神無月&天王洲 VS 蝙蝠伯爵 No6 現代の主
神代○期・『死の大地』南部
(あぁ、これで御別れだね。ブラッド)
(我が灰の主様。その様な事は仰らないで下さい。貴方は、まだまだ生きられます‥‥‥‥ですから‥‥‥‥ですから、我が灰を残し居なくならないで下さい)
(そうだね。そうしたいのはやまやまなんだけどね。私は人族だから寿命は短いんだよ。ブラッド‥‥‥君には私の知識と財産を託すよ。好きに使ってくれ。私の子よ)
(ですからその様な事はまだ早いと‥‥‥)
(そうだ‥‥最後に頼みが一つ)
(頼みですか?それはいったい?)
(私という人格は居なくなるけどね。アルカナは次の私へと移るだろ。見つけられたらで良いんだ。もし、次の私を偶然見つけたら見守ってあげてほしいんだ。次の私には‥‥‥‥幸せな‥‥‥‥人生を‥‥‥‥歩んで‥‥‥‥欲しくてね‥‥‥)
(あ、主様?ギギギ、大丈夫ですか?)
(あぁ、大丈夫だ‥‥‥よ。これだから人族の命は儚いと言われるんだね。全く‥‥‥‥『香具師』さんも酷な事を‥‥するね‥‥‥じゃあ、後の事は‥‥‥‥君の判断で良いからね‥‥‥‥さようなら‥‥‥‥可愛い‥‥‥‥ブラッド‥‥‥)
(主様?!主様!我が灰の主様!!!!!)
こうして、神代時代にお使いした我が灰の命の恩人。神代の『殺人鬼』様は亡くなられたのだ。
そして、時が経ち。
現代・『オアシス・スラム』
(‥‥‥‥『プリンス』殿の情報で新しい『殺人鬼』様が居られるとの事だが?何故にこのような貧民街に我が灰が来なくてはならないのだ)
(‥‥‥下さい)
(?!誰だ?)
(弟にお水を下さい!おじさん)
(ん?下か?‥‥‥‥薄汚い子供と、衰弱仕切った子供?‥‥‥薄汚い子供は何処か見覚えがあるような顔を‥‥‥‥?!)
(おじさん!その身なり金持ち何でしょう?弟に水を下さい!お願いします)
我が灰は直感で感じ取った。あぁ、この子が、いや、この方が現代の我が灰の主様か‥‥‥‥‥あの方に何処か面影が似ているな。
(はい!何なりと‥‥‥‥我が灰の主様。貴方は助けます。ですが、貴方様の弟は我が灰には関係ありませんので助けませぬ)
(そ、そんな!それじゃあ、弟が死んじゃいます!)
(‥‥‥ならば、その者には水を与えた後、『オアシス・サウス』のギルドにでも引き取らせましょう。我が灰には少し伝もありますので)
(な、なら、僕も一緒に!)
(なりませぬな。えぇ、なりませぬ。貴方は『ラグナログ(神々の黄昏)』のNo.○。責務があります。そうしなければ貴方があの方達に殺されます)
(殺される?)
(えぇ、ですから貴方様は、新しき我が灰の主様は一緒に来て頂きます)
(そんなの嫌だ!僕は、リップと僕はずっと一緒に!)
(少し痛いですが、失礼したします)
ボコッ!
(居るん?!‥‥‥‥)ドサリッ!
(我が灰の配下達よ)
(ギギギ、ここに)(ギャギャ、何なりと)
(そこに倒れている小さい子供は水を与えた後、サウスの『イスラ』という男の元へ運べ。血を吸うでないぞ。吸えば貴様らは消す)
(ギギギ、はっ!)(ギャギャ、了解です)
(‥‥‥‥では、参りましょう。我が灰の主様。懐かしき貴方の家へ)
数日後。『死の大地』南部・夜
(弟はリップは何処に居るの?)
(ギギギ、ここには下りませぬ)
(嘘だ!僕だけ、1人連れてきたの?)
(それがあの方達の判断ですので)
(僕の、僕の弟が居ない?‥‥僕の‥‥‥)
(?我が灰の主様?どういたしました?)
(‥‥‥五月蝿えな!クソ蝙蝠少し黙ってな!!)
ゴギッ!
(ギギギ、ギャアアア!!!主様!いきなり何を?)
(ハハハ、あのクソ弟と表の俺を離れ離れにしてくれてありがとうよ!クソ蝙蝠。いやー!やっと外の世界に出てこれたぜ)
(外の世界に出てこれた?)
(何だ?神代の頃の俺には聞いて無かったのか?いや、むしろ‥‥‥昔はコントロールできていたのか?まぁ、どっちでも構わねえか!)
(ギギギ!伯爵様。主様。お食事の用意ができました)
(おお、そうか、ならば。我が灰の主様、是非、一緒に食事を)
(おっ!何だよ!魔獣を飼ってのか?丁度良い、久しぶりのシャバで運動したかったんだ。蝙蝠狩りといこうじゃねえか?なぁ?伯爵様よう!)
(はい?ギギギ、それは何とも愉快なご冗談を)
グシャッ!
(はっ?)
(おいおい!潰れちまったよ。この蝙蝠魔獣。まぁ、良いか、この屋敷にはまだまだ魔獣の気配がするしな。さぁーって朝方迄には全部狩れるか挑戦だぜ!!シャッハーッ!!!!)
(お、お止め下さい!主様!!!!彼等は無害の魔獣です!!そして、神代からこの屋敷で我が灰と暮らす‥‥‥‥)
我が灰の新しき主様はそう言うと屋敷中の我が灰の配下の者達を虐殺していったのだった。
(はぁー!もう。朝か?久しぶりのシャバでついテンションが可笑しくなっちまったな。おい!新しきペット)
(‥‥‥‥‥ばい‥‥‥‥‥)
我が灰は目の前で無惨に殺される配下達を見せられ焦燥しきっていた。
(次の夜までに次の魔獣を補充しとけや。また殺すからな。あーあ!楽しだぜ!じゃあな、俺は寝る)
ガクッ!
(気配が無くなった?昼の気弱な我が灰の主様に戻ったのか?‥‥‥‥‥‥あぁ、現代の主様は何足る怖き御方なのだ。我が灰の配下達が皆、殺されてしまうとは‥‥‥)
『オアシス・ノース』現代
「あの蝙蝠男。自分の血で私達の攻撃を防いだの?」
「一部の魔神や魔獣は特殊な能力があるとカミナリ様から聞いたら事があるが‥‥‥コイツは自分の血を能力に変換してるって事だろうよ!」
「ギギギ、流石は神獣風情。博識なのだな」
「だがよう!蝙蝠野郎。てめえのその闘い方はよう!まるで自分の寿命を削ってるようにしかみえねぜ!」
「寿命を削るか‥‥‥」
それはそうだろう。
「だから、どうした?」
我が灰の真に慕う御方の所へ向かうのだから。
「お前達に何の関係がある?」
だから、良いではないか。もう、随分、現代のイカれた新しき主に仕えた。
「だから」
だから
「(我が灰をあの方の元へと早く向かわせよ!!!娘神獣風情よ!)」




