赤白と金星の新たなる航路 No.9 黄金の螺旋
神代末期‥‥‥‥‥『ロマ・テレシア』天球宮
(何?金星系統の魔法が見つからないだと?)
(はい、【教皇】様。金星を司る神が不在なのか、もしくは天使達が隠したのか分かりません。悪魔の金星は【隠者】へと渡った為。星間の夜空を見上げても金星だけが見つからないのです)
(見つからない‥‥‥‥‥隠されたか?もしくは独占され、異空間にでも隔りされているかだな。『節制』のアイツは姿を眩ませたしな。仕方がない。テラ族のあのガキには金星と偽ってあれを宛がうか)
(黄金の悪魔ですか?ですがあれは‥‥‥‥‥‥)
(分かっている!だがな、五芒星の欠員等あってはならない事だぞ。『東星』を任せているお前なら尚の事ではないのか?理解している筈だろう?シリウス)
(‥‥‥‥‥はい。【教皇】様。全ては貴方様の指示のままに)
(では、あのテラ家の神童とやらにこれを渡しておけ。『黄金の魔』をな。これは良い実験になる、人がどの様な過程を経て醜い魔へと堕ちていく実験にな!ハハハハハハ!!!)
現代初期
『ロマ・テレシア』国・ポロスの街
(ラダ・テラ殿。では、此方が【教皇】様から預かった物だ‥‥‥‥‥‥肌身離さず身に付け、我が『ロマ・テレシア』の威光の火を絶やさない事を祈ろう)
(はいっ!ありがとうございます!シリウス様。俺はっ!)
(馬鹿ですが貴方は!)
バシッ!
(つっ!何すんだよ!ディエース)
(貴方もそれを受け取れば晴れて五芒星の一員なんですよ。これからは俺ではなく、僕とか、私等の一人称を使うべきですよ。金星のラダ・テラ殿)
(‥‥‥‥‥ちぇ、分かったよ。『東星』シリウス様。この僕、ラダ・テラ。慎んでお受け致します。以後、この金星の名に恥じぬ様に『ロマ・テレシア』に崇拝を尽くして参ります)
(‥‥‥‥‥‥‥‥しかとその言葉。我が崇拝せし、『ロマ・テレシア』の【教皇】様に伝えておこう。では、私はこれにて失礼する)
(はい!)
ガチャッ!
(良かったですね。テラ!)
(あぁ、これで僕もディエース達と同じ立場に‥‥‥‥‥)
(‥‥‥‥‥‥‥哀れな少女と神童よ。できれば、良き、縁に出会い、解呪される事を切に願うよ。【教皇】様も酷く残酷な未来を考えるものだな)
カツン‥‥‥‥カツン‥‥‥‥‥カツン‥‥‥‥‥
『星』の大アルカナはそう言い残し、その街を後にした。
現在、『シルテア』
「キュルキュル!!アアアアア!!!身体があぁぁ!!」
「な、何だ?あれ‥‥‥‥‥‥黄金球から変な生き物が?!」
「受肉される前で良かったね。君!此方と会えた縁に感謝てね。そして、こんにちわ!黄金の悪魔君」
「キュルキュル!!!よくもおお!!『ベリト』の身体をま、真っ二つにしてくれちゃったねええ!!!ゆ、許さないよおー」
「『オアシス』に現れた。ベルフェゴールの排泄物か何かじゃないかな?ねぇ、君。昔、変な宝石か何か誰かにもらわなかった?」
「っ!てっ!いきなり近づくなよ!つうか、いつの間に距離を詰めて来たんだよ!何なんだ急に!」
「うーん。身体的にはまだ全然平気そうだね‥‥‥‥‥‥解呪は此方の専門外だけど。ご主人様もいないしなぁ~!とりあえず、一太刀浴びれば治りそうだし‥‥‥‥神代・回帰‥‥‥‥‥神代魔法 (白)『白夜解千』」
「キュルキュル?!!!お前!!!!何、そいつと『ベリト』の繋がりを斬っちゃつてるのよぉぉ!!!」
「がぁ?いきなり何しやがる?!」
バタリッ!
「おぉ!上手くできたね。良かった!良かった!後は君のお腹にある変な呪印を取れば大丈夫だね!」
「何が大丈夫なのよー?後少しでその子の身体が手に入ったのにさー!余計な事をしてくれちゃってえーー!!」
「流石は棄てられた残り物だね‥‥‥‥‥知性が無い喋り方だよ。少し長く闘い過ぎたね。〖エスピナ〗のお陰でこの地の子達に生気と希望が戻ったね。『シルテア』とその周りの諸国は解放されるね‥‥‥‥‥‥神代・回帰(赤白)『天の赤白龍・終点』」
「キュルキュル?!何?何なの?あなた様が周り始めたの?ねぇ?何なのー?」
「消えてもらうよ!ベリトの悪魔君!!」
回る‥‥‥‥‥赤と白の色が入交り回転する。
それは無駄が一切無い美しい黄金長方形の回転。
黄金の螺旋である。
「嫌だよ!身体がくっつかないよー!来ないで!!アアアアア!!」
「『赤白‥‥‥‥‥‥黄金螺旋』」
ドスンッ!
「キュルキュル‥‥‥‥‥イヤーアアアアア!!!!!!ベリトの身体に‥‥‥‥‥‥‥大穴があアアアアア!!!‥‥‥‥‥‥‥」
「さようなら。可哀想な悪魔君」
メリュジーヌ・フローレンスはベルトの断末魔を聞きながら、朽ちていくベルトを静かに見ていた。
勝利側‥‥‥‥メリュジーヌ・フローレンスとラインバッハ・エゴル。
赤白と金星の新たなる航路編
終。




