夜叉巫女 対 イシスの使い No.3 黄金虫
『天空遊戯場・観客席』
黄金の虫が空間の裂け目に呑まれて消えていく。
「なんちゅう闘いだよ。夜叉巫女の奴、魔法攻撃の他にも剣戟を飛ばしてやがる‥‥‥‥あれを学べってか?黒猫やろう」
『天空遊戯場』
「そらそら、次から次へと喰らいな!小娘!!!」
(属性魔法の召喚術で出せる契約者は一体までの筈。なのに悪趣味女殿は何故、これ程の数の使い魔を出せるのです)
「どうしたのかしらねえ?小娘!!何をそんなに焦ってるのかしら?闇魔法『傀儡・行軍』」
黄金虫は隊列を整え。夜叉巫女へ襲いかかる。
「まるで黄金の絨毯ですか‥‥‥‥‥ならば、空間魔法『天空・天道』」
夜叉巫女は黄金虫の大軍へと空間弾を放った。
「なっ?私の黄金虫が!また、異空間に吸い込まれる?!そんな!‥‥‥‥なんてっ!思うか!馬鹿小娘。闇魔法『黄金中・拡』」
「ギチギチ‥‥‥‥」
「カサカサカサカサ」
「ギチギチ!‥‥‥」
「どうだい?小娘!!私の可愛い傀儡黄金虫達に襲われる気分は?怖くて、怖くて仕方ないでしょう?フフフ!!」
「‥‥‥‥‥小細工は不要なり。身の程を弁えぬ。虫達‥‥‥いえ、イシスの民に制裁を加えまする。黒竜魔法『龍鱗・火弾』」
夜叉巫女の背の後ろの空間が割れ、その中から竜の口が顕現する。
そして、竜の口から放たれるは紅蓮に燃える巨体な火球である。
その火球は群れる黄金虫に向かって放たれた。
「馬鹿かしら?そんな火球ごときで私の虫が焼き切れる訳がない‥‥‥」
「『爆撃の発』」
夜叉巫女はただ、冷静に対象する。彼女は巨体な火弾に言霊を言い放つと‥‥‥‥
カチッ!
ドドドドドドドドドドドド!!!!!
ドゴオオオンンン!!!
「何?!私の可愛い虫達が燃えるですって?黄金虫の身体はサラマンダーの火炎にも耐える身体なのに!!」
『天空遊戯場』に凄まじい火弾の嵐が巻き起こる。
その嵐は黄金虫の大軍を燃やし、殺し、凄まじい勢いで焼き付く。
「‥‥‥‥また、油断しましたか。空間魔法『次元・関空』」
「ちっ!小娘‥‥‥また、何かするつもり?一体何を‥‥‥」
スカラの右腕の近くに小さな異空間が形成され、彼女の右腕がその中へと引き込まれ、切断された。
だが、スカラはその痛みに気づかない。気づかない程に夜叉巫女の『次元・関空』は静かに、速く、スカラの右腕を失わせたのだった。
「‥‥‥するつもりなのかしら?」
彼女がそう言い終えたと同時に右手を口に触れようとした瞬間。
「フフフ‥‥‥‥っ?‥‥‥はっ?無い?私の手!‥‥‥右腕が無い?はぁ?何で?私の右腕!!!いつの間に無くなってんのよ?」
突然の事に戸惑い叫び初める傀儡者スカラ。
「先ほどまでの大層な物言いは感服致しました‥‥‥‥致しましたが、貴女はまだ自分の格というものをもっと知っておくべきでした。まぁ、この夜叉巫女もそれができずに負けたのですが」
「私の右腕を‥‥‥‥何処に隠した!小娘!!!返せ!私の右腕と虫達を!!返せ!!この呪われし龍族の小娘!!」
「自分が被害を被ると、途端に騒ぐのですか?‥‥‥‥貴女は我が儘で愚かな方なのですか?‥‥‥下では貴女のせいで一般人や冒険者の方達があれ程苦しんでおられたのに」
「あんな奴等と私を一緒にするな!私はヘスティア地方の由緒正しき『イシスの民』!!ヘファイストス地方の様な部族の寄せ集めの意味の分からない血筋共と一緒にするな!反吐が出る」
「『イシスの民』が由緒正しいですか?―女神―ヘスティアを裏切り。憎き魔神達に与した貴女方が?‥‥‥‥それは何のご冗談でしょうか?」
「はっ!そんなんだから、ヘスティア地方の実権も握れず。アンタら龍族は際西の地に追いやられるのよ!今のヘスティア地方は紛争と宗教が入り交じる混乱の大地。そんな状態にした奴等が今さら説教じみた事を抜かすんじゃないわよ!!腹が立つ!!」
スカラは右腕の痛みを忘れ。夜叉巫女に向かって強くいい放つ。




