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三つに別れ、西に援軍来たれり


ヘスティア地方・アクレール港


ブオォォォ!!!


渡航船内に到着を報せるサイレントが鳴り響く。


「やっと着きましたね。神成君!まさか、治安が安定しないと言われているヘスティア地方に何事も無くたどり着けるなんて。さて、初めてのヘスティア地方!楽しみです!」


カーリーさんはそう言って、恐る恐る渡航船の扉から出て行く。恐れよりも初めて来た場所への探求心の方が上回っているみたいだ。


「‥‥‥‥‥‥何事も無くか。それもこれも先にヘスティア地方に到着してたタマキとグレイのおかげなんですけどね‥‥‥‥てっ!トラブルの予感がするから先に出ていかないでくれ!!カーリーさん!!」


俺は急いで渡航船の扉から外へと飛び出した。こういう最初に行動を起こした仲間は必ずといって良いにトラブルを起こすのだ。アヤネとか、セシリアがそうだろう。


「キャアアアア!!!何ですか?貴殿方は?!」


案の定。渡航船から降りると、カーリーさんの叫び声が聴こえてきた。


「いえ!それは此方の台詞ですよ!この渡航船には例の関係者意外は船場を許されていない筈です。予定では私が新たに御使いする『救国の担い手』様がご到着する事になっています。なのに何故、『魔術院』の教授服を着た方が渡航船から出てくるんですか?」


たくっ!こうなるから一緒に行動しておきたかったんだ。ここからは時間との勝負になる。騒ぎになったら厄介だ。さて、どうしたものか‥‥‥‥


「ウキウキ!これはまた拷問の準備をしないといけませんね。ウキウキ」


「タマキ様よ。まだ、そのキャラでいくのか?そろそろ、普通に戻られよ」


「ウキウキ!ぞくぞくしますぞ~」


ん?あの腹黒いウキウキボイスと海●社長の様なイケメンボイスはもしや!


「おーい!タマキ!グレイ!久しぶりだな!元気だったか?」


「ウキウキ?!ご、ご主人様!!お久しぶりです!!このタマキ!!ご主人様がいない間。とても、とても、寂しいかったですよ!!夜なんてずっと泣いておりました!」


タマキはそう告げると俺に抱きついた。


「うっ!臭い!タマキ!獣臭い!水冷式魔道具『渦巻き洗濯』」


ポイッ!ピッ!

「はい?臭いとは?‥‥‥‥ピッ!とは?‥‥‥ゴボボボボ!!!」


ゴインゴインゴイン!!水冷式魔道具『渦巻き洗濯』の中で洗われるタマキ。


「ゴボボボボ!!!(何するですか?)ゴボボボボ!!(うちは夜な夜な寂しい夜を!!!)」


「いや、いや、夜な夜な、砂漠や紛争地に生息する魔獣達を転移魔法で一ヶ所に集めて闘技場の様に戦わせて楽しんでいたではないか。タマキ様よ!」


「‥‥‥‥‥だから、獣臭かったのか、タマキ。洗濯が終わって乾いたらファブ●ーズと消●力で臭いを誤魔化してやるからな」


「ゴボボボボボボボボ!!!(そんな!感動的な再開なのに!!!)」


「ハハハ!やはりお主達のやり取りは面白いですな。カミナリ様」


「グレイ!久しぶりだな!手紙で頼んだ通りアクレール港を奪取してくれてたんだな。ありがとう」


「なんの、なんの!これも護衛として雇われた身なら当然のこと。いやー、『オアシス』の事件は魔法新聞で読んでいたが、見事解決した様で何よりだ!ワハハハ!!」


俺とグレイは右手で握手を交わし、久しぶりの再開を喜んだ。


「ですから!離して下さい!私は怪しい者ではなく!」


「駄目です!それに数日前の『オアシス』では大規模な襲撃事件があったと聞きます。貴女には疑いが晴れるまでの間。アクレール港の地下牢に一晩泊まって戴きます」


「ひ、一晩?い、嫌です!助けて下さい!神成君!!」


「え?神成君?」

バッ!


結構良い年のお姉さんが泣きじゃくりながら、俺に助けを求めている。

止めてくれよ。皆、見てんだろうが!カーリーさん!!!それにカーリーさんを拘束している青髪の美女が俺の名前を聞いた瞬間。俺の顔を見て、急いで近づいてくる。


シュタンッ!

「始めまして、私の新たなるご主人様。神成様ですね」


「はっ?いや、確かに俺が神成だけど‥‥‥‥新たなるご主人様?何ですか?いきなり?」


初対面の美女からそう言われ、面食らってしまった。


「おっと、失礼しました。私は『ロマ・テレシア国家・五芒星(ペタルファ)が一星が一人。水星(スティルボーン)ディエース・アウェンティヌスと申します」


「は?五芒星(ペタルファ)だって?‥‥‥‥‥あぁ、タマキの手紙に書いてあった。調教されて、『星痕』を取り除かれた人か‥‥‥‥そして、これからは俺達の密偵として『ロマ・テレシア』内で暗躍させるのか?タマキ」


「ゴボボボボ!!!(ばい!!ぞうでず!!)ゴボボボボ!!(ご主人様!!)」


「はい!タマキ様によって『星痕』の呪印からも解放されましたので、これからは新しいき主。『救国の担い手』様を崇拝致します」


「いや、崇拝しないで下さい。崇拝するなら『テレシア』の生き残りの人にして下さい。ディエースさん」


「『テレシア』の生き残り?生き残りとは?何の事ですか?」


「え?『ロマ・テレシア』の幹部が『テレシア』の生き残りを知らない?‥‥‥‥‥‥‥国の中枢を担う『五芒星(ペタルファ)』達には教えていないのか?本当の事を知られない為にか?」


「ふむ、反乱を防ぐ為に国のトップが情報を隠すなど良くあること。それよりも、カミナリ様。拙者達の合流も叶った。初手通りにアクレール港も敵国に感づかれず奪取できたが、これからどう動く?」


「ん?あぁ、そうだな。ちょっと待っててくれ。グレイ‥‥‥‥‥‥‥〖我、望む者出でり〗」


俺がそう唱えると魔法の袋(黄金の宝物庫)から数千に者人達が出てきた。


「な?何ですか、この人数は?いったい何処から現れて?」


「おぉ、この者達が最初の大一陣の先見隊か」


「はぁ、はぁ、やっと拘束が解いてくれましたよ」


俺の隣でタマキに調教されたデイエースさんが驚き、カーリーさんは拘束を解かれた様だ。


「ギャオオオ!!!夜叉の主よ!ヘスティア地方に着いた!さぁ、『ロマ・テレシア』へと向かい夜叉を救いに!!」


外に出てきた途端、黒猫モードから元の黒竜の姿に戻ったクロが騒ぎ始めた。


「いやいや、先ずは『ヘル・デア』とその周辺諸国の解放が先だ!クロ」


「解放だと?そんな事をしている間に夜叉が傷付けられているかもしれないのだぞ!『契約者』である貴様は!」


「そんな事、言われなくても分かってる!俺が不甲斐ないばかりに夜叉巫女が連れて行かれたのも!だが、今は『ロマ・テレシア』と対等に戦える人と土地が必要なんだよ!そうじゃなきゃあ大国『ロマ・テレシア』と対等に渡り合える分けないだろう!!」


俺はクロに向かって激しく言葉を投げかける。クロから見れば逆ギレされた嫌な奴に見えるだろう。


「ぐっ!!済まない‥‥‥‥‥分かった。では、我は何をすれば良い?」


「俺も怒鳴って悪かった、済まない。クロにはヘスティア地方・際西にある龍人族の国『ニーズヘッグ』に向かってもらう。そして、龍の王にこの手紙を渡し、伝えてくれ『夜叉の巫女』拐われたと」


俺はクロへと一通の手紙を渡した。


「手紙?‥‥‥‥‥‥決戦の地は『ロマ・テレシア』と信じて良いのだな」


「あぁ、約束する。だから、頼むよ!クロ!」


「了解した。では、我は行く。その時になったら、また合おう、夜叉の主・セツナよ!ギャオオオ!!!」


クロは砲口を上げるとヘスティア地方の西の空へと旅立って行った。


「上手くいくと良いな。カミナリ様」


「あぁ、グレイには引き続き、アクレール港の守備を任せたいけど。頼めるか?」


「次々に来るであろう味方の安全の為ですな。あい分かった!引き受けよう」


「助かる!パーシヴァル卿とカーリーさんは『ヘル・デア』の東側の小国の解放していってくれ、先に現地に入るであろう。マーリン師匠とセシリアに合流して時が来たら『ロマ・テレシア』に向かうんだ」


「わ、分かりました。これで理事長と合流できます!」


「このパーシヴァル‥‥‥‥は戦えません。私の腕はもうありませんから‥‥‥‥‥」


パーシヴァル卿はそう言って暗い表情を浮かべていた。


「‥‥‥‥‥‥まだ、心の傷は癒えなよな。分かった。パーシヴァル卿は俺と一緒に『デス・デア』に来てくれ。分かりに鵺様。お願いできますか?」


「ミー、ミー、おうよ!任せときな!伝説の『白き獣』様に合えるとは思ってもみなかったぜ!」


「よし、『デス・デア』には俺、アヤネ、委員長、パーシヴァル卿、の四人で乗り込む。ディエースさんは案内役として俺達に同行してくれ。そして、残りの『オアシス』から来てくれた傭兵の皆は『デス・デア』と『ロマ・テレシア』で好きに暴れてくれ、一般人を巻き込まないよな行為なら何でもありだ!」


「分かりました。私は何処までも付き従います」


「シャッハー!マジかよ!ダンナ!『オアシス』じゃあ、俺達を助けてくれたばかりか、雇ってくれてよー!」


「おう!頑張って裏工作とやらをしまくれるぜ!」


「てめえら、ぶっ●すは狂信者共だ!!!俺達の手で紛争地帯を解放しようぜ!!シャッハー!ーー」


「「「「「「「「「シャッハー!!!!!!!」」」」」」」」」


「「「「「「「シャッハー!!!!!」」」」」」」


おぉ、頼もしい。『オアシス』の襲撃事件で助けた連中を片っ端しから雇って連れて来た甲斐があったな。ヘファイストスのガルクドウルク、アヌビス、オアシスからの傭兵達も続々と運河を渡ってやって来る。


俺達を敵に回したのだ。疲弊してもらうぞ!大国『ロマ・テレシア』。


「あ、あの、セツ君。目的地は分かったのですが‥‥‥‥『デス・デア』の東側の国々はどうするですか?私達の誰も向かわないとなるといったい誰が?」


「ん?あぁ、あっちにはラインバッハに向かってもらった。それと数日前に喚んだ助っ人がもう着いてると思うよ」


「喚んだ助っ人?」


「あぁ、俺の仲間の一人。『メリュジーヌ・フローレンス』卿がな」



▼▼▼▼▼


貧困と暴力の国〖シルテア〗


「ふーん!ここがヘスティア地方かぁ~、魔力濃度は凄いけど‥‥‥‥‥‥随分と悪辣な環境で生きてるんだね。うんうん、ご主人様は此方(こなた)に好きに暴れて良いって言ってたし‥‥‥‥‥‥‥久しぶりに暴れようかな?うん!鏖殺する!」



赤白の騎士『メリュジーヌ・フローレンス』顕る。


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