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弔いと治療を

《ブラック・チャペル》


私の名前はパーシヴァル・フロイラインと言うものです。


ユグドラシル地方にある『セルビア』の国からここ、ヘファイストス地方・『オアシス』に七つ秘宝の一つ。『ロンギヌス』に強制的に喚ばれた身です。


先程まで、姿を見せていた神成さんの気配も消え。

眼前にはルドルフさんとリップさんがジャックさんのご遺体に寄り添っています。


「ルドルフの爺‥‥‥‥‥あんた、俺の本当のじいさんだったのか?」


「‥‥‥‥‥そうだ。今まで隠していて‥‥‥‥済まなかったな‥‥‥‥‥リップ」


「そんな事は‥‥‥‥‥どうでも‥‥‥‥‥良くないか。それより、兄貴の遺体。どうするんだよ?『オアシス』の行政機関に差し出すのかよ?」


リップさんはお兄さんの遺体を庇う様にルドルフさんから離しました。


「‥‥‥‥いや、渡さぬよ。ジャックの母親。俺の娘の墓に埋葬してやろう‥‥‥‥‥それがせめてものジャックに対する償いになると良いのだが‥‥‥‥」


「母ちゃんの墓に?‥‥‥‥‥なら、さっさとここから立ち去って『鍛冶屋の里』に行こうぜ。ルドルフ爺さん」


「リップ‥‥‥‥‥お前!‥‥‥‥‥あぁ、帰ろう。俺達の家へ‥‥‥‥‥なぁ、ジャックよ!」


ルドルフさんはそう言うと、ジャックさんのご遺体を優しく抱き抱えリップさんと歩き始めました。


「パーシヴァル殿も今回の件。迷惑をかけた。夜叉巫女殿と黒竜殿も窮地の『オアシス』を救ってくれて感謝する」


「は、はい!刀匠ルドルフ殿」

「ニャー、ニャー、うむ」


「家族と和解できて良かったです。ルドルフさん‥‥‥‥‥って!さっきの黒竜が黒猫に?!どうして?」


「そういえば、この方は誰です?クロ」


「ニャー、ニャー、主殿が喚んだ新しいヒロインというやつじゃないか?」


「ち、違います!私はパーシヴァル・フロイライン。セルビアの騎士の一人で、この『ロンギヌス』さんに強制的に喚ばれただけです」


‥‥‥‥この黒猫!何を変な事を言ってるんでしょうか?

私の好みはもっと年上で、私の父を容赦なくボコボコにできる位強くないと駄目です。


「あぁ、貴女もセツナ殿にボコボコにやられたのですね。成る程。成る程。成る程です。夜叉は夜叉巫女と申します。此方はクロ。これからよろしくお願いいたします。後輩殿」


「ニャー、ニャー、よろしく頼む」


こ、この不思議な雰囲気の女の子も少し失礼では?

なんか妙にフランクですし‥‥‥‥‥何ですか?後輩殿って?


「‥‥‥え、えぇ、よろしくお願いします。夜叉さん‥‥‥‥‥‥っと。クロさん」




中央特区(セントラル)・大広場』


「ちょっと!セツナ!!何してんのよ!」

「カミナリ様よう!!!何やってんだい!」


あの後からラファエルと鵺様がプカプカとやって来た。


「何ですか?二人共。今は患者の治療中で‥‥‥‥」


「何だ?じゃないわよ。アヤネになんて事してんのよ!あの子は今回、頑張って闘ってたのよ!」


「そうだ!そうだ!神無月のお嬢ちゃんも頑張ってたんだぜ!!カミナリ様!!」


「いや、だから落ち着いて下さい‥‥‥二人共」


「‥‥‥‥マスター、ここは私が!貴女達。少し静かにしていなさい。マスターが困っているでしょう」


「アフロディーテ様?!何でアフロディーテ様がここに入るの?」


「アフロディーテ?って‥‥‥‥‥月詠様や黒龍様と同じ神の事か?」


「バカッ!何、気安く指差してんのよ!鵺!!!お辞儀よ!お辞儀!お辞儀するのよ!じゃないと私達。消されるわよ」


あのプライドの高いラファエルが頭を垂れている。そして、鵺様もそれに連れて地面に這いつくばっているのだ。、

それ程までに天使と女神とでは、格が違うのだろうか?


「ラファエル‥‥‥‥神代初期以来ですね。久しぶりですね」


「は、は、は、はい!アフロディーテ様。お久しぶりです。今日の朝はお日柄も良く‥‥‥‥あっ!逃げるなバカ鵺!!」


「誰が馬鹿ですか?ラファエル」


「ち、違うんです!アフロディーテ様!!これはアフロディーテ様の事ではなくてですね!!」


「ミー、ミー、ヤバい神聖だぜ。逃げる‥‥‥‥ミー、ミー」


ラファエルは呂律が回らなくなっており、鵺様はいつの間にか兎の姿へと変身して俺のフードの中へと避難してきた。


「遥か昔、貴女には個人に感情を向けすぎるなと教えた筈ですね。ラファエル。忘れてしまいましたか?」


「い、いえ!ちゃんと覚えてます!‥‥‥‥けど、けど!アヤネは何時も、何時も、セツナの為に頑張っていてですね!」


「‥‥‥‥さっきの子はアヤネと言うのですか?」


「そうです!アヤネはセツナの元恋人で敗北者でして!可哀想な子なんです!!だから、私があの子を助けて導かないと!」


「‥‥‥‥‥フフフ‥‥‥‥そうですか、ラファエルにもやっとパートナーが見つかったのですね。そうですか‥‥‥‥あの子はマスターの元恋人。では、その隣に居た子もですか?」


「違うぜ!ミー、ミー、あの子はカミナリ様の愛人だぜ!アフロディーテ様よう」


「違うわ!鵺様。何言ってんですか!」


「じゃあ、何なんだよ?カミナリ様よう!!ミー、ミー、」


好敵手か‥‥‥‥いや‥‥‥‥こんな事をこの場で発言すれば殺されてしまう。


「大事な仲間だよ‥‥‥‥委員長もアヤネもな」


「‥‥‥‥言葉を選んだなカミナリ様。後で神無月のお嬢ちゃんに報告するからな」

「セツナ。あんたサイテーよ!」


「何を言おうと駄目のようだ。アフロディーテ」


「それは私の様に全ての者から愛されれば解決しますよ。マスター」


「‥‥‥‥‥‥それは最高美神のアフロディーテだからできる所業ですよ。女神様。はぁ~」


俺は大きなため息をしつつ、『オアシス』の住民達の治療を再開した。


その後は、ラファエルとアフロディーテにも住民達の治療を手伝ってもらい、『オアシス』市民の治療を1日かけて行ったのだった。

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