剣聖 VS 水星 No.4 『青』と水の星
「あんな大きな鈎をこんな所で顕現させるなんて!剣聖グレイ!!!貴方、狂ってるんじゃないですか?」
「狂ってるだと?‥‥‥‥‥‥たかだか『大地の鈎』をお主達ににぶつけるだけだ。お主達は拙者の攻撃を防げば何も問題は起こらんだろう?それに、闘いが終わればアクレール港周辺の地形は元に戻す。これで問題も解決するだろう?」
「駄目です。水星様。コイツ、頭のネジがぶっ飛んでいる」
「そんなの始めから分かってますよ。単身でこのヘスティア地方に乗り込んで来て、アクレール港を貰うなんて‥‥‥‥‥普通なら正式な郡を派遣して、緻密な計画と数年に渡る兵士の訓練などをちゃんとしてから他国に進行するもの。それなのに彼は‥‥‥‥‥自身が持つ一本の剣のみで乗り込んで来る始末」
「ぐだぐたと喋っての時間稼ぎはよろしいか?ならば、受けよ!我が『大地の鈎』」
ガゴンッ!
『大地の鈎』がフーアが造り出した『青』の槍へと衝突する為、動き出す。
「‥‥‥‥‥‥流石はフレイヤ地方の剣聖。やることなす事出鱈目ですが。これは少々、ヤりすぎですね。これでは多少なりとも牢屋や地下の施設に避難させてる方々に被害がでそうですね‥‥‥‥‥グレイさん。少しの間だけ運河を泳いで来てください。転移魔法『縮転』」
「は?タマキ様。今なんと?‥‥‥‥‥」
シュン!
アクレール・シス運河
シュン!ドボーンッ!
「くっ!ダ、ダマキ様。いったい何をする?」
再びアクレール港
「‥‥‥‥‥‥剣聖の姿が?」
「消えましたな。いや、これは転移した?おっと!そんな事よりも、ディエース様。奴が居なくなった今がチャンスです。あの巨体な土塊の鈎を早く壊しましょう。でなければ被害が甚大な事に!」
「分かりました‥‥‥‥‥一瞬ですが『水星』の‥‥‥‥‥〖煌めく者〗の力を少し開放します。フーア!あの槍を鈎へとぶつけて下さい!」
「了解です。水星様。『青』の槍よ!我が声に従い土塊の鈎を粉砕せよ!水魔法『エーゲの海光』」
フーアの力強い言霊で『青』の槍が『大地の鈎』に向かって動き出す。
そして数秒と掛からず、剣聖グレイによって造り出された絶望の鈎へと到達する。
「‥‥‥‥‥‥素晴らしい威力です。フーア!‥‥‥‥‥‥水星よ!我が非力なる身に星の力の一端をお貸しください。水星・天来『煌めく者・水星』」
水星ディエース・アウェンティヌスが『星』の魔力に干渉し、遥か彼方の水の星に力を借り。一つの大水球を造り上げる。
「土塊よ!大地に帰りなさい!『水星・水疱』」
『大地の鈎』に向かって『水星・水疱』が放たれる‥‥‥‥‥そして、『大地の鈎』内部に浸入し内部から大量の水を放出され、『大地の鈎』の原状が泥へと変化する。
「‥‥‥‥‥‥これでアクレール港の被害を出さずに済みましたね」
「えぇ、良かったですな。ディエース様」
「おぉ、良かったな。水星殿!そんな大技を使ってしまっては魔力消費もさぞかし多かろう?」
「まさか?この声は?!剣聖‥‥‥‥‥」
「気付のが遅いわ!水星!!『地夜霧』」
ドガァン!!
「くっ?!不意打ちなんて‥‥‥‥‥ズルい‥‥‥‥‥」
バタンッ!
「ディエース様!!おのれ!貴様!!」
「お主もさっきから五月蝿いぞ?『地繊切り』」
ズバンッ!
「グオッ?!これは逆式召喚の術式?おのれ?貴様はいったい?」
「はーい!お帰り下さい。水幻獣さん!ティアマト地方の何処がまた、会えたらお会いしましょうね~」
「その声に?その姿!貴様は!」
シュン!
フーアが何か言い終える前に逆式召喚の効果により、強制的にティアマト地方へと送られたのだった。
「フゥー、終わったな。アクレール港の大地は後で戻すとして‥‥‥‥‥この美しき青髪の女性はどうしたものかな?タマキ様」
「おや?うちがグレイさんを運河のど真ん中に転移させた事は怒らないんですか?」
「ハハハ!何をあれしき!泳ぐ練習に丁度良かったぞ。ハハハ!」
「あぁ、心が広い人っていうよりも単純な方なんですね。グレイさんって」
「うむ!全ては力と剣でどうにかなるものだ。しかし、この水星殿は本当に美しいが‥‥‥‥‥拙者にはアインズ様がおるのでときめき♡はないな」
「あんな腹黒ネコの何処が良いんでしょうね‥‥‥‥‥‥‥ときめき♡がないなら、うちが貰いますよ!」
「ぬ?タマキ様は雄だったのか?しかし、この水星殿は多分人族と魔法族のハーフ。神獣であるタマキ様とは禁断の恋になるやもしれぬぞ」
「いやいや、禁断の恋なんてしません。うち、専用の拷問部屋へ連れていって、ご主人様専用のワンちゃんになってもらいますので」
「ワ、ワンちゃん?何だそれは?」
「いえいえ、此方の話ですよ~、グレイさんは周辺の地形を直したら、近くで待機させてるガルクドウルクの行商人達と合流して下さい。お願いします」
「お、おぉ、あまり踏み込まれたくない話なのだな。了解した。ならば、拙者は下へと向かおう。しばし離れる。では!」
グレイはそう言うとアクレール港の方へと走り出した。
「ウキウキウキウキウキウキ!!久しぶりの美少、水星だけにビショビショになるまで拷‥‥‥‥‥‥調教してあげますよ!アウェンティヌス家の才女さん。ウキウキウキウキウキウキ!!」
どす黒い笑みを浮かべて笑う神獣がそこにはいた。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥『黄金の宝物庫』タマキの息抜き部屋
ガゴン!
「‥‥‥‥‥‥ん?‥‥‥‥‥‥ここは?いったい?」
「ウキウキウキウキ!!おや?お気づきになりましたか?」
「はっ?誰ですか?それにここは?」
ガチャン!ジャラジャラ!!
「ッ!鎖?」
「ウキウキ!そう!鎖です‥‥‥‥‥貴女はこれから素晴らしい拷‥‥‥‥‥いえ、素晴らしい洗◯教育を受けます。そして、新しい扉を開きご主人様に仕える忠実なワンちゃんにビフォーアフターするのです。ウキウキウキウキ!私、ゾクゾクしてきましたぞー!ウキウキ」
「ヒ、ヒィ!気持ち悪い!」
「だ、誰が気持ち悪いですか!そんな悪い口には‥‥‥‥‥行きなさい!ヌメヌメスライムのスラゾウ君。彼女の『星光』を取り除いてあげなさい!」
「ヌチャヌチャ~!!」
「ヒ、ヒィ!!気持ち悪いです!気持ち悪い!だ、誰か!!くっ!この!‥‥‥‥‥‥イヤー、イヤー!!!!!」
その日を境に聖職者・水星ディエース・アウェンティヌスは精神から肉体までも別の者へと変えられていくのであった。
五芒星・水星堕つ。




