アンタはそれでも
崩壊を始める『雷霆結界・曼陀羅』
天使達がシリウス・グラウディウスを運び終える。すると天界門がゆっくりと消えていく。
「‥‥‥‥この地での闘いは終わりましたね。ご主人様」
ウリエルは二度目の神煌具化を解いて、俺の横に現れた。その幼さが残る整った幼児で微笑みかけてくれる。
今回の闘いは如何に此方の戦力を削らずに勝利を納めるかがカギだった‥‥‥‥‥この『ヘル・デア』の闘いは足掛かりに過ぎない。
本番は本国『ロマ・テレシア』なのだ。此処で全力で闘って『セルビア』の時の様なギリギリの闘いはしたくない。
俺はそう考えて今回はウリエルに頼み、一緒に闘ってもらったんだ。だが、結局の所、俺の些細な油断で大天使の一人。ウリエルを殺しかけてしまったんだ。
「あぁ‥‥‥‥‥君のお陰だよ。ウリエル‥‥‥‥最後まで無理をさせて済まなかった。下にいるアヤネ達と合流しよう‥‥‥‥‥謝らないといけない人達が居るんだ」
「人達ですか?‥‥‥‥‥!はい‥‥‥‥参りましょう。ご主人様」
彼女は智天使と呼ばれるくらいに賢く聡明なのだ、俺の最後の一言察してくれた様だ。
さっきと同様に慈愛に満ちた笑顔で俺に笑いかけてくれた。
シュン! シュイン!
‥‥‥‥‥‥‥‥‥。
『ヘル・デアル』大館
「あっ!雷霆が晴れていきますわ!ラファエル」
「‥‥‥‥‥‥えぇ、そうね。アヤネ」
「何か?怒ってませんか?ラファエル」
「‥‥‥‥‥別に!何でも無いわよ」
「‥‥‥‥‥‥ママ‥‥‥‥‥眠い‥‥‥‥‥」
「まぁ、まぁ、大変ですわ!ルアさん。私の背中で眠りましょうね」
「‥‥‥‥‥‥ウ、ウィ‥‥‥‥‥‥」
「何か、アヤネ。小さい子の扱い、異様に手慣れてるわね?もしかして、妹か弟がいたりした?」
「そうですね。年の離れた双子の妹がいますわ」
「あぁ、それでお世話とかしてたとか?だから、小さい子のお世話に慣れてるのね」
「違いますわ。これはセツ君の為に、とある特殊なプレイが学べる動画を沢山見てそれを真似ているだけですわ」
「あっそう‥‥‥‥‥ごめんなさい。質問した私がバカだったわ」
「そうですか。また、気になる様でしたら質問してくださいね。ラファエル」
「‥‥‥‥‥アンタ。本当にこの旅で強くなったわよね、色々と‥‥‥‥‥‥尊敬するわ」
「そうですよ。私は成長して強くなったんです!色々と‥‥‥‥‥‥ラファエルのお陰でですね。フフフ」
「私の?」
「はいっ!だから、そんな、怒った顔をしないで下さい‥‥‥‥‥‥」
「べ、別に怒った顔なんてしてないわよ!」
「上で何が起こったのかは、ウリエル様の魔力の変動を感知魔法で探っていればだいたい分かりますし‥‥‥‥‥先程からのラファエルの様子も変でしたしね‥‥‥‥‥‥‥‥セツ君をあまり責めないであげてくださいね。ラファエル。私は貴女が本気で怒っている所なんてあまり見たく無いんですからね」
「アヤネ‥‥‥‥‥‥‥えぇ、分かったわ」
「はい。ありがとうございます。ラファエル」
そんなやり取りがあった事など露知らず、俺とウリエルは二人の前へと転移魔法で現れた。
シュン! シュン!
「セツ君!」 「ウリエル!」
「只今、戻りました」 「‥‥‥‥何とか勝てたよ」
「それは良かったですわ」
「ウリエル!!無事で良かったわ!身体の方は大丈夫なの?」
ラファエルはそう言うとウリエルへと勢い良く抱きついた。
「ラファエル様。ご心配御掛けしました。何とかケット・シー様のお力を借りて消える事を回避できました」
「ケット・シー?あぁ、あの猛獣ね。そう!それは良かったわ。うん!本当に良かった」
「はいっ!ご心配御掛けしました」
俺はそんな二人のやり取りを傍らで静かに見ている。
「‥‥‥‥謝るなら直ぐにした方が良いですよ。セツ君」
「つっ!アヤネ?」
「私の時みたいにすれ違いになったら、また、気まずくなりますよ。ほら、元恋人様、私に貴方が成長した姿を見せて下さい」
バシッ!
アヤネはそう言うと俺の背中を強く叩いた。まるで何かを後押しするように、強く叩いたんだ‥‥‥‥
「ラファエル!」
「‥‥‥‥‥‥セツナ」
「ウリエルを危険な目に合わせて済まなかった。俺の甘い考えで、君の大切な友達を危うく死なせてしまうところだった。本当に済まない、いや、君だけじゃないな。ミカエルやガブリエル、ルシファーにも頭を下げて謝らないといけないんだ」
「‥‥‥‥‥馬鹿ね。ミカエルは能天気だしアンタの事が第一だから何があろうと怒るわけないじゃない、ガブリエルは『先読み』で最初から分かってるし、ルシファーも同じ、今回の結末がどうなるかくらい把握してる。怒るわけないじゃない。結局、私だけがこの子を‥‥‥‥‥ウリエルを心配してただけよ‥‥‥‥‥だから」
「ラファエル‥‥‥‥」
「だから、一発、喰らわせなさい!神代魔法を!それで今回の件は、ウリエルに付いては許してあげるわ!セツナ」
「あぁ‥‥‥‥分かった」
「ま、待って下さい。ラファエル様!!」
「ルアちゃん。危ないですから、向こうへ避難しましょうね~」
「‥‥‥‥‥‥アィ‥‥‥‥ママ‥‥‥‥」
「ふんっ!アンタはそれでも私達の正当な『契約者』か!!!ウリエルも、ウリエルよ!もうちょっと!キレなさいよね!!!ぶっ飛びなさい!神代・回避・『粛清天使』!!!」
ドドドドドドドド!!
「ガァハ?!」
俺はラファエルの全力の魔法攻撃を何の抵抗する事もなく、全て受けたのだった。
「今回はこれで許すわ‥‥‥‥‥これに懲りたら、今度からは無謀な作戦は立てないことね!!ましてや、『契約者』達を蔑ろにして巻き込むような事があれば、私はアンタを絶対に許さない!それだは覚えときなさい!私の契約者!神成 刹那!!」
「あ、あぁ、ありがとう。天使・ラファエル」バタンッ!
「ご、ご主人様!大丈夫ですか!!」
「ふんっ!ウリエルは優しすぎるのよ。全くもう!」
こうして、ラファエルとの和解と謝罪も終わり、星との死闘の夜は幕を閉じたのだった。
一方
地下牢屋
「こ、此処は何処ですか?木星さん」
「‥‥‥‥‥‥分からぬ‥‥‥‥地下は迷宮なのだ‥‥‥‥」
「ちゃっと!!」
『ヘル・デア』市街
「待てコラ!!水星・ディエース神官!!」
「ヒ、ヒィー、来ないで下さい!」
「ディエース!貴女、何したのよ?」
「ヒ、ヒィー!た、沢山、過ちを犯しました!はい!ごめんなさい~」
「待てゴラ!!」
「な、何で私まで追いかけられるのよ!!」
他の二組は別のトラブルに追い込められてたと。朝の合流後に知らされるのだった。
本当はこのお話を入れるか悩んだんですが、悩んだ結果入れる事にしました。
神様や天使にも人間と同じで感情があると、私は思っていますので‥‥‥‥‥ラファエルの心理描写は必要だと思いこのお話は書かせて頂きました。
すみません。




