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影の国からの訪問者~妖精の異変



①影の国からの訪問者


『入国門』南門広場 旅人の休憩地・喫茶店『エルフの泉』


『セルビア』入国早々にメリュジーヌ卿との闘いに突入した。


死闘の末。我々の新しい奴れ‥‥‥仲間になった騎士メリュジーヌ卿こと。新しい俺の(しもべ)、メイドのメリュちゃんは今日からせっせと働く事になった。


現在はメイド・メリュジーヌのメイド研修の為。喫茶店でお茶入れの練習中である。


「紅茶が(ぬる)いぞ。新たな(しもべ)メリュジーヌ卿?!」


俺はわざと演技めいた言い方でメリュジーヌ卿に言った。


「な、何でよぅ?!そ、それ、お店の人が入れた紅茶だよ。雷撃く、ん‥‥‥‥」


メリュちゃんがご主人様こと。俺に口答えをしようとした瞬間、発光した鞭を持ったタマキが怒り出す。


「全く、メイドがご主人様になんて口の聞き方ですか?!メリュちゃん?」


「ひうぅぅぅ!ご、ごめんなさい。タマキ様~!!!だ、だから。その光る鞭を閉まって~!!!」


頼もしい相棒のタマキが新人の仲間に優しく指導する。

あぁ、なんて素晴らしい光景だろうか。『雷光鞭』を壊したことは絶体に許さない。タマキからはそのようなメッセージが伝わってくる。


まさか、ヘファイストス地方で作られた最高位の魔道具である『雷光鞭』が壊れるとは、俺もタマキも思いもしなかった。


もしも、また使えるようにするには。1度ヘファイストス地方まで行き。―女神―へファイストス様が(まつ)られている。聖地へ行かなくてはならない。

『雷光鞭』を刀匠によって打ち直してもらうしかない。


今回の旅が終わった後、ヘファイストス地方まで行くのかは今後、時間がある時にでもタマキと話し合うとしよう。


話を戻そう。タマキからメイドメリュちゃんへの仕返し。もといい、メイド研修は粛々と進んでいくのであった。


「た、助けて~!!ら、雷撃君!!!じゃなくて、主様~!!!」


「なに、ご主人様に甘えようとしているんですか?新人メイド・メリュちゃん!!!こんのロリメイド!!」

『雷光鞭』の残骸である。光る鞭が地面にしなる。


「ひい、何で此方(こなた)の身体魔法も神代強化も発動しないの?何でえ~?!!」


「まだ、口答えをしますか!!メリュちゃん。(バジン)」


また鞭が地面にしなる。


「あ。あの『セルビア』の最高戦力の1人に数えられる。赤白の騎士・メリュジーヌ卿があんな哀れなメイドのお姿に‥‥‥‥なんだか見ていると変な気持ちになってくるね?セシリア」


アルディス王子がお菓子を食べながらセシリアに聞く。


「ヘンニャ気持ちになるとか‥‥‥‥オニャエも相変わらず変態だニャア。アル」


「なんだい、セシリア?!(イラッ)この僕が変態?どういことかな?!」


「ニャから。オニャエは昔から変な嗜好をだニャア。なんニャ、その手は?!顔を、顔を掴むにゃあーー!!や、やめるニャアーー!!アルーーー!」


「ごめん。聞こえないや!セシリア!!」


アルヴィス王子は右手でセシリアの顔面を掴むとガルドさんと同じ様にセシリアを片手で持ち上げる。


「く、空中でのアイアンクローは痛いのニャア~!!‥‥‥‥」


そして、しばらくするとセシリアは静かになった。


「‥‥‥‥なにやってんだ?王子様とアインズさんはよお?!!!なんだ?ありゃあ?!」


「分からぬ。ただ、昔ッから。ああして、セシリアがアルディス王子の事を怒らせては。痛い思いをしてきたのだろうというのは。なんとなく分かったのじゃ」


今後の『セルビア』での行動をヒスイと一緒に話し合っているエスフィールがそんな感想を述べる。そのとなりでお茶を飲むヒスイはセシリアとアルディス王子の光景を見て若干引いていた。


「‥‥‥‥‥しかしこれからどうするよ。メイエスさんよう?!!目的は変わらず。隠れ妖精の里『シャナ』に向かうで良いのかよ?おい!」


「あぁ、そのつもりじゃ!ヒスイ。昨夜、アルディス王子に説明された通りの道順で行く。我々はこのまま北へ北上し隠れ妖精の里『シャナ』へ向かうつもりじゃ。」


頭脳派のエスフィールが陣頭指揮を取り。、今後の順路等の話し合いが進められているようだ。

自ら先頭に立って動いてくれる人がチームに入るとありがたいものである。


俺?俺はうちに来た新しい玩具(おもちゃ)、事。新メイド。メリュちゃんを教育し。‥‥‥いや、改造?洗脳し!!

今までのメリュちゃんの尊厳と価値観を全て破壊し。新たな生命体。


『ロリメイド・メリュジーヌ卿』を誕生させる為の教育を現在はタマキと共にに取り組んでいる真っ只中である。


「ご主人様~!例のメリュちゃんへの洗脳‥‥‥教育は順調に進みそうです。」


此方(こなた)はいやらいしセツナ様のロリメイド。此方(こなた)はメイド。此方(こなた)はロリメイド(ブツブツブツブツ)」


気のせいか、さっきよりもメリュジーヌ卿の目が虚ろになっている気がしたが気にするのは止めた。

タマキがすごい嬉しそうな笑顔で俺へと報告してくれた。

「おお、流石はタマキさん。これで『雷光鞭』も少しは報われるだろう。‥‥‥引き続きビシバシとシゴイてやってくれ。」


「はい。(バジン)喜んで~」


嬉しそうに『雷光鞭』の成れの果ての鞭をタマキがしならせた。


「おっと。紅茶を飲み過ぎたかな?タマキ。悪いけどトイレに行ってくるよ」


「はい~、お気をつけ~!ご主人様~!ってメリュちゃん!!!何ですかそのポーズの取り方は!!もっと恥じらいながらエロチックに可愛いくポーズはとりなさい(バジン)」


「ひいぃ~!!何で此方(こなた)が~!!」



メリュジーヌ卿の悲鳴を後ろにして俺は店の外にある。大衆用トイレへと向かった。



南門広場通路



「ふう~!ギリギリ間に合った」


(どん!!)「きゃあ!!」


俺は気分よく大衆用トイレを後にし喫茶店『エルフの泉』へと戻る途中の広場通路で前を歩いていた女性とお互いぶつかってしまった。


「おっと!!」


とっさに倒れそうになる女性の右手を掴み。お互いの転倒を阻止できた。


「す、すみません。俺が前を見ていないせいで‥‥怪我とかありませんか?」


「ええ、こちらこそごめんなさい。少し考え事をしていて‥‥‥‥」


しばらくの間。その女性は俺の顔を凝視し数秒後。何かの答えでも分かったように両手を強く叩いた。


「あぁ、なるほど。お父様の占いの結果が変わったのは貴方が来てくれたからなのね。なるほど。なるほど。」


「あ、あの大丈夫ですか?ぶつかった衝撃で何処か痛めたとか?」


女性は首を横に降り。笑顔で俺を見ている。


「いいえ、なんとも無いの。心配してくれてありがとう。命の恩人さん」


「命の恩人さん?とは?」


「いいの、いいの。こちらの話だから気にしないでちょうだいね」


女性は何処か嬉しそうにはにかむと。くるッと身体を反転させ俺とは別方向に歩きだした。


「あ、そうそう。関係ないだろうけどね。私達はもうこれ以上『セルビア』には滞在しないことにしたの。早馬が‥‥‥‥‥見ず知らずの貴方に言っても分からないわね。ごめんなさい。(クスッ)‥‥‥‥ヒスイ君には騙してごめんなさいって伝えてくれるかしら?」


「あぁ、ヒスイのお知り合いでしたか?ヒスイならそこの喫茶店で」


「ううん、いいのよ。もう。私達自身がこれ以上『セルビア』にいること事態が不味いのに、これでヒスイ君に会ってしまったら。また流れが変わってしまうもの。‥‥‥‥長話をし過ぎたわね。では、また何処かで会いましょう。カミナリ君。さようなら。」


「あれ?何で俺の名前を知って?‥‥‥あれ?もういなくなっちまった。‥‥‥‥まぁ、いいか後でヒスイにでも聞いてみよう。


俺は急ぎ足で喫茶店『エルフの泉』へと戻って行った。」 


『セルビア』入国門前

 

「あ~!!お姉さま。遅いよう~!!」


「ごめんなさい。マリー!ちょっとそこで命の恩人に会えたんでお礼の挨拶をしていたのよ」


「‥‥‥‥もしかして。例の元勇者君?」


「そうそう。その元勇者君よ。‥‥‥お父様‥‥いえ霊王様の占いだと。私はこの『セルビア』入国門で『唸る獣』と『妖精国』の筆頭騎士メリュジーヌ卿の闘いの最中に命を失うはずだったんだけど。」


「数日前にあの元勇者君が『唸る獣』を倒しちゃったから」


少し沈黙が流れる。


「そう。私は助かったわ。‥‥‥‥待たせてしまったのにごめんなさい。そろそろこの呪われた国『セルビア』から出ましょうか。マリー」


「はい。スカサハお姉さま。お姉さまを殺そうとしたこんな国。もう二度と来ないもんね~」


マリーはそう言うとスカサハの左腕に抱きついた。


「‥‥‥とりあえず。『影の国』へ戻ったら。霊王様に色々と報告しましょう。‥‥‥あの命の恩人の事もね。」


「了解で~す。お姉さ‥‥‥失礼しました。『影の国』が姫君・スカサハ姫様‥‥‥」


マリーはさっきまでの気安い態度は身を潜め。臣下の態度でスカサハの瞳を見た。


「‥‥‥‥では、帰りましょう。死の大地『影の国』へ」


『影の姫』姫君・スカサハ(夢魔と人族のハーフ)


「はい!!!姫様」


「影の国」スカサハの護衛・マリー(妖魔と人族のハーフ)









②『セルビア』の地理と2人の関係


喫茶店『エルフの泉』


「お~い!ヒスイさっきヒスイの知り合‥‥‥‥」


俺はさっきの事をヒスイに言おうと思ったが。何故か途中で言葉を詰まらせてしまった。


「あん?!どうしたよ?!カミナリ!!!」


それを変だと思ったのか。ヒスイが怪訝そうな顔で俺の顔を見た。


「いや‥‥‥‥あれ?何だったっけな?‥‥‥ああ!!そうそう。ヒスイにごめんなさいって謝っといてくれって言われたんだった。」


「俺に謝っといてくれ?‥‥‥カミナリ!!!お前にその伝言を頼んだ奴はどんな容姿をしてやがったんだ?!」


ヒスイが訝しげな顔で俺に聞いてくる。


「いや、どんな顔って言われてもな。‥‥‥‥‥あれ?思い出せないな。‥‥‥何でだ?」


「‥‥‥‥アルディス王子。セツナのこの症状は」


「‥‥うん。多分だけど。夢魔の幻術魔法に軽く当てられているね」


エスフィールとさっきまでセシリアとじゃれていたアルディス王子が俺の近くまで来ると。2人でそんな話しわし始めた。


「‥‥‥心配するな。セツナ。今、解呪してやる。(りょく)魔法『束縛の開放』」


エスフィールが俺に向けて(りょく)魔法『束縛の開放』という解呪魔法を発動した。


「‥‥‥あれ?俺?‥‥‥なんか先までボーッと夢の中にいた気分で‥‥‥」


「どうやら無事に、解呪が上手くいったようですね」


「ええ、上手くいきました。大丈夫か?セツナ。気分はどうじゃ?」


「いや、なんかボーッとすると言うかな。不思議な気分だな。春の暖かい花畑を気持ちよく歩く。そんな気分だった」


「うーん。どうやら、セツナさんに幻術魔法をかけた人は。セツナにお礼のつもりで幻術魔法をかけたかもしれませんね。」


「‥‥‥そうかもしれません。解呪の時に。悪意や殺気めいたものは感じませんでしたし。」


「お礼のつもり?何で幻術魔法がお礼のつもり何ですか?」


「そ、それはのう。セツナ。‥‥‥なんとも言いづらいんじゃが。夢魔の幻術魔法というのはある種のご褒美みたいな側面があるのじゃ」


エスフィールが顔を赤くしながら説明してきた。そして、その隣にいるアルディス王子も顔が赤くなっている。


「ある種のご褒美?それに何で2人とも顔が赤いんだ?」


「夢魔の幻術魔法は少し特殊な魔法でな。人が想像した理想の自分や願いを夢の中や幻覚であたかも現実と錯覚させられるんじゃ。ガリア帝国の王都やヘファイストス地方のオアシス等には商館がある程の人気が一部からあったりする。」


「そうそう」


「‥‥‥‥何で2人はその事を知っているんだ?」


「‥‥‥‥‥まぁ、今後は夢魔のイタズラに気を付ける事じゃな。セツナ。あ奴等は何処から現れるか分からんからな。今回は良い教訓になったのう」


「そうそう」


こいつら俺が気になった質問に答える気が全くないぞ。

おい。親御さん達の教育はどうなっておるのだ?


「そ、そうか。教えてくれてありがとう。エスフィール、アルディス王子」


「おお、よいよい。ではこのお話はもうおしまいという事で終~了」


「終~了」


おい。さっきからこの二人の息がピッタリなのは気のせいか?

後、アルディス王子の素の性格ってちょっとお馬鹿さんなんじゃないかと。この数日での行動を見ていて思ってしまう。

それに仕草がやたら女の子ポイのはどうしてなのだろうか?

不思議だ。


「‥‥‥‥‥俺に謝る‥‥‥幻術魔法‥‥‥夢魔か‥‥‥まぁ、今は様子見と行くか‥‥‥‥」


途中から会話に参加してこなくなったヒスイは1人。ブツブツと独り言を言って。物思いに更けていた。


「‥‥‥ヒスイ!大丈夫か?」


「ん?あぁ、大丈夫だぜ。‥‥‥了解だぜ、カミナリ!!!教えてくれてありがとうよ!とりあえず。分かった。大丈夫だ」


ヒスイはそう言うと俺の肩を数回軽く叩いた。叩いた時の指の形が何かの印を結んでいたように見えた。


「何でいきなり叩いたんだ?」


「あぁ、俺の故郷のまじないみたいなもんだ!夢魔や妖魔の類いに憑かれた時にやる。憑き物落としだ。‥‥‥後で役立つだろうからよ!安心してくれ!カミナリ!!!」


「よ、よく分からないが。わ、分かった。」


「おう!」


そんなよく分からないやり取りをヒスイと行い。会話を終了した。


「ふう。セツナ君の夢魔騒動も一段落したし。お復習(さらい)としてもう一度。『セルビア』国の地理について教えていくね。数日前みたいに」


アルディス王子が俺達の顔を見ながら話した。


「お願いします」


エスフィールがそう言うと。


「はい、お願いされました」


と息があったやり取りをしている。


ふと、俺は少し気になることをアルディス王子とエスフィールに質問してみた。


「え~と、もしかしてエスフィールとアルディス王子は昔からの知り合いだったりするのか?さっきから妙に息が合っているような?‥‥‥俺の気のせいかな?」


「いえ、全く」


「うむ、全く」


「後さ、アルディス王子。君。本当はおん‥‥‥」


「ウニャア~!その通りにゃ!セツ‥‥‥」


「おらあ!!」


「うらああ!!」


「ごっふ!!」「ギニャアァ!!」


俺とセシリアは喫茶店の天井へと舞い上がり意識を刈り取られた。な、何が起こったんだ?ガクッ‥‥‥


「ふう。うるさい、お馬鹿2人も静かになった事ですし。アルディス王子。ご説明をどうぞ」


「ありがとう。メイエスさん。では、改めて。この国『セルビア』は北の地を『サラマンダー』南の地を『ウンディーネ』東の地を『ノーム』西の地を『シルフィード』と呼ばれる。『セルビア』国内でも有数とされる四大都市があり」


「四大都市ですか?」


「はい。それらの都市が東西南北のエルフ達や一般妖精達を監視や取締等の役目をになっており。『セルビア』国の真ん中には。我がユグドラシル地方の象徴ともされる世界樹が深く根を生やし。その根の下に我が故郷でもある。王都『オーディン』が世界樹と共に栄えており。世界樹の南方には『妖精国』の入り口である『古代の湖』が存在しているんだ」


俺はアルディス王子の説明の途中で意識が戻り。話の半分位までを聞いていた。


「な、なるほど。それが『セルビア』の主要地域となるんですね」


「うん、四方に有力なエルフや上位妖精達で固め。『セルビア』の中心にある世界樹を守る様に国は機能しているよ」


「世界樹を守るですか?何故、世界樹を守る必要が?」


「‥‥‥‥それはね。僕達が住む。世界樹こそが。ユグドラシル地方の魔力の源になっているからなんだ。あり得ないと思うけどりもし世界樹が枯れるような事が起これば。ユグドラシル地方に住む。全ての民は飢えに苦しみ。皆、滅ぶとまで言われているよ。その余波は他の地方にも影響するだろうとも」


まじか、世界樹こそがユグドラシル地方の要石で枯れたら。今の資源豊富なユグドラシル地方は無くなるということか。


「‥‥‥‥それなのにこの数ヵ月になって現れた。魔竜や一般妖精の反乱により。国内は荒れ。世界樹の警備も手薄になってきているのが。今の『セルビア』の現状なんだ」


「誰かが裏で企んで。最終目標は世界樹の伐採か枯れさせる事。それにより起こるのが大飢饉とそれを発端とした各種族の資源を求める。長い戦争の始まりか」


エスフィールが真剣な顔で。今後起きるからしれない最悪なケースを皆に話した。


「こりゃあ!!でけえ!話だぜ!!ユグドラシル地方が滅べば。人族共もこの地に踏み込んで来やがる。あいつらはチャンスと思えば平気な顔して悪さをするからな。‥‥‥さてどう動いたものかねえ!!こりゃあ!!よう!まったく!」


ヒスイがそう言いながら。大きいため息をついた。


「うん。その為にまずは数日前にも言ったけど。隠れ妖精の里『シャナ』に向かい。反乱を未然に防ぐ。それが今回、僕が来た理由でもあるんだ。」


「なるほど。とりあえず。『セルビア』の地理や目的地へのおさらいも済んだこと出し。明日にはここを立とうと思うけど。それで大丈夫ですかアルディスちゃん‥‥‥王子」


アルディスちゃん‥‥‥王子の俺を見るめが冷たい。


「う、うん。それでいいよ。セツナさん。(ねえ、ユナちゃん。この人。後で拷問にかけても良いの?)」


「(はい、好きにして下さい。アル先輩!煮るなり焼くなり好きにどうぞ)」


「(うん。、分かった。とりあえず。記憶が飛ぶまで拷問するね。ありがとう。ユナちゃん)」


「(いえいえ、先ほどまではアル先輩だと気づかないですみませんでした。どうぞ、どうぞあの男は好きにしてください)」


「(いやー!さすがユナちゃん。話が分かる可愛い後輩だよ。さっきまでは記憶阻害の魔道具を使っていたからね。ごめんね)」


なにやら。ひそひそとエスフィールとエルヴィス王子が俺達に聞こえないように会話をしていた。


微かに聞こえた拷問と言うキーワードに疑問を浮かべつつ。アルヴィス王子の残りの説明を聴きながら。優雅なティータイムを過ごしたのだった。


そして、まさかその数日後にはアルディス王子からのきつい。お仕置きが待っている等と。ティータイムを呑気に楽しむ現在の俺は気づかなかったのである。


まさかアルヴィス王子の本性があんな者だったとは。

誰も予想はつかないだろう‥‥‥‥









③夜の戦い


『セルビア』国内。南側広場にある。とある上流階級向け宿屋。


さすが王族が仲間にいると待遇が違う。アルディスちゃ‥‥‥アルディス王子が一緒に入るという理由で他の国の外交官が泊まると言われる。宿屋をアルディス王子の部下の人達が用意してくれていた。


そして、今は各々1人に部屋を与えられ。好きな時間を過ごしている。


「‥‥‥やっぱり。着けてたよな?以前、対マーリン師匠用に首に着けた魔法石‥‥‥これは夢魔避けにもなる魔道具だぞ」


なのに俺はあの顔を忘れてしまった夢魔の女性に。いつの間にか幻術魔法をかけられていたという。あの時は確かに意識は朦朧(もうろう)とし。何も考える事ができなくなっていた。


「とういうことは。通路で出会った女性はかなり位の高い夢魔って事か?夢魔避けの魔道具も効かないような‥‥‥」


俺はまた考える。各国が『セルビア』に気づき始めて。密偵を送り込んで来ていたとする。そして『セルビア』の調査も終わり帰路に着いている時に俺に出くわした。


「そういうことか?わかん。全くわからん。‥‥‥そして、俺は。やはり前にセシリアに言われたとおり。幻覚や不意打ちとことん弱いな」


物思いに更けていた。数分後。(コンッコンッ)と俺が使っている部屋の扉からノックの音が聞こえてきた。


「ん? 誰だこんな夜遅くに?セシリアかヒスイが遊び来たのか?」


最近はあいつら2人と地球から持ってきた。トランプやUNOなどを2人に教えて遊んでいる。年も近い事があってなかなか楽しい時間だったりする。


(コンッコンッ)またノックされた。なんだが急かされているみたいだ。


「はーい!今、開けるよ。」(ガチャリ!)


俺は部屋の扉を開けて。ノックしてきた自分を見て驚いた。


「あれ?エスフィールとアルディス王子。何でこんな夜遅くに?」


「‥‥‥居てしまったかセツナ。ではアルディス王子、部屋の中へ入りましょう。邪魔するぞセツナ」


「そうだね♪ユナちゃん!お邪魔するよ。セツさん」


俺は突然、現れた意外な2人に戸惑っていると。俺を押し退けエスフィールとアルディス王子は部屋の中へと侵入してきた。


「‥‥‥‥っていきなりどうしてんだ?2人共?」


あれ?何か一瞬。意識が朦朧としたような?


「こんな。夜遅くにすまぬな。セツナ。アルディス王子がセツナとどうしても話し合いをしたいと私に言ってきたな」


「アルディス王子が俺と話し合いを?」


なんだ?どういう事だ?


「そうなんだ!セツさん‥‥‥もう猫を被るのも疲れたな」


アルディス王子はそう言うと俺に近づいて来る。


「いや~!喫茶店『エルフの泉』ではよくもやってくれたね。もう少しで皆にバレそうだったよセツナ君?僕は結構怒っているんだからね。全く」


もう少しでバレそうだったよ?あぁ、もしかしてアルディス王子が男装をした‥‥‥


「あぁ、アルディス王子が男装をした女‥‥‥」


その瞬間。

「ふん!」(俺の脳天にアルディス王子の手刀が飛んでくる)


「がっは?!こ、この一撃は‥‥‥」


「全く。誰かに聞かれてたらどうするんだい?‥‥‥まぁ、いいかなこれから少しずつ調教していけば。ふふふ!」


意識が薄れるなか眼前に見えるのは不適に笑うアルディス王子の顔と俺を心配そうに見ているエスフィールの表情だった。ガクッ‥‥‥



「さぁ、これから楽しい楽しい調教の時間だよ。セツナ君‥‥‥ってあれ?セツナ君?もしもーし?!」


「‥‥‥‥どうやら。メリュジーヌ卿との戦いや夢魔の魔法を喰らったりで疲れが蓄積されていたようですね」


「そんなぁ。じゃあ、お昼に僕にやってきた仕返しができないじゃないか。もう」


アルディス王子は可愛い素振りでプリプリ怒りだした。


「こうなっては仕方ありません。アル先輩。我々も退散致しましょう」


「‥‥‥しょうがない。こうなったらユナちゃんに彼が僕にやった責任を変わりにとってもらおうかな」


「アル先輩?今なんと?」


エスフィールが困惑するなか、アルディス王子は着ている服を脱ぎだした。


「フフフ、ユナちゃんはセツナ君のパートナーなんでしょう?だから連帯責任が発生するよね?フフフ」


「もしや!セツナの部屋に私を同行させたのもこの為?」


「どうだろうね。‥‥‥まぁ、いいや。今夜はまだまだ長いゆっくりと旧交を深めようね。ユナちゃん」


アルディス王子はそう言うと。その美しい体をエスフィールに押し当てる。


「ア、アル先輩。ちょっと!待ってください。ま、待って~」


その日の夜、俺は恐ろしい夢を見た。エスフィールと女性姿の綺麗なアルディス王子か俺が寝ていたベットの上でプロレスなのか分からないが。くんずほぐれずの激しいバトルをしている夢だ。

こんな、夢あり得ないと思うのでやはり夢なのだろうと思い深い眠りに俺は落ちていった。





『セルビア』北の大都市『サラマンダー』近くにある要塞砦エルフ部隊駐屯地要塞砦。


「今日も何事も無かったな‥‥」


「た、隊長!!北の地の守護精霊・『サラマンダー』様のご様子が変だとの報告が!」


「なに?『サラマンダー』様の‥‥‥では直ぐに治療部隊を派遣しろ。あの方は我々に取って掛け替えのない方で‥‥‥‥」


その瞬間。ドガアアアアアアン!!!!!

と激しい衝撃が要塞砦の地を激しく揺らした。

そしてまた別のエルフ兵士が報告に来る。


「た、隊長!!!!怪しい者が『サラマンダー』様に近づいた瞬間。『サラマンダー』様が暴れ始めましたー!!」


「暴れ始めただと?!そいつを探して連れてこい。他の者は『サラマンダー』様の所へ私と一緒に付いてくるように」


「「「はっ!!」」」


闇夜の中


「うん!うん!暴れな!暴れな!上位精霊『サラマンダー』よ!そしてこの地を不毛の大地に!ギャハッハッハッ」


「魔人・○○○○○」


『セルビア』西の大都市『シルフィード』近くの森


「あああ!!殺そう。楽しく殺そう!ねえ!妖精達~♪」


「殺そう♪殺そう♪楽しく殺そう」「殺そう♪殺そう♪楽しく殺そう♪」「わーい!わーい!殺そう♪楽しく殺そう♪」「殺そう♪殺そう♪」


一般精霊がこれまで殺してきたエルフや妖精達の鎧や服に身を包み躍りながら行進していた。


その殿には不気味な姿をした一匹の巨体な竜の姿が合った。


魔竜『ジャバウォック』出現。


「上位精霊・シルフィード様!!!この地にも遂に一般精霊を従えた魔竜『ジャバウォック』が現れました」


「遂に来ましたか。‥‥‥元老院のエルフ達に救援の連絡を入れて下さい。私が少しでも時間を稼ぎますので」


「‥‥‥ですがそれではシルフィード様が持ちません」


「わかっております。だから急いで連絡をお願い」


「了解しました。シルフィード様」


「メリュジーヌ‥‥‥‥こんな時、貴方が居てくれたら」



『セルビア』国遥か上空 


「エウロペ大陸の勇者は消息行方。魔王領の現魔王は不在ときてやがる。おまけに7の秘宝『エクスカリバー』は主を捨てて逃亡ときたもんだ。はははははは!‥‥‥‥『セルビア』に混乱を!!ユグドラシル地方に滅亡を!!さぁ、始めようじゃないか!!!!エウロペ大陸の‥‥‥‥いや、アリーナの滅亡劇を!!!!はははははは!」


魔人・『ヴォーティガン』再来








④朝のやり取り


『セルビア』エルフと妖精の国の朝はとても輝いている。

外を見れば花畑で妖精達が遊び。宿場の外を見れば美しいエルフ達の笑い声が響き渡る。


そして、俺が寝泊まりする筈だった自分部屋には裸体の美少女2人がベットに横たわっていた。

ベットの周りには変な形の魔道具が散らばっている。


(‥‥‥これは夢だ。アルディス王子が女体の訳がない。彼は男だ。男性だ。やはり俺は幻術や幻覚系の魔法に弱いらしいな。対策しなくてわな)


そう考えながら。近くのソファーに体を預け。再び深い眠りついたのだった。


数時間後。


「雷撃君。朝だよ、そろそろ起きて~」


新メイド・メリュジーヌ卿の可愛らしい声が聞こえてくる。何とも心地がの良いことか。


「ら、雷撃君。本当にそろそろ起きて~!じゃないと此方(こなた)はタマキ様にお仕置きされちゃうから~」


先ほどの可愛らしい声とは違い。すすり泣く悲しい声わ発しながらメイド・メリュジーヌは俺に懇願する。


どんだけ。必死なのだ。


「うーん!良く寝た。おはようございます。メリュジーヌ卿」


何故か俺はソファーではなく。夢の中であの2人が寝ていたベットで寝ていた。やはりあの光景は夢だったのだ。アルディス王子が女の子な訳無いのだから。


「お、おはようございます。雷‥‥‥ご主人様」


タマキの1日、2日間。程度の洗脳‥‥‥教育により、エスフィールよりもメイドらしい立ち振舞いで朝の挨拶をしてくれる。新メイドさんがそこにいた。


「なんだか短時間で見違えたね。メリュちゃん」


「メリュちゃん!‥‥‥‥全てはタマキ様の拷問‥‥‥教育していただいたおかげです。ご主人様。感謝してもしきれません。(棒読み)」


「そうなんだ。じゃあもっと教育して欲しいとメリュちゃんが言ってたってタマキに報告しとくよ」


「こ、此方(こなた)はそんなこと望んでないよ。助けてよ。ご主人様~!え~ん」


「ちなみにメリュちゃん。さっきからの俺との会話は全てタマキに筒抜けだから頑張ってくれ」


俺がそう言い終わった瞬間。メリュジーヌ卿の顔が固まった。


「では、ご主人様。身支度が整いましたら。皆さんが食堂でお待ちです。よろしくお願いいたします。(ぐすん)」


メリュジーヌ卿はそう言い残すと。何か覚悟を決めたような顔をして部屋から出ていった。


「こりゃあ、いっそうタマキの拷問‥‥‥教育が厳しくなるな」


俺は身支度を整えて。使った部屋を掃除し終わると一階にある食堂へと向かった。ちなみにベットは女性が付ける香水の臭いが2種類したが何故なのだろうか?分からない。


「皆~!遅れてすまない」


「おお~!遅かったなカミナリ!!!俺は飯食い終わっち待ったぜ!」


「わっちもニャア~!遅いニャゾ。セツニャ」


明るい声でヒスイとセシリアが声をかけてくる。

コイツらだんだん一緒にいる事が多くなってきたな。それに前よりも中良さげだ。


「おはよう2人共。遅れてすまない。」


「身体がボロボロなのじゃあ~」


「なのじゃあ~」


別のテーブルではエスフィールとアルディス王子がぐったりしていた。


「何かあの2人疲れてないか?昨日の夜何かしてたのか?」


俺はセシリアに聞いてみた。


「‥‥‥‥多分ニャが、アルの悪いクセが出たんニャロウ。可愛い女の子を見るとにゃあ。ゴニョゴニョ」


「ん?なんだって?途中から聞こえなかったぞ。セシリア」


「これ以上。話したらわっちはあの世行きニャア。まだ死にたくないのニャア~」


その顔は恐怖で支配されていた。過去にアルディス王子がセシリアに何かしらのお仕置きをしたことが垣間見れた。


「女つうのは怖えもんだな!カミナリ!!!」


「ヒスイはセシリアの顔を見ながら。そんな感想を言った。


「何を言っているんだヒスイ。アルディス王子は男の子だろう?何を勘違いしてるんだ。王子に失礼だろ」


「お、お前‥‥‥昨日まで。あの男装野郎の事をおん‥‥‥そうか、やられち待ったか。かわいそうに」


ヒスイは驚いたかと思ったら。いきなり表情を変え。哀れみの顔で俺を見てきた。


「なんだ?どうしたんだ。ヒスイ!その同情したような目で俺を見て?」


「いや、なんでもねえ!なんでもねんだ!気にするな。カミナリ!!!すまねえ!仮にもお前の使い魔なのによう!本当にすまねえ!」


「すまねえのニャア!」


ヒスイとセシリアは2人して俺に謝ってきた。


「あぁ、ありがとう。2人とも」


俺はとりあえず。謝っておいた。


「‥‥‥よっこらしょと!うんうん!バッチリ記憶は飛んでるみたいだね。セツナ君。良かった。良かった。」


「アルディス王子?おはようございます」


俺は少し違和感を覚えたが。気にする事ではないので考え無いことにした。


「おはよう。セツナ君!元気そうで何よりだよ。昨日は起きないから心配だったけど。良かった。良かった。」


「昨日は起きない?ですか?」


「ううん!何でもないよ。‥‥‥よし!セツナ君も起きて来たことだし。朝食が済み次第。隠れ妖精の里『シャナ』に立とうと思うけど大丈夫かな?」


アルディス王子は上目遣いで俺に聞いてくる。

なんだ。この可愛さは?これで男の子なんてなんて勿体無いのだろう。


「はい!それで大丈夫です。メリュちゃんとタマキもそれでいいよな?」


食堂の片隅でタマキが地球から持ってきたメイド研修の動画をタマキとメリュジーヌ卿が必死で見ていた。


「‥‥‥はっ!はい、それで大丈夫です。ご主人様(バシン)


鞭がしなる。


「ひい!はい、メリュもそれで大丈夫です。ご主人様~!ひい~」


可哀相は可愛いとは良く言ったものである。

メリュジーヌ卿の不幸は蜜の味なのかメリュジーヌ卿でしか採取できない養分がそこにはあった。


数時間後。


俺達はアルディス王子が手配してくれた。移動用の獣。

『ブラックキャット(黒猫宅急)』に乗り。

隠れ妖精の里『シャナ』に向かうのだった。







⑤妖精の異変


私達。新魔王(エスフィール)チームはアルディス王子と後輩新メイドメリュジーヌを新たな仲間に加え。


『セルビア』国の最初の目的地である。隠れ妖精の里『シャナ』にアルディス王子が手配してくれたライドモンスター「ブラックキャット」に乗り。

目的地である『シャナ』へと向かっている最中である。


「しかし、すごい速いな。このブラックキャットって奴は」


セツナがその様な感想を述べる。


「『セルビア』の近衛兵が乗る代物らしいぞ。その中でも優秀なブラックキャット達を私達に宛がってくれたとアルディス王子が言っておった」


「さすがは『セルビア』の王子だな。『始まりの大森林』のお姫様ポジションである筈のセシリアとこうも違うとは」


私とセツナはセシリアの方を見る。


「落ちるニャア~!オニャエ!!そろそろ言うこと聞くのニャア~!!」


セシリアが乗っているブラックキャットは、セシリアの言うことをまるで聞こうとしない。


「ニャァ、ニャァニャァ!」


「ニャニ?同じ猫を背中に乗せたくにゃいだとにゃあ~?!お、おにゃえ、ふざけるニャヨ~!!」


「驚いた!セシリアの奴。モンスターと会話が出きるのか?」


「ん?あぁ、獣や幻獣限定だけどな。一緒に旅をしている時はモンスターとの通訳を任せたことも何回かあったな。だが毎回の様にああやって」


セツナがセシリアとブラックキャットに指を差す。


「オ、オニャニェ!!そろそろ本気でわっちの言う事聞くにゃよ~!!」


「ニャァニャァ(笑)」


「獣や幻獣に()められてだいだいは酷い目にあう」



「ギニャアーーー!!落ちたニャア~!!」


セシリアはブラックキャットの背中から落ち。瞬く間に私達の視界から消えてしまった。


「おい!セツナ!どうするのだ?セシリアを探しに行くか?」


「いや、しばらくしたら。フラッと現れるさ。いつもの事だ」


こやつら元勇者パーティーは一体どうなっておるのだ?

セツナの顔を見てみると。とても心配等している様な顔ではないし。

一体どんなチームなんじゃ。


「お、お主。本当に心配じゃないのか?」


「ああ、心配等しない。セシリアは大丈夫だ。多分」


「そ、そうか」


「‥‥‥たく!世話が焼ける。アインズさんだぜぇ!!カミナリ!!!俺はアインズさんを拾いに戻るからよう!!道中、何かトラブルにあったら召喚魔法で俺を呼び出せよ!!いいな!!」


先ほどまで静かだった。ヒスイがセツナに向かって大声で叫んだ。


「ああ、助かる。後はよろしく~!ヒスイーー!!」


「了解だぜぇ!!」


ヒスイはセツナとそんな短いやり取りを終えると。方向転換して元来た道を逆走し。セシリアの方へと向かって行った。


「おい!良かったのか。あの2人だけにして?」


「大丈夫じゃないか?『双星の大洞窟』でも一度。共闘しているし相性もいいだろう。昨日なんトランプを俺から借りて2人仲良く七並べしてたぞ」


「あ奴ら。どんどん仲良くなるのう」


「なんだかんだ馬が合うんだろう。」


そんな会話をしていると目の前から閃光のような光が現れた。


「殺そう♪殺そう♪楽しく殺そう♪」「殺そう♪殺そう♪王様の為に♪」「皆で殺そう♪魔竜様の為に♪」


どこか異様な雰囲気を漂わせた一般妖精達が列を成して現れた。その手にはエルフの骨と思わしき物体を持ち。数匹は鎧等も身に付けている。


「くっ!もう。ここまで魔竜の影響が来ているなんて‥‥‥」


アルディス王子が唇を噛み締めながら苦渋の顔をしている。


「見つけた♪見つけた♪獲物を見つけた♪」「では、では、殺そう♪王様の為に♪」「では、では、いくよ♪風魔法『風刃』」「火魔法『焔』」「『水刃』」


妖精達は私達に向け。魔法攻撃を放って来た。


「やれやれ、お構い無しかよ!雷魔法『雷壁・双壁』メリュちゃん頼む」


「畏まりました。ご主人様」


セツナが妖精達の攻撃を防ぎ。間髪入れずに叫ぶと。目が完璧に逝っている。『セルビア』が誇る筆頭戦力。赤白の騎士メリュジーヌ卿が私達の前へと出た。


「たかだか、一般妖精が此方(こなた)に攻撃してくるとわね。‥‥‥少々、舐めすぎだよ。君たち。‥‥‥神代魔法(赤)『赤龍刀』‥‥‥殺すよ?」


メリュジーヌ卿が神代魔法で赤い刀を出現させた途端。妖精達の顔色が一気に変わった。


「怖いよ♪怖いよ♪メリュジーヌがここにいるよ♪」「聞いてない♪聞いてない♪聞いてないよ♪王様♪」

「逃げる♪逃げる?♪どうしよう♪」「殺されるなら♪殺してやろう♪」「そうだ♪そうだ♪殺してやろう!火魔法『焔』!!」「水魔法『水刃』」


またしても私達目掛けて一般妖精達が魔法を放つが‥‥‥


「神代魔法(赤)赤乱雲(せきらんう)


メリュジーヌ卿が持っている赤い刀を一振振るうと一般妖精達の攻撃魔法が全て吹き飛ばされた。


「そんな。生半可な攻撃だから。君達はずっと一般妖精なままなんだよ。西の領主。『シルフィード』を少しは見習って欲しいね。ポンコツ君達!!」


そう言い終えるとメリュジーヌ卿は妖精達の中へと突っ込んで行った。


「‥‥‥とりあえず。俺とメリュジーヌ卿はここに残って一般妖精達の相手をしているよ。君達は先に隠れ妖精の里『シャナ』へ向かってくれ!!何だか嫌な予感がするんだ」


セツナはそう言ってメリュジーヌ卿の所へとブラックキャットに股がり走って行った。


「嫌な予感?なんだと思う。ユナちゃん」


アルディス王子が私に質問した。


「わ、分かりませんがあのセツナがあの様な顔をして言うのだから。ただ事ではないというのは確実かと」


「‥‥‥‥了解。先を急ごうかユナちゃん」


「はい、アル先輩」



そして私とアルディス王子は2人で隠れ妖精の里『シャナ』へと向かうのだった。


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