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五日目の杯・滅びの進撃


新国家『ルアカトリク』建国宣言から一夜が開けた。解放軍と謳った紛争地帯に住まう諸国の民で。編成された急ごしらえの軍の為、統率もできる筈も無く。皆が皆な飢えに苦しんでいた為、痩せ細っている。


恐らくだが、この戦いは戦争とも呼べる様な戦いにはならないだろう。

短期決戦。それ一択しか、新国家『ルアカトリク』が生き残る術は無いのだと思う。


ロマ・テレシアは確かに色々な怨みを持たれている。だが、相手は神代時代から現代まで大国として生き残った『ロマ・テレシア』だ。二日前から起きている国内の騒乱も一週間や一月もすれば収まることにナルカミかもしれない。


それに、幽閉されていた彼等も数日は暴れるだろうが気が張れれば元の場所に帰って行くだろう。

それにロマ・テレシア国内には正規の聖騎士の軍が数万人居ると言われている。


今は各地で起きた混乱を鎮圧する為に国内にバラけているだろうが、一週間も経てば再び集結し。俺達の障害となって立ちはだからるのは火を見るよりも明らかだろう。


特に首都を警護する『聖騎士』達や、死の大地に居ると言う『二凶星』と呼ばれる連中が現れたら。負ける可能性があるだろう。



神成 刹那の心の中(精神世界)


(あっ!ご主人様。ヘル・デアとロマ・テレシアの国境に着きましたよ。ですから、そろそろ私のお腹を離して下さい)


「‥‥‥‥‥いや、まだ寝てたいんだ‥‥‥‥‥それに精神世界なんだから‥‥‥‥ウリエルに甘えていても誰にも邪魔されないんだ‥‥‥‥何時もなら誰かしらにさぁ‥‥‥‥」


俺はボーッとしながらウリエルのプニプニのお腹回りを堪能している。


(ウヒャアァァ!!お腹をモミモミしないで下さいー!何時ものご主人様に戻って下さい~)


「何時も?‥‥‥‥何時もねぇ?‥‥‥‥‥今、起きたら現実世界に戻るんだよなぁ」


ワシャワシャ!


(そ、そうです!ですからお腹をモミモミしないでぇ~)


「‥‥‥‥‥最近、アヤネと委員長も話しかけて来ることも無くなってきたんだ。ウリエル」


ワシャワシャ!


(ショ、しょうなんですか~?!!)


「委員長はセシルス王子とずっと居るしさぁ。あの王子。男装女子なのに、良い雰囲気なんだよ。女の子同士でさぁ、委員長はセシリア王子が超絶美少女だって気づいてないしな」


モミモミ!


(手、手付きがぁ!ハヒィ!擽ったいですぅ!さ、最近は、多様性ってご主人様は言われて下りました。恵様もその多様性ではないでしょうかぁ~)


「多様性ねぇ‥‥‥‥アヤネなんか、いきなり子供ができたらしくてさぁ~、ルア新法王様に付きっきりなんだぜ。ママとか言われてさぁ。どう思う?ウリエル~」


コチョコチョ!


(ル、ルア様もお目覚めになられて、と、時がまだ経っていませんから、あ、甘えたいんだと思います~!!ご主人様の様に!!)


「甘えてたい?」


ムニムニ!


(ハ、ハイ~、今のご主人様の様に~!!で、ですからそろそろお腹から手を離して下さい~!擽っくて~、力が入りません!)


「成る程。甘えたいのか‥‥‥‥成る程なぁ!!」


俺はウリエルの(へそ)辺りを優しく撫でた。すると。


(ミャアアアア!!!く、擽ったいですぅ~)

ピクピクピクピク‥‥‥‥‥‥。


ウリエルはあまりの擽ったさに意識が飛んでしまったようだ。


「いや~、癒してくれてありがとう。ウリエルは弄りがいがあるよな。また頼むよ。宜しく」


俺はそう言って精神世界から出ていった。


(‥‥‥‥‥‥ゆ、赦しません。わ、私の頭を優しく撫でたり、お腹をモミモミ、プニプニしたり、お腹に手を回してきたり、手を繋いで寝てくれたり‥‥‥‥‥‥あれ?イヤらしい事、何一つされてませんね?私‥‥‥‥大切にされてる?)



宗教国家『ロマ・テレシア』


エウロペ大陸の〖黒き陰〗とも言われる、最低限の関わりしか持ってはならない国とされてきた。


北は『死の大地』と地続きになっており、魔神や魔竜との争い続けている。


東はソロモン山脈が並び立ち、剣山が形成する底無しの峡谷がアテナ地方とヘスティア地方と行来(いきき)を断絶している。


西はウェスタ荒野と連なり、ヘスティア地方各国から追放された者達が住まう無法の地とされている。


そして、南。つまり紛争地帯『ヘル・デア』。俺達が解放し。ルア新法王様を旗頭に新国家『ルアカトリク』がある地である。

二日前まではこの地の住民達がもたらす富や労働力の全てを、ロマ・テレシアの国の為に吸い上げられていた。


その怒りが今、ロマ・テレシアを滅ぼそうと進行し、国内へとなだれ込こもうとしていた。


「ふわぁ~、眠い。此処がロマ・テレシアとヘル・デアの国境。〖ルルア〗か‥‥‥‥‥ほぼ廃墟と化してないか?」


「ヘル・デアル大館で幽閉されていた者達が怒りに任せてやったのだろう‥‥‥‥‥だが、ロマ・テレシア国内にいる危険因子の信徒意外は、被害を受けてないと朝方に報告が来たのだ」


「被害を受けてない?‥‥‥‥これでか?絶対嘘だろ」


俺に話しかけたの土星(パイノーン)サータ・エンケラドスだ。建国宣言の後、反乱軍の指揮官として、全軍の指揮を取るらしい。ロマ・テレシア打倒後は、エウロペ大陸から去るとの事だ。話し方も昔に戻したとかで片言で話すのを止めたらしい。


「それは仕方がない事だ。長年に渡り、彼等を幽閉していた私や【教皇】様が行けないのだ‥‥‥私は貴殿と借りの契約をして、彼等に攻撃される事は無いだろうが‥‥‥‥‥首都にいる【教皇】様や信徒達は違う‥‥‥此処を占領化に置いたら、明日には首都に攻め込む事になるだろう」


「だな。ただ、首都には数万の信徒兵、〖聖騎士〗や【二凶星】とか言う奴等も待ち構えているんだろう?大丈夫なのか?」


「そこは賭けになる。私達。反乱軍意外の二方向からもロマ・テレシアに攻め行っていると報告がきている‥‥‥‥貴殿の転移魔法で反乱軍を首都に転移できたりできるか?」


「俺の転移魔法?いや、無理だな‥‥‥このロマ・テレシア地帯は魔力濃度が薄い‥‥‥‥『妖精国(アムフヘイム)』やヘル・デアの大龍脈がある土地でないと大きな転移魔法は使えない」


「ふむ‥‥‥‥そうか。ならば数刻休憩を取り終えたら、首都へと強襲をかけよう」


「おいおい、判断が早くないか?他の各都市や街を落としてから、首都を落とすもんなんじゃないのか。普通は?」


「いや、それでは『ルアカトリク』側が持たんのだ。食料も兵の気力も数日しか持たんだろう。おまけに時間も無いのだ。国内が混乱している。今だけがこの大国を落とすもっと好機なのだ」


「いや、それは俺もさっき思ったけど。さぁ‥‥‥‥」


「貴殿も取り戻すべき仲間が首都・テレシアに入るとパーシヴァル殿より聞いた」


「パーシヴァルから?」


「あぁ、貴殿には迷惑をかけた‥‥‥‥義理の娘も目を覚ました‥‥‥私は長年の罪を犯し続けた‥‥‥‥これも何かの天命であり、最後の贖罪になれば良い‥‥‥‥‥罪はあの【教皇】をアトスの〖放浪者〗を葬って終わらせよう。そして、私も後から消える‥‥‥‥‥」


「‥‥‥‥‥‥そうか」


「あぁ、済まんな。こんな話を貴殿にしてしまってな」


サータ・エンケラドスはそう言うと首都があるテレシアの方向をじっと見つめていた。


その日の夜、ロマの金の杯に五回目の酒。テキラ酒を杯に注いだ。



首都・テレシア大聖堂


「ヘル・デア地帯一帯の国々が統合され、新国家『ルアカトリク』という国名を名乗り、我が国内へとなだれ込んで来ております」


「‥‥‥‥‥それで良い」


「は?」


「無闇の部屋を使えなくなったのなら、あっちから来るのを待っていれば良いんだよ。信徒共などまた増やせば良いしな」


「‥‥‥‥‥‥‥なっ!貴方は民を何だと思っておるのです!」


「何だ?ヤシャよ。初めて言葉を話したと思えば、民の心配か?優しい奴なのか?貴様は」


「‥‥‥‥‥くっ!」


「ハハハ!!!良い反応だな。ヤシャ!歪んだ顔をしてやがる。この国にはなぁ、数万の信徒兵が居やがる。首都を守る、使い捨ての〖聖騎士〗共もな。リルマーズや『二凶星』共が五日程、前線を保てば。後は俺様直々に攻め行って来た奴等を潰して行けば良い」


「‥‥‥‥‥‥‥‥対した自信ですね。報告者殿から聞きました。この国には強者達が集っていると」


「そいつらが不老の俺様を殺せると?飯、睡眠、友がなければ暮らすこともままならない塵共が俺に勝てると思っているのか?‥‥‥‥ハハハ!!!勝てる訳ねえんだよ。アイツらには時間がねえが俺には永久な時がある‥‥‥‥長い戦いにしてやるよ。攻め入る奴等の寿命が尽きるまでな!ハハハ!!!ハハハ!!!」



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