魔都決戦・『殺人鬼は苦悩し狂喜する』No.9 躍動するは『雷光鞭』
神成 刹那・勇者時代。
ヘファイストス地方・際南部『ディレ』
(ここがヘファイストスの鍛冶師遺跡か‥‥‥‥ボロボロだな。さてさて、今回のお宝は?発掘、発掘っと)
(‥‥‥‥あら?この子からアテナの気配を感じるのだけど?何故かしら?)
(はっ?誰だ?あの頭の可笑しい―女神―の名前を出す奴は?)
(嘘?私の声。聴こえるわけ?)
(ど、何処に入るんだ?出てこい!)
(んー?それもその筈よね。貴方はアテナの関係者みたいだし‥‥‥‥良いわ!私を連れて行きなさいな。許します)
(いや、だから。何処から声が!‥‥‥‥‥って!いつの間にか右手に紐みたいな物が‥‥‥‥何だこれ?)
(私は‥‥‥‥そうね。『雷光鞭』とでも名乗っておくわ。じゃあ、これから宜しくね。マスター)
(雷光鞭?いや、それにマスターって?何のこっちゃあ?)
時は少し流れ。
神成 刹那『和国旅途中』
(今よ!マスター!!)
(これで終いだ!、『酒呑童子』!!雷性一閃!)
(ガハァ?!なして‥‥‥こんな小僧に‥‥‥‥うちがヤられるなんて‥‥‥‥)
(やったわね!マスター)
(あぁ、ありがとう!◯◯◯◯◯◯◯!本当に助かったよ)
(ニヒヒッ!良いのよ!マスター、貴方を元の場所に返す為ですもの‥‥‥‥‥)
現代。中央特区『大時計塔頂上』
「‥‥‥‥表の人格からの‥‥‥‥魔力パスが切れただと?」
「どうやら、あっちのお前は大人しくなったみたいだな。意識を一時的に失ってるだけか」
「小細工をしたうえでの勝利だろうがよ!!『担い手』!!!!てめえぇぇぇ!!!」
「勝負とは始まる前から既に始まってるらしいぞ。『隠者』ベルフェゴール。俺が居た世界の偉人の言葉だ」
「てめえが、真名開示をしぶらなけりゃあ、ジャンクは今頃、神明を解放できてたんだよ!!!今からでも良い!!叫べ!!表の人格の名前をよう!!」
「何、栃狂った言葉を喋ってるんだ。『隠者』さん。開示はしない。絶対にな!!」
「‥‥‥‥‥たくよう‥‥‥‥何もかもが上手くいかねえよな!!表の人格のジャック!!!‥‥‥‥‥全てはあの『お方』の為に」
?!‥‥‥‥‥『隠者』の雰囲気が変わった?
くるか?No.一桁の本気が!
「神代魔法(怠)『バアル・ペオル』」
ベルフェゴールの容姿が変わっていく、牛の尾にねじれた二本の角、顎には髭を蓄えた醜悪な姿へと変貌していく。
「相方がやられて、形振りかまってられなくなったか?ベルフェゴール」
「‥‥‥‥‥‥ハハハ!気分転換だぜ!『担い手』。時間が経てば表の人格も目覚めるだろうしな。時間をかけてゆっくりと闘ってやるよ!それにさっきの結界もそんな永くは続かないんだろう?ん?なぁ、担い手様よう!ハハハ!!!」
「‥‥‥‥‥‥知らん」
「何だ?その澄ました態度は?その反応が答えそのものじゃねえかよ!ハハハ!ウケるぜ!担い手!!」
怠惰と好色の『ベルフェゴール』顕現。
‥‥‥‥古代の悪魔学では、ベルフェゴールは好色の罪を司る、占星術では性愛の星とされる金星の悪魔とされている。
ここにきてまた悪魔か。サタンやバフォメットの時といい。『悪魔種』が出てくると大概ろくな事にならない。
いったい、今のエウロペ大陸で何が起ころうとしているのだろうか?不安になってくる‥‥‥‥‥
「おいおい!何を余所見しているんだ?余裕だな!担い手!!『ペオルの供物』」
ベルフェゴールは口から大量の汚物吐き出し、俺へと攻撃した。
「なっ?なんつう攻撃を?!それに何だその色は?毒か?雷魔法『雷音・雷壁』」
とっさに魔法防壁を張るが‥‥‥‥‥
「(ニヤァ)」
不気味な笑みを浮かべるベルフェゴールが一瞬見えた。
(‥‥‥‥‥もう見てられないわ。駄目よ!マスター!そんな、魔法防壁じゃあ、防げないわ)
そんな声が雷光鞭から聴こえてきた。
「‥‥‥‥ベルフェゴールの攻撃が雷壁を貫通してくる?」
「ハハハ!ウケるぜ!その顔!そりゃあそうだ!それはただの俺の胃酸だぜ!担い手様よう‥‥‥‥‥‥ただし、まともに浴びれば骨すら残らずに溶ける胃酸だからよう。浴びたら即死だがな!ハハハ」
「ヤバい‥‥‥‥終わった‥‥‥」
俺がそう思った瞬間。
(まだ、終わらないわ。マスター!!『雷光鞭・躍動』)
俺が右手に持っていた雷光鞭が輝きだし、光の鞭でベルフェゴールの攻撃をなぎ払ったのだった。
「おいおい!何だ?ただの武器が持ち主の攻撃を変わりに防ぎやがっただと?」
(ただの武器ではないわ。喚んで下さい!マスター)
「へ?あれ?俺、助かったのか?‥‥‥‥喚ぶ?あぁ、了解だ!‥‥‥‥‥躍動するは雷光の鞭。『雷光鞭』!回帰するは神話の容姿」
(神話・)
「回帰!!」
「(愛と美と性の神・アプロディーテ)」
それは余りにも美麗な神話・回帰。
雷光の鞭を手に持ち、絶世の女神が回帰する。
最高美神・アフロディーテ・顕現




