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魔都決戦・『殺人鬼は苦悩し狂喜する』No.11 ベオル山ノ主神



ベルフェゴールの両目は無惨な状態へと変わった。


いや、俺とアフロディーテの攻撃で変えられたと言った方が正しいだろう。


「お、俺の両目が!無い!何も見えない!真っ暗だ!!クソッ!」


両目があった部分を必死に抑え、ベルフェゴールは泣き叫んでいる。


「あぁ!!クソッ!No.9のこの俺が!大アルカナの一桁の俺の両目が無い!!!!!!!」


「相手を見誤りましたね。悪霊・ベルフェゴール。終わりの時です」


「‥‥‥‥終わりの時?何を言ってんだ!卑怯者共!いきなり現れて、卑劣に攻撃してきやがって。卑怯者!卑怯者!卑怯者共があああ!!!死にたくない!死にたくない!死にたくない!!!卑怯者共に負けたくない!!死にたくない!!!死にたくない!死にたくないいいいいい!!!‥‥‥‥‥‥‥‥大アルカナ‥‥‥‥『賢者』を放棄‥‥‥‥‥神話・回帰(怠)『ベオルノ主神』」


悪霊はまたも姿を変え、肥大化する。


雄鹿の様な枝分かれした角。


目玉は再生し、その瞳の中には幾つもの別の目が幾つも、幾つもある。それぞれの目玉が角度を変えわ三百六十度辺りを見渡している。


「‥‥‥‥‥何だ?これは?アフロディーテ」


「器に似合わぬ『神話・回帰』‥‥‥‥‥‥神聖に呑まれ自我が消えたのね。悪霊・ベルフェゴール」


「ギキョウモノ、卑怯者、ビギョウモノ、卑怯者共!!!許さない!許さない!許さない!俺はお前達を許さない‥‥‥‥」


肥大化したベルフェゴールに残された感情は、歪んだ心、俺に向ける憎悪、アフロディーテに抱く莫大な『好色』の3つのみだった。暴走する三つの感情が俺とアフロディーテに向けられる。



自身の悪性に支配された悪霊。古代モアブの神・バアル・ペオルが俺とアフロディーテを睨み付けてくる。



『オアシス・ノース』


「な、何?あの大きな‥‥‥‥肉の塊みたいな生き物は?」


「‥‥‥‥神無月のお嬢ちゃん。早く、天王洲のお嬢ちゃんとラファエル嬢と合流するぞ!!嫌な予感がするぜ」


「嫌な予感って!もしかして、中央特区(セントラル)に入る神成君達と合流するの?鵺ちゃん」


「いや、しないぜ!天王洲のお嬢ちゃんと合流したら。『オアシス』の空へと避難するぞ」


「避難?神成君達と一緒に闘わないの?」


「行きたいのはやまやまだが、神話級の神か神々の眷属じゃなきゃあ直ぐに死ぬ!行った途端にあの悪神みたいなのに喰われちまうぞ!」


「嘘?‥‥‥‥‥何よそれ!」


『オアシス・ノース』別の場所


「アヤネ!あの神獣が迎えに来たら直ぐに逃げるわよ」


「逃げる?嫌です。(わたくし)はセツ君の元へと向かいますわ」


「バカアヤネ!そんなのもう無理よ!あのお方が‥‥‥‥最高美神『アフロディーテ』様が出てきた時点で闘いの規模が変わったもの。まさか、こんな大都市で神同士の闘いに発展するなんて思ってもみなかったわよ!」


「『アフロディーテ』様?ギリシャ神話のですか?」


「あっ!知ってるのね。流石、学年で二番目ね。セツナには負けるけど」


「‥‥‥‥何でアフロディーテ様の事を答えたらディスられているんですか?私」


「いいから、逃げる準備をさっさとしなさい。幸い、『オアシス・ノース』に居た子達は皆、都市外にある運河の方に避難し終わってるのだし」



中央特区(セントラル)

ブラック・チャペル


【ビギョウモノ、卑怯者、許さない、許さない】


「‥‥‥‥‥あれは?‥‥‥ジャックの裏の人格だった奴か?」


「神聖を帯びてますね‥‥‥‥‥回帰し、神話の神にでも戻ったのでしょうか?」


「いや、それにしては動きが変だぞ。暴走し初めているんじゃないか」


ルドルフとパーシヴァルが中央特区(セントラル)の上空に見える悪神を眺めているその上空。


「夜叉巫女!彼処に誰か入るぞ!あれは‥‥‥‥‥ルドルフの爺か?」


「ルドルフ殿?‥‥‥‥クロ!彼処に向かって降りてください!」


「あぁ、了解した」



中央特区(セントラル)・地上』


「おーい!ルドルフの爺!!」


「ん?この声は‥‥‥‥‥リップか‥‥‥‥」


「リップ?例の行方不明のお孫さんですか?」


「そうだ‥‥‥‥‥」


シュタンッ!


「ルドルフの爺!っと‥‥‥‥‥色白の美人?」


「まぁ、美人だなんて、脱いであげましょうか?」


「はっ?何言ってんだ?!あんた!‥‥‥てっ!ギャああ!!」


ドガァン!


「あっ!済みませぬ。リップ殿。丁度良い着地地点がありましたので使いました」


「ちゃ、着地地点って俺を空中から足蹴りしただけじゃねえか!夜叉巫女!!」


「ふんっ!知りませぬ」


「あんだと?!」


「‥‥‥‥おや?これは‥‥‥‥」


「リップの彼女?」


「違うわ!!」

「違いまする!!」


夜叉巫女とリップが同時に突っ込みを入れ、言い訳をし始めた時、一人の『隠者』が目を覚ました。


「‥‥‥‥‥‥うぅぅ、ここは何処だ?僕はまだ、負けていない」


「‥‥‥‥?!兄貴か?」

「ジャック‥‥‥‥‥」


「‥‥‥‥リップにルドルフ‥‥‥‥‥そうか、僕は槍使い女とあんたの攻撃を受けて気絶してたのか‥‥‥‥くっ!何だ?この槍みたいな棒は?」


「動けませんよ。ジャックはん。束縛の槍です。何かすれば貴方の心臓に大量の槍が刺さるでしょう」


「‥‥‥‥槍使い女。あんたの仕業か?何もしていない僕になんてまねを!!!」


「‥‥‥‥‥いい加減。被害者面はよせ、ジャック!全ては自身の選択が招いた結果なのだ」


「兄貴」


「‥‥‥‥五月蝿いよ。ルドルフ!リップも久しぶりだね。さっさと助けてくれ。そして、何でそんな哀れみの目で僕を見るんだ?リップ!さぁ、お前の兄貴のジャックを今すぐ助けてくれ!!!さぁ!!リップ!!」


「無理だよ。兄貴!兄貴は大量に人を殺したんだ。人殺しは‥‥‥‥『殺人鬼』は‥‥‥‥助けられないよ」


リップは悲しい顔をジャックに向けながら、言葉をジャックへと言うのだった。

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