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水冷都市『ウンディーネ』 No.1水の町「レノア」~No.8 私は貴方に遣える事が

No.1 水の町「レノア」


南の水冷都市『ウンディーネ』近くの町「レノア」郊外


「‥‥‥‥よっと!上手く転移出来たか?」


「ほっと!‥‥‥‥ここは?どこら辺じゃ?」


俺とエスフィールは、大都市『ウンディーネ』の近くまで転移魔法てやって来た。


「おっ!見てなエスフィール。町が近くに見える。えーっとあそこは‥‥‥‥」


「何処じゃ?何処じゃ?」


俺は転移する前の準備にアルディス王子から貰った『セルビア』国内(地上)の地図をポケットから取り出し。自分達の現在位置を調べた。


「ここは、『ウンディーネ』から数キロ離れた「レノア」って言う町だな」


「では、『ウンディーネ』は目と鼻の先ということか?セツナ」


「‥‥‥まぁ、そうなるな。‥‥‥ここからは慎重に行動しようエスフィール」


「あぁ、その方がよいな。だが、セツナ。『ウンディーネ』に行く前に1つ確認したいことがあるのじゃ」


「‥‥‥何か君を怒らせることをしたかな?」


「いや、それはいつもの事じゃが」


「‥‥‥‥そうだな」


「私が聞きたかったのはイフリート殿の事じゃ」


意外な名前が出てきて俺は少しビックリした。


「イフリート様の事?」


「あの方も魔神イフリートと言われておるが。もしや、現在、『セルビア』を進行している魔神共と同じ種族だったりするのか?」


エスフィールは厳しい顔つきで俺に質問した。


(やはり『シャナ』での戦いで色々な事があったんだな)


「‥‥‥伝記によればイフリート様は昔は魔神側だったらしい」


「昔は魔神側?どういう事じゃ?」


「エウロペ大陸の神代の時代にあった戦争。『神魔神戦争』は知っているかい?」


「あぁ、『北東魔法学院』でも習う重要な歴史じゃな。それがどうかしたのか?」


「その戦争で魔神側で戦っていたイフリート様が神側‥‥‥つまり、『オーディン』側に付いた事で『神魔神戦争』の終結の引き金になったのさ」


「イフリート様が戦争の終結の引き金?どういう事じゃ?にわかには信じられんが」


「元々、イフリート様は父の神と母の神代妖精のハーフだったんだ。」


「そうなのか?それは学院の本にも載って無かったぞ」


「『北東魔法学院』は載って無いのか?『魔術院』の教科書には普通に載ってたけどな」


「『北東魔法学院』は神々の歴史よりも幻獣達との関係を大事に考えておるからな。歴史の勉強よりも動物や幻獣の扱いの授業の方が圧倒的に多いのじゃ」


「へー!やっぱり学校や地域によって教え方も違うんだな。‥‥‥話を元に戻そう。イフリート様の父は魔神側の神だったんだ」


「魔神側の神か。それではイフリート様も」


「あぁ、勿論。魔神側にいた。イフリート様の父が魔神達に殺されるまでは」


エスフィールは暗い顔になる。


「イフリート様のお父上は魔神共に殺されたのか‥‥‥可愛そうに」


「‥‥‥あぁ、その場面に出くわしてしまったイフリート様が激怒し。魔神達の居場所や魔神達の弱点等が書かれた『聖典』を持ち出し。かの神代最高峰の神『オーディン』に献上し、『神代十二英雄』の1人に数えられたのが魔神イフリート様なんだ」


「そんなにも凄い方だったのか?イフリート様とは」


「あぁ、だからその魔神って言うのも。味方からの感謝と畏怖を込めての魔神イフリートと呼ばれているらしいよ。」


「では、今、私達が戦っている魔神共とは」


「まぁ、根本的に違うな。あいつらは魔に落ちた者達で。イフリート様は尊敬を含めた二つ名見たいなものだ。」


「なるほど。そう言うことだったのか。私はてっきりイフリート様も魔神の類いかと思ってしまい。内心はドキドキしておったわ」


「まぁ、同じ魔神って着いたら。変な勘違いもするよな」


「‥‥‥それで?そのイフリート様は、今も魔法の袋の中に()られるのか?」


「いや、(主殿の魔力を使わせる様な事はしたくないと言って)話し合い終了後、直ぐに西の大都市『シルフィード』へ向かったよ」


「それは、間に合うのか?」


「本人いわく3時間位で着くらしい。身体を神代魔法で強化し、上位妖精なので飛んで行けると言っていだぞ。そして、元気に出発していった。今頃は戦場で暴れ回ってたりしてな」 


「まさか!いくら、神代を生きたイフリート様でもそれはなかろう。ヒスイ達と死闘を繰り広げたばかりだというのに‥‥‥」


『シルフィード』戦場前の草原


「燃え失せろ!反逆精霊共。祖国に弓を引いたのだ。どのような理由があろうとこのせつは許さぬよ」


場面、戻り「レノア」


「よし!そろそろ、『ウンディーネ』へ向かおうか。直ぐに着きそうだし」


「あぁ、すまぬ。急ごう」


エスフィールはそう言うと俺と共に『ウンディーネ』へと向かうのだった。





No.2「七聖―女神―の杖・ラファエル」


大都市『ウンディーネ』へ向かう道中


「そういえば。タマキの奴も()らぬが何処におるんじゃ?」


「タマキはヒスイとセシリアのサポートに行ってもらったぞ」


「なに‥‥‥良かったのか?イフリート様もタマキもいないとなると。お主の得意な使い魔との協力した戦闘員が出来ないのでは?」


エスフィールは心配そうな顔をし、俺に(たずね)てきた。


「そこはご心配なく。ちゃんと考えてるから安心しててくれ」


「そう返されると逆に心配になるが‥‥‥それならばよいのじゃ」


「それにあの二人とタマキは俺を通して魔力パスが繋がってる。もしあの二人がピンチの時、近くにタマキが入れば俺の魔力供給でいざと言う時に2人をサポート出来るからな。この魔力瓶を使ってな」


「遠距離の魔法付与か?タマキだから出来る荒業じゃな」


「あいつはマジでチートだよな。色々な意味でな。君の『武神鎧』も同じ位チートなのか?」


「それが余り分からぬのだ。使ったのも『東北魔術学院』の野外訓練の時、〖死の大地〗でヒュドラの子供と闘った時くらいしか使っておらんからな」


「ヒュドラの子供?‥うわぁ‥‥よく生き残ったな。‥‥‥やっぱり、凄いなエスフィールと『武神鎧』」


「何故、そんなにも驚のじゃ?」


「いや、死の大地へ行ったことも凄いが。子供とはいえ。ヒュドラと闘って生き延びたのも凄すぎるだろう。普通は死ぬしかない状況さ」


俺がそう説明する。そもそも死の大地で野外訓練等と正気の沙汰ではない。あそこは『影の国』の霊王が治める場所以外は基本的に無法地帯なのだ。


伝説クラスのヒュドラや魔獣等が闊歩する魔境であり、エウロペ大陸で禁足地の1つに指定されている魔の大地。七賢人の霊王が守りを固めている為。

南の大陸にそれ程の被害が出ていないが。

もし『影の国』に少しでも異変が起これば。北から強力な魔物が南下し。人族のいる地域は住めなくなるとまで言われている。


その為。人族の国『ガリア帝国』、『魔法中央国』、『七聖教会』は『影の国』に対して食料や資材を提供しているとのこと。簡単に説明すると影の国が人族を守る代わりに。人族は影の国に対価を払い。安全を買っているのだ。


なお、『魔王領』はユグドラシル地方の国々と同盟を結んでいて、尚且(なおか)つ、屈強な軍備大国でもある為。『影の国』からは守られていない。


少し説明が長くなったが、エスフィールとの会話に戻ろう。


「まぁ、あの時はよく分から無かったが。何かやってたら勝ってたのう。いつの間にかな」


エスフィールはそう言うと『武神鎧』が収納されている魔道具の指輪を優しく撫でた。


「魔法族の里に代々伝わるのが『武神鎧』なんじゃよ。本来、私は魔法族の里の時期、族長候補だったんじゃがな。先代魔王カシア様の急死で、混乱している『魔王領』を見かねた。魔法族の人達の推薦で私が魔王に就任したが、本来ならば、魔法族の里で祭事や法律の仕事をする予定じゃったな」


「ほーう。そうだったのか。以前、魔王になる経緯は聞いてたけど。魔法族の里の話しは君から初めて聞くな。地球で言うところの公務員見たいな仕事を魔法族の里ではする予定だったのか」


「まぁ、そうじゃな。昔から『魔王領』、『魔法族の里』『セルビア』は同盟関係にある。『魔王領』が軍備を、『魔法族の里』が魔法の教育を、『セルビア』が食料をそれぞれ供給することによって東北面の地域は成り立っておる。だが、近年は‥‥‥」


「『魔王領』に対して、魔法中央国やガリア帝国の侵略で『魔王領』が疲弊していたんだよな」


「あぁ、そのせいもあり。『セルビア』に不穏分子の侵入を許してしまう結果になってしまったのう」


エスフィールが悔しそうな顔をした。


「何処かが緩めば。すかさず、悪い奴等が悪事を働くか。‥‥‥何処の世界でも同じ様な事は必ず起こる。っとあった!あった!」


俺は魔法の袋の中からある探し物を取り出した。タマキがいない為、探すのにやたら苦労するな。

後で必要な魔道具は近くで直ぐに取れるよう。そばに収納しておく事にする。


「なんじゃ、その杖は?‥‥‥何処かで見たことがある様な?無いような?」


エスフィールが不思議そう顔で俺が取り出した杖を見ている。


「『雷光鞭』と『飛来槍・麒麟』はしばらく使えないからな。その代用品でこれを使う。『七聖―女神―の杖・ラファエル』さんだ。以後、よろしく」


俺は杖を前に出し。お辞儀をした。


「‥‥‥‥‥‥」


エスフィールは目を細めて『ラファエル』を凝視している。


「‥‥‥‥‥!!!?お主この杖!!」


「‥‥‥‥さぁ、『ウンディーネ』に急ごうか」


「ソロモン山脈にある。教会本山の奥にあるとされる。伝説の杖の1つではないか?!何故、貴様が持っている?」


「‥‥‥‥道に落ちてたから拾った。俺のものだ」


「嘘をつけ。馬鹿者!もし、それを教会の者にでも見られてみろ。お主はお尋ね者にぬるぞ」


「杖の外観は、認識魔法で変えてあるから大丈夫だ。それに彼女は俺が所有者だともう決めてあるから。もう遅いぞ」


「き、貴様!『飛来槍・麒麟』といい。『七聖―女神―の杖』といいどれだけの希少の神煌具を隠しておるのじゃ?」


「‥‥‥‥教えないのじゃ。先を急ぐのじゃ!馬鹿者」


俺はそう言うとエスフィールを置いて走り出した。


「あっ!こら、待たぬか。アホセツナ!私の質問に答えぬか!!」


俺達はそんな会話をしながら。南の大都市。『セルビア』の水源地帯でもある。水冷都市『ウンディーネ』にもうすぐ着くのであった。





No.3 蛇の群れと水冷都市


その都市は芸術だった。


全てが青と水に満たされ。


流水が流れ。


青き滝が滴り落ちる水冷の都市『ウンディーネ』


一度でもその景色を見ることは至福なり。


著『冒険家・ラインバッハ・エゴル』



水冷都市『ウンディーネ』に到着した。


空はもう暗くなって視界も悪い(はず)なのだが、大都市内の方は騒がしく、明るい。


その理由はと言うのも。大都市を守る城壁外におびただしい程の蛇が群がっているからである。


その大量の蛇の侵入を防ぐ為にエルフの兵士や一般妖精達が俺の目の前で戦っている。


「凄まじい量の蛇の群れだな。セツナ!」


エスフィールは若干、顔を引き着かせながら。俺の服を掴む。


「君、爬虫類とか苦手な方か?」


「あ、ああ!ラベルの様な可愛い幻獣等は大丈夫だが、蛇や蜘蛛等の爬虫類や虫は苦手じゃ」


エスフィールは身体をブルブルさせながら言った。


「わ、わかった。もし、蛇達の相手が無理そうなら言ってくれ。転移で君を『ウンディーネ』の都市内に送るから」


「す、済まぬな。セツナ」


「君の為ならなんでも」


「そうか、フフフ。ありがとう」


俺がエスフィールにそう言うと。エスフィールは嬉しそうに笑った。


「とりあえず。あの城壁の外にいる。大量の蛇達をどうにかしよう」


「‥‥‥‥なにをやる気じゃ?」


「七聖―女神―の杖『ラファエル』を使ってあの蛇達を焼く。」


「‥‥‥‥惨いな。」


「魔力関知の魔法で良く見ると。あいつらは魔竜の魔力の塊みたいだし。燃やしても死骸は残らないからな。焼くのが1番だ」


「まぁ、あれだけの数が一気にいなくなれば。何処かに潜んでいる親玉の『バジリスク』も姿を現しそうじゃな」


「あぁ、‥‥‥‥詠唱魔法を使う。時間がかかるがその分。威力は絶大だからな」


「では、私は支援魔法でお主の魔力循環を助けるとしよう」


「まじか。君、そんな魔法まで使えるのか」


「私は案外。器用なのじゃ!」


「たまにおおポカするがな」


ポカンッ!!


軽く額を手刀で叩かれた。


「‥‥‥‥よし!やるか。古代の炎神より授かりしは火の魂なり。極炎の魂にて我の心を(たぎ)らせる。撃ち込むは我らの敵。討ち滅ぼすは、我が熱き延焼。全てを焼き払い道とならん。『ラファエル』魔力転換『火魔法』・・・・・『火龍争乱大火炎(かりゅうそうらんだいかえん)』 」


俺が『ラファエル』に魔力を送ると杖の効果。魔力転換で炎属性になった俺の火の、魔力が城壁にいる大量の蛇達目掛けて向かって行く。


水冷都市『ウンディーネ』城壁上部


「くっ!切りがないぞ!この蛇共!突然現れたかと思えば。大都市内に侵入しようとしてきやがって!!」


「魔竜のせいで意識がおかしくなった一般妖精ならまだ分かるが。蛇とはな。厄介な相手だ!」


城壁上部の守備をしていたエルフの兵士2人がそんな会話をしていると。


「お、おい!カイル!目の前、目の前! 火!火だ!」


「何だよ?!ギャップ?!遂におかしくなっち待ったか?‥‥‥‥」


カイルと言う。青年エルフはギャップの指差す方へと顔を向けた。

そこには真っ赤な業火の火柱が城壁を囲む。蛇達目掛けて容赦なく襲い掛かる光景だった。


「な、何だ?あの火柱はギャップ?!」


「お、俺が聞きてえよ!カイル!!だが、何故か、あの火柱は下にいる大量の蛇達を焼いているから。味方の攻撃魔法じゃねえか?確か、ウンディーネ様も。もうすぐに援軍が来るとか演説の時、言ってたしな」


「そ、それがあの火柱か?こ、怖えーな!おい!俺達、エルフや妖精でも首都『オーディン』に居られる特記戦力の方々位しか出来そうにねえ。芸当だなギャップ!」


「ああ、全くだぜ!カイル!」



水冷都市『ウンディーネ』中央役所「市長室」


「ウ、ウンディーネ様!た、大変です。城壁を囲む大量の蛇達が極炎に焼かれ。燃えております」


南の大都市『ウンディーネ』市長『アクエリアス・ウンディーネ』


「ええ、アルディス王子が送って下さった。救援者達が来てくれたようですね。本当に助かります。」


「で、ですがあの火柱は!!」


「‥‥‥‥凄まじいですね」


『ウンディーネ』郊外


俺は目の前に写る。炎の火柱を見て目を丸くしていた。


「スゲー威力だな!蛇達が無慈悲に焼かれていく」


「お主?火魔法も使えたのか?しかも奥義級を」


「ん?いや、これは『ラファエル』の杖の効果の1つである。魔力転換だよ」


「魔力転換とな?」


「そうそう、『ラファエル』に俺、自信の魔力を流す事によって雷魔法を火魔法に変換したんだ。凄いだろう『ラファエル』」


「さすがは教会の至宝!やることがおかしすぎる。‥‥‥で?いつ頃、盗み出したのだ?例の洗礼の時か?あん?」


エスフィールはヤクザの様な言い方で聞いてくる。


「さて、ドンドン焼いていこう」


「おい!こら!また無視か馬鹿者!」


「ほいっと!」


俺はエスフィールの口元に口封の魔道札を張り静かにさせた。


「んん?!んんんん!、!!んん(き、貴様!セツナ!何をいきなり)」


「わかった!わかった!最近、2人の時が少なかったから寂しかったんだな。よしよし!済まなかったな。エスフィール」


俺はエスフィールの頭に手を乗せ撫で撫でした。


「んんんん!、!!んん!!(止めろアホウ!?!取れんぞ!これ?)」


「ああ、その通りだ。その魔道札には君の魔力残滓(ざんし)を埋めんであるから、外れにくくしているとか、魔道札を作ったタマキが言ってたな」


「んんんんんん、!!、んんん!!んんんん!!(己!またあの狸の仕業か?!今度、あったら仕返ししてやる)」


「ちなみにパーティー全員分の魔道札を作ってくれたから安心してくれ」


「んんんんん!!!んんんんわん!!んんんん!!(この、主従揃ってろくでなし共が。)」


「お褒めに預かり光栄だ。エスフィール。よっと」


エスフィールに張っていた魔道札を取ってあげた。丁度、城壁に群がっていた。蛇達を全て焼き殺す作業が終わったからである。


「んん!?こんのアホウ!!直ぐにその魔道札を燃やせ」


「ん?別に良いぞ!ほれ!」


俺はエスフィールに言われた通り。エスフィールの前で魔道札を燃やした。


「‥‥‥‥ふう!これでひと安心だな。‥‥‥もう、バカな事はするなよセツナ!よいな!」


「あぁ、済まなかったな。(予備は数千枚あるとの事だが)『セルビア』で全ての事が解決したら。首都『オーディン』にある。高級レストラン(世界樹の木)に連れて行くから許してくれ。エスフィール!」


「なに?あの世界樹の真上から『セルビア』を見渡せると言う。『セルビア』観光でも有名な『世界樹の木』のレストランにか?!」


「あぁ、そうだよ」


「そ、それならば!許そう。楽しみにしておく」


「ありがとう。エスフィール(チョロい元魔王様だ)」


そんなやり取りを終えると同時に。俺達の周辺に無数の大小異なる大きさで集まり始めた。


「ひいぃぃ~!セ、セツナ!へ、蛇じゃあ!!」


「‥‥‥‥エスフィール。君、浮遊魔法は使えるな?」


「あ、ああ、使えるがどうしたのじゃ?」


「空の上に避難していてくれ。こいつらもさっきの蛇達同様焼くからさ」


「わ、わかった!無茶だけはするなよ!セツナ!」


エスフィールはそう言うと浮遊魔法で空の上へと避難した。


「許さない!許さない!俺達の兄を妹を殺したな?」「お母さんは許さない」「お父さんは許さない」「僕らはお前を許さない」


「許さないのは、こちらの方だ。他国にいきなり進行してきた分際で何が許さないだ。死の大地の更なる向こう側の住人。『奈落の者達』よ!お前達は『セルビア』に進行した。俺はそれを許さない。だから、お前達。魔神や魔竜は絶対に許さない。覚悟しろよ!蛇共」


俺は高らかに無数に集まる蛇達を見ながら宣言した。





No.4 バジリスク


古代ローマの学者大プリニウスが書いた本がある。バジ頭に王冠を彷彿とさせる白い模様があり、鳴き声を聞くだけで他の全ての動物達は逃げだし。


体をくねらせず、前半身を持ち上げて進んでいく。バジリスクの毒は非常に強力で、息だけで草を枯らし石を溶かす。


槍でバジリスクを突けば槍を伝ったて、毒がその人間を殺す。さらに馬すら殺す。


イタチが天敵である。イタチは臭いでバジリスクを殺す。そしてイタチもその戦いで死ぬであろうと。



『ウンディーネ』郊外


俺は無数に集まった。多種多様の蛇達と対峙していた。


「殺すよ!殺す!兄弟の敵」

「ああ、殺そうお母さんの為に」「お父さんの為に」


(これだけの量の蛇を相手をするのも面倒だな!‥‥‥‥仕方ない。彼を呼ぶか)


「まずは、一掃させて貰うぞ。雷魔法『天雷放雷』」


俺は無数に集まる蛇達に向け。次々と落雷を落とす。


「ぎゃあーーー!!お母さん!、」「お父さんーー!!」「し、痺れーーやだーー!」


蛇達の断末魔が『ウンディーネ』郊外に響き渡る。


「これで少しは時間を稼げるな。‥‥‥‥方雷(ほうらい)せしは我がかつての盟友の1人なり。数多の帰路の末。別れはあれど再開せり。我が道。彼の道を再び結ばん。‥‥‥‥雷魔法『召喚術・再雷』『』蓬莱・(ほうらい・イタチ)』再開!」


俺は契約者の1人である『蓬莱・鼬』達を呼ぶことに成功した。


「‥‥‥‥お久しぶりです。雷様!!」「雷様!」「雷様!!ご機嫌うるわしゅう!!」「雷様だぁ!!」


「お久しぶりです。鼬様方。こんな急にお呼びして申し訳ありません」


「何の何の!あちらでは我らが祠を直して頂いた大恩人!お呼びとあらば即参上ですとも」


イタチ達のリーダー格である。蓬莱様が俺の左肩に乗りながら答えてくれた。


「蓬莱様。今回の依頼は‥‥‥」


「ちょっと、御待ちくださいね!雷様。‥‥‥‥ふん、ふん、ふん。‥‥‥‥魔蛇ですな。しかも厄災の方ですかな?」


蓬莱様は周りを見渡すと俺へと質問した。


「ええ、そんな感じです。行けますかね?」


「‥‥‥‥フム。敵もなかなか‥‥‥雷様。突然ですが今回の報酬は何だったりしますか?」


「はい!今回は蛇の魂‥‥‥いや、魔竜の霊魂を大量に渡します。あそこに見える大量の蛇の死骸もプラスで」


「なんと!ほうほう!なるほど。なるほど。これは貰いすぎな位ですな。‥‥‥では、今回のご依頼引き受ける事に致します。雷様。」


「感謝します。蓬莱様と(イタチ)様方」


「では、やることも決まった事ですし。さっさと何処かで傍観している蛇の親玉も炙り出しましょう。雷様」


「お願いします。蓬莱様」


「ハイハイ!‥‥‥‥‥いくぞ!いくぞ!お前達まずはこの五月蝿(うるさ)く喋る蛇共を殺す。よいな!!」


「はっ!親父!」「了解です」「ハイハイ!」「ホイサー!!」


「おし蓬莱雷術『雷衝蘭梅(ライショウランパ)』!!」


蓬莱様が蛇達に『雷衝蘭梅(ライショウランパ)』を撃つと同時に残りの(イタチ)様達も蓬莱様に続けという感じで同じ技を繰り出す。


最初、集まり出した頃よりもその数を毎秒、数百体毎に数を減らしていく蛇達がそこにはいた。


「俺は俺で親玉を探すか。探索魔道具『追尾魔力札』起動。目標は大蛇‥‥‥‥行け!!」


俺は蛇達の魔力残滓(マリョクザンシ)をエスフィールにも使った。魔道札に吸わせ。自身の魔力も吸わせ、隠れている蛇の親玉の居場所に投げ込んだ。


すると『追尾魔力札』は『ウンディーネ』の近くにある水源地帯に向かって行き。ある1つの大きな湖へと静かに沈み入って行った。


「なるほど。大量の蛇達は、働かせて自身は安全な場所で静観かよ。‥‥‥‥雷魔法『雷霆招来』」


俺は『追尾魔力札』が沈んで行った湖に向かって『雷霆招来』を叩き込んだ。


ドゴオオオオオオオンン!!とっ!凄まじい稲妻と爆音が辺りに響き渡り。


「仕上げだ!そおら!『追尾魔力札』・雷呪添付」


俺は『追尾魔力札』に付与していた相手を麻痺状態にする呪いを発動させた。

しばらく、湖は静かになるが。


「『雷呪放来』」


俺は相手に付与した『雷呪添付』を発動し、相手の様子を確かめた。


ゴゴゴゴゴゴゴ!!!バシャーーーーン!!と、湖の底から水上へ飛び出してくる大きな物体が現れた。


「く、苦しい!痺れる?!いったいこれは何なんだい?ぐきぎぎぎ!!がぁああああ!!」


湖から行きよいよく飛び出してきた物体の大きさは軽く40メートルを軽く越え。肌は赤黒い鱗に(おお)われている。胴体で立ち上がり痺れながらもこちらを睨んで離さない。蛇睨みとやつだろうか?


「確か、蛇も地球のヨーロッパ地方での伝記や歴史資料では、竜種の分類だったな」


俺は『ウンディーネ』に来る前に呼んだ。『バジリスク』の資料を頭で思い出していた。


「‥‥‥‥‥‥目の前のふざけた格好のお前‥‥‥」


バジリスクが怒りをあらわに俺に話しかけてきた。

誰がふざけた格好だ。ユグドラシル地方の服装に合わせた緑を基調とした。Yシャツに下は結構な値段で買った。『セルビア』の素材を使った黒のズボンに魔法使い用のローブを身に纏っているごく、一般的な服装だというのに。


「感覚が神代で止まっているんじゃないか?君の思考!『バジリスク』さん?」


「‥‥‥‥はい!殺すよ!君!決定!君を殺せば、このおかしな麻痺も止まるんだろう?おい?」


「やれるもんならやってみな!蛇野郎、返り討ちにしてやるよ!」


「‥‥‥‥分かった!!殺すわ!君!」


『ヴォーティガン』に仕える四大死竜が1つ・漆黒の『バジリスク』顕現





No.5『雷箱牢獄(ライソウロウゴク)


『ウンディーネ』郊外の湖


「ん?おお!あれが今回の報酬の‥‥‥イタマル!後は任せても良いか?雷様の助太刀に行きたい」


「はい!親父!後は我々で、残りの蛇共を一掃しときます!行ってらっしゃい!」


「ああ、ならば任せた。行ってくる!」



水源地の湖 


俺は『バジリスク』と睨みあっていた。


「どうしたんだ!来ないのか?魔法使い君?怖じ気づいたか?」


「‥‥‥‥いやあ!今回の俺は運が良い。何せ、フィールドが水源地ときている。雷魔法も威力を増すし。今回は魔竜の大蛇の『バジリスク』とは‥‥‥‥久しぶりに遠距離での戦い型を試せる良い相手だ」


「何をさっきからぶつぶつと!来ないなら。此方(こちら)から行くぞ!魔竜闘技『毒蛇の疾風』」


『バジリスク』は自身の牙から黒色の斬撃を繰り出した。


「おっと!危ない!雷様!蓬莱雷術『助太刀の雷』」


蓬莱様はそう言うと『バジリスク』の『毒蛇の疾風』を『助太刀の雷』で相殺した。


「‥‥‥‥何だ?あの小さい獣は?私の攻撃を相殺しただと?」


「いやあ!遅くなり。申し訳ない!雷様。大丈夫でしたか?」


「助けてもらってあれなのですが蓬莱様!あっちの蛇達の方大丈夫何ですか?」


「ええ、子分達もあの時よりもだいぶ、成長しましたからね。もう自分抜きでも十分やれるくらい強くなりましたよ」


蓬莱様はそう言うと少し嬉しそうにはにかんだ。


「そうですか!ならば、安心です。」


「‥‥‥‥雷様!目の前のあれが例の報酬の?」


「はい!伝説の大蛇『バジリスク』です。ズル賢く。湖の底に隠れていました」


「‥‥‥‥部下の大量の蛇達を働かせ!自身は傍観かい?情けねえ蛇さんだねえ?『バジリスク』とやら」


「なんだい?獣?今、私に失礼な事を言ったのか?獣の分際で?ええ?!」


「おっと!アイツは蛇で自分は(イタチ)と来たら。相性は最悪ときたもんだな。雷様。早く始めましょうや!アイツとはこれ以上、喋りたくもねえ!」


蓬莱様はそう言うと俺の左肩に自身の身体を乗せた。


「そうですね。俺も時間が惜しい。ただ、相手はさっきまで身を潜めていた大蛇。殺られそうになって最後に逃げられるのも面倒ですし。‥‥‥‥久しぶりに『雷箱牢獄(ライソウロウゴク)』を使いましょう。蓬莱様」


「‥‥‥‥まじですか?!雷様?‥‥‥あんた!容赦がない!わっはっはっは!殺りましょう!殺りましょう!あの蛇野郎に逃げ場は必要ありませんからな!」


俺がそう説明すると蓬莱様はものすごい喜んび。はしゃぎ始めた。


「何をさっきからグタグタ話しているんだ?‥‥‥‥もういいや!ここは一旦引かせてもらうよ」


「ふっ!雷様が言ったそばからこれかよ!雷様!!!」


「‥‥‥はい!行きますよ!蓬莱様!‥‥‥雷魔法『天雷結界・雷箱牢獄』」


俺がそう唱えた瞬間。湖の底から雷の柱が表れる。


「な、なんだこれ?何が起ころうとしている?」


『バジリスク』もビックリしたのか、その場を動けないでいる。


「‥‥‥‥蓬莱雷術『極・蓬莱牢獄』展開。逃がしはしないぞ!蛇野郎」


蓬莱様も自身の結界術を展開し『バジリスク』の周りに二重雷撃の牢獄を作り上げた。


「ではこれで」


「逃げられんぞ!蛇野郎!!」


俺と蓬莱様は『バジリスク』に向けてそう宣言した。



『ウンディーネ』上空


「セツナの奴。召喚術で新たなモフモフをあんなに召喚したと思えば、魔道札で『バジリスク』の居場所を見つけ、雷魔法の結界術まで使いよった。これでは、私と同じ遠距離型の魔法使いではないか?」


私は少し驚きながら今、展開されている闘いを静かにみていた。


「私と闘ったときは近距離型の闘い方。ヒスイやメリュジーヌ卿のときは中距離型の闘い方と来て。今の『バジリスク』闘いは遠距離型の魔法使いの戦い型じゃ。‥‥‥‥セツナの奴はもしや?どの戦い型もいける万能型の魔法使いなのか?‥‥‥おっと!そんな事よりも一度『ウンディーネ』の様子を見に行って見るか。何故か、今回のセツナは余裕そうにしておるしな」


独り言の様に喋りながらセツナ達と『バジリスク』の闘いを見ていたかったが、私は一足先に大都市『ウンディーネ』の救援へ向かおうと考え、城壁の方へと向かうことした。



『雷箱牢獄』の中


「な、何なんだ?この雷撃の部屋見たいなものは?出せ、私をここから出せ!!」


バジリスクがそう叫びながら!俺と蓬莱様を見る


五月蝿(うるさ)い蛇野郎ですな!雷様」


「ええ、ですがもう逃げられるませんよ。この二重の雷撃結界からはね」


「ええ!では!」


「殺りましょう!蓬莱さま」


『雷箱牢獄』の中での戦いが始まった。






No.6 オーディンとの思い出


神代末期・『死の大地(カンデラ地帯)』


「見て!見て!オーディン様。可愛い蛇の子供が落ちてたの」


「ん?何じゃ?メリュジーヌ?お主、何処に行っておった?心配したんじゃぞ!」


「ごめんなさい。おじいちゃん!」


幼きメリュジーヌはシュンとしながら祖父である。神『オーディン』様に謝った。


「それで?可愛いメリュジーヌ。その手に持っている。赤黒の小さき蛇はどうしたのじゃ?」


「さっき、そこの道端で拾ったの」


「拾ったのとはまた。‥‥‥‥ん?こやつ、竜種の蛇じゃな?」


「珍しい子なの?」


「成長すると自我を持ち。最終的には幻獣になるのう。だが、そやつはもう死にかけておるな」


「‥‥‥‥‥助けてあげられないの?」


「いや、わしの眷属にして。わし自身の魔力をこやつにしばらく与えれば元気になり。命を取り留めるじゃろう」


「そうなんだ!じゃあ、直ぐにやって。おじいちゃん!」


「わっはっはっは!相変わらず。強引な孫娘じゃな!メリュジーヌは!少し待っとれよ。お主も我が孫娘に感謝せぬとな。『リスク』よ」


「『リスク』って?この子の名前なのおじいちゃん?」


「あぁ、こやつは生きるか死ぬかのリスクある賭けに勝ったからのう。故に『リスク』と名付けた!駄目だったかのう?」


「ううん!駄目じゃないと思う。素敵な名前だよ。ねえ?『リスク』」


「そうか!そうか!わっはっはっは!これから、しばらくよろしくのう!『リスク』よ!わっはっはっは!」



数年後


「おお!随分と立派に育ったのう!『リスク』よ」


「はい!全てはオーディン様とメリュジーヌ様が私を大切に育ててくれたお陰です。感謝しても仕切れません!」


「わっはっはっは!そうか、そうか!これからもわしを色々な厄災から守ってくれ!『リスク』!」


「はい!オーディン様!お慕いしております」


「わしもお主の事が大好きじゃ!可愛い『リスク』よ!わっはっはっは!」



神代終末後


「オーディン様!オーディン様が病で倒れられた。故郷にある不治の病にも効くと言われる。霊薬の薬草を取りに行かねば!このままではオーディン様が死んでしまう。」



一年後・『死の大地』よりも北『奈落の(その)


「はぁ、はぁ、やっとここまでたどり着り付いた。オーディン様、オーディン様!もう少しの辛抱です!はぁ、はぁ!」


「ん?お前?今、オーディンとか口にしたか?」


『リスク』の目の前に突然、黒い影が現れた。


「何者だ?そこを退け。私は、私はオーディン様にこの霊薬の薬草を届けねばらないんだ」


「霊薬の薬草だあ?あのオーディンが?‥‥‥‥もしかしてもうすぐ死ぬとかか?」


「そうだ!だから、私はここまで来たのだ。だからそこを今すぐ退いてくれ」


「ふん!あの気に食わないオーディンがもう時期、死ぬとはな!これは朗報だな!‥‥‥‥その記念にお前を俺の眷属にしてやろう。光栄に思えよ!黒蛇君よ」


「なっ?ふざけるな!私はかの大英雄・神『オーディン』様の眷属の『リスク』だぞ!どこぞの誰とも分からぬ者に仕える義理はない」


「‥‥‥‥‥たくよう!誰も彼もがオーディン様、オーディン様と来てやがる。何処が良いんだろうな?あんな年寄りがよう。てめえの名前、『リスク』か?だせえな!」


「なんだど?!貴様‥‥‥」


「バジ!『バジリスク』ったのはどうだ?厄災の蛇の名前のバシと忌々しいオーディンのリスクをあえて残して、お前はこれから『バジリスク』と名乗れ?いいな?おい!」


「き、貴様!さっきから勝手なことを!‥‥‥‥?!なんだ?身体が自由に動かせない?」


「悪いが!お前は最初から詰んでたんだよ!この『奈落の園』へ落ちた時からな!噂じゃあ更に北にはもっと過酷な場所があるとされてるがな。‥‥‥‥もう、聞こえちゃいねえか!いらっしゃい!新しい玩具君!ははははははは!!記憶が無くなるまでとことん遊ぼうぜ!なぁ、俺の可愛い『バジリスク』よ」


こうして『リスク』は闇の深淵へと落ちて行った。



『雷箱牢獄』


「私は、私はこんな、所で立ち止まっていられない。もう1度、もう1度あの方にお会いするまでは!」


「あの方?いったい誰の事だ?まぁ、いいか!まずはこの『バジリスク』を倒すのが先だな」


「そうですぜ!雷様!‥‥‥行きやす!蓬莱雷術『極雷』」


「俺も!雷魔法『雷・極』」


蓬莱様と俺の雷撃が『バジリスク』目掛けて走り出す。


「退け!魔竜闘技「蛇竜蛇行」」


『バジリスク』の周りに黒い影が表れるとそこから数え切れない程の蛇達が現れ。俺達の攻撃を防いでいく。


「これ以上。私の進行の邪魔をしないでくれ!私はただ、我が主『オーディン』様にもう一度だけ、お会いしたいだけなんだ!魔竜闘技「毒蛇の伊吹」」


『バジリスク』はそう叫ぶと毒の霧を口から吐き出した。


「あれはヤバい!!蓬莱様!俺の懐に!雷魔法『円雷防壁』」


「わかりやした、雷様。」


俺は急いで雷魔法の最高防御力を誇る魔法。『円雷防壁』を自身の周りに展開した。


『バジリスク』が先ほど出した。大量の蛇達が近くまでやって来ていたのか、目の前でさ迷っていた。その蛇達目掛けて『バジリスク』の「毒蛇の伊吹」が降り注ぐ。


瞬く間に無数の蛇達は身体溶け。骨も残らず死骸へと変わった。


「‥‥‥流石は伝説上の生き物『バジリスク』だ!毒の威力が凄まじいな」


「思っていたよりもてこずりりそうですな!雷様」


「ええ、ですがその『バジリスク』にも弱点はあります」


「弱点?そんなのがあるんですかい?それはどんな?」


(イタチ)の臭いが弱点と本には書いてありました」


「フム!臭いですかい?それはなんとも変わった弱点だな!‥‥‥‥少し御待ちを雷様」


蓬莱様はそう言うと何かを唱え。異空間を作り、そこから小瓶の用な入れ物を取り出した。


「多分。こいつだな!」


「?それは何ですか?蓬莱様?」


「雷様も以前。訪れた事がある。俺達の故郷。アリーナ七大大陸が1つ『列島大陸・和国』で売られている。イタチ臭い粉ですぜ」


あぁ、そういえば、まだ勇者パーティーで旅をしていた時、誤って転移位置を間違えてエウロペ大陸から遥か東の大

大陸『列島大陸・和国』に飛ばされたんだったな。あの時は色々あったな。


「へー!そんなのがあるんですね」


「雷様!俺が前に出て、こいつをあの、蛇野郎にぶちまけやす!その間に雷様は奥義技の準備を」


「分かりました。蓬莱様!‥‥‥蓬莱様なら心配ないと思いますがいちをこれを渡しときますね」


俺はそう言うと、蓬莱様に光る魔法石を手渡した。


「雷様!これは?いったい?」


「身代わり石の魔石ですよ。これを持ってれば状態異常になった時にこいつが身代わりになってくれます」


「本当ですかい?ありがてえ!‥‥‥では、行ってきやす!!」


「‥‥‥お気をつけて!蓬莱様」


俺がそう言うと蓬莱様は笑顔で手を降り。『バジリスク』へと向かっていった。





No.7 毒蛇対鼬、(イタチ)


エウロペ大陸より遥か東


アリーナ七大大陸の1つ『列島大陸・和国』


数年前。


「くそ!転移位置間違えちまった!‥‥‥何処だここ?エウロペ大陸じゃないよな?日本か?」


俺は夜。暇なときがあればパーティーメンバーに隠れて転移魔法で色々な所へ旅に出ていた。


本来はガリア帝国の隠くし迷宮に行くはずだったが、座標位置を誤り。知らない場所へと転移してしまった。


「日本では、無さそうだな。境内(けいだい)っぽい建物があるがボロいし汚いな」


その時。


「おうおう!貴様!さっきからボロいだの!汚いないだの!呪い殺すぞ!我え!!」


小さな愛らしい(イタチ)が怒気を含んだ声で喋りかけてきた。


「おっと!これは、失礼しました。神獣様!申し訳ありません」


「ん?なんだ?貴様?!和国の者達よりも礼儀がなっとるな!‥‥‥突然、怒鳴り散らして済まなかった。俺はこの境内の主の蓬莱と申す。」


「自分はカミナリと申します。よろしくお願いいたします。蓬莱様」


「お、おお!本当に礼儀がちゃんとしてるな!気に入ったぞ!カミナリ様よ!」


何故か気に入られた。


「蓬莱様!ちょっとご質問してもよろしいですか?」


「おお!なんだ?カミナリ様?」


「この?境内(けいだい)の破損はいったい?」


「ん?あぁ、礼儀も知らない。和国の民が憂さ晴らしにやったことさ。俺は余り気にしないがな」


「よろしければ直しますが?よろしいですか?」


「いや、客人にそんなことさせられ‥‥‥」


「終わりました。蓬莱様!」


「ない‥‥‥?なにーーー?!いつの間に?しかも前よりも綺麗になってやがるだと?」


「ああ、後、その和国の民がこの境内を破壊できないように雷の結界も張っときました。これで境内も綺麗なままですよ。蓬莱様」


「カミナリ様よう?!いったいあんたは何処から来たんだい?それにその雷の結界もなかなかの代物だし。とにかくこの異常な作業スピードは何なんだ?」


「俺ですか?俺はエウロペ大陸から間違えて転移してきた」


「ん?あぁ、西の大陸の者か!‥‥確か、あっちでは七聖―女神―の方々が大陸を纏めてるんだったな」


「‥‥‥良くご存知ですね。蓬莱様」


「あぁ、俺はこの『列島大陸・和国』の神に仕える神獣の一匹だからな。他の大陸の事はたまに『天照(アマテラス)』様に聴かされんだ」


「へー!こっちの神様は『天照(アマテラス)』様と言うんですか?日本の神みたいですね」


「?!その日本って言うのは良く分からねえが。北の大陸。絶対零度の大陸。氷雪大陸の粗暴な氷帝達よりは全然マシだぜ!」


「氷雪大陸ですか?そんな大陸名初めて聞きました」


「そうかい?なら色々教えてやるぜ!雷様よ!丁度良い、境内も直ったし。俺が直々に和国を案内してやるよ」


そして、俺はしばらくの間。『列島大陸・和国』を蓬莱様と共に旅をして、色々な人と出会い。事件を解決したり。鵺様達。神獣とも仲良くなることができた。


その後、しばらくするとエウロペ大陸の座標位置が分かる魔道具を手に入り。無事に『列島大陸・和国』からエウロペ大陸へと帰ることができた。


一緒に旅をした。姫やタテミヤ達は元気にしているだろうか?今では良い思い出である。



『雷箱牢獄』


「では、いくぜ!黒蛇や‥‥‥‥いや、『バジリスク』殿!参る」


「‥‥‥‥オーディン様‥‥‥いや、今は前の獣を狩らねば!‥‥‥」


(イタチ)の神獣と神代から生きる伝説の大蛇が睨みあう。


「蓬莱雷術『雷電胴乱』」


「魔竜闘技『蛇眼石墨』」


神獣と大蛇の大技がぶつかり合い!激しい魔力の嵐を生む。


「流石、エウロペ大陸の神代から生きる蛇『バジリスク』だな!器としては其方(そちら)が上か」


五月蝿(うるさ)い、五月蝿い!わ、私はただ、オーディン様にもう一度だけ、会いたいだけだ」


「だが、仕えてる神やパートナーがいけねえな!‥‥‥なんだ?そのボロボロの神霊回路は?何をされたらそうなる?」


蓬莱様はそう言い終えると『バジリスク』の身体を鋭く見つめた。


「雷様と俺の攻撃を受けすぎだな!‥‥‥‥お前え、今は大丈夫でも数日後には身体が崩壊するぞ」


「‥‥‥‥五月蝿い!獣が!それでも私は会いたいのだ、もう一度だけあの方に!オーディン様に!」


「西ノ大英雄・神『オーディン』か‥‥‥」


蓬莱様は少し考える。


「おい!『バジリスク』殿!もし、『オーディン』殿に会えれば、この進行を止めると約束できるか?それが『オーディン』殿の墓標「ぼひょう」でもだか?」


「‥‥‥‥分かっている我が主『オーディン』様はもうこの世にはいないこと。‥‥‥‥あぁ、約束しよう。東の神獣殿」


「ん!!お前え、何をする気だ?!そんなことをすればお前の身体は」


「‥‥‥‥あ、あ!良いんだ!東の神獣殿。どのみち、私はアイツの精神汚染でおかしくなっていく一方だったからね。最後に正気のままでオーディン様に会えればそれだけで良いんだ」


『バジリスク』はそう言うと自身の『神格』を抜き取り。蓬莱様に手渡した。


「済まないが、これだけだは私は殺せないんだ。‥‥‥‥あの後ろにいる雷魔法の魔法使い。大技を準備していたんだろう?あれを私に撃ってくれ。そうすれば、この精神汚染も少しは収まる」


「‥‥‥‥そうか!雷様!!!」


「はい!蓬莱様雷魔法・『極・雷霆将来』」


その雷撃は『バジリスク』の頭上へと放たれた。

『バジリスク』の邪気を追い払うがごとき勢いを持って。


雷撃が収まると俺も倒れた『バジリスク』の元へと近づいた。


「済まなかった。名も知らぬ魔法使い殿。『ウンディーネ』の民達にも迷惑をかけたと伝えておいてくれないか?」


「ええ!必ず『バジリスク』様」


「ありがとう。ふふふ!私の本当の名前は『リスク』にんだ。オーディン様からもらった大切な名前なんだ」


「‥‥‥‥『リスク』様」


「うん!私は『リスク』だね!フフフ!」


『リスク』様はそう言いながら、静かに笑う。


「雷様、時間がねえ!悪いが転移魔法で『リスク』殿を『オーディン』の墓標まで連れてってくれねえか?」


「あぁ、だから、『リスク』様は『ウンディーネ』に現れたんですか‥‥‥」


アルディス王子からもらった『セルビア』国内の地図には、王家の歴代の墓の場所まで記されていた。

『ウンディーネ』地域。北にあるセルビア王家の歴代の王達の墓がそこにはある。勿論、初代セルビア王『オーディン』のお墓も一番見晴らしの良い場所に建てられている。


「そ、そうですよ。い、一度でもオーディン様にお会いしたかったのでね」


「では、一緒に行きましょう。『リスク』様‥‥‥飛びます」


そして、俺、蓬莱様、『リスク』様は『ウンディーネの近くにある。『セルビア』王家の墓へと転移魔法で移動した。





No.8 私は貴方に遣える事が


『ウンディーネ』北・ピクシー地区


歴代王家が眠る墓標


『オーディン・セルビア』が眠るお墓



現在、俺、蓬莱様、『リスク』様は『セルビア』初代王『オーディン・セルビア』のお墓の前へと転移してきた。


「‥‥‥‥着きました。『リスク』様」


俺は心配そうな声で弱り始めた『リスク』様に話しかけた。

「あぁ、ありがとう。魔法使い殿‥‥‥‥永久の感謝を」


『リスク』様はそう言うと、『オーディン・セルビア』のお墓へと近づいて行く。


「『リスク』殿‥‥‥‥」


蓬莱様も心配そうな顔で『リスク』様を見つめている。


「‥‥‥‥‥‥すみません。オーディン様‥‥‥‥リスクは貴方の最後を見届ける事が出来ず。あまつさえ、魔の者に心と身体を乗っ取られ。オーディン様の国を荒らしてしまいました‥‥‥‥うぅぅ!」


『リスク』様はそう言い終わると、目から大量の涙を流し始めた。


「‥‥‥それでも私は、私はオーディン様にもう一度。会いたいと、謝罪をしたいと、また、名前を呼んでほしいと願いながら。今日(こんにち)まで生きてきました。大好きなオーディン様!私に名前をくれた主様」


心が痛む。俺はこれまで色々な人達の別れの場面を経験したが、今回の用な場面は初めてだ。


亡き主人に会いたいと思い。目の前の『リスク』様は悠久の時を生きていたのだろう。


全てを犠牲にしても。己の命さえ犠牲にしても。己に名前を与え、居場所を与えてくれた恩人に一目でいいから会いたいと思い。今日(こんにち)の時まで生きてきたのだ。全ては愛する主『オーディン』に会うために。


「ほ、報告したいことは沢山あります。聞いて欲しい話も沢山あります。語り合いたい事も沢山ありました。オーディン様。‥‥‥貴方にお仕えする事ができ、この『リスク』は幸せでした」


「ぐぅ!『リスク』殿」


蓬莱様は涙を流しながら。『リスク』様をみている。


間違いなく俺も涙を流し。『リスク』様を静かに見る。


その時である。


『オーディン・セルビア』の墓標が輝き出し、石碑に文字が浮かび上がってきた。


「こ、これは?」


『リスク』様も驚いた顔で石碑の文字を読み始めた。


「これは、我が家族にして友『リスク』に捧げる詞なり。長年、このような年寄りに尽くしてくれたこと。、心から感謝する。お主の懸命な勤め、我の人生の誇りであり、道標であった。願わくば、我、亡き後の人生は自由に過ごしてくれること心から願う。そして最後に、わしの最初にして最愛の眷属『リスク』へと、言葉を捧げる。お主の優しさに感謝を、お主の善行に栄光を ありがとう。我が友『リスク』殿」


「あぁぁ!うぅぅ!‥‥‥‥オーディン様!オーディン様!!!!」


『リスク』様は石碑に寄りかかり。涙を流す。


そして、俺達も一緒になって泣いていた。


「ぐぅ!『リスク』殿!良かったな!おい!ちゃんと『オーディン』殿は『リスク』殿に遺言を残してたのか!!」


「『リスク』様が墓標に近づくことで読める石碑だったんですね。‥‥‥報われて良かった」


「ああ、良かったぜ」


「‥‥‥‥オーディン様。ですが私はもう長く無いようです。フフフ!蓬莱殿!後の事は‥‥‥‥頼みます」


「ああ、『リスク』殿!任せときな。大丈夫だ!何とかするからよ」


俺が二人に近づいている時に『リスク』様が蓬莱様に頼み後をしたようだ。


「そうですか‥‥‥それではお二人共。大変ご迷惑をおかけしました。心からの謝罪を。」


「大丈夫だ!」「ええ!」


「フフフ!ありがとう。では、私はこのオーディン様のお墓で眠らせてもらいます。‥‥‥‥おやすみなさい」


『リスク』様はそう言い終え。静かに息を引き取った。

そして、数秒後。『リスク』様の身体が光出し、小さくなっていく。


「雷様。神獣、神竜の類いの奴らは死後どうなるか分かるかい?」


「‥‥‥‥すみません。勉強不足ですね。分かりません」


「生まれ変わるのさ。自身が最後に死んだ土地の守り神としてな」


蓬莱様は嬉しいそうな口調で答えてくれた。


「では、最後に王家の墓‥‥‥オーディン様の墓の前で死んだ『リスク』様は」


「あぁ、この地一帯の守り神になるだろうな。ほれ、『リスク』殿の遺体も小さくなり。新たな幼体へと変わっていくだろう」


あれ程、大きかった『リスク』様の身体も蓬莱様位の大きさまで縮まっていく。


「‥‥‥‥雷様よ!今回の依頼料だが、『リスク』殿の部下どもの魔力残滓(まりょくざんし)だけで十分足りる事がさっき分かったからよう‥‥‥」


「はい」


「この『リスク』殿の『神格』はこの『オーディン・セルビア』の墓の前に残していかねえか?なぁ、頼むよ!雷様」


蓬莱様は俺に頭を下げる。俺はそれを見た瞬間。


「ええ、是非、置いて帰りましょう。蓬莱様!『リスク』様と『オーディン』様がいつまでも一緒に居られるように!!」


心から嬉しくなり。そう答えるのであった。


暗い空はいつの間にか、朝焼けを照らし始めた。それは『リスク』様と『オーディン』様の再開を天が心から祝福しているようだった。



水冷都市『ウンディーネ』編


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