白き魔術師 VS 赤の創設者 No.4 巨獣相撃
アルカテル地区から北方『ザリ』
「ゲラゲラゲラゲラ、とんでもねえ奴等を喚びやがったな。クワバラ、クワバラ。関わりとうわない‥‥‥‥あっちで殺して廻る。ゲラゲラゲラゲラ!!」
〖暗黒大陸・十魔神が一柱・アナダラ〗
南方『ガクテ』
「‥‥‥‥‥だから、人避けをしたのか?白の魔術師。ならば私は別の場所を正そう‥‥‥‥」
〖天空大陸・天使族・ザラキエル〗
場面は再び〖アルカテル〗へ
地区の建物は燃え
白き獣の毛が夜明け近くの夜空に乱舞する。
「ギャララララ!!!!」
「ウォオォォォ!!!!!!!」
「おぉ、流石は神代の異物と言われる〖創造生物〗。私の〖白銀の大猫〗が投げ飛ばされるなんてね」
「余裕そうに言ってくれるじゃない!〖異界〗の幻獣をそのまま喚ぶなんて‥‥‥‥正気じゃないわよ。貴女」
「そうかな?でも最初にあの子を召喚したのはリルマーズ君だよね?ほら、彼処の居住区なんて壊滅状態だしね」
「煽られるのもそろそろ限界なのよね‥‥‥‥焼失させる‥‥‥‥火星・熒魔法『アレース・メリディアニ』」
火星・リルマーズ・アルカディアの魔法の本質が退化する‥‥‥‥‥。
それはあえての退化である。
リルマーズはロマ【教皇】から強制的に〖星〗の魔法である現代魔法を使わされていた。
マーリンの度重なる挑発により。彼女の怒りは頂点はとっくに過ぎていたのだ。
そんな彼女は今、現在をもってロマ【教皇】から言われていた強制を時、数世紀振りに自身の神代魔法へ〖回帰〗する。
「これは?!ちょっと不味いね‥‥‥‥‥」
「貴女が悪いのよ‥‥‥私に対して上から目線で‥‥‥『炎焼』よ!」
〖アルカテル地区〗の地表から火炎柱が辺り一面から吹き出し始める。街が、建物が、草木が、灰塵に帰す。
「‥‥‥‥‥リミットを外したのかい?リルマーズ!神明魔法『白銀の爪牙』」
夜空を覆う程の白き牙がリルマーズ目掛けて迫って行く。
「そんな小手先が通用するような相手じゃないわよ!私は!火星・熒魔法『アレース・ユートピア』」
地表から現れた極炎が白き牙を焼き尽くす。そして、その極炎はマーリンの元へも放たれ。マーリンの全身を焼き始めた。
(熱っ‥‥‥‥‥まさか現代魔法を棄てるなんてね。いやこれは永続的な神代・〖回帰〗というやつなのかな?‥‥‥‥現代魔法から神代魔法に性質を変化させたと言った方が正確かな。それにしても‥‥‥‥‥あのトリストメギストスの末裔がここまでやるなんてね。正直、ビックリしたよ)
「‥‥‥‥無傷?魔術師・マーリンの名は、このアリーナじゃ誰でも知ってるなって事かしら?そんな存在が神明魔法なんて使うなんて‥‥‥‥卑怯過ぎよ!〖災星〗よ!あの子に被災をもたらしなさい」
「流石が実戦を重視するトリストメギストス学園の創設者。判断と決断が早いんだね。〖白銀の大猫〗!!!」
「?!グシャアアアア!!!!」
「ギャラ?!!」
マーリンの一言に反応し〖白銀の大猫〗はリルマーズの入る場所へと跳躍する。その動きは俊敏でリルマーズと〖白銀の大猫〗との間合いを数秒もせずに詰めたのだった。
「?!ライアーラの隙をついて一瞬で来たわけ?‥‥‥‥流石、〖異界〗の生き物。規格外だけど‥‥‥‥それはライアーラも一緒よ!ライアーラ!!『マーズ・ヘラス』」
「ギュラララララ!!!!ギャラアア!!!」
「グルル!!グオォォアア!!!」
ライアーラ・ボルケーノがリルマーズを守るように〖白銀の大猫〗の前に現れ、両巨獣は再び激突する。
「全く。これで決めようと思ったのにさぁ。リルマーズ‥‥‥‥その子のリミットも外したのかな?」
「それを言うなら貴女もでしょう?‥‥‥‥何よあれ?〖アヴァロン〗の妖精や魔生物は大人しいって聞いてるんだけと?‥‥‥‥貴女、何したのかしら?」
「おっと!右手が大火傷してしまったよ。治れ、治れと‥‥‥‥幻覚魔法で興奮させているだけだよ。あぁ、でも安心して良いよ。あの子はまだ幼体の子狐みたいなものさ。時が経てばもっともっと強くて大きくなる予定だからね」
「何てものをしようしてんのよ‥‥‥‥夜明けも近い‥‥‥アルモ先生は死んじゃった‥‥‥‥‥ロマ様には逆らっちゃっし‥‥‥‥アルカテルは私の炎で灰塵の地になったし‥‥‥‥憂さ晴らしにはなったわね」
「ん?憂さ晴らし?」
「魔術師・マーリン‥‥‥‥最後はお互いの〖回帰〗技で決着を決めましょう‥‥‥‥私の全力を耐えきったみせなさいよ」
「良いよ‥‥‥‥時間も無なくなってきたしね‥‥‥‥‥塵にしてあげるよ。リルマーズ」
「誰に向かって言ってんのよ!‥‥‥‥いくわよ!神代を更に〖回帰〗する‥‥‥‥神話・回帰『アレース・フォボス・ダイモス』・〖火のような者よ〗」
アルカテルの開ける夜空に神話の火炎が落ちて来る。
「トリストメギストスの叡知かい?‥‥‥‥‥まるで神話の大戦の景色だよ‥‥‥私もそれに応えよう!神明・回帰〖白銀の大妖精(オージェンタム・ディーウァ・ クァエダム)〗」
夜空から降る赤き火炎と地上に現れた白の妖精がぶつかり合う。その瞬間、アルカテルの全てが更地へと化した。




