表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
325/867

航路と進路


アクレール・シス運河・渡航船内


「まさか、カーリーさんと鉢合わせして、一緒に旅するなんて思いもしなかったな」


「私もですよ!神成君。というか今更なんですが、何で容姿が魔術院を卒業した時と同じ何ですか?昔はもっと筋肉があって背も高かったでしょう?」


―女神―の『ギフト』で四~五年分若返り、全盛期の肉体と魔力も失ってしまったと正直に話して、俺が昔よりも遥かに弱くなっているのを悟られるのも嫌だな。


「‥‥‥‥‥‥いや、実はヘファイストス地方の『魔道具学校・〖アスクレピオ〗』の実験を手伝っている時期に『退化の薬』の薬を間違って飲んじゃってさ‥‥‥‥うん。それで魔法細胞ナンチャラカンチャラデ‥‥‥うん」


我ながら意味の分からない言い訳で誤魔化す。『退化の薬』?魔法細胞?なんじゃそら?であるが‥‥‥‥‥そんな単語を述べていればこの人なら恐らく‥‥‥‥


「『退化の薬』?魔法細胞?何ですかそれは?!!その実験はいつ世の中に発表するんですか?ねぇ?」


良し!話を反らせた!

流石は魔法の聖地『魔術院』のいち職員。意味の無い魔法単語を述べるだけで食い付いてきた。


「いやー、まだ、いつ発表かは分からないんだー!もし分かったら『魔術院』に連絡するよ‥‥‥‥多分」


「はい!是非、お願いしますね!是非に!」


両手を凄い力で掴まれる。この人も手の握力相当強いな‥‥‥‥‥‥此方の世界(アリーナ)の女性達は本当は皆、人の皮を被ったゴリラなんじゃないかと最近、思い始めた。


もうすぐ着くであろうヘスティア地方の西南部には男子禁制で女性が頂点の『女帝の国』もあるとか‥‥‥‥‥俺の勇者時代はそこまで旅をしていなかったのでどんな国かは分からないのだが、

これから戦争を吹っ掛けようとしている『ロマ・テレシア』とは国交は断絶しており、お互いの国同士は神代から現代に渡り長い間不仲な状態が続いているらしい。


おっと!俺の容姿の話しも終わった事だし、カーリーさんが『オアシス』に来た目的でも聞いてみるか。確かお忍び旅行とか言ってたよな?


「それにしても、マーリン師匠とセシリアが動いてるなんて思わなかったよ。つうか、あの人『キャスパリーグ』から外に出れたのか‥‥‥‥‥」


「え、えぇ、『アルカナの力が弱まってきたから、外にも行ける様になってきたよー』とか、最近、急に言い始めましてね。何日か前にはかの『影の国』の霊王様とも偶然遭遇しましたし」


「霊王?‥‥‥‥‥‥あの七大賢者の?」


「そうです。そうです!いやー、私達と同じで、お忍びの旅行みたいでしたし。理事長と数回話したら、直ぐ何処かに行ってしまいましたけどね。あの混沌とした魔力‥‥‥‥‥恐かったですよ」


カーリーさんはその時の事を思い出したのかブルブルと震え出した。


‥‥‥‥‥大アルカナ‥‥‥‥‥つまり、『ラグナログ(神々の黄昏)』達の減少で『マーリン』や『霊王』といったその場に封印されていた神話級の人物達が動き始めたのか?


ふむ‥‥‥‥‥‥それなら、今回の『ロマ・テレシア』の件が上手く片付いて、夜叉巫女も救い出せたあかつきには、これ以上の此方の世界(アリーナ)との接触は避けよう。


俺には故郷(地球)での暮らしもある。勿論、アヤネゆ委員長にもある。

彼女達はまだ若い。此方の世界(魔法)に染まる前に危険の無い日常へと還してあげるのが最善ではないだろうか?

彼方の世界(地球)に帰れば、残り一年と数ヶ月には彼女達は高校生だ。

『天領高校』での暮らしも始まる。此方のいざこざにこれ以上巻き込むのも可哀想というものだろう。


それに俺は俺でやりたい事があるのだ。

魔法世界(アリーナ)〗と〖地球〗の関係性や歴史。今回のヘファイストス地方の旅でとても興味を惹かれたのだ。


軍資金はたんまりとある。正直、天領高校等に進学せず、家のコネでも使って大学にでも飛び級するのも一つのてだろうか?


そして、地球にある世界中の遺跡や神代の残地を巡り。『世界の理』に反しない様に歴史の研究をしてみたい。


『真実の歴史を知る』それが今後の俺の人生の目標になりつつある。


この事はまだ、誰にも話さないでおく、今はただ夜叉巫女を救い、ロマ・テレシアの【教皇】を倒すことだけ考えよう。


「おっと!お話をしてたら見えてきましたね!あれがヘスティア地方の玄関口アクレール港が!」


俺、自身の今後について考えている間にヘスティア地方の地が見えてきたようだ。そこそこ良い年のお姉さんがキャッキャとはしゃいでいる。


「‥‥‥‥‥‥助けに来たよ。夜叉巫女!無事でいてくれよ」


俺はそう言いながら、アクレール港を見ていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ