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『妖精国』アヴァロンの騎士 1・赤白(せきはく)の騎士メリュジーヌ卿~幕間・赤白の騎士・メリュジーヌの思い出




①『妖精国』アヴァロンの騎士 1・赤白(せきはく)の騎士メリュジーヌ卿


『セルビア』国・入国門(内側)


それは突然、飛来する。何事も無かった日常に突然の不幸が訪れる様に。


幸せだった日常が瞬く間に絶望へと変わるが如く。その者は空から現れる。


圧倒的な早さで。圧倒的な強さを持って彼ら、彼女らに飛来する。


彼ら彼女らの運命は。絶望か希望かは、飛来せし騎士に託される。


あぁ、これから始まるは、生死をかけた死闘なり。




俺は『双星の大洞窟』以降。セシリアに指摘されたとおり五感を鍛え始めた。

そのお陰だったのだろうか?

あの去来する絶望をいち早く知ることになったのは‥‥‥‥



「‥‥‥‥‥‥なんだ?この巨大な魔力は?‥‥‥‥‥‥来るぞ!!!皆、俺の周りに集まれ!!!」


無詠唱では効力が下がるが仕方がない。

雷魔法・『雷壁・双璧』


幾重にも重なる雷壁の壁を即座に展開した‥‥‥が。

あの飛来する物体には、何の障害にもならず俺達の方へとやってくる。


「くっそー!!!『雷光鞭・守円』」


俺は雷壁が壊され数秒の隙をついて『雷光鞭』を取り出し即座に技を展開した。


砂塵が舞う。数秒前までは美しく咲き誇っていた筈の花畑が、無惨な姿へと変貌していた。


「はぁ、はぁ、はぁ、‥‥‥‥何とか止めきれたが‥‥‥」


俺は手に持っていた『雷光鞭』を見た。


「‥‥‥‥すまない、『雷光鞭』」


先程の衝撃を防いだ事によって『雷光鞭』はズタズタに引き裂かれ、壊れてしまっていた。


「くそ、俺の『雷光鞭』が」


長年付き添った武器の1つなので自然と怒りが込み上げてきた。

その怒りをぶつける相手を俺は目で確認する。


砂塵が収まり。去来したその物体が肉眼で認識出来るようになった。


見た目は13才で~15才位の幼げな女の子だった。


「あ、貴方は確か?」


アルディス王子が身体を震わせながら、その女の子を指差した。


「あれ?可笑しいな。クエスティック・ビースト『唸る獣』の魔力を追ってこんな辺境の地まで来たんだけど?」


綺麗な声だ!と、素直にそう思った。幻想的な音楽を聞いている様な。そんな感覚になる。目の前の女の子の声はとても魅力的に聞こえた。


「アルディス王子。あの子はいったい?」


アルディス王子はまだ、ガタガタと震えている。


「あ、あの人は、いいえ、あの方は『妖精国(アルフヘイム)』の筆頭騎士である。赤白(せきはく)の騎士・メリュジーヌ卿その人です」


「‥‥‥‥ん?君?何処かで会った事あったっけ?‥‥‥まぁ、いいや。此方(こなた)の自己紹介も省けたしね。」


「『妖精国(アルフヘイム)』のメリュジーヌ卿?あの子も上位精霊何ですか?」


俺はアルディス王子に聞いた。


「‥‥‥いいえ、上位妖精ではありません。それよりも高位の方です」


「上位妖精よりも高位?」


「はい、あの方は神代その物で本名は‥‥‥」


「そこら辺にしときなよ。『セルビア』国の王子様。此方にだって知られたくないことが幾らかはあるんだからさぁ」


「うっぐ‥‥‥」


目の前の女の子。メリュジーヌに話しかけられたアルディス王子は口を閉じた。


「‥‥‥‥ん?そこの君、少しだけどクエスティック・ビーストの臭いがするね?なんで?」


メリュジーヌ卿は次に俺に話しかけた。どうやら数日前に闘った友‥‥‥‥クエスティック・ビーストの魔力の残り香がを嗅ぎ付けて来たらしい。


「いや、数日前、にそのクエスティック・ビーストと闘いまして‥‥‥‥」


「闘った?なんで?」


「いや、なんでと言われましても‥‥‥‥」


「あいつらは魔竜の手先なんだ。だからわざわざモルガン陛下は此方を、ここまで派遣したんだよ。あいつらの手掛かりを得るためにね。それを君は倒したのかい?証拠は残してくれてある?」


少し怒気を含んだ言い方でメリュジーヌ卿は聞いてきた。


「い、いいえ彼の死体はもうありません。倒した後、綺麗に無くなりました」


「綺麗に無くなった?‥‥‥‥魔竜の能力で産み出されたから消えたのか?でも此方だけで推測するにも‥‥‥」


メリュジーヌ卿は1人でブツブツ独り言を言っている。


俺達は静かにそれを見ている。


「‥‥‥‥まぁ、いいや、とりあえず。君は此方と一緒に『妖精国(アルフヘイム)』へ来てもらうよ」


独り言がすんだメリュジーヌ卿は俺にそう言ってきた。


「一緒に来てもらう?‥‥‥‥すみませんがお断りします。先を急ぐので」


俺がそう言うと


「‥‥‥‥これはお願いじゃないよ。命令だ。従わないなら力強くで連れていこう‥‥‥君の周りな子達は邪魔だね。‥‥‥‥神代魔法(白)・『白亜の部屋』」


メリュジーヌ卿がそう唱えると俺とメリュジーヌ卿だけ身体が空へと浮かび上がり。


メリュジーヌ卿が神代魔法で出現させた『白亜の部屋』か?に2人共入っていった。


「セ、セツナーー!!」


「な、なんニャア?あの?魔法は?」


「俺の『闇の帳』と一緒じゃねえか?そうだとしたらどっちかが意識を失うまであの白い部屋は消えねえぞ!!」


ヒスイが皆に説明する。


「そ、そんニャア!!」「く!油断した。セツナ‥‥」


「‥‥‥恐らく。セツさんはメリュジーヌ卿に勝てないでしょう」


アルディス王子が下を見ながらポツリとそう話す。


「な、ニャンでニャア?アル?」


「メ、メリュジーヌ卿は『妖精国(アルフヘイム)』の最高戦力の1人なんだ。そんな人を相手にセツさんが勝てるとお前無いよ‥‥‥僕は」


アルディス王子は悔しそうに顔を歪めた。


『白亜の部屋』


「殺す気で行く覚悟してね」


「俺もですよメリュジーヌ卿」



妖精国(アルフヘイム)』最高戦力との戦闘が始まる。






②『妖精国(アルフヘイム)』アヴァロンの騎士2 緋赤の籠手


『メリュジーヌ卿』


その姿はうら若き乙女その者だ。


綺麗な藍色の髪をしている。


見た目は14才~15才の可愛いらしい容姿だ。


着ている鎧は青と白を合わせた彼女に合わせた特注だろう。製作者のこだわりを感じる。


手には水晶を一つ右手に持っている。


「‥‥‥‥さっきから静かだね?君。此方(こなた)の事を観察してるのかな?」


本当に綺麗で透き通る様な声をしている。

聞いているだけでボーッしてくる。


「‥‥‥‥何も喋らないね?まぁ、いいや、来ないならこっちから行くからね」


メリュジーヌ卿はそう言うと詠唱を開始した。


「‥‥‥神代魔法(赤)『緋赤の籠手(ひせきのこて)』」


メリュジーヌ卿が詠唱を終えると、彼女の両手に赤色の鉄甲が表れる。


「出ろ、『飛来槍・麒麟』


俺はヒスイ戦で使用して破壊され数日前に再生した武器。『飛来槍・麒麟』を取り出した。


『セルビア』入国門・門下


「なんだ!おい!カミナリの奴。俺との闘いで壊れた『飛来槍・麒麟』を使うのか?もう再生したのか!」


「『飛来槍・麒麟』?昔のわっちとの旅の時は一度も使ってニャかったニャゾ?あんなの持ってたのかニャア。、セツニャの奴」


「(なんだ?あのセツナの武器は?本でも見たことがないぞ)って!そんな事よりも大丈夫なのか?セツナの奴は?!アルディス殿?」


アルディス王子は上を見上げながら震えている。


「‥‥‥正直、敗色濃厚と言うしかありません。‥‥‥‥相手はかのメリュジーヌ卿ですのでどうなるか、僕には検討つきません」


『白亜の部屋』


メリュジーヌ卿は俺が両手に持っている『飛来槍・麒麟』を見つめている。


「‥‥‥なにか?」


「いや、ごめん、ごめん。それ?『飛来槍・麒麟』だよね?懐かしいなぁ。今は君が所有者なんだね。ちょっとびっくりしたかな」


メリュジーヌ卿はそう言うと昔を思い出しているのか少しの間。静かになる。


(『飛来槍・麒麟』を知っている?なら、手の内はしられているって事か)


「‥‥‥‥では、行きます。‥‥‥よし、いくぞ!『飛来槍・麒麟』!!天王寺槍術・『雷槍』」


『飛来槍・麒麟』に俺の雷魔法を纏わせ威力を底上げし、メリュジーヌ卿にぶち当てる。



「雷魔法か単純だね。‥‥‥それに君は少し落ち着きが無いね。神代魔法(赤)『緋色の爆夜』」


メリュジーヌ卿がそう唱え終えると『緋赤の籠手』から閃光の様な赤い爆発が巻き起こる。


「くっそう!雷魔法『雷壁・重壁』」


赤い爆発を防ぐ為、俺は即座に雷壁を幾重にも展開した。その爆発の勢いを利用してメリュジーヌ卿との距離を取る。


「あ、熱い!火傷したか‥‥‥治癒魔法『息吹き』」


俺が治癒魔法を唱えると火傷した身体が、みるみるうちに治っていく。


「へぇ、君、治癒魔法も使えるんだね?びっくりした。雷魔法だけじゃないんだ」


メリュジーヌ卿はそう言うと少しずつ俺との距離を詰め始めた。


「貴女のその神代魔法ですか?凄まじい威力ですね」


「へー!誉めてくれるんだ。嬉しいな。でも君は何でそんなに必死なのかな?闘いは始まったばっかりだよ?フフフ」


彼女は妖艶に笑う。絶対的強者の余裕なのだろう。


少し手合わせしただけでも分かってしまった。分からされてしまった。絶対的な強さに。


心の底では、分かっていたのだ。勇者だった頃、救ったのは表の世界。

だが、裏の世界。例えばこの『妖精国(アルフヘイム)』の目の前の騎士がその良い例だ。エウロペ大陸には‥‥‥‥いや、魔法世界アリーナにはまだまだいる。俺よりも強い者等まだまだたくさんいるのだ。


「強いな全く、少しやり合っただけで分かる力量差が分かると気が滅入るよ」


「そう、じゃあ、諦めて一緒に『妖精国(アルフヘイム)』まで来てもらえるかな?」


「いや、それは無理だな。メリュジーヌ卿」


俺は両手に魔力と『神気』を練り融合させる。


「なんだい?その技は」


「雷魔法『疾風迅雷』神代に『神気』はあったのか?上位精霊殿」


「君、いったい何を言って‥‥‥‥」


メリュジーヌが言い終わる前に『疾風迅雷・瞬雷』でメリュジーヌの背後を取る。


「君?いつの間に」


「『飛来槍・麒麟』・『雷槍放雷(らいそうほうらい)』」


「くっ!いきなり何を!!!!」


メリュジーヌに雷撃の嵐を与え続ける。


「まだ、いくぞ、『麒麟・雷撃』」


俺がそう言い終えると雷撃が数匹動物の様な形になり。メリュジーヌに襲いかかる。


「ぐああぁぁ!これは‥‥‥‥少し強力だ ね。‥‥‥神代魔法(白)『蒼白の竜』」


メリュジーヌの背後に二匹の白い竜が出現し、俺が放った『麒麟・雷撃』に突撃してくる。


追尾型の神代魔法か。しかしこれでメリュジーヌに近づける。


「『疾風迅雷・瞬雷』」


「また、その技かい?此方(こなた)に同じ技は通用しないよ神代魔法(赤)『緋色の爆夜』」


メリュジーヌは先程の赤い爆発をまた、巻き起こす。


(それを待っていた。)


「雷魔法『神気・雷』『雷槍』!!!」


『神気・雷』を纏わせた『雷槍』がメリュジーヌの腹部を貫通した。俺は迷わず。



「『放雷・極』」を喰らわせた。





③『妖精国(アルフヘイム)』アヴァロンの騎士 3 神代魔法・(赤白)


『白亜の部屋』に雷撃の嵐が走り回る。


「痛い、痛い、痛いよう。それに痺れる。くっやってくれるね。雷撃君」


メリュジーヌは、腹部を『飛来槍・麒麟』に貫かれているというのに涼しい顔をして俺を見ている。


「本物の化け物かよ!君は」


「失礼な事を言うもんじゃないんだよ。雷撃君」


メリュジーヌはそう言うと『飛来槍・麒麟』を何の迷いも無く引き抜いた。

そのせいか腹部から赤い血が、止めどなく零れ落ちる。


「君、そのままだと死ぬぞ?」


「‥‥‥何を人族程度が言っているのかな?‥‥‥神代魔法(赤白)『朱白(しゅはく)の癒し』」


彼女がそう唱えるとみるみるうちにメリュジーヌの腹部の傷穴が塞ぎ始める。


「‥‥‥即死級の攻撃を受けているのに死なず。治癒不可能なレベルの傷を一瞬で治すか」


此方(こなた)には、造作ないことだよ。雷撃君」


「‥‥‥‥‥そうかい、メリュジーヌ卿殿」


数秒の間にらみ合いが続く。


「『疾風迅雷・極・雷霆将来』」


「神代魔法(白)・『蒼白創研(そうはくそうけん)』」


お互いの奥義級技がぶつかり合い『白亜の部屋』を激しく揺さぶる。


『入国門・門下』


「マジかニャア~!セツニャの奴、わっちには昔より相当弱くなったとか言ってたニャゾ。それがなんニャア、上位妖精と互角にやりあってるニャア~!」


「ぼ、僕もびっくりしてるよ。セシリア!まさか、セツさんがあんなに強いなんて思いもしなかった‥‥‥」


「‥‥‥‥だが、あれじゃあ!時間の問題だな!なぁ、メイド!!!」


「そ、そうじゃな、セツナの相手、メリュジーヌ殿はまだまだ、本気を出しておらん。それにメリュジーヌ殿は恐らくだが神話級のお方だ。」


「神話級?なんニャア?それ」


セシリアが私に質問する。


「それは、僕が説明するよ。セシリア。メイエスさんは内心それどころじゃ無さそうだしね」


「‥‥‥‥すみません。アルディス王子」


私が、そう謝るとアルディス王子は首を横に振るう。


「いいんだ。メイエスさん。大切な彼氏だものね。そりゃあ、心配になるよ」


アルディス王子がそう言うと。私の顔がみるみるうちに赤くなった。


「い、いえまだそのような関係では‥‥‥‥」


「まだ?って事は将来的にはかな?まぁ、こう言う話はまた今度にしよう。ごめんね。メイエスさん」


アルディス王子は女の子みたいな可愛らし笑顔で私に謝った。


「い、いえ、とんでもありません。アルディス王子」


「それでね。セシリア。神話級って言うのはね。神代の時代のもっと前の『神話大戦』の時に活躍した神様達をそう言うらしんだ。それでその『神話大戦』の生き残りがメリュジーヌ卿なんだ」


「‥‥‥はぁ?ニャア、あの見た目合法ロリは神代前から生きてるロリ婆ってことかニャア?」


「そのロリ婆がちょっとよく分からないけど。つまりはそういうことだね。現在は『セルビア』に広がる地下国家『妖精国(アルフヘイム)』で静かに暮らしている筈だったんだけど‥‥‥」


「だったんだけど?なんニャア?」


「うん。最近の魔竜の件で『妖精国(アルフヘイム)』を愛するメリュジーヌ卿が激怒してね。それで今」


「表の国『セルビア』まで来て!数日前まで暴れてやがった犬っころを探しに来たってことか?」


ヒスイがアルディス王子にそう質問した。


「はい。その通りですよ。黒騎士ヒスイ殿」


「‥‥‥‥そうかよ」


ヒスイは静かにそう答えた。



『白亜の部屋』


「少し驚いているよ雷撃君。人族の子供がここまで此方(こなた)と闘えるなんて考えもしなかった」


「お褒めの言葉をありがとうよ。メリュジーヌ卿殿!!!『雷霆生来』!!!」


俺は雷魔法の最大技の1つ『雷霆生来』をメリュジーヌに向けて撃ちまくる。


「それになんて無尽蔵な魔力なんだい。魔力総量ならこの此方(こなた)よりも上じゃないか、ははははは。久しぶりに楽しいよ」


こっちは余裕なんて全く無いのに、だから神話級の相手をするのは嫌なんだよ。


「耐久力と身体能力はメリュジーヌ卿殿の方が上ですけどね」


「年季が違うんだよ。年季が、雷撃君。‥‥‥‥うん、最初は全然、君に興味無かったけど‥‥‥うんうん。良いよ君。凄く良い。これならもう少し本気になれるよ」


‥‥‥‥やはり、まだまだ本気ではないみたいだな。


「全く。『セルビア』に来てまだ。初日だぞ。しかも入国門を潜って直ぐだ。どうなってんだよ『セルビア』はあぁ!!」


「ふふふ、今は平和だけどね。昔はそりゃあ、楽しい、楽しい戦争地獄さ。『オーディン』様が纏めなかったら、今でも戦乱の真っ只中だッだろうね。本当にあのお方は偉大だよ」


メリュジーヌは昔を懐かしむ様に先程と同じで遠くを見つめた。


「皆にまた、会いたいなぁ。‥‥‥‥‥‥おっと。ごめん、ごめん、闘いの続きをしようか、雷撃君」







④『妖精国(アルフヘイム)』アヴァロンの騎士 4 『ア・ドライグ・ゴッホ(赤き竜)』


「そろそろ、本気の一部を披露するね。」


メリュジーヌは不適な笑みを浮かべる。


「‥‥‥お好きにどうぞメリュジーヌ卿殿」


「ふふふ、今日はどっちでいこうかな?ねえ、ねえ、雷撃君。きみは赤と白どっちの色が好きなの?」


なんだ?いきなり!謎々か?


「では、今日の気分で赤色で」


俺はメリュジーヌにそう伝えるとメリュジーヌ卿は不気味な笑顔を俺に向けた。


「そう。赤色がいいんだなんで?」


「今日のメイドのブラが赤色だったから」


「‥‥‥意外と変態だね。きみ」


「貴方も大概だと思いますが?腹部を貫かれてけろっとしているんだから」


「ちなみにこの『白亜の部屋』の声は下の子達にも聞こえてるから発言には気をつけてね。クスクス」


てめぇ、後の祭りじゃねえか。もし無事にこの場を生き抜いても、後で殺されるだろうが。ちくしょう。


「てめぇ、後の祭りじゃねえか。もし無事にこの場を生き抜いても。後で殺されるだろうが。ちくしょう。」


「君、心の声がだた漏れだよ。」


「貴様、必ず倒す。」


「あっそう。‥‥‥‥神代魔法(赤)『朱甲龍化』」


メリュジーヌ卿の手が竜爪の様に鋭く鋭利に変化した。


「何でも有りかよ。妖精って奴等は全く。」


そう言って俺は『飛来槍・麒麟』を構えた。


「行くよ。君?いきなり死なないでね?」


メリュジーヌがそう言った瞬間。メリュジーヌの雰囲気がガラッと変わる。


「神代・魔法(赤)『赤爪乱舞』」


メリュジーヌの龍爪の指。合計10本が俺の方へと遅いかかる。


「は、速い。それにデカイだと!『飛来槍・麒麟』・「麒麟・飛来」」


麒麟の形をした雷撃。それを十体作り、メリュジーヌの『赤爪乱舞』にぶつける。


「それじゃあ、捌き切れないよ。雷撃君」


メリュジーヌの言うように俺の『麒麟・飛来』と彼女の『赤爪乱舞』とでは技のレベルが1ランク違う。


もちろん。レベルが高い方は彼女の『赤爪乱舞』の技だ。


このままでは、力負けして俺が殺される。


「‥‥‥すまない。『飛来槍・麒麟』‥‥‥‥分離せよ、『飛来槍』!!!」


『飛来槍・麒麟』は成長する再生型の神煌具だ。『飛来槍・麒麟』はヒスイ戦後に形を変え成長した。命じたら分離し再生する機能を、新たに手に入れたのだ。


その為、ヒスイ戦で一度しかできなかった技も何回も使うことが可能になった。そのお陰で以前は一発しか使えなかった自爆技もこのように。


「くらえ、メリュジーヌ卿!!、飛来槍・麒麟!!!『放雷・爆霰乱舞』!!!」


メリュジーヌが放った『赤爪乱舞』に向けて自爆技、『放雷・爆露乱舞』を喰らわせる。


「くっくう!!!!」


爆煙が『白亜の部屋』に舞う。メリュジーヌは身体中が傷だらけで、右手は最早、見るに絶えず、手の原型を維持していない。


「‥‥‥‥降参してくれ。メリュジーヌ卿殿!!!今なら回復ポーションでその傷も回復できる。だから」


「ははははははははははははははは。面白い事を言うね?!君?たかだか人族の1人に過ぎないのにさ。‥‥‥何様なのかな?それは同情かい?不愉快極まりないよ。まるであの男みたいだ」


「あの男?」


「そう、あの男だよ。忌々しい。あいつがいるせいでモルガン陛下も此方(こなた)もアースだって‥‥‥‥皆、不幸になっていく。ああ、忌々しいよ。魔竜の王め」


「話は分かりましたから。先ずは貴方の傷の回復を優先させましょう。メリュジーヌ卿」


「はははは、君は優しい子なんだね。雷撃君。同じ男でもまるで違うよ。でもごめんね。此方こなたにもプライドがあるんだ。君に勝って、君を『妖精国』まで連れて行かなくちゃね。」


「‥‥‥‥‥メリュジーヌ卿‥‥‥」


見た目は可憐な少女の様に見えるがその中身は神代の遥か時代から生きてる神話級の人物だと改めて感じ取れた。


「余り。やりたくなかったんだけどね。仕方ないかな。‥‥‥始めに謝っとくよ。電撃君。君を倒した後。君の仲間を襲うようだったら申し訳ない」


仲間を襲うようだったら申し訳ないだと?どういう意味だ?


「‥‥いくよ。‥‥‥神代・回帰(赤)『ア・ドライグ・ゴッホ(赤き竜)』」


メリュジーヌ卿はそう唱えると赤く光出した。眩い赤い閃光の中でみるみるうちに姿を変えていく。


このタイミングで神代・回帰だと。


「しかも、ただの神代・回帰じゃない‥‥‥‥原始・回帰か‥‥‥くそ!」


そこには神代にいたとされる赤き竜いた。


伝説の緋き竜。


『ア・ドライグ・ゴッホ(赤き竜)』が現れた。


「グギャアアアアアアアアアアア!!!!!!‥‥‥‥‥加減は出来ないからね。殺すきでいくよ。君、フフフ」





⑤『妖精国(アルフヘイム)』アヴァロンの騎士 5 (ブリタニア列王史の赤き竜)


『入国門』門下  


「おいおいおいおい!!!小いせえ!小娘がいきなりデッケエ、赤竜に変わったぞ!!!王子様よおお!!」


「‥‥‥‥‥あの姿は。僕も。母であるセルフィール王女から話でしか聞いたことがありません。あの赤き竜は、あの姿はメリュジーヌ卿の神代の時のお姿だとか」


「ニャア?じゃあ、メリュジーヌ卿って奴も魔竜なのかニャア?」


「いや、セシリア。あんな、闇に落ちた哀れな魔竜などと比べては失礼に値するぞ。かの御方こそ神話の赤き竜・ア・ドライグ・ゴッホ様だろう。‥‥‥‥未だに信じられん話だ。神話世界の住人が現在、セツナと闘っておるなど、誰が想像できるか」


『白亜の部屋』


「ふふふ、ふふふ、ふふふ、ふふふ」


かの赤き竜は不敵に笑う。


目の前の伝説上の赤き竜『ア・ドライグ・ゴッホ』はあちらの世界・地球での別の呼び名では、ウェールズのドラコンとも呼ばれている。

『ブリタニア列王歴』や『マビノギオン』の「スィッズとスェヴェリスの物語にも登場する二匹の竜のうちの一体。特に『ブリタニア列王歴』の物語には、かの大魔術師『マーリン』や悪政を敷いた。暴君『ヴォーディカン』等が有名な登場人物も出てくる。

そして、かのユーサー王時代。旗の黄金の二匹の竜の元にもなっている。その旗の二匹の黄金の竜が原因なのか分からないが、ユーサー王はその後ペンドラゴンという称号で呼ばれる様になったと言う。


そんな。『アーサー王伝説』にも影響を与えている。かの『赤き竜』が俺の目の前に現れたのだった。



『魔法中央国』理事長室


「‥‥‥‥嘘だろ?!」


「うわあ!びっくりしたあぁ!何ですかいきなり理事長」


「あぁ、いきなりでごめんよ。‥‥‥‥何で彼女の気配が?メリュジーヌの気配が、赤い竜の気配に変わってるんだい?」


「赤い竜ですか?」


「あぁ、そうだよ。ギャラハット‥‥‥少しヤバイかもね愛弟子‥‥‥」


「ヤバイですか?」


場面戻り。『白亜の部屋』


「神代・回帰、しかも原点回帰か。使う人は初めて見ましたよ。メリュジーヌ卿」


「ふふふ、此方(こなた)もこの姿になるのは500年ぶり位だよ。雷撃君。どうだい、可愛いかい」


『赤き竜』メリュジーヌ卿がそう質問してくる。


「えぇ、とても素敵なお姿ですよ。結婚したい位です」


俺が冗談交じりに褒めると。


「‥‥‥‥結婚‥‥‥‥」


赤い竜の顔がもっと赤くなった。


「‥‥‥‥ふーん!結婚したいんだ。この此方(こなた)と、ふーん。そうなんだ。ふーん。‥‥‥‥決めたやっぱり君は殺さないよ」


まじか、生存ルート確定の逆転劇が、ナルホド君も嬉しそうにこっちを見ている気がする。


「‥‥‥だから、君は此方(こなた)のお嫁さんにしてあげるよ。君、よく見るととても、とても、可愛らしい顔をしているしね、ふふふ」


ん?今なんと。


「あの、メリュジーヌ卿。今、なんと?」


「可愛いね。照れているのかい?君はこの『妖精国』騎士メリュジーヌのお嫁さんになるんだよ。分かったかな?マイハニー」


「とんでもないことになったぞ!!おい!!‥‥‥マジかよ」


「では、行こうかな、とりあえず。動けなくなるまでは攻撃を止めないからね。雷撃君。神代・魔法(赤)『赤龍の火炎』」


メリュジーヌ卿は口からとんでもない量の火炎を吐き出した。


鉤爪の後は炎かよ。雷魔法『疾風迅雷』」


俺はメリュジーヌ卿が吐き出すか火炎を辛うじで避けていく。


「すごい、すごいよ君、此方(こなた)のこの技をここまで躱せるなんて。もし君との間に子供を作れたら、凄い子が産まれそうだね」


「メリュジーヌ卿は話が飛躍してますよ」


「いちを此方(こなた)はまだ処女だよ」


「‥‥‥それはマジですか?」


「うん。それに此方(こなた)はモルガン陛下から人族と変わらない身体にしてもらってるから、普通に子供も産めるよ」


姿を変える前は、可憐な藍色の髪の少女だった。

‥‥‥もしかして、このまま『妖精国』へ一緒に行っても良いのかも知れない。


そう考えていた瞬間。『白亜の部屋』が少し揺れた。

メリュジーヌ卿と俺の会話をさっきから聞いていたであろうエスフィールが緑魔法を俺、目掛けて撃ちまくっている。


『入国門』門下


「このアホーー!!!この事は全て。彩音や星奈に報告するからな。後で覚えとけよーー!!貴様ーー!」


「怖いニャア。それに彩音と星奈って誰ニャア?」


『白亜の部屋』


「外は五月蝿いけど。まぁ。いいや、それにターゲットの君以外は余り傷つけたくないしね」


「‥‥‥‥以外です。メリュジーヌ卿。貴方はもっと粗暴かと思いましたが」


「ふふふ、よく言われるけどね。‥‥‥此方(こなた)は少し長く生き過ぎちゃったんだよ。親や親友はとっくの昔に死に別れしてるのにね。‥‥‥だから今は『オーディン』様が残してくれたこの『セルビア』と『妖精国(アルフヘイム)』をモルガン陛下と一緒に護るのが此方(こなた)の指名なのさ」


「指名ですか」


「うん。指名。だから、最近、この『セルビア』を蹂躙している魔竜共は絶体に許さない」


固い決意でメリュジーヌ卿はそう語った。

しかし魔竜共と来たか。やはり『ジャバウォック』だけではなく。他にも数体の何かがいるわけだな。めんどくさい。


「お互いお喋りがすぎたね。‥‥‥‥そろそろ続きを始めようね。‥‥‥神代魔法(赤)『赤龍爆炎』」


目の前に表れるはは巨大な太陽熱。一度でも身体に触れれば一瞬で焼け焦げる事は間違いないだろう。

俺は一瞬で悟った。


「雷魔法『疾風迅雷・極・雷霆襲来』×魔力瓶十本」


俺は雷魔法の自身の最高技。『疾風迅雷・極・雷霆襲来』を発動させ。自身の頭上に雷雲と雷撃の塊を出現させる。


「君?本当に人族なのかい?そんな力、人族で見たことないよ」


「勝つのは俺です。メリュジーヌ卿」


「ふふふ、生意気。‥‥‥行って『赤龍爆炎』」


「‥‥‥頼む。『雷霆襲来』」



そして静かにお互いの大技がぶつかり合い『白亜の部屋』は激しい火炎と雷撃の音が木霊した。







⑥『妖精国(アルフヘイム)』アヴァロンの騎士 6 緋龍灯化と召喚術


『白亜の部屋』


「ふふふ、なるまでだよ。お互いの大技は互角ってところかな?でも、君、何かの魔道具でその『雷霆襲来』だけ?威力を底上げしていたね。ずるいなあ」


メリュジーヌ卿は『赤き竜』の状態で可愛いらしく怒る。実際の絵面は怖いだけだが。


「生憎と俺は『魔法中央国』の出身でしてね。戦闘の基本は魔道具を使った遠距離型の魔法使いなんですよ」


「‥‥‥‥‥『魔法中央国』ってもしかしてマーリンちゃんの?えーーと君、もしかしてマーリンちゃんの教え子だったりする?」


なんだこの赤いドラコン。いきなり凄いテンション上がったぞ。


「メリュジーヌ卿はマーリン師匠とお知り合いなんですか?」


「知り合いも知り合い!マブダチだよ~!!そうか、まだ生きてるんだね~!!会いたいなあ。そうか、そうか、今は『魔法中央国』に入るだ~!!へぇ~」


メリュジーヌ卿は何かを懐かしむように西の方向を見ている。


「良かったら今度、会いに行ってみてください。マーリン師匠も喜ぶと思います。」


「それは無理かな。此方(こなた)にはモルガン陛下と『妖精国(アルフヘイム)』を護る使命があるからね。モルガン陛下は此方(こなた)達がいないと直ぐに泣いちゃうし」


そのモルガン陛下とやらは上位精霊達によっぽど慕われているようだ。


「お話が過ぎたね。‥‥‥‥そろそろ終わらせないとな」


楽しそうに談笑していた空気が、メリュジーヌ卿のその一言で一瞬で終わる。


「お互いの武器の応酬も互角。大技の威力も互角か。‥‥‥‥なら、これはどうかな。‥‥‥神代・魔法(赤)赤龍灯化(せきりゅうひとか)


新しい詠唱を終えたメリュジーヌ卿がまた、赤く光出す。赤い光の中メリュジーヌ卿の姿は最初の女の子の大きさに戻っていくが、最初と違う部分があった。龍の角、爪、尻尾等が付いたまるで半人半龍化したような状態だろうか。


「君、気をつけてね。加減なんてもう、出来ないからさ。神代・魔法(赤)『赤龍丸』」


「はぁ?!ぐああああああ!!!痛えええ!」


一瞬だった。一瞬で俺の右腕がおかしな方向へと曲がり。骨が砕けた。何だと思って後ろを見てみると赤い球体のかな?水晶が浮かんでいた。


「だから。忠告したんだよ。雷撃君。さっきからのお喋りで油断しちゃたのかな?ほら続き行くよ『赤龍丸』」


「くっそうううう!!『疾風迅雷・極』」

メリュジーヌ卿はそう言うとあの物凄い速い赤い水晶を俺に向け連投するが早すぎて追い付かれそうだ。


「『飛来槍・麒麟』・『天王寺槍術・真摯』」


辛うじて赤い水晶を避け、メリュジーヌ卿と距離を取る。


(くそ。あの龍人族に似た姿は、伝説で昔、読んだ半人半龍化か?それにしては強すぎるだろう。メリュジーヌ卿予想の数倍厄介だ。)


「どうしたのかな?静かになったね。大丈夫だよ。この闘いが終わったら。『妖精国(アルフヘイム)』の教会で挙式を挙げるからね。そして夜からは一緒に共同作業さマイハニー」


メリュジーヌ卿はウインクする。可愛いかった。


「ふぅ!生憎と俺にもやることありますので。メリュジーヌ卿の魅力的な話しはとりあえずこの闘いが終わってからじっくりと話し合いましょう。」


「そうなの?まぁ、いいけどさぁ」


「‥‥‥‥‥‥‥‥」


俺は手中する。ある使い魔を喚ぶために。


「いくか!雷魔法『召喚術』来てくれよ‥‥『(ぬえ)』」


魔方陣が表れ、その中からキメラに似た生物が雷を帯びて表れる。そして、俺は久しぶりに雷魔法を使用する時の相棒を喚んだ。


「‥‥‥‥おお、カミナリ様!!久しぶり‥‥って!、おい、右腕大丈夫かよ?おい!!」


鵺は心配そうに俺に駆け寄る。


「やぁ、久しぶりです。鵺様。今回、お呼びした理由は。」


「‥‥‥いや、だいたい見ればわかるぜえ!目の前の幼子‥‥‥ありゃあ神代の生き残りだろう?カミナリ様よお!!」


「‥‥‥おっしゃる通りです。鵺様」


「カミナリ様よお!!俺が少しの間時間を稼ぐからよう。手に持ってるそいつは『飛来槍・麒麟』だろう?たたき起こしてやりなあ。3人がかりなら何とかなるだろうからな」


流石、鵺様。話が早くて助かる。


「ありがとうございます。鵺様1分‥‥‥いいえ、30秒持たせて下さいますか?」


「ああ、何とかしてやる。その間にその右腕も治しときな。カミナリ様よお」


「なんだい?今さら現代の雷魔法の『召喚術』なんて使って?それに今の幻獣の子達なんて対して‥‥‥」


「俺が対したことないだと?嬢ちゃん!!」 


「????はぁ?!いつの間に此方(こなた)の後ろに?」


「さぁ!!いつだろうな!神話・◯◯『雷火の法』」


鵺様がそう唱えると雷と火炎が交わった渦を発生させメリュジーヌ卿へとぶつけた。


「カミナリ様には借りがあるんでな。それに主人の右腕を粉々にされて俺達が黙ってる分けねえんだよ!!龍の嬢ちゃん!!!」


(よし、鵺様のおかげで30秒後、コイツを起こせるぞ)


「始めるか‥‥‥『飛来槍・麒麟』契約を一時的に解除する。‥‥‥‥神代・回帰『飛来せよ麒麟』」


手に持っていた。『飛来槍・麒麟』が光出す。

神代武器・麒麟は動き出す。


「ふわぁぁあ!!何ですか?主殿。いったい?気持ち良く寝ていましたのに‥‥‥‥て、主殿。右腕が」


「ああ、さっき。鵺様にも同じ事を言われたよ。」


「鵺様?鵺殿も来ておるのですか?‥‥‥それ程の相手が?」


「ああ、今は鵺様が足止めしたくれてる。ほらあれ」


俺はメリュジーヌ卿と鵺様を指さした。


「ん?あの御方は確か◯◯殿?‥‥‥ここは、‥‥‥なるほど、『セルビア』ですか。」


「そうなんだ。だいたい理解出来たかい?」


「了解しました。主殿、とりあえずはその右腕を治しましょう。神代魔法(白)『癒しの息吹き』」


麒麟がそう唱えると、みるみるうちに右腕が治った。


「どうでしょうか?主殿」


「うん、うん。治ってるよ。流石は神代の幻獣様だよ。麒麟」


「良かったです。では」


「あぁ、行こうか」





⑦『妖精国(アルフヘイム)』アヴァロンの騎士 7 神話対神話


『入国門』門下


「何にゃあ?あの見たこともにゃい。生き物2匹はにゃあ?しかも一匹はセツニャの武器から出てきたにゃあ」


「‥‥‥‥カミナリの野郎!!!とんだ奥の手を隠してやがったな。確かに俺の時の闘いの時もよお!タマキさんと一緒に協力して闘ってたぜ」


「まるで僕が卒業した『北東魔法学院』の闘い方だ。しかも従えているのが神代の幻獣でそれも二匹も‥‥‥彼は何者なんだい?セシリア?」


「ンニャア!!それはニャア~、メイエス?」


セシリアは私を見てくる。


「構わん。セシリア。もう隠してもしょうがないだろう」


「隠す?」


アルディス王子が不思議そうな顔をする。可愛い。


「ニャア~、アル!隠すきは無かったんだがニャア。上で今、闘ってるのがニャア。現在、行方不明中の元勇者のセツニャでオニャエあの隣にいるメイドが同じく行方不明中の元魔王様ニャア~」


「勇者は魔王?‥‥‥セシリア。またまた、こんな時に冗談を。‥‥‥なんだい?その真剣な目は?」


「‥‥‥‥」


「え?、本当なの?嘘ーーー!!」


アルディス王子はその甲高い声でびっくりしている。というかこの方、絶体‥‥‥まぁ、今は良いか。


「しかし、セツナの奴。神代の神獣を2体も。どこで契約してきたのじゃ?あれでは魔力の消費も激しかろうに」


「いや、実質、召喚術で召喚したのは、あのキメラ見てえな神獣だけだろう。残りの馬見てえな神獣は最初から持ってやがった武器が神獣に変わっただけだ」


ヒスイがそう説明する。


「あの確か『飛来槍・麒麟』だよね?」


「あぁ、あれはヘファイストス地方で作られた武器「神煌具」の1つだ。神代の素材を使ってやがる」


「なんニャア?その『神煌具(しんこうぐ)』って言うのはニャア~」 


「神代の素材や聖遺物を使った成長と再生を繰り返す武器だ。滅多に手に入る代物じゃねえが、まぁ、カミナリの野郎なら数個持っていてもおかしくねえがな」


どうせ、パックったやつじゃろうな。


「そんな、凄い武器なのにゃあ?わっちも欲しいニャア~」


「止めとけ、止めとけ。7の秘宝と一緒で奴等も主を選ぶ。もし選ばれなかった時はな‥‥‥」


「時は何なのニャア?」


「何かしらの―女神―の天罰が降る」


「天罰ニャア?」


「あぁ、だから皆、探さねえし。触りたがらねえ。無闇に―女神―の天罰なんて喰らいたくないからな普通の奴等ならな」


「ふ~ん。リスクもちゃんとあるんだにゃあ。、神煌具って」


『白亜の部屋』


「く、き、君、なかなかやるじゃないか?此方(こなた)のこの速さについてくるなんて」


「‥‥‥‥‥たかが、人の世に残りふんぞり返ってやがる。半龍が良く言えたものだぜ。全く。神話◯◯・『雷水の法』」


「なんだって?!って!ぐああああああ」


メリュジーヌ卿に雷と水が交わる槍の雨が降る。


「お前は我らが主を傷つけた!!その報い必ず受けさせる」


「なんだい?この力は?私の、神代の力が押されてる?」


「ふん!!」


「おーい!鵺様ー!!大丈夫ですかーー?」  


「鵺殿ーー!!」


俺と麒麟が合流する。


「あぁ、カミナリ様よお!!それに麒麟久しぶりだなぁ!!元気だったか?」 


「いえ、先ほどまで寝ていましたので。まぁ、元気と言えば元気です」


「そうか、そうか、!!!わっはっは!!元気ならそれが一番だぜええ!!麒麟様よ!!わっはっは!!」


「鵺殿は相変わらず。豪快ですなあ」


「まぁ、それが取り柄ってもんだぜ!!」


旧知の仲2人の会話を聞きつつ、俺はメリュジーヌ卿に話しかける。


「終わりですね。メリュジーヌ卿。投降して下さい。こちらは3人で貴方は1人です。」

「こ、こんな可愛らしい女の子に三対一なんて可愛そうだと思わないかい?雷撃君」


「何を言ってやがる!!◯◯があ!!卑怯なのはそっちだろうが!!人間相手に偉ぶりやがって!!それにその姿が本当のお前さんの姿じゃねえのは俺も麒麟もしってんだぜ!!」


「‥‥‥‥お久しぶりです。◯◯殿。今はメリュジーヌ卿ですか?現代ではよもや敵同士になるとは思えませんでしたが、主殿を傷付けられた以上、容赦はできません」


「やぁ、麒麟。久しぶりだね。その律儀さ昔から変わらないんだね。ふふふ」


メリュジーヌは不適に笑う。


「全く。驚いたよ。『魔法中央国』の魔法使いだから油断しちゃった。まさか、『召喚術』しかも幻獣いや、神獣達を従えるなんてね。ふふふ、これも君の作戦なのかな?」


「‥‥‥‥‥お答え出来かねます」


「だろうね。全く、本当に想定外な事ばかり起こるなぁ‥‥‥‥」


「‥‥‥‥麒麟よ!なにやら様子がおかしいぜ!!カミナリ様を護れ。俺はあの娘を止める」


「‥‥‥‥分かりました。主殿。私の背中に。お早く」


「ああ、ありがとう。麒麟」


「ふふふ、ふふふ、ふふふ、ふふふ、ふふふ、全くもう隠しても。しょうがないなあ、これだけはやりたくなかったけどね。神代魔法(赤白)・『原点・回帰・赤白竜』」


その竜は宝石の様に輝いていた。ルビーの用な輝きとダイヤモンドの用な光沢を。


「ギャアアアアアアアアアアアア!!!!!!」


雄叫びが木霊する。

原初の新竜『白亜』顕現


「‥‥‥一時期に理性を捨てやがったな。あれじゃあ、ただの暴れ竜だぜ!!」


「どうしますか?鵺殿」


「‥‥‥‥あれは最早、神話級の生き物だ。俺達二人でギリギリ勝てるかどうか」


「鵺様、麒麟。時間を稼いで頂きたい」


「何をするんだあ?!カミナリ様よお!!?」


「雷魔法の神代・回帰の技をやる。」


鵺様と麒麟はお互いの目を見る。


「行けそうだな。麒麟よ。」


「そうですね鵺殿‥‥‥では久しぶりに」


「ああ、暴れようぜえ!!!麒麟さんよお!!!行くぜ神話◯◯・『赤雷の法』」


「では、私も神代魔法(黄色)『迅雷人馬』」



「グキャアアアアアアアア!!!神代魔法(赤白)『無色』」


二人の神話級の神獣と神話級のドラゴンが闘い始める。



『入国門』門下


「まるで創世記の絵本の中の闘いを、見ているようだね」


「まさに神話大戦だな」


アルディス王子とヒスイは固唾を飲んで、上で繰り広げられている神獣対神竜の闘いを見守っている。


「まさか、こんなことになるとはな。『セルビア』の国内に入ってまだ1日目だぞ。それにメリュジーヌ卿があそこまで強いとは。びっくりだ」


私は少し疲れた顔で独り事のように言った。 



「‥‥‥心中お察しします。ですが恐らくですがセツさん‥‥‥セツナさんが『召喚術』で呼び出した神獣と武器から出て来た神獣の2体によって、この勝負どちらに転ぶか全く分からなくなりました」


「では、全てはセツナ次第だと?」


「‥‥‥‥そうですね。メイエスさんの言う通りです」



そしてまたアルディス王子は静かに上を見上げたのだった。






⑧『妖精国(アルフヘイム)』アヴァロンの騎士 8 失墜のメリュジーヌ


『白亜の部屋』


眼前に広がるは神話時代の闘いなり。


人が入る余地はなし。


二匹の神獣と一匹の『白亜の竜』はお互いの主の為に闘い続ける。


それを見やるは1人の少年。以前の力は半分失い。ただ、魔力が多い。弱くなった元勇者。


そんな、彼が、この神話級の戦いを終らせる。



「カミナリ様の最大技はどのくらいかかるんだ?!麒麟さんよお!!!『雷火の法』!!!」


「‥‥恐らく数分は詠唱に時間はかかるかと『迅雷人馬』!!!」


二匹の神獣の大技が『白亜の竜』に襲いかかる。


「ギャアアアア、アアアアアアアア!!!!!!ギャラララ!!!神代魔法(赤白)『朱色残波』」


その二匹の雷撃を『白亜の竜』は『朱色残波』で相殺する。


「あの娘。意識は朦朧としている筈なのによう!!神代魔法は普通に使って来るのは厄介この上ないな!!」


「無意識の法でしょうかね?あれならば加減無しの力で闘え。そして意識が薄れていてもその場にあった神代魔法を撃てますからね。」


「‥‥‥‥‥それにしては苦しんでる様に見えねえかあ?神代の連中に何かされたか?」


「それはありそうですね。神代時代は皆が皆、生きるのに必死でしたから‥‥‥‥」


「‥‥‥‥そうだな。、だが、容赦はしねえ!!神話◯◯・『雷土の法』」


「では、私は彼女の動きを止めましょう。神代魔法(黄)『迅雷の結界』」


鵺様の『雷土の法』は雷の落雷と砂嵐を発生させ、メリュジーヌ卿の動きを封じ込め。

それにすかさず、麒麟が『迅雷の結界』を展開する。


「グググ、グキャアアアアアアアア!!!ギャアアアアアアアアアアアア!!神代魔法(赤白)『決壊の赤白』」


かたや、メリュジーヌ卿は結界破りの神代魔法で麒麟が作った。『迅雷の結界』を破る。


そんな、一進一退の攻防が俺の眼前で繰り広げられる。



数分後。


「麒麟さんよお!!!俺はまだ余力はあるが。このままじゃあ、ららちがあかねえぜ!!いっちょ!あれやろうゼえ!!久しぶりに!!」


「‥‥‥‥そうですね。私もそろそろ時間切れが近づいてきたみたいですし。行きましょうか」


二匹の神獣の雰囲気がガラリと変わる。



「グギャアアア?!!」


メリュジーヌ卿もそれを肌で感じ取ったのか、少しの間。硬直する。



「では、行こうか神話・◯◯奥義『迅雷疾風』」


「は 神代・魔法(黄)奥義『迅雷麒麟王』」



二匹の神獣の大技が重なり交わり1つの雷雲を生み出す。

それは『白亜の竜』への頭上に生み出す。


「今だな。」「はい、鵺殿」


「「「雷神の劔・天雷」」!!!!!」


『白亜の竜』の頭上に稲妻の剣が振り上げられた。




「ぐきゃあ?!!グギャアアア!!!神代魔法(赤白奥義『赤白・画竜点睛』)!!!!」



『白亜の竜』‥‥‥‥メリュジーヌ卿も負けじと大技を出すが‥‥‥‥



「待たせて。すみませんでした二人とも。ですがこれで終わりにします。雷魔法神代・回帰・奥義『雷神顕現』」


それは大きな雷神の形をした。落雷。


鵺と麒麟の『雷人の劔』を掴み。『白亜の竜』へと突撃する。

三位一体の雷神の雷撃がカノ神代の生き残り。『白亜の竜』を雷撃の嵐で包み込んだ。


「‥‥‥‥終わりだな!!!!麒麟さんよお!!!」


「‥‥‥ええ、久しぶりに暴れられて楽しかったですね」



二匹の神獣は静かに話し合う。



「今までで1番の強敵でしたよ。メリュジーヌ卿殿」



『セルビア』入国門 勝利者カミナリ セツナ。



『入国門』門下


「信じられない。まさか、あのメリュジーヌ卿に勝つなんて」


「まぁ、まれがカミナリだぜ!!!王子さんよう!使えるものは何でも使う男だ!それが神獣だろうとな!!」


「ニャが、ニャンか、わっちと旅をしていた時とはだいぶ、闘い方が変わったのニャア。こう、魔法使いよりにニャったというか」


「それはしかたねえぜ!アインズさん!カミナリの奴は若返りのせいで、以前の体格や筋力は失ってやがる。それを補う為の『召喚術』や魔道具をあんだけ多用してんのさ!」


「ま、待って下さい。ヒスイさん!では、セツナさんは昔の方が強かったって事ですか?」


「あぁ、恐らくあの頃はエウロペ大陸でも5本の指に入る強さだったろうな。何回も闘ってた俺が言うんだ。間違えねぇぜ!」


「そんな状態であのメリュジーヌ卿に勝った。‥‥‥‥」


「どうしたのかにゃあ?アル。いきなり黙って?」


「セシリア!良く来てくれたよ。本当に。これで『セルビア』はいや『セルビア』と『妖精国』は本当の平和が戻るかもしれない」


「にゃあ?なんかわからにゃいが褒められるのは嬉しいにゃあ~」


私は、そんな3人の話を上の空で聞きつつ。セツナが心配で上空の『白亜の部屋』を見上げていた。







⑨『妖精国(アルフヘイム)』アヴァロンの騎士 9 勝者と敗者とお別れと


『白亜の部屋』


「では、主殿。すみませんが、私はこれまでの様です。‥‥‥鵺殿後は任せてもよろしいですか?」


「あぁ、安心しな。俺はまだ少し入れそうだからな。カミナリ様の安全が確定する迄は入るつもりだからよ!!安心して『飛来槍』の中に戻りな」


「それを聞けて安心しました。では、主殿の失礼いたします」


「今回は助かったよ。麒麟。ゆっくり休んでくれ」


「ありがとうございます。では、サラバです鵺殿」


「おう!待たな!麒麟!!」


麒麟は鵺様への挨拶が終ると。麒麟の身体が光出し、小さな光の球体になった。俺の腰に巻いていた『飛来槍』へと近づき、『飛来槍』の中へと消えていった。


そして、俺は『白亜の竜』の変身が溶け。最初に出会った時の可憐な少々の姿へと戻ったメリュジーヌ卿の前に歩いていく。雷撃のせいなのか意識は無く。所々に傷が目立つ。


「カミナリ様!あの娘ね事はどうするんだい?殺すのかい?」


「いいえ、鵺様!敗者にはこのようにタマキさーーーん!」


俺がそう叫ぶと


「はい、はいーーーい呼ばれて飛び出て邪じゃジャーン!!お久しぶりです。鵺様!!!」


「おお!!◯◯◯様!!!おっと失礼しました。今はタマキ様でしたね!お久しぶりでございます!!お会いできでこの鵺!!嬉しゅうございます!!」


なにやら鵺様とタマキは感動の再開だったらしく。出会い頭に熱い包容を交わしている。


「鵺様、タマキ!申し訳ないありませんが‥‥‥‥」


「あ、すみません。ご主人様。今回の‥‥‥‥戦利品は‥‥‥‥何と神代の‥‥‥‥これは使えそうですねご主人様!!ぐえへへへへ」


可愛らし狐の姿などどこえやらとても邪悪な笑みを浮かべる小動物がそこにはいた。


「では、遠慮なーーーく。『契約の輪(縛』」


メリュジーヌ卿の細っこい首元になんだか普通の『契約の輪』よりも豪勢な装飾が付いた首輪がメリュジーヌ卿に付けられた。


「なぁ、タマキなんかいつもの『契約の輪』と違うような?」


「はい、この『契約の輪(縛)』は神代の生き物だろうが関係なく従わせられる神代の魔道具です。これからはこの神代の竜に乗って何処にでも行けますね。それにあんなことやこんなことも、ご奉仕させられますよご主人様」


とても素敵な笑顔で凄い恐ろしいことを言う相棒である。


「ふう!!『契約の輪(縛)』を着けたのならもう大丈夫だぜ!!カミナリ様!!」


「そ、そうですか?鵺様!!!」


「ああ、あれは神代でも使われていた神獣ようの魔道具さ。タマキ様なら持っていると思ってたがな。だが、これで今度からは、メリュジーヌか?あの娘に襲われることはないぜ。」


「‥‥‥‥なるほど。鵺様がそこまで言うのなら安心です。」


「信頼してくれてありがとうよ!!カミナリ様!!‥‥‥‥おっともう時間みてえだな!!名残惜しいがよう!!ちくしょう!!へへ!!」


鵺様はそう言うとおれの方を見る。


「カミナリ様よお!!久しぶりに一緒に戦えて嬉しかったぜ!!」


「ええ!俺もですよ!!今回は本当にありがとうございました。鵺様」


「へへへ!!良いってことよ!!‥‥‥タマキ様後の事は任せてもよろしいでしょうか?!」


鵺様は真剣な眼差しでタマキに聞く。


「はい!!任せてください。鵺様!!!うちが入れば大丈夫です」


鵺が静かに頷く。


「では、我が主、カミナリ殿、タマキ様この度は及び頂誠に嬉しゅうございました。あちらの世界で御二人の無事を祈っておりやす。これにてこの鵺失礼いたします」


鵺様はそう言い終ると魔方陣が開いて消えて行ってしまった。


「本当にありがとうございました。鵺様。貴方のお陰で勝つことが叶いました。」


俺が感傷に浸っている間にもタマキはなにやらメリュジーヌ卿に近づき、魔法の袋の中にある魔道具で何かの魔法を一心不乱にかけ続けていた。


そして、しばらくしてメリュジーヌ卿が目を覚ます。


「ん?ここは?此方(こなた)はいったい?」


まだ、眠いのか意識がはっきりしない。


「そ、そうだよ。こ、此方(こなた)はあの雷撃君の操る二匹の神獣と闘ってって‥‥‥‥なにこの首輪??」


ようやく自身の首元に付けられた『契約の輪(縛)』に気づく。


「おはようございます。メリュジーヌ卿」


「き、君は!!‥‥‥そうか、こ、此方(こなた)は負けたんだね?‥‥‥でもなにかな?この首輪は?ねえ?」


「『契約の輪(縛)』ですよ。新たなペットさん。ふふふ」


不敵に笑うタマキ。


「ん?君は確か。―女神―アテナ様の眷属の‥‥‥‥?君が入るって事はろくなことにならないじゃないか!!!!」


「やっと起きたかと思えば失礼ですねえ。メリュジーヌ卿殿。ふふふ」


「ううう、その含み笑い。‥‥‥って事はこの首輪もきみが?!」


「ふふふ、たっぷりとうちの愛するご主人様を傷付けた罰は受けてもらいますよ。メリュジーヌ卿。今後の旅が楽しみですね。ふふふ」


「そ、そんな~!こんな、こんな事って~!!いや、嫌だ~!!誰か此方(こなた)を助けて~!!!!」


それを聞いたメリュジーヌ卿はさっきまでの勇ましい姿はどこえやら。年頃の乙女の様に慌て始めた。


「なんだこのやり取りは?」


多分だが、過去に二人は何処かで会っていて。その時にタマキがメリュジーヌ卿の嫌がることをしたのだろう。


「ら、雷撃君!!!雷撃君も彼を説得してよぅおお~。こ、このままじゃあ、前の時見たいに、此方(こなた)此方(こなた)はあ~!!!」


「たっぷりと可愛がってあげますよう~!!メリュジーヌ卿殿~!!!」


「嫌、ペットはもう嫌~!!!」


二匹の神獣がいなくなった『白亜の部屋』から騎士メリュジーヌ卿の情けない声が木霊した。






⑩『妖精国(アルフヘイム)』アヴァロンの騎士 10 赤白の竜は新たな(しもべ)


『白亜の部屋』が崩壊する。


カノ者は敗北し。新たな首輪を付けられる。


ああ、落ちていくは飛来せい者。


新たな主人に手綱を握られ。右往左往。


悲しいかな。メリュジーヌ卿。


今日から地獄の始まりなり。



メリュジーヌ卿との死闘に勝利し。戦利品(メリュジーヌ卿)を従えて。崩壊する『白亜の部屋』を俺の簡易転移魔法で脱出する。



『入国門』門下


「おお!!なんか来るぞ!!気をつけろ!!お前!!」


ヒスイが注意を促す。


上空にあった『白亜の部屋』が崩れていく。

そして、私達の目の前の地面から魔方陣が現れる。


(くそ!どっちが出てくるのだ?セツナかメリュジーヌ卿か?!)

魔方陣から人と犬か?分からぬが四つん這いの何かが姿を現した。


「セ、セツナ!良く無事で‥‥‥‥?なんだ貴様それは?」


魔方陣から姿を現したのは、四つん這いのでメイド服を着ているメリュジーヌ卿だった。、おまけに首輪を付けられリードも着いていた。そのリードはセツナの右手に持たれている。そして、メリュジーヌ卿の頭にはタマキが乗っていた。


「メ、メリュジーヌ卿?!」


アルディス王子も目の前の信じられない光景に言葉を失っていた。


「ん?ニャア、ニャア!黒騎士!あれ!!」


「あん?どうしたアインズさんよお?!、?!!」


セシリアが何か気づいたようでヒスイに伝えると、2人は汗を滴しながら。メリュジーヌ卿の首元を見ている。


「‥‥‥あ、あいつ終わったニャア。黒騎士。わっちらと同じになったニャア」


「いや、あの首輪なんか変な感じしねえか?神代の魔力つうのか?俺達の付けてるやつより。多分だが強力だと思うぜ!!」


2人でひそひそと密談を始めた様だった。


「くぅ、此方(こなた)此方(こなた)がこんな、屈辱的な格好うぅぅ~を~!!」


「黙りなさい。敗北者。メリュジーヌ卿!!」


「ひい!ごめんなさい。タマキ様!!!」


メリュジーヌ卿の頭の上でふんぞり返っているタマキが偉そうにメリュジーヌ卿を叱った。


「‥‥‥‥では、メリュジーヌ卿。皆さんに挨拶して下さい」


セツナがそう、メリュジーヌ卿に促す。


「は、はい、ご主人様」


ご主人様?!!


「この度は誠にご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした。ご主人様に敗北したこの哀れなメリュジーヌをどうか、どうか、お許しくださいませ!!」


「それだけですか?メリュジーヌ卿?」


お前は誰だ?アホセツナ。


「ひぅ、ごめんなさい!!!今後はカミナリ セツナ様のメイドとして誠心誠意働いて行きますので、よろしくお願いいたします。く、屈辱」


パシンっと何やらセツナの右手の鞭の用な物がしなるとメリュジーヌ卿の身体がビクンと反応した。


「ひうん!!」


「何か言いましたか?メリュジーヌ卿?」


「い、いいえ。ご主人様。メリュジーヌはメリュはご主人様の言うことのは絶体に服従するですぅ~!!」


「よし!!ならば、よろしいです。しばらくその体勢で待機していなさい」


「そ、そんな~此方(こなた)は~」


「まったく。言うことを聞かない新しい奴‥‥‥おっと失礼。仲間ですね。パチンと(指パチン)」


「ふにゃああああ~、ご、ごめんなさい。か痒いの~痒いのはいやなの~!!!!」


メリュジーヌ卿は地面に這いつくばり、身体を抱き抱えながらじたばたし始めた。


「ふぅ、しばらく、躾に時間がかかるな。タマキ君」


「じっくりとじっくりと時間をかけて服従させて行きましょう。ご主人様」


とても邪悪な笑みをじたばたしているメリュジーヌ卿に向けている。セツナとタマキだった。


(い、いったい。何があったというのだーー!!!)



『白亜の部屋』崩壊前


「とういうわけで、メリュジーヌ卿。今日から貴方‥‥‥めんどいな。君は俺のペットだ。よろしく」


「な、何を言っているのか?バカなのかな?雷撃君!!」


「ペットがご主人様になんて口の聞き方をしてるんですか?」


「ひううう!!ご、ごめんなさい。タマキ様!!!」


タマキがメリュジーヌ卿の耳元でささやく。


「ご主人様。これは形から入るのはどうでしょうか?例えばほらこの際どいメイド服を着させるとか?」


ナイスアイデアだった。


「よし!!採用だ。流石、相棒」


「褒めて頂きありがとうございます」


「では、さっそく、メリュジーヌ卿。これを着てください」


「な、何かな?雷撃君?そのエッチな服は!ねぇ?!ちょっと!!!!こ、此方(こなた)はあああ!!」


「ご主人様他にもリードに。それとあれもこれも」


「ああ、なんかだんだん楽しくなってきたなタマキ~」



『入国門』門下


「メ、メリュジーヌ卿」


まだフリーズしているアルディス王子。


「ほら。こんなに破壊して分かってるのかメリュジーヌ卿?」


「は、はい~!!!い、今、直す」


「直す?!」


「な、直しますから。お、お仕置きだけは、お仕置きだけはしないで下さい~!え~ん!!」


「メリュジーヌの奴‥‥‥地獄の始まりだにゃあ」


「ああ、後は落ちていくだけだ。俺達見たいにな」


「ほら、もっとせっせと働いてーー!」


「ひーーん!!助けて~!モルガン様ーー!!」



『赤白の騎士・メリュジーヌ卿』編







(幕間)・赤白の騎士・メリュジーヌの思い出


時は、神代・末期


『白亜の部屋』


「ねえ、オーディン様。この戦争はいつまで続くの?」


騎士見習いメリュジーヌは、主人であるオーディンに質問した。


「おお、幼き騎士。メリュジーヌよ!戦果はどうじゃった?」


「いやいや、話を反らさないでよ。オーディン様。戦争はいつまで続くの?」


またもメリュジーヌは同じ質問を繰り返す。


「‥‥‥‥‥ワシには分からんよ。この幾千年の間。誰もこの地。エウロペ大陸に平和をもたらした者など現れておらぬしな」


「何で現れないの?」 


「‥‥‥‥有力な神の子や人族の者が現れる度に、悪い神々に誅殺される。それを何回も、何回も、繰り返えされてきたのが今のエウロペ大陸の実情じゃ」


「‥‥‥‥悪い神々?」


「あぁ、自身の力に溺れ。『魔』に落ちた者達だ。彼の者達は魔神や魔竜等に変貌にあらゆる悪さを働く。そして、あらゆる不幸を撒き散らす」


神・オーディンは、怒りに満ちた顔で天井を見上げる。


「オーディン様?怖い顔してる」


幼きメリュジーヌは怒りの神・オーディンの右手を優しく握る。


「おお、済まない。幼き騎士メリュジーヌ。つい、昔の事を思い出してしまってな。」


「大丈夫?オーディン様」


メリュジーヌは心配そうに神・オーディン顔を覗き込む。


「ワシはな、メリュジーヌ。‥‥‥ワシは無力な神なのだよ。メリュジーヌ。数年前の忌々しき魔竜共との戦い『神魔竜戦争』では、1番目に生まれた孫を、ワシの目の前で惨殺された。ワシは怒り。魔竜共に向かって行ったが‥‥‥力及ばず。むざむざ目の前で孫の死体を弄ばれるのを見ることしかできなかった」


「‥‥‥‥私も竜だよ。許せない?私も殺す?」


「‥‥‥‥‥殺すわけ無かろうよ。可愛いメリュジーヌ。お主はワシの最後の孫ぞ。可愛いメリュジーヌ。‥‥‥お主だけは、お主だけは、絶体に守り抜くと。亡き、お主の父と母に頼まれたのじゃぞ」


「‥‥‥‥お父さん。お母さん。もういないね」


「あぁ、もういない。残るワシの家族はお主と1番したの娘。モルガンと合わせて三人だけじゃ」


「‥‥‥うん。モルガンお姉ちゃんは何処にいるの?」


「あぁ、今はユグドラシル地方の世界樹におる。世界樹の主。―女神―ユグドラシル様のお力を借り。この途方もなき悲しき戦いを終らせる為にな」


「―女神―様の力借りれるかな?」


「‥‥‥‥分からぬ。だが、ユグドラシル地方を解放していただければ。そこに住む。獣人、幻獣、エルフ、魔法族等の森の戦士達の力を借りられる。そうすれば。形勢は我ら神々に傾き、かの魔神や魔竜を『死の大地』の向こう側へと追いやることができる」


「それが終われば平和になるかな?おじいちゃん?」


それを聞いた。神・オーディンは驚いた顔をした。


「‥‥‥‥‥あぁ、勿論じゃよ。我が、可愛い孫。メリュジーヌ。‥‥ああ、勿論だともよ」


神・オーディンは幼きメリュジーヌを優しく抱き締める。神・オーディンの目には大量の涙が流れ落ちる。


「済まぬ。こんな、頼りない神で済まぬ。父と母を魔竜にむざむざ殺させてしまって済まぬ。お主をいつも1人にさせて済まぬ。こんな弱い神で本当に済まぬ。メリュジーヌ。モルガンよ。ううぅぅ」


神・オーディンは懺悔する。自身の無力に懺悔する。

唯一残された家族である。娘と孫に懺悔する。



『白亜の部屋』は静かに時を刻む。


「‥‥‥‥おじいちゃん」


「‥‥‥‥ああ、なんだい、メリュジーヌ?」


「おじいちゃんは弱くないよ」


「いいや、ワシは大切な家族も守れない。弱い神じゃよ」


「おじいちゃんは弱くない。弱くないよ!だって‥‥‥だって‥おじいちゃんは‥‥おじいちゃんは‥‥‥色々な神様や人の心にちゃんと寄り添える。そんな優しい神様だもん」


神・オーディンはメリュジーヌの幼い顔を静かに見つめた。


「ワシが‥‥‥神達や人の心に寄り添える優しい神様とな?」


「うん、おじいちゃんはすごい優しい神様。此方(こなた)が1番!1番大好きな神様だよ。だから、だから、ね。オーディン様」


「ああ」


「だからね。泣かないで。悲しまないで。辛そうにしないでおじいちゃん。此方(こなた)此方(こなた)が最期までずっと居てあげるから、諦めないで。」


「‥‥‥‥メリュジーヌ」


神・オーディンは静かに(うなづ)いた。


「‥‥‥オーディン様?」


「済まぬ。騎士メリュジーヌ。ワシは少し弱くなっておった。‥‥‥‥よし!ワシらも行こうぞ!騎士メリュジーヌ」


メリュジーヌは小首を傾げ、聞く。


「何処に?オーディン様」


「我が娘。モルガンのいる世界樹・ユグドラシル地方じゃ!‥‥‥‥この長きに渡る戦乱を終らせる平和な世にしようぞ!騎士メリュジーヌよ!!」


「おじいちゃん‥‥‥‥うん、うん!行こう!オーディン様!!!平和な世界に変えに行こう!!!モルガンお姉ちゃんの所まで!!」


メリュジーヌは笑顔でそう答えた。


そして、神・オーディンと共に『白亜の部屋』を後にする。


祖父と孫は仲良く手を繋ぎ。一緒に向かうのは。世界樹があるユグドラシル地方。


その後、神・オーディンは見事。―女神―ユグドラシルを説得し、ユグドラシル地方に住む者達と共に魔神と魔竜を『死の大地』の遥か先へと追いやり。その名を深く歴史に刻む事になる。


妖精国(アルフヘイム)


「うわぁ、寝ちゃってたよ。いけない、いけない。でも懐かしい夢を見たなぁ~。オーディン様‥‥‥ううん、おじいちゃん。また会いえないかな‥‥‥‥」


メリュジーヌは思い出す。あの頃の祖父の優しさを。優しい心を。強さを。2人の大切な思い出を‥‥‥‥


「おっと!いけない、今日はモルガン様に呼ばれてるんだったよ。急がなきゃあ。‥‥‥おじいちゃん。沢山の優しい思い出をありがとう。‥‥メリュジーヌは今日も平和に生きています。優しいオーディン様」


メリュジーヌは祖父がもたらした平和を今日も守り抜く。

この平和こそが祖父との大切な思い出だから。


幕間・赤白の騎士・メリュジーヌ 完



このメリュジーヌ戦少し長めに書きます。

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