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闇の進撃~墓と鎮火と話し合い

①闇の進撃


『クエレブレ』の洞窟


『クエレブレ』と『シャナ』の遺体の前で黒い影が姿を現す。


「おやおやおや?まさか同時に生き絶えるとは!仲が宜しい事ですな!ハハハハ!」


黒い影は楽しそうに二人の遺体を見ている。


「それにしても上位妖精ともあろう存在がこうも易々と死ぬとは、情けない!」


『クエレブレ』の遺体を踏みつけながら黒い影はそう語る。


「まぁまぁ、成果は上場。流石は我らが王なり。‥‥‥‥さてこの亡骸を持ち帰り新たな魔神を産み出すもよし。『ジャバウォック』殿の餌にするのも良いですな。いや~楽しみ、楽しみ」


黒い影は怪しげな水晶を懐から取り出した。


「さぁ、収まりなさい‥‥‥‥」


「おい!待て下郎!氷魔法『氷牢の束縛』」「逃がしはせぬぞ!緑魔法『森羅万象・縛』」



「くっ!!いきなり何ですか?いったい?」


黒い影が二人の遺体を回収しようとした瞬間。


私とアルディス王子の拘束魔法が黒い影を拘束する。


「‥‥‥‥‥おや?先ほどまでかの魔竜と狂った上位妖精をお相手していた方々では、ありませんか?」


「‥‥‥‥貴様?何者だ?」


私が黒い影に質問する。


「自分ですかな?自分はそんな対した名前ではないですぞ。ただの通りすがりの弱い魔神です。はい」


「魔神だって?何で魔神がこの『セルビア』にいるんだ?」


アルディス王子が(いぶか)しげに目の前の魔神を見る。


「そんなことよりも。この束縛魔法を解いてはくれませんかな?少々急ぎますので自分!」


黒い影の魔神はそう言うと不適に笑う。


「‥‥‥‥逃がさぬよ。‥‥‥御主なのであろう?今回の騒動の犯人は?上位妖精2人を何かしらの方法で操り。そして、片方は魔竜へと変貌させ、隠れ妖精の里の者達を殺させたな?」


「おまえが?!あのお二人を」


アルディス王子が黒い影の魔神を鋭い眼光で睨む。


「そこに横たわる『シャナ』殿と『クエレブレ』殿の遺体をどうするつもりじゃ?」


「‥‥‥‥おやおや!お気づきでしたかな?‥‥‥‥よく見るとその綺麗な金髪に透き通るような青い瞳‥‥‥‥成る程。成る程。貴方‥‥‥かの高名な魔法族ですか。‥‥‥‥ならばこの上位妖精がやられるのも納得。納得」


黒い影の魔神は静かになるそう語る。


「貴様達の目的を吐け!そうしなければ容赦なく貴様をこの場で殺す」


私は怒りを(あらわ)にそう告げた。


「おやおやおやおや!貴方相当なお怒りで?素敵なお顔が台無しですぞ。ハハハハハ!」


「くっ!黙れ!」


「ユナちゃん!こいつは生きて捕えよう。王都に連れていく!」


「ですが!‥‥‥‥分かりました。アル先輩」


「おやおやおや?さっきから喋っていて良いのですか?北の大都市『サラマンダー』に○○○○○殿が!西の大都市『シルフィード』には『ジャバウォック』殿が!そしてこの南の大都市『ウンディーネ』にはかのお方、『バジリスク』殿が各々向かわれたが。追わなくて良いのですかな?んんんん?ねえ?」


黒い影の魔神はおぞましい笑顔で私達にそう告げた。


「‥‥‥なに?」


「北に『サラマンダー』様が?西の地に『ジャバウォック』だって??それにシルフィードとウンディーネにも?嘘でしょう?」


「おや?おや?おや?おや?お疑いになる?では、では、お見せしよう!!ハハハハハ」


黒い影の魔神はそう言うと。先ほど持っていた水晶に語りかける。そうしてしばらくすると水晶が光その光から各大都市の映像の様なものが写し出される。


北の大都市『サラマンダー』


「お鎮まり下さい。『サラマンダー』様ーーー!!このままではこの都市が持ちません!!」


「グギャアアイ!!!殺、殺、殺!!」


「嫌ー!私の子供が!!!」「助けろ!助けろ!エルフの皆を」「おかしい!おかしい!どうしちゃったの?サラマンダー様?」


西の大都市『シルフィード』


「助けて殺されるーー!」「シルフィード様ーーー!!お助けを」


そこでは一般妖精による。エルフの虐殺が繰り広げられている。


「楽し♪楽しい♪殺そう!殺そう!」「殺そう♪殺そう♪エルフを殺そう」「皆を殺そう♪」


「おーい!愛しの『シルフィード』ちゃん~!!そろそろ遊ぼうよ~」


「くっ!忌々しい魔竜『ジャバウォック』め!!」


「『シルフィード』さん!!!」


アルディス王子は『ジャバウォック』と対峙している『シルフィード』を見るといきなり声を荒げ慌て始めた。



南の大都市『ウンディーネ』


「可愛い子供達!!エルフは丸のみ。一般妖精は無惨に殺しな!!楽しくな!!行くぞ!!」


「了解です。お母さん」「うんうん!わかったお父さん」「楽しみだねエルフの丸のみ!ねえ?お母さん」「殺そう殺そう!ねえ?お父さん」


その映像には大きな大蛇と無数の?いや、無数のでは数えられない位の蛇が大都市『ウンディーネ』に迫っていた。


「な、なんだ?これは?」

 

「そんな?いつの間に進行されてたのだ?」


「驚きましたかな?‥‥‥この地『シャナ』を守護していた上位妖精である二匹も死んだ事ですし。今では無政府状態。‥‥‥‥我々、魔神が頂きましょう‥‥‥‥ではでは、去らばです。綺麗なお二人。ハハハハハ!」


「?!貴様!待て!!」「‥‥‥いきなり消えたの?」


私達が一瞬。映像に気を取られている隙に黒い影の魔神は姿を消した。




『シャナ』近くの森の中



「ハハハハハ!映像で油断しましたな?!さて、さて、さて、自分も『ウンディーネ』に行き。『バジリスク』殿と合流しましょう。久々にエルフの肉体を味わうのも一興です。その後は肉を裂き食べるとしましょうね」


黒い影の魔神は不気味に笑い暗闇へと消えようとしていた。


その瞬間。


「聖魔法『聖矢の鉄槌・一針』」


ひとすじの光の糸が黒い影の魔神の額を貫く。


「がは?!この光る糸はなに?」


「‥‥‥‥近くで見ていたがやはり油断できないな魔神って奴等は。逃げる手段を幾つも持っている。」


「だ、誰だ?」


「ああ、気にしなくて良いよ。もうじき君はいなくなるから。あっちに行ったら散々に苦しむと良い」


「あっちに行ったら?何だ?それは?」


「‥‥‥奈落だよ。‥‥‥ただ今までの君の生き方と記憶は貰い受けるよ。‥‥‥魔道具『記憶の牢獄』」


「こ、これは!止めろ!止めてくれええ!!!自分の記憶が奪われる。自分が誰だか分からなくなる~!!!止めてくれ!!!」


「‥‥‥‥奈落で全ての罪を終えたら。また別の人生が待っているよ。だから今は‥‥‥あちらで自らの罪と向き合ってくれ」


「‥‥‥自らの罪?‥‥‥‥」


「さようなら。魔に落ちた人。来世は善行を‥‥‥『解放の針・門』」


○○○はそう唱えた瞬間。黒い影の魔神は白く光消えて行く。


「‥‥‥あれ?じ、自分はさっきまでいったい?オーディン様は?‥‥‥‥自分は‥‥自分は‥‥‥‥オーディン様‥‥」



黒い影の魔神はそう言い残すと光になって消えて行った。


「‥‥‥俺も戻らなくてな」


○○○はそう言うと森の茂みへと姿を消したのだった。







②墓と鎮火と話し合い


エスフィールとアルディス王子サイド


「逃げられちゃったね。‥‥‥ユナちゃん。早く追いかけないと!


アルディス王子はそう言うと森の方へ飛び出して行こうとする。


「‥‥‥待って下さい。アル先輩。先ほどの魔の者の気配が先ほど消えました」


「嘘?逃げられたって事?」


「分かりません。分かりませんが、もう近くにいないのは間違いないようです」


「そんな。嘘だあぁぁ!!!」(パキンッ)


アルディス王子は怒りをぶつけるかのように近くにあった大木に氷魔法をぶつけた。


「アル先輩‥‥‥‥とりあえず、まずは『シャナ』と『クエレブレ』の遺体を弔ってあげましょう。このままでは流石に可哀想ですし」


「‥‥‥‥うん!そうだね。ユナちゃん!‥‥ごめん」


アルディス王子は唇を噛みし。大きく(うな)づいた。私は緑魔法で『クエレブレ』の洞窟の近くに大きな穴を作り。『シャナ』と『クエレブレ』の身体に合う木の棺と墓標(ぼひょう)を生成し丁寧に埋葬した。


「私にはこれくらいの事しか、出来ませんが安らかにお眠り下さい。上位妖精の御二人」


私は地球にいる時にセツナに教えてもらった墓参りの方法で深く哀悼を述べたのだった。


「貴方達の無念と犠牲は消して無駄にはしません。我が祖先。『オーディン』に名に懸けて全ての魔神と魔竜をこの『セルビア』から追い出します」


アルディス王子も私を真似て両手を合わせ。深くお辞儀をしながら涙ながらに語ったのだった。


数刻後。


「さて、これからどうしますか?アル先輩!」


「‥‥‥‥」


静かに二人が眠る墓標(ぼひょう)を見つめていた。


「‥‥‥隠れ妖精の里『シャナ』に戻ろう。ユナちゃん。セツナ君やセシリア達も着いている頃だろうし。それにまだ、助かる里の人達もいるかもしれない」


「了解です。では急ぎましょう」


「うん!‥‥‥‥全てが終わったらまた、ここへ来ます。『クエレブレ』殿。‥‥さようなら優しい妖精竜」


アルディス王子はそう言うと『クエレブレ』の洞窟を私と一緒に離れるのだった。


隠れ妖精の里『シャナ』セツナ&メリュジーヌ卿サイド


「‥‥‥‥想像よりもよっぽど酷いな」


「どうしようか?ご主人様」


「‥‥‥‥まずは燃えている建物の火を消そう。水魔法『水天雲』」


俺は水魔法の初級技『水天雲』で雨雲を作り。里内だけであるが、雨を降らし燃えている建物や木々を鎮火した。


「ご主人様って水魔法も使えるの?」


メリュジーヌ卿がそんな質問を俺に聞いてきた。


「中央大陸の魔法使いは基本的な魔法ならだいたい使えるよ。」


「へー!そうなの?此方(こなた)の知ってる魔法使いは基本は一つの魔法しか使わなかったからちょっとびっくりしたよ」


「あぁ、『北東魔法学院』はまず1系統の魔法を極めるらしいからそれでかな?1系統の魔法を極められれば。その属性に合った召喚術が使えるからそのせいじゃないか?」


「何で?召喚術が使えたら良いの?」


「『セルビア』の更に北には『幻獣の楽園』があるだろう?」


「うん!あるね。底の方には神代の幻獣も入るってモルガン陛下も言ってた。」


「底?良く分からないがまぁいいか。召喚術で幻獣と契約出来さえすれば。下手な初級の魔法を幾つも覚えるよりもよっぽど強くなれるんだ。幻獣を使役できるだけで莫大なアドバンテージが取れる。」


「そんなに凄い事なの?」


「まぁね、実際、メリュジーヌ卿との闘いの時も鵺殿を呼んだおかげで君との形勢を何とか五分に出来たしね」


「‥‥‥‥‥あの人は確かに強かったよ。もう闘いたくないよ。ううう~」


メリュジーヌ卿はそう言うと俺の身体にしがみつき。顔を押し(あて)半泣きになりながらすすり泣いた。


「‥‥‥‥なんかごめん。メリュジーヌ卿」


「‥‥‥じゃあ。今度、此方(こなた)と後で一緒に食事してよ。ご主人様」


「あぁ、任せとけ」


「うん!ありがとう。ご主人様」


俺とメリュジーヌ卿は約束を交わした。


「おーい!セツナー!」「セツナ君ー!」


里の奥からエスフィールとアルディス王子がやって来た。


「エスフィールにアルディス王子!ぶ、無事で良かった。大丈夫だったか?」


「あぁ、色々あったが何とかなった。‥‥‥‥色々ありすぎた」


エスフィールはそう言い終えると下を見て暗い表情を浮かべた。


「エスフィール先輩。大丈夫?」


メリュジーヌ卿は心配そうにエスフィールに近づき話しかけた、。

「あ、ありがとうございます。メリュジーヌ卿。私は大丈夫です。心配をおかけしました。すみません」


「うん。それなら良かったよ!エスフィール先輩悲しそうな顔してたから心配になっちゃったよ」


メリュジーヌ卿はそう言うとエスフィールの手を握った。


「メリュジーヌ卿。‥‥‥‥貴方はお優しい方ですね」


「‥‥‥‥‥昔ね。おじいちゃんが。悲しそうな顔をしている人がいたら心配して声をかけてあげなさいって良く言ってたの」


「メリュジーヌ卿のお祖父様ですか」


「‥‥‥‥うん」


エスフィールとメリュジーヌ卿の会話を聞いていると時間が経ち。水魔法で雨を降らした効果が表れたのか。建物を焼いていた火災も鎮火されていた。



エスフィール視点


セツナが作り出したであろう雨のおかけで隠れ妖精の里『シャナ』に広がる火を消火出来たようだ。


しばらくすると『セルビア』国の後続部隊である。エルフの兵士達や道中の森ではぐれてしまった。セシリアとヒスイも無事に隠れ妖精の里へとやってきた。


我々、新魔王パーティーが揃った所で。火災で奇跡的に無事だった集落へと集まり。先ほどの黒い影の魔神について皆で話し合うことした。


「北は『サラマンダー』が西は『ジャバウォック』に南は『バジリスク』か‥‥‥‥何ともヤバい状況だな」


先ほどまで意識を失い。倒れていたセツナがため息混じりにそう語った。


「アルディス王子それは本当の事なのですか?現在、『セルビア』国内にある四大都市のうちの3つが進行されているというのは?」


こう質問してきたのは後続部隊の隊長であるエルキス殿だ。


「そ、それはね。まだ‥‥‥」


アルディス王子はただ敵の映像を見せられただけなのでどう言ったらいいのか考えているようだ。


「いや、間違いないよ。『セルビア』国内の北西南の魔力の歪みが尋常じゃないもん」


そう語るのは『セルビア』の特記戦力であるメリュジーヌ卿だ。


「やはりそうですか?メリュジーヌ卿」


「うん。間違いないかな。此方(こなた)はこれでも『セルビア』で過ごした時間は長いからね。誰がどんな魔力でとかまで分かるんだ」


「‥‥‥‥そうなんですか。では、西の大都市『シルフィード』の大精霊『シルフィード』殿は現在、どのような具合か分かりますか?」


「シルフィーかい?ちょっと待って。‥‥‥‥‥ちょっと不味いかもね。魔力の波が弱りかかってる。うん、不味いよ結構‥‥‥」


「そ、うですか!ありがとうございます。メリュジーヌ卿」


「う‥‥‥ん。」


アルディス王子とメリュジーヌ卿は西の大都市『シルフィード』のシルフィー殿?が心配なのか暗い表情をしていた。


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