虚脱の天界人と神代魔法 No.2 〖色〗の力
神代魔法は個人の魔法適正、産まれた血筋、生きてきた帰路によって、その性質が決まる。
一人で複数の〖色〗の神代魔法を扱える者も入れば。
単色の神代魔法しか使えない者も入る。単色しか扱える者は複数持ち劣るかというとそうではなく。単色の神代魔法は複数持ちの神代魔法よりも、威力、魔法規模等が桁違いに強い。
ラーダ君は後者だった。神代魔法(黄)‥‥‥‥雷や貴金属、天候等を操る力に特化した神代の魔法。
神話魔法、現代魔法とは異なる魔法体系。そんな魔法をこの数日の間。此方はラーダ君に叩き込んだ。(物理)
「‥‥‥‥神代時代の魔法を今更覚えても遅いんじゃないか?そんな魔法制御もできていない状態で扱っては危険すぎる」
「五月蝿い!僕だって‥‥‥‥僕だって、覚えたくて覚えたんじゃない。金星魔法が‥‥‥‥‥ヘスティア地方の現代魔法が使えなくなったから使ってんだよ!神代魔法(黄)『雷忉』」
ラーダ君はプロキオンに向かって雷の稲妻を放つ。でもそんな魔法攻撃。天界人である彼に当たるわけないんだけど‥‥‥‥
「‥‥‥‥やはり。威力は凄まじいが‥‥‥‥‥魔法操作が全然制御できていない。それではいつ、魔力暴走が起こっても可笑しくないぞ!ラダ・テラ。光星魔法『白犬聖痕』。突撃しろ!白犬!」
プロキオンは白色の犬の姿を魔法で造りだして、ラーダ君の攻撃にぶつける。
「ワオォォ!!!」
ドガアァァン!
「あの、プロキオンの魔法を相殺した?‥‥‥‥‥ぼ、僕の神代魔法の威力‥‥‥‥高過ぎないか?」
「はぁ~、自覚してるならもっと魔力コントロールに意識を向けるべきだよ。金星魔法の時はあの悪魔君がラーダ君の代わりに魔力操作をしていんだからね」
「わ、分かってるよ。フローレンス‥‥‥‥でも、何で俺はずっと悪魔に取り憑かれてたのに、それに気づけなかったんだ?未だに理由がわかんねえよ!神代魔法(黄)『雷弾』」
「‥‥‥‥‥光星魔法『犬星光』‥‥‥成る程。ベリトの悪魔を追い出したか。ラダ・テラ。お前は彼の‥‥【教皇】の実験体だったんだのだ」
再びの魔法の衝突。この攻撃も相殺し合う。うーん。技の威力だけは今のところ互角なんだね。
「実験体?どういう事だよ。プロキオンさん!」
「‥‥‥‥あれは神代の頃から、色々な種族を使い。暗黒大陸の悪魔種や魔人達との交配に力を入れている。俺の友、リゲルもその被害者の一人だったんだ‥‥‥」
「だった?あの〖狂ったリゲル〗卿がか?」
「‥‥‥‥五芒星の中ではそう呼ばれていたのか‥‥‥‥いや、恨む対象が違うな。星占いの結果がでて分かっていた筈だったんだ。あの時、全力で止めて入ればリゲルは救うことができたのだ。それに‥‥‥‥‥」
「君達。天界の神人や人神が地上に降りてこなかったら。あの悲惨な〖神魔竜戦争〗はそもそも起きなかったもんね」
「‥‥‥‥‥お前は‥‥‥」
「うん。自己紹介がまだだったね。天界人・プロキオン。此方の本当の名前はメリュジーヌ・フローレンス・セルビア。神代の英雄。オーディンの孫だよ」
「‥‥‥‥‥そうか。オーディン殿の。では、あの戦争の被害者か」
「そうだね。あの沢山の〖神魔竜戦争〗のせいで此方の沢山の家族が死んじゃったね」
「‥‥‥‥俺を恨むか?メリュジーヌ殿」
「さぁね?もう終わった事だし。恨むとしても、それは君に首輪を着けて離さない【教皇】を恨むかな。オーディンお爺ちゃんの書籍で読んだんだよね。〖神魔竜戦争〗を引き起こした黒幕。アトスの【教皇】の悪事が書かれた本を」
「‥‥‥‥オーディン殿は知っていたのか。【教皇】の闇を‥‥‥‥何故、戦争のを止めなかったんだ?‥‥‥‥いや、一度始まった戦争は止めようがないな。それにロマ・テレシアには〖剣山〗という―女神―フレイヤが造った〖神工物〗があり、アテナ地方から侵入するのにも時間がかかるか」
「そんな。感じだね‥‥‥‥‥君からは悪意を感じないし‥‥‥‥やっぱり、現況はあの【教皇】みたいだね。ご主人様に喚ばれたのも何かを分かってきたよ。ねぇ、ユグドラシル様」
「お、おい!そんな事より。どうするんだよ!プロキオンさん‥‥‥‥プロキオンに僕の魔法が全く通じて無いぞ。このまま、もし負けたら。僕はあのロマの野郎に八つ裂きにされちまうぞ」
「五月蝿いなぁ。今はプロキオン君と情報交換してるんだからさぁ、静かにしていてよ‥‥‥‥‥君の神代魔法はかなり‥‥‥ううん。凄く良いよ。後はね‥‥‥‥‥」
「‥‥‥‥〖色〗だ。ラダ・テラよ。色をもっと高めろ」
「おわっ?!何だよ!プロキオン‥‥さん!いきなり話しかけてきて!」
「‥‥‥‥黙って聞いていろ。俺は神話魔法は捨て、現代魔法に傾倒してしまった身だから、アドバイスしかできないがな‥‥‥‥色を高めろ」
「色?」
「うんうん。そうだね!色々だよ!」
「‥‥‥‥神代魔法は自身のイメージ、色彩、自然の状況、周辺の風景が力の源。神代魔法を自由に扱いたいのなら、自身の中にある〖色〗を明確に決めろ!お前が使うのは黄色の色彩、そして、〖雷〗なのだろう?何でも良い、それに基づく情景や風景をイメージして神代魔法を放ってみろ。そうすれば、先程よりも精密な魔法コントロールを得られるだろう」
「何で闘ってる相手にアドバイス送ってんだよ。この処罰人は‥‥‥‥‥さっきより生き生きし始めてるしさぁ。何があったんだ?」
「ラーダ君!それよりも、早く!プロキオン君が言った通りにやってみてよ!此方君が成長する所を見せて欲しいんだから!ほら!」
「わ、分かったよ!フローレンス。今からやるから、尻を叩くなよ!‥‥‥‥イメージ‥‥イメージ?‥‥‥‥黄色の閃光に‥‥‥‥針の様に鋭い稲妻?‥‥‥神代魔法(雷)『雷忉』」
ラーダ君はそう言ってプロキオンに向けて再び、神代魔法を放った。