赤白と金星の新たなる航路 No.8 黄金球
「エルフと妖精の国『セルビア』のメリュジーヌ・フローレンス?‥‥‥‥‥大国『セルビア』の最高せんりょが何でこんな紛争の地に来る意味があるんだよ!」
「滅び行く此方の故郷を‥‥‥‥‥‥何の損得も無く救ってくれた大恩人であるご主人様を助ける為に来たんだ」
「ご主人様?それはいったい誰の事‥‥‥‥‥」
「君にそんな質問をする余裕何てあるのかな?あっちは教会の方だっけ?暴風雨に地殻変動に大雨‥‥‥‥‥あれは多分、エゴルの神明・解放じゃないかな?だとしたらさっき飛んでいた子の命も持って後、少しかな?」
「バカ言うな!あんな気候を操る様な大魔法をたった一人の人族の女ができるわけ無いだろう」
「暮らしている国が大きいと良いよね。そうやって錯覚するんだよね。自分達は強い、自分達の国は磐石なんだって‥‥‥‥‥‥‥傲りきったその先に破滅があるなんて気付かないんだよね。『セルビア』の時はご主人様が来てくれたからどうにかなったけど、君達の国は滅んじゃうじゃないかな?ねぇ?クソガキ君」
「長々と何を言うかと思えば、滅びるわけないだろう‥‥‥‥‥それに僕はクソガキじゃない!ラダ・テラだっ!!金星魔法『金粉・輪廻』」
「あぁー、また、偽物の魔法を使うなんて‥‥‥‥‥‥君にはこれから裏で働いてもらう事になるし、死なれたら困るんだよね。神代魔法(白)『白壁刀』‥‥‥‥‥一の白刃『白嶺』」
メリュジーヌは自身の両手を静かに合わせた。すると掌から白く澄んだ白色の刀剣を造りだした。その白く澄んだ刀剣をメリュジーヌは一振する。空中に白く美しい花弁が舞っていく。
そして、ラダが出現させた金色の粉塵はその花弁へと付着し、静かに
「白い花弁?そんなもので僕の金星魔法を、金色の粉塵を防げると思ってるのかよ?!セルビアの騎士!」
「此方の『赤』は爆発や切断の特性を『白』は癒しと受け流しの特性を有する。君みたいな相手には『白』を使って闘った方が効率的なんだよね」
「それがどうかしたのか?あんたが凄い騎士だって事は分かった。だがな、僕に金星としての立場と強さがあるんだ‥‥‥‥‥‥‥いや、グダグダと喋りすぎたな。僕の金星魔法が偽物とかなんて最初からどうでも良いんだ。要はお前に勝ってこの騒動を終わらせればいい。金星魔法『黄金球』」
(‥‥‥‥‥‥あれだけ、狼狽していた筈なのにいきなり冷静になったの?魔力の濃くなってるし、それにあれは何の魔法なの?神代から生きてる此方でも見るのが初めての魔法)
「『黄金球』回転‥‥‥‥捕らえ殺すはセルビアの騎士。行けっ!」
(キュルキュルキュルキュルキュルキュル!!!!アアアアア!!!)
ラダ・テラの一言で何かの〔意思〕持つ者がメリュジーヌへと狙いを定め襲いかかる。
「その黄金君には意志が‥‥‥‥‥知性があるのかな?クソガキ君。だとしたら、君のその金星魔法の正体は‥‥‥‥‥‥『魔窟』の誰かなのかな?」
「『魔窟』?何だそれは?これは僕の金星。僕、自身の力だよ。『黄金球・輪転』」
(キュルキュルキュルキュル!!アアアハハハ!!!)
「黄金の中の君も‥‥‥‥‥こんな若くて有望そうなクソガキ君の寿命を蝕んで何が楽しいのかな?『悪魔』君!二の白刃・『白燈籠』」
「僕の『黄金球』を真っ正面から?」
メリュジーヌ・フローレンスは向かって来た『黄金球』をわざと受け止めた。
「‥‥‥‥‥‥‥とりあえず、この『悪魔』君を倒したら君の事はぶん殴るけど殺さないよ、クソガキ君。あっちに乗り込むまで少し時間があるし。もし、本当に滅ぼした後も国を引き継ぐ子もいないといけないんだ。丁度、ご主人様とも、後々は合流するしね。その時はあの人達に頼んで本当の『光をもたらす者』の力を貰えば良いかな」
(‥‥‥‥‥アアアアア!!余所見をしなさんな!!騎士さん!騎士さん!!アイツは寝床、そう易々と渡さないよー!!!おっ!おっ!)
「君、喋れたんだね‥‥‥‥‥まぁ、無理もないかな?神代の『白』は穢れを流す『白』。現代で言う所の聖魔法に当てはまるもんね」
「くそっ!何で僕の『黄金球』と正面からやりあっていて平気な顔をしてるんだよ!化物かよ」
「こんな可愛い青髪の美少女に向かって美少女とは失礼だよ!クソガキ君。ギャラハットにチクって怒ってもらおうかな」
「誰だよ、ギャラハットって!お前、さっき神代から生きてるとか言ってろうが!回転を強めろ!『黄金球』!!」
(ちっ!粗い、粗い、使い手さん!自身の命と引き換えに回る、廻る!!!キュルキュルキュルキュル!!アアアアア)
「させないよ!『悪魔』君。彼にはこれからやってもらう事が沢山あるんだからね。死ぬのは君だけにしてもらうよ。三の白刃・『静白快刀』‥‥‥‥‥‥‥切れなよ!悪魔君!!『白刃・一閃』」
『白』の一閃が『黄金球』を両断する。
(キュルキュルキュルキュル?!!アガッ?‥‥‥‥‥‥アアアアア!!!!!いや、、嫌だ!身体!身体!割れれれれ!!)
「なっ?僕の『黄金球』から断末魔が?」
「さぁ、次で終わらせるようね。悪魔祓いを!」
メリュジーヌは静かに黄金球へと近づき始めた。




