましょう!」
「魔竜を倒してね!」
「はい!!!」




