魔都決戦・『殺人鬼は苦悩し狂喜する』No.4 悪霊
「くそっ!たかが神代時代のガラクタが俺にダメージを喰らわすか!大アルカナ・『隠者反転』」
「なんだ?『殺人鬼』の奴、何をする気だ?」
『殺人鬼』が大アルカナを唱えた瞬間。
『殺人鬼』から放たれていた強烈な殺気や死臭が急に消えた。
「‥‥‥‥あぁぁ!!またなのか?何で?何だよ!この痺れと痛みはあぁぁ!!いつも、いつも、僕が何をしたっていうんだよ!!!」
「何ですか、あれ?彼の人格そのものが全く別人に変わってませんか?ナルカミさん」
「人格?二重人格とか言うやつか?」
「‥‥‥‥‥違う。そうではない」
ルドルフさんはそう言って。一歩一歩、『殺人鬼』に近づいて行く。
「ルドルフさん!それ以上近づくな!また、さっきみたいに攻撃されるぞ!」
「今は大丈夫だろう!なぁ、ジャックよ!」
「うぅぅ!そ、その声はルドルフさん?‥‥‥‥あぁ、あの時、外に出るなと言う忠告を無視したらこんな事にはならなかったんですか?‥‥‥‥これは僕のせい?それとも俺のせい?」
「ジャック?」
「‥‥‥‥『人格暗転』。誰がジャックだよ!人違い‥‥‥いや、幻影違いじゃねえが?爺!」
「また、雰囲気が変わった?これは不味い!」
「ジャックよ!俺は‥‥‥」
「だから、ジャックって誰だよ!俺の名前はな!!!」
ジャック?はそう叫ぶと、なんと、自身を二人へと分離させ。ルドルフさんへと攻撃を仕掛ける。その分離した1人は血生臭黒い大鉈を一瞬で造りだし、ルドルフさんへと振り上げた。
「死ねよ!!ルドルフさん!!!何でもっと早く来てくれなかったんだ!!!死ね!!ハハハ!!」
「ルドルフという方!何をボサッとしているのです!白槍術『ホワイトファング』」
パーシヴァル卿が持つ『ロンギヌス』の槍の先端から白い狼の形をした攻撃が放たれる。
「何、この攻撃は‥‥‥あぁぁ!!何するんだよ!女の人!!!痛いじゃないかあぁ!!!死ねよ!!」
ドゴオオオオン!!
「ジャ、ジャック!!」
「‥‥‥‥飛んでっちまった」
「ナルカミさん。あっちの『外皮』の方は私とルドルフさんでしたか?」
「あぁ、そうだ。ルドルフ・ザ・リッパーという」
「リッパーって事はあのジャックって奴はルドルフの親族なのか?それにもしかしてリップも?」
「‥‥‥‥済まんな。神成、詳しくは言えん。それが里長との約束だからな‥‥‥‥済まんがここは任せる。俺はパーシヴァル殿とジャックの方へ向かわせてくれ」
「‥‥‥‥あぁ、気をつけて行ってきてくれ。ルドルフさん、パーシヴァル卿」
「いきなり、喚ばれて状況は今だ呑み込めませんが、貴方には『セルビア』を救って頂いたご恩がありますのでお力になります。では、後程!」
タンッ!
「‥‥‥‥そっちの裏の奴には十分気を付けろ!神成。こっちが終わったら直ぐに戻ってくる‥‥‥‥それと今回の件。巻き込んで済まなかった。行ってくる」
タンッ!
ルドルフさんとパーシヴァル卿は吹き飛んで行ったジャックを追いかけて夜の都市へと消えて行った。
「ハハハ、話しは終ったか?『担い手』」
不気味に笑う。ジャックではない何か。
「‥‥‥‥お前、何で俺達がこんなに呑気に会話をしているのに一切攻撃を仕掛けて来なかったんだ?」
「おいおい!話し合いは大事だぜ!何においてもな!それに『担い手』よう!お前、俺があの二人のどっちかに俺が攻撃を仕掛けたら。大時計塔の仕掛けとやらを発動させる気だったろう?表のアイツと裏の俺が切り離されてる状態の今が一番狙い時だもんな!」
「‥‥‥‥だが、今はジャックはいない」
「おっ!気づいたか?俺を本当に屠るなら表のアイツと一緒のタイミングじゃないといけねえ事によう?なかなか冴えてんな。『担い手』様はよう」
「だんだんとお前の正体が分かってきたよ。『殺人鬼』」
「ハハハ!分かっても、条件をクリアしないと俺は倒せないぜ!『担い手』!!そろそろ、茶番劇も終りにするか‥‥‥‥神●魔法『カノニカル・ファイブ』」
『殺人鬼』はそう唱えるを
カノニカル・ファイブ
かのロンドンの殺人鬼。ジャック・ザ・リッパー本人が直接起こした殺人事件は未解決の事件の総称。
現代、ジャックの逸話は歴史研究、民間伝承、偽史が混ざりあったものとなっている。殺人事件。
「何でそんな単語をお前が知ってるんだ?」
「死念、怨念、怨み、つらみ、全てが重なると俺達は生まれるだぜ!『担い手』。俺はそいつ等を纏め、統括し、操る。ジャック何かと言う野郎の事は知らないが、ソイツの怨念は知っているだよ」
漆黒の球体が『中央特区』を包んでいく。
「さぁ、仕切り直しといこうぜ!『担い手』‥‥‥‥いや!神ノ使徒さんよう!!大アルカナNo.9『隠者』・ベルフェゴールだぜ!ハハハ!」
『怠惰』の悪霊・『ベルフェゴール』




