次に向かうは運河の果て
俺がルドルフさんの帰還とカーリー秘書官との意外な再開に驚いている中、アヤネや委員長はというと‥‥‥‥‥
『黄金の宝物庫』内
「私達が泥酔している間にその様な事が‥‥‥‥‥‥‥夜叉ちゃんが連れてかれてしまうなんて‥‥‥‥‥‥私、心配です」
「私だってそうよ!何でお酒なんて飲んじゃったのかしら?確か、あの時は頭の中がボーッとして。無意識に酒樽のお酒を飲んじゃたのよね」
そんな二人の様子を少し離れた場所で鵺とラファエルは静かに見守っていた。
「どう思う?ラファエルさんよう!」
「アフロディーテ様の力ね。、魔法の実力がまだまだの二人を心配しての配慮したんでしょう‥‥‥‥‥‥そのせいで夜叉巫女が連れて行かれるなんて思ってもみなかったわよ」
「‥‥‥‥‥だよな。‥‥‥‥‥‥カミナリ様はこれからどう動くんだろうな?」
「バカね!鵺!『契約者』同士の主従関係を大事するセツナよ!そんなの助けに行くに決まってるでしょう!」
「まぁ、そうなるよな‥‥‥‥‥‥それで先ず最初の行き先は何処になるんだ?夜叉巫女の嬢ちゃんが連れてかれたのは場所は、確かロマ・テレシアとか言う国なんだろう?」
「えぇ、そうよ!でも先ずは運河を超えないといけないわ!『オアシス・ノース』の先、ヘファイス運河にある港。『セイスラ』へと向かう事になるでしょうね。そして、ヘスティア地方行きの船に乗って運河の向こう側にある港。『アクレール港』に行くの。その更に北には‥‥‥‥‥紛争と飢餓の地『ヘル・デア』があると聞くわ」
「『ヘル・デア』とは‥‥‥‥何とも不吉な地名だな!」
「ロマ・テレシア教の教皇を頂点に東星と西星と呼ばれる二人の神官がロマ・テレシア教国取り仕切っているのよ。その下には五芒星って言う五人が居て、その五人が『ヘル・デア』各地の紛争地やロマ・テレシアの国内を取り締まっているのよ」
「話だけ聞くと何とも凄い国なんだな」
「当たり前じゃない!『ロマ・テレシア』の国は神代時代から続いてる歴史ある大国よ。大国!‥‥‥‥‥まぁ、その歴史が古すぎて国の内部政治は腐敗を極めているし、ヘスティア地方の紛争地の国々をわざとあおって混乱を作ってるとも言われてるわね。」
「そんな国にこれから殴り込みに行く事になるとは思わな‥‥‥‥‥アヤネ嬢ちゃんと神無月嬢ちゃん達二人にはなんて説明してやれば良いんだろうな‥‥‥‥‥」
「私は‥‥‥‥‥地球に帰してあげるのが一番だと思ってるわ。今回は流石に旅行気分で旅できる所じゃないもの‥‥‥‥‥」
「そうだよな!なら、直ぐにカミナリ様に相談してよう‥‥‥‥」
「えぇ、そうね‥‥‥‥‥‥‥」
「ちょ、ちょっと!待って下さい!御二人共!」
「そ、そうよ!勝手に私達抜きで話を進めないで!夜叉が拐われたのよ!そんなの拐った奴を許せるわけないじゃい!そいつが入る国に行って夜叉を取り戻すのよ!」
「そうです!そうです!夜叉ちゃんを取り戻す為なら、私、何でもしますわ!」
「アヤネ、それに恵‥‥‥‥私と鵺の会話ちゃんと聞いていたの?ヘスティア地方は危ないのよ!紛争地なの!宗教国家なのよ!あんたの今の中途半端の実力で入国なんかしたもんなら、数日で命を落とす!そんな場所なのよ!今のヘスティア地方って所は!」
「大天使のラファエルさんがここまで言うんだ。本当に危ないんだってよ!だから、今回のあんたらの旅はここでおしまいだ!後は、カミナリ様達に任して『地球』とやらに帰還しな!神無月の嬢ちゃんにアヤネ嬢ちゃん」
「い、嫌です!」
「嫌よ!」
「いや、二人で声を合わせて言われても、駄目なものは」
「駄目なんだぞ!」
「でしたら、直接、セツ君に説得してヘスティア地方に連れて行ってもらいます!」
「そ、そうよ!二人が反対しても神成君がOKすれば良いじゃない」
「あんたら、バカね!あの深慮深いセツナがそんな、OK出すわけ」
「無いよなー!絶対!」
そんな、会話が『黄金の宝物庫』内から聴こえてくるのを俺は注意深く傍受魔道具で聞いていたのだった。
『オアシス・サンクチュア』
「とういう訳でですね!セツ君!」
「私達も夜叉を救いにヘスティア地方へ」
「「一緒に連れて下さい!!」
「ん?あぁ、色々と条件は付けるけど‥‥‥‥時間も無いしな‥‥‥‥‥良いぞ。ヘスティア地方には一緒に行こう」
「はぁー?セツナ!あんた、正気?」
「カ、カミナリ様よう!それは無いぜ!あんた。こんな、若い子達を殺す気か?紛争地だぞ!紛争地!」
「わかってますよ!二人共。でも、今は一刻も早く夜叉巫女を救いにヘスティア地方に行かないと行けないんです。今はタマキも俺の近くに居ないし、この『オアシス』じゃあ、地球とアリーナを繋ぐ転移門も安定していない。アヤネと委員長を地球に帰すとしたら、運河を渡り、北へと進んだ地。龍脈渦巻く紛争地『ヘル・デア』で帰してやる事しかできないだ」
「『ヘル・デア』に龍脈が渦巻いているなんて話を聞いたこと無いわよ。私」
「天界の関係者に知られないよう、巧みに隠していたんだろう。俺もヘファイス族長やカーリー事務官から話を聞かなかったら知らないままだったしな」
「紛争地に龍脈ねぇ!何だかきな臭い話だな!おい」
「その通りです!鵺様。そして、次に俺達が目指す旅の場所でもあるんですよ」
「目指す場所?それってつまりどういう事だい?」
「俺は先ずは『ヘル・デア』の紛争地を平定さする事に決めました。これはアフロディーテやヘファイス族長達と話し合った結果ですが」
「紛争地の‥‥‥‥‥」
「平定?」
アヤネと委員長は不思議そうな顔をしている。無理もない、紛争地の平定するなど、何を言ってるだコイツ?と思われても何ら不思議ではないのだ。
「そ、それは‥‥‥‥‥何とも雲を掴むような話だな」
「そ、そうよ!あんたの目的は夜叉巫女の奪還でしょう?‥‥‥‥‥‥何でそれが紛争地の平定にすり変わってるわけ?」
「あぁ、それはだな。ラファエル、『ヘル・デア』の先、大国『ロマ・テレシア』と闘う為の安全地帯を確保する為なんだ」
「つまり、いつでも逃げられる場所が欲しいって事
?神成君」
「いや、紛争地の国々を纏め上げて『ロマ・テレシア』に戦争を仕掛ける。そして、そのどさくさ紛れてロマ・テレシアの首都・テレシアに侵入した後、夜叉巫女を救出し、教皇を倒すって作戦だ」
「‥‥‥‥‥大国に戦争?‥‥‥‥相変わらず、滅茶苦茶な事をやろうとしてるわね。あんた」
「‥‥‥‥‥いや、これがカミナリ様だぜ!ラファエルさんよう!ハハハ!良いな!それ、戦争か!久しぶりに暴れられそうで何よりだ!」
「セツ君!そんな事をしたら‥‥‥‥‥多くの人が不幸になりますわ」
「そ、そうよ!夜叉を連れていかれたからって、戦争を起こすだなんて!」
「‥‥‥‥‥‥アイツは俺の仲間に‥‥‥‥‥夜叉巫女に手を出したんだ。夜叉巫女は俺の大切な『契約者』なんだ!そんな存在を傷付けられて、中途半端な報復なんてしないさ。やるなら徹底的に殺る!そうじゃないと殺されるのは俺達の方だからな。だから、俺は仲間が傷付る奴は絶対に許さないと決めているだ!」
俺は動揺している二人に向かって、強い口調で告げるのだった。