夜叉巫女 対 イシスの使い No.2 『天空遊戯』
『オアシス・イースト』
「あぁ!!」「おおお!」「助けて‥‥‥」
「逃げろー!!!」「もうおしまいだ!!!」
「‥‥‥‥少々、騒がしすぎるな‥‥‥五月蝿いのは好かないのだ。悪いが意識を絶たせてもらう、イーストの者達。黒竜魔法『咆哮・鱗』」
黒竜の魔力が乗った雄叫び。その叫びは『オアシス・イースト』を駆け巡り、スカラによって操られている人達の動きと意識を奪う。
「がぁ?」ドサッ!
「うがぁ?!」ドサッ!
「うぅぅ?」バタッ!
「‥‥‥‥‥これはヘスティア地方南方の者達が使う『傀儡術』。あの悪趣味女は『あの国』から来たということか?‥‥‥‥ガルクドの移民達といい。今、ヘスティア地方で何が行われている?いや、今は一般人達の救助が先か」
クロはそう考えながらも、地面に倒れた者達の救助を始めるのだった。
『イースト・武器屋の館』
「ぐぅ‥‥‥そう‥‥‥あれが際西に住むとか言う黒竜‥‥あぁ、なんて忌々しい一撃よ。お陰で左腕がおかしな方向に品曲がってるじゃない!あの黒竜‥‥‥殺して剥製にしてやるわ」
スカラは激情する。そんな激情に震えている彼女の前に1人の少女が現れる。
「それ程、までにクロは怒ってるのですよ。悪趣味女殿。貴女は罪もない冒険者達を操り、殺し合わせた。悪であると」
「あんたは‥‥‥噂の龍族の小娘か?‥‥‥‥何故、ここに?あんたに何が関係あるのかしら?それにあの黒竜だって『ガルクド』では大量に盗賊を殺したって聴いてるわ?私が大量に人を操り、殺し合わせてるのとどう違うのかしらね?小娘」
「クロは盗賊達‥‥‥つまり、悪人を成敗しただけ、そして、貴女は何も罪もない方々を無惨に殺している。同じ殺しでもその意味合いは全く違うものと思いまする」
「フフフ、所詮はどっちも人殺しよ。ねえ、屈服せし龍族の小娘。あんなに強いのにあの国の言いなりなんて恥ずかしい」
「‥‥‥‥我等、龍族は生き残りの為に従ったまで‥‥‥‥貴女のその白色と褐色の肌。確か、ヘスティア地方。南方の『イシス族』特有のものですね」
「へー、知ってるのね。なかなか教養があるじゃない。私の故郷を知ってる奴なんてそんなにいないのよ。それにあの馬鹿力の黒竜を従えてるし‥‥‥‥あの方もあんたを新しい20番目に押したがる筈よね」
「はい?20番目とはいったい?」
「こっちの話よ。あの方が言うには席は5つも空いている。早急に次を立てて、私達の発言力を高めなくてはと言っていたし‥‥‥‥良いわ。私はアンタを倒してあの方の元へと連れていく。そして、私が13番目、アンタが20番目にして。一緒、私の為に働く奴隷にしてあげるわ。フフフ」
「長々と話して最後には奴隷とは‥‥‥‥意味が分かりませぬが。先ずはこの地で働いた行為への謝辞が先かと‥‥‥‥空間魔法『天空遊戯』」
「フンッ!生意気な小娘!!アンタは負けてあの方のペットになるのがお似合いなのよ!!闇魔法『魔獣傀儡』」
『オアシス・イースト』の瓦礫群が夜空に舞い上がり、結合していく。
そして、一つの天空遊戯場へと姿を変えていく。
「はっ?新名魔法かしら?‥‥‥とは違うわね。龍族の逸話なんてそもそもわざと広められてないし。もしかして、アンタが噂の転移使いだったりする‥‥‥‥」
「戦闘の最中で少々、喋り過ぎでは?悪趣味女殿。空間魔法『天空』!!!さぁ、共に参りましょう。天空遊戯へ」
「てめえ!!私が質問してる時に何を攻撃して‥‥‥‥?!」
スカラがいい終える前に上空に造られた『天空遊戯』へと夜叉巫女の天空によって、強制的に招かれた。
『天空遊戯場』
「‥‥‥‥ここは?『オアシス』の上空?何でこんな場所に連れて来たわけ?」
「それは貴女を逃がさず、確実に倒すためですよ。悪趣味女殿」
「‥‥‥‥確実に倒すため?できると思ってんの?そんな事。アンタにさぁ?!」
「思っておりますとも。今回は大切な観客もおりまするので、この旅で培った妙技を貴女にお見せ致しまする」
「あん?観客席って‥‥‥‥アイツの弟?いえ?妹じゃない?何であんなのまで連れて来たわけ?闇魔法『傀儡糸』」
スカラは観客席にいるリップに向けて黒色の糸を放つ。
『天空遊戯場・観客席』
「うわあぁぁ!!来るな!」
ガギイィィン!!
「へっ?」
『天空遊戯場』
「‥‥‥‥ちっ!そう、この異空間全体が結界。つまり、私を逃がさない為の檻って事」
「作用です。リップ殿には一切危害を加えさせませぬ」
「ふん、はなっから興味ないわよ。あんな、五月蝿い兄弟達なんかね」
「兄弟達?」
「‥‥‥‥まぁ、良いわ!とりあえず、あんたは私に負けて奴隷になる。それが決定事項。来な!闇魔法・召喚『スカラベ』」
カサカサカサカサカサカサ。
スカラが展開した魔方陣から大量の虫が現れた。
「黄金虫‥‥‥『イシスの民』の虫傀儡てすか‥‥‥‥」
「フフフ、知ってるわね。サウスで暴れさせてる。無知な野生やスフィンクスとは違う。コイツらは私の手足そのものよ!さぁ、来なさいよ!!小娘!!『傀儡虫』」
「えぇ!言われなくても!行きまする!!空間魔法『絶・天空』」
黄金の虫と斬空の剣の衝撃が『天空遊戯』内に響き渡る。




